皮革

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製品に加工する直前の皮革と、代表的な工具

皮革(ひかく)とは、動物皮膚のまま、または、なめしてあるものを指す。動物からはいだ皮膚を皮、皮から毛を除き、なめしてえられる製品を革といい、生皮から革までを含めて皮革と総称する[1]。毛皮は毛をつけたままなめしたもので、広義には皮革に含まれる[1]

人工的に作られた人造皮革(人工皮革と合成皮革)と区別するため、動物の皮膚をなめしたものを天然皮革(てんねんひかく)や本革(ほんがわ)ということもある。皮革の中でも、元々生えていた体毛まで利用するものは毛皮(Fur)という。

皮と革編集

皮とは生物の表面を覆う組織であり、人類は特に動物の皮を利用してきた[2]。動物の皮膚をそのまま剥ぎ、製品として使用したものをという。

しかし、皮には高温多湿の環境では腐るという大きな欠点があるため、これを腐らないよう鞣して(なめして)加工したものがである[2]。「革」は動物の皮を両手でピンと張ったところを表した文字である[2]。なめして革に加工できる皮を原皮という[2]

英語では皮はスキン(skin)、革はレザー(leather)にあたる[2]。原皮の分類では大きさによりskinとhideに分けられる[2]。牛皮の場合、中牛程度までの大きさをskin、それより大きいものをhideという[3]

歴史編集

人類の祖先は動物の皮に着目しこれを利用するようになったが、最初はネズミやウサギなどの小動物が利用されたと考えられている[2]。最初の皮革の利用は毛皮であった[2]。皮は乾燥させると硬くなるが、乾燥中に繰り返し揉んだりほぐしたりして加工すると柔らかさを保つ性質がある[2]

皮革は硬質の樹脂であるプラスチックが発明されるまで人類が入手できる最も強靭な素材だった[2]

原料皮と種類編集

なめして革に加工できる皮を原皮というが原皮になりうるものは脊椎動物の皮に限られている[3]。また、実用的な皮革に加工するにはコラーゲン線維が十分に絡んでいて一定の厚みや硬さが必要である(皮下に十分に脂肪を蓄えて食用に適するよう品種改良されてきたニワトリなどは不向きとされている)[3]。また、革製品の加工に安定供給できるような素材である必要がある[3]

皮革の材料としては以下の動物が挙げられる。製品種類とともに記述する。

哺乳類編集

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一般的な革であり、革靴に使用される革としては最大数量。一般に成の背中から脇までの皮を使用する。カウブル等の分類があるが、基本的に全て肉牛の皮である。表面にエンボス加工を施すことにより、オーストリッチワニヘビなどの模造をすることも可能である。外見上の特徴は特に無い。

  • ハラコ - 胎児から生後間もない仔牛の革。出産前に死んだ雌牛の腹にいた仔牛(腹子)から採れることが多い。ほとんど出回らない。現在は10kgまでの子牛を含めることもある。
  • ベビーカーフ - タンニンなめしで加工された、胎児 - 生後3ヶ月までの仔牛の革。
  • カーフ - 生後約6ヶ月までの仔牛からできる革。仔牛なので傷が少なく、しなやかで、高級品である。
  • キップ - 生後6ヶ月 - 2年程度までの牛からできる革。ヨーロッパ原皮にはキップという言葉はない。小型のコブ牛をキップに含めることも多い。
  • ステアハイド - 生後2年以上経過した去勢された雄牛からできる、最も一般的な革。
  • カウハイド - 出産経験があり、生後2年程度経過している雌牛からできる革。一般的に、ステアハイドより薄く、柔らかい。
  • ブル - 去勢されずに育ち、生後3年以上経過した雄牛からできる革。分厚く、強度がある。
  • 内地物 - 国内で消費された牛からできる内地原皮を加工した革。一毛和牛(肉牛)、ホルスタイン乳牛、去勢牛)などがある。
  • ブライドルレザー - カウハイドに数ヶ月かけてタンニンなめしを施し、を染み込ませた革。頑丈で、表面には白い蝋の粉(ブルーム)が浮き出る。

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非常にやわらかい革を作ることも半透明にもできる。表皮の下には脂肪層があるので、牛革のように厚い革にはできないのが特徴。摩耗に強いので、ランドセルや靴の内革などに使用される。三角形にそろった毛穴は一目で革と判別でき、価値が低いとして扱われてきたが、近年は海外ブランドでもデザイン性を生かした衣料製品などに使われるようになった。特に、柔らかくなめしてガーメント(衣料革)に使われたり、硬く半透明にして(生皮)ランプシェードなど工作用に使われることもある。日本から輸出される数少ない革でもある。

