2010年のバレンシアグランプリ

2010年のバレンシアグランプリは、ロードレース世界選手権2010年シーズン最終戦として、11月5日から7日までスペインバレンシア・サーキットで開催された。

バレンシア州の旗   2010年のバレンシアグランプリ
レース詳細
2010年のロードレース世界選手権 全18戦中第18戦
決勝日 2010年11月7日
開催地 バレンシア・サーキット
開催コース 常設サーキット
4.051km
MotoGP
ポールポジション ファステストラップ
オーストラリアの旗 ケーシー・ストーナー スペインの旗 ダニ・ペドロサ
1:31.799 1:32.914
表彰台
1. スペインの旗 ホルヘ・ロレンソ
2. オーストラリアの旗 ケーシー・ストーナー 3. イタリアの旗 バレンティーノ・ロッシ


Moto2
ポールポジション ファステストラップ
スペインの旗 トニ・エリアス チェコの旗 カレル・アブラハム
1:36.141 1:36.611
表彰台
1. チェコの旗 カレル・アブラハム
2. イタリアの旗 アンドレア・イアンノーネ 3. スペインの旗 フリアン・シモン


125 cc
ポールポジション ファステストラップ
スペインの旗 マルク・マルケス スペインの旗 マルク・マルケス
1:39.564 1:40.216
表彰台
1. イギリスの旗 ブラッドリー・スミス
2. スペインの旗 ポル・エスパルガロ 3. スペインの旗 ニコラス・テロル


概要 編集

125ccクラス 編集

ライダーズチャンピオンの決定が、3クラス中唯一最終戦まで持ち越された125ccクラス、ポイントリーダーのマルク・マルケスはランキング2位のニコラス・テロルに対し17ポイント差を築いており、テロルが勝ったとしてもマルケスは8位以上でフィニッシュすればタイトルを獲得できる有利な状況となっていた。土曜日の予選ではそのマルケスがシーズン12回目となるポールポジションを獲得、テロルは2番グリッドからのスタートとなった[1]

日曜日の決勝では、3番グリッドからスタートしたブラッドリー・スミスが終始レースをリードし、シーズン初優勝を遂げた。これにより、2009年のダッチTT以降26戦続いていたスペイン人ライダーの連勝記録に終止符が打たれた。続いてテロルとのバトルを僅差で制したポル・エスパルガロが2位に入った。マルケスはリスクを避けてバトルに加わらず、4位フィニッシュでタイトルを手中に収めた。17歳と263日でのチャンピオン獲得は、ロリス・カピロッシ(1990年)に次ぐ史上2番目の最年少記録となった[2]

Moto2クラス 編集

Moto2クラスでは、翌シーズンからのMotoGP復帰が決まっているトニ・エリアスがシーズン3度目となるポールポジションを獲得した[3]。ライダー部門では既に初代チャンピオンを確定させているエリアスだったが、今回のレースにはモリワキのコンストラクター部門逆転制覇が懸かっていた。またエリアスは日曜日のセッションには、まぶしく輝くシルバーのスペシャルペイントのマシンで登場した[4]

決勝序盤はアンドレア・イアンノーネがレースをリード、後続との差を徐々に引き離しにかかっていた。8周目には2番手を争っていたGP2戦目のケナン・ソフォーグルがメインストレートでステファン・ブラドルと接触し、コースアウト・転倒となった。またブラドルも12周目に単独転倒、リタイヤを喫することとなった。

その後レース終盤にかけては、フリアン・シモン、エリアス、カレル・アブラハムらがイアンノーネに追いつき、抜きつ抜かれつの激しいバトルを展開することとなった。ファイナルラップにはエリアスが無理な仕掛けでイアンノーネと接触、その混乱の隙をついてアブラハムがトップに立った。翌シーズンからのMotoGPクラス昇格が決まっているアブラハムは、Moto2クラス最後のレースを自身グランプリ初優勝という最高の形で締めくくった。転倒を免れたイアンノーネが2位、シモンが3位に入り、年間ランキングではシモンがイアンノーネに僅か2ポイント差で2位の座を守った。

エリアスは上述の接触によりコースアウト・転倒を喫し、その後復帰したものの30位に終わった。この結果コンストラクター部門ではスッターがMoto2初代王者に輝くこととなった[5]

MotoGPクラス 編集

MotoGPクラス予選では、翌シーズンからのホンダワークス移籍を決めており、今回がドゥカティでの最後のレースとなるケーシー・ストーナーがシーズン4度目のポールポジションを獲得した。2番手には今回スワロフスキー・クリスタルを1800個埋め込んだ金色のスペシャルヘルメットで登場した、新チャンピオンのホルヘ・ロレンソが続いた[6]。3番手には自身クラス初のフロントロウ獲得となるマルコ・シモンチェリが入った[7]

日曜日の決勝レースは、序盤はストーナーがトップを維持、ロレンソはシモンチェリとの接触により体勢を崩し、一時は9番手にまで落ちていた。しかしその後ロレンソは巻き返しを見せ、12周目にはバレンティーノ・ロッシを抜いて2位に、23周目にはストーナーを抜いてトップに浮上、そのまま逃げ切ってシーズン9勝目を遂げた。これでロレンソは383ポイントという、シーズン獲得ポイントの史上最多記録を樹立した[8]

翌シーズンからのドゥカティ行きを決めているロッシは、3位表彰台でヤマハ最後のレースを締めくくった。ウィニングラン中にマシンをコース脇に停めたロッシは、ヤマハ移籍後初のレースで勝利を遂げた2004年の南アフリカGPと同じようにYZR-M1にキスをし、7年間を共にした愛車に別れを告げた[9]

MotoGPクラス決勝結果 編集

順位 No ライダー Bike 周回 タイム/リタイヤ グリッド ポイント
1 99   ホルヘ・ロレンソ ヤマハ 30 46:44.622 2 25
2 27   ケーシー・ストーナー ドゥカティ 30 +4.576 1 20
3 46   バレンティーノ・ロッシ ヤマハ 30 +8.998 4 16
4 11   ベン・スピーズ ヤマハ 30 +17.643 6 13
5 4   アンドレア・ドヴィツィオーゾ ホンダ 30 +19.160 9 11
6 58   マルコ・シモンチェリ ホンダ 30 +20.674 3 10
7 26   ダニ・ペドロサ ホンダ 30 +26.797 8 9
8 40   エクトル・バルベラ ドゥカティ 30 +29.288 13 8
9 19   アルバロ・バウティスタ スズキ 30 +29.451 17 7