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臀部以外の比較的柔らかい部分は靴の内革に多く使用。

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  • シープスキン - 柔らかいのが特徴。脂肪の穴が多いので、なめしても革に空隙(くうげき)が多く残り、断熱効果が高いので、防寒着にも多く使用される。
  • ムートン - 羊の毛がそのまま残っている毛皮。第二次世界大戦時、フライトジャケットの極寒冷地用に使用され、防寒性が非常に高い。

山羊編集

  • ゴートレザー - 羊皮より充実した繊維組織を持ち、強くやや硬い。銀面は特有の凹凸をもち耐摩耗性に優れている。ヤンピーとも呼ばれる。

カンガルー編集

近年特に使用が増えた皮革である。軽くて丈夫なのが特徴で、サッカー選手や陸上選手のスパイクシューズオートバイライディングスーツ(革ツナギ)などにも使用される。世界的に肉牛の需要が減少し、副産物としての牛革が減少するに伴い、徐々に採用された。基本部位は肉牛と同じく背中から脇であるが、カンガルーは二足歩行するため、革の形状も三角形に近い形を成しており、製造過程で若干の技術的困難が見られた。外見上は牛革と大差なく、見分けはつきにくい。

その他の哺乳類編集

  • ゾウ - 傷に強く頑丈な革である。ワシントン条約輸入が規制されている。
  • ウサギ - 毛皮。
  • シカ - 繊維は細いが、からみ合いが粗く、非常に柔らかい革である。鹿革では、印伝が有名で、特殊ななめしをしたうえに、で模様をつけたものである。
  • クマ - 毛皮。かつて革としても使われていた。
  • ネコ - 腹側は三味線に用いられる。
  • イヌ - 毛皮。
  • トラ - 毛皮。
  • ラッコ - 毛皮。
  • ニホンカモシカ - 毛皮。
  • オオカミ - 毛皮。
  • ヒョウ - 毛皮。
  • タヌキ - 毛皮。
  • キツネ - 毛皮。
  • イタチ - 毛皮。ミンクテンなど。
  • センザンコウ - ひし形模様の鱗跡が美しい革。
  • オットセイ
  • アザラシ - 厚みがあり丈夫。革の表面の特徴は頭部から尾部に向け、独特の波状の畝(ウネ)模様がある。腸は薄く柔軟で防水性が高いため、イヌイットの防水着として用いられる。パルカと呼ばれパーカーやアノラックの原型となった。
  • ラクダ - 砂漠地帯の昼夜の激しい温度差により、ラクダの革は一般的に厚く頑丈になる。但し1頭から取れる皮のうち皮革素材として使用できる面積は少ないと言われる。生皮を透明に加工したラクダのランプが有名。
  • トナカイ - ダイヤ柄の型押し模様が施された高級皮革のロシアンカーフ(Russian calf)が有名。
  • カピバラ
  • ヒト - 人間の皮膚は比較的大きいものの、他の動物に比べ柔弱で実用性は劣るが、宗教、シャーマニズム、死後に肉体の一部を残す希望、猟奇趣味など、主に精神的理由から人皮は世界各所で用いられてきた(人皮装丁本エド・ゲイン、アイスランドのネクロパンツ[4])。

爬虫類編集

  • ワニ - 数ある皮革の中でも最高級とされる。クロコダイル種とアリゲーター種がある。最上級のクロコダイル(東南アジア産のイリエワニ)や、アリゲーターカイマン等が有名。鱗の模様によって玉符(柔らかめ)と竹符(硬め)がある。
  • ヘビ - 美しい鱗が特徴だが、あまり丈夫ではない。ニシキヘビが有名。パイソン。
  • トカゲ - 丸斑模様のリング縞斑のオーバルなど様々なものがあり、ジャワのリザードが有名。また、リングマークトカゲが最も高級。

鳥類編集

  • ダチョウ - 牛革より4倍ほど丈夫で長持ちするとされている。羽毛を抜いた跡のクイルマーク(表面のボツボツした多数の突起)が特徴。ワニ革についで高価な素材。オーストリッチ。
  • エミュー - オーストリッチに似ているが突起が小さいのが特徴。

魚類編集

  • サメ - ナイフで突き刺しても貫通しないと言われるほど頑丈で、水に強い性質がある。鮫肌と言われるウロコ部分は加工で除去される。ワサビおろし器にも用いられる。シャークスキン。
  • エイ - 鮫の近縁であるため皮膚もサメに近く、皮革として丈夫で水に強いため、エイの皮も鮫皮と呼ばれることがある。炭酸カルシウムでできた、ラインストーンのような細かい突起が、独特の模様を成す。ガルーシャともいう。光を感知する第三の目の部分はスティングレイハートと呼ばれる。また、日本刀の柄の部分やおろし器としても利用される。表面を削る加工は非常に高度な技術が必要なためオーストリッチについで高価になる。
  • サケ - 北海道特産品としてわずかに流通する程度である。
  • コイ - 模様は美しいが、革の大きさが小さいため実用性は低い。
  • ヌタウナギ - 現在は韓国の特産品となっていて滑らかでやわらかく、革特有の臭いも無いので注目されている。イールスキン。

皮革の加工編集

製革の作業には、大きく分けて準備工程、鞣し工程、再鞣・染色・加脂工程、仕上げ工程がある。

準備工程編集

鞣し(なめし)の前に皮をコラーゲン線維だけに精練する工程であり、英語ではBeamhouse Workという[5]

水漬け
水につけて汚れを落とし、アルカリを加えて原皮の吸水性を高め、防腐剤により腐敗を防止する工程[5]
フレッシング
皮に付着した脂や結締組織などを除去する工程[5]
毛の除去
工業生産の場合、硫化ソーダや水硫化ソーダで溶解しながら消石灰で毛根部を緩ませる石灰脱毛が多い[5]。日本では太鼓用皮などの加工にはによりバクテリアの働きをかりて緩ませてから物理的に除去する方法が利用される[5]

なめし編集

皮のコラーゲン線維の原線維は組織内の水分中でペプチド結合により結合した3本鎖のらせん構造になっている[6]

鞣し(なめし)とは、皮のアミノ酸でできたコラーゲン線維に鞣剤を作用させることで[5]、水分がない状態でもコラーゲン繊維が癒着せず、らせん構造を維持する状態に変化させることをいう[6]。鞣し(なめし)のプロセスが理論的に解明されたのは18世紀のことである[6]

タンニンなめし
切り口(コバ)が茶褐色、型崩れしにくく丈夫、染色しやすい(染料の吸収がよい)、吸湿性に富む、使い込むほど艶や馴染みがでる、などがある。反面、タンニンでなめす場合、タンニンを革の中心部分に浸透させるために、タンニン濃度を徐々に上げる必要がある(濃度が高いと表面にだけタンニンが結合し、後で浸透しなくなる)。よって工程数が多くなり、30以上の工程を踏む必要があり、高コストになる。よく皮革製品で「飴色になる」と表現されるが、それはこのタンニンなめしによるものである。手縫いを用いるような等にはタンニンなめしの材料が用いられる。
クロムなめし(通称:Wet-Blue(ウェットブルー))
切り口が青白色、伸縮性が良い、柔軟でソフト感がある、吸水性が低く水をはじきやすい、耐久力がある、比較的に強い、などがある。衣料用にはクロムなめしが用いられる事がほとんど。タンニンなめしに比べて工程の省力化からコストを抑えられる反面、なめし工程上で使うクロムが焼却により化学反応酸化)を起こし、人体に有害な6価クロムに変化するので処分の際は注意が必要である。
コンビネーションなめし
タンニンなめしとクロムなめしを組み合わせたもの。
アルデヒドなめし(通称:Wet-White(ウェットホワイト))
環境問題からタンニンなめしの革と同様にクロム(メタル)フリーの革として普及してきている。クロムなめしに比べてややコストが高めになる。

製品革の種類編集

  • エナメル - 革にエナメルペイントを施すことで光沢と耐水性を持たせたもの。ドレスシューズ(社交の場などで着用される装飾性・デザイン性の高い靴)などに多用される。最近はフィルムを貼ることも多い。
  • スエード - 革の裏側(肉面)をやすり等で起毛させたもの。柔らかく、ビロード状に仕上がる。床革を使用する場合もある。
  • ヌバック - 革の表側(銀面)をやすり等で起毛させたもの。デザイン目的でドレスシューズにも用いるほか、傷を目立たせないという目的で登山靴にも用いられる。
  • 型押し - 牛革などにプレスで模様をつけたもの。模様は、ワニ革を真似た模様や格子模様、目(バスケットウェーブ)など様々ある。
  • クラッキング - 皮革にあえてひび割れを施したもの。カジュアルに多いダメージ加工。
  • 色づけ - 色むらを出すために、色づけする場合もある。靴を成型した後に、脱色した革に色づけする場合もある。
  • 製品染め - 靴やカバンを縫製した後、染色したもの。こなれ感と微妙な色ムラで使いこなされた風合いが出る。
  • オイル、ワックス仕上げ - 本来は防水効果のためであったが、プルアップや焦がしなどのファッション効果を求めて施されることが多い。
  • カゼイン仕上げ - カゼインを主体にして、グレージングやポリッシングで艶を出したもの。
  • はっ水、防水加工 - フッ素シリコーン、防水用加脂剤等を使用して機能を高めたもの。
  • キュイルボイル英語版(英名:ボイルドレザー、「茹でた革」の意。)- さまざまなやり方が残っているが、その多くに沸騰させるプロセスがある訳でなく、共通するのは冷たろうが熱かろうが水に浸す事である。

皮革製品編集

 
サッカー・ボール
 
皮革製パッキンが多用されるフラッシュバルブとフラッシュバルブから給水される水洗便器

皮革は、一般に衣料品装身具などに利用されることが多い。とりわけ、衣服コートパンツライディングウェア消防士の防火服、溶接作業服、第二次世界大戦中までのフライトジャケットなど飛行服潜水艦乗組員、戦車兵の制服など)、革靴ベルトサスペンダー椅子の表張りなど、耐摩擦性、耐火性、引っ張り強度などの耐久性が求められるものに多く使われる。獣肉食の禁忌のために皮革の供給量が少なく、衣服に使うことが少なかった日本でも、火事装束には鹿革が多く用いられた。馬具球技用の野球グラブ、自転車のサドルなどのスポーツ用品にも多く用いられる。

高価なスポーツカー高級車では、シートダッシュボードなどの内装材が総皮革製のものが、人造皮革であるエクセーヌ(アルカンターラ)が普及した現在においても時折見受けられる。手触りが良いために比較的普及価格帯に近い自動車でも、ステアリングシフトノブには皮革巻きの物が用いられる場合がある。オートバイのシートにも用いられることがある。

かつてはなど防具にも多く使用された。の柄にも滑り止めの為に皮革製の紐が巻きつけられ、野球バットをはじめとするスポーツ用品の柄や、オートバイのハンドルバーグリップにも皮革が滑り止めとして用いられる事があった。小銃散弾銃の負い紐(スリング)や銃床の頬当て(チークピース)、拳銃ホルスター等の軍需品にも皮革は広く用いられた。合成ゴムが普及する以前は、気密性が要求される手動ポンプポータブルストーブランタンのエアポンプなど)や、空気銃等のピストンパッキン(ポンプカップ)、水道用パッキンといった工業製品にも皮革が用いられた。

牛革による皮革は特に水洗式トイレのパッキンとしては重要な役割を果たしており、水洗便器用洗浄弁であるフラッシュバルブの心臓部の部品であるピストンバルブ部ワン皮パッキンに皮革が用いられ、水を流す度に高圧で往復運動するピストンバルブが故障すると水が出なくなったり、あるいは水が止まらなくなり悪影響を及ぼす。革パッキンであれば、摩擦抵抗が小さい為、ピストン運動に強く、万一傷が出来て漏れ出してきてもある程度繊維が傷を埋めていく働きをするので、ゴムパッキンのように即座に交換しなければ全く使いものにならないということはなく水洗式トイレのパッキンとしては、革製のパッキンである事がとりわけ重要である。皮革の繊維が便器の洗浄水に混じって出てくるとパッキン交換のサインともされている。

鮫皮(さめがわ)のワサビおろし器(板鰓類と呼ばれる種類のカスザメなど表皮が使用される。ザラザラして非常に硬い表皮の特性を利用)、ビリヤードキュー先端に取り付けるティップ(革が持つ弾力性と緩衝性を利用)など、皮の特性をうまく利用した製品も多い。太鼓三味線三線などの楽器にも利用される。

一般の皮革製品は、ほとんど何らかの皮革用塗料ワックスも含め)が塗装してあり、なめしの時に染色したり、塗装の時にスプレー染色するなど、染料顔料で着色してある。

製品の保存方法(手入れ)編集

皮革は、長期間放置すると硬化する傾向がある。硬化すると、製品としての美しさや機能性が損なわれるのみならず、ひび割れて使用できなくなるおそれがある。そこで、革の柔らかさを維持するため、保革油(保革剤)を塗ることがある。保革用の塗り物には様々あるが、製品に適した塗り物を用いないと、染みや劣化の原因ともなるので、注意が必要。保革油を塗る前に汚れを落とさないと、染みや劣化の原因となることもあるので、ブラシや布でよく汚れを落としてから塗る。

スエードヌバックなど起毛革には、専用の洗浄剤やクリーナー、スエードブラシを用いる。スエードブラシには、細い真鍮の針金が使われていて、起毛革を毛羽立たせる効果がある。ただし、起毛革以外に使うと傷の原因となる。

また、高湿度や汚れによって、カビが発生することがある。皮革の製造過程でカビの原因となる有機物は取り除かれるので、主なカビの原因は製品になった後に付着した汚れである。従って、表面をきれいにすることが保存性を高めるのに効果がある。多くの製品には塗料が塗られているので、汚れ落としのためにベンジンなどの有機溶剤を使用すると、その塗膜が損傷することがある。革の構成要素であるコラーゲンはタンパク質の一種であり、熱で変性して強度や柔軟性を失うので、濡れた皮革製品を乾かす目的で火の近くに置くのは避けた方がいい。

このように、天然皮革は手入れが大変であるにもかかわらず、使えば使うほど馴染んできて美しくなることから、現在でも合成皮革に完全に取って代わられることはない。

一部の工業製品のエアポンプに現在も用いられている皮革製ポンプカップは、ある程度の油分が浸透していないとシリンダーとの密着性が低下して気密漏れを起こしてしまうため、使用前にはミシン油などの油を必ず注油しなければならない手間がある反面、合成ゴムに見られる揮発油などによる膨潤や経年劣化による硬化が起こりにくく、摩擦による磨滅や断裂が起きるまでは繰り返し使用可能な耐久性がある為、趣味者の間では近代的なゴム製ポンプカップよりも皮革製が好まれる場合もある。

合成皮革編集

合成皮革(ごうせいひかく)、フェイクレザーとは、基布に樹脂等を付着させて、天然皮革類似の風合いとしたものをいう。天然皮革と異なり、水に濡れたりしても手入れが簡便であり、安価で品質も均一であることなどから普及している。単に「レザー」と言う場合、合成皮革を示す場合もあるが、レザーの意味は天然皮革である。

なお、広義の合成皮革は、狭義の合成皮革と人工皮革とに分類される。

ものによるが、天然皮革に比して劣化が早い傾向があり、天然皮革の靴や服のように自分の体に合ってくるということは少ない。例えば、ポリウレタン製のフェイクレザーなどは、使用状況、保管方法等にも依るが、約5年程度で劣化し使えなくなることが多い。

化学繊維で毛皮を模したものをフェイクファー、エコファーと呼ぶのに関連して、エコレザーが合成皮革のことだと勘違いされることがあるが、エコレザーは天然皮革である[7]オーガニックコットンなどと似たようなもので、環境に配慮して製品化された天然皮革をエコレザーと呼ぶ。

培養皮革編集

生体細胞を細胞培養して、生物を犠牲にすることなく工業的に皮革を生産する研究が行われ、一部の企業は商業生産を始めている[8][9]

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ a b 染韋(染革)の世界大百科事典
  2. ^ a b c d e f g h i j 鍛治雅信. “かわのはなし(1)”. 東京都立皮革技術センター. 2020年7月6日閲覧。
  3. ^ a b c d 鍛治雅信. “かわのはなし(2)”. 東京都立皮革技術センター. 2020年7月6日閲覧。
  4. ^ http://karapaia.livedoor.biz/archives/52214168.html 17世紀、アイスランドの魔術師が実際に身に着けていた人間の皮膚で作ったズボン「ネクロパンツ」
  5. ^ a b c d e f 鍛治雅信. “かわのはなし(3)”. 東京都立皮革技術センター. 2020年7月6日閲覧。
  6. ^ a b c 鍛治雅信. “かわのはなし(5)”. 東京都立皮革技術センター. 2020年7月6日閲覧。
  7. ^ エコレザー認定基準|日本エコレザー基準認定事業
  8. ^ “Would you wear leather that's grown in a lab?”. CNN. (2018年10月4日). https://edition.cnn.com/2018/10/04/business/modern-meadow/index.html 2019年3月23日閲覧。 
  9. ^ “The Future of Leather Is Growing in a New Jersey Lab--No Animals Needed”. Inc.. (2018年4月). https://www.inc.com/magazine/201804/alden-wicker/prototype-modern-meadow-lab-grown-leather.html 2019年3月23日閲覧。 

関連項目編集

植物等を使った革(ヴィーガン向け)、暖皮

外部リンク編集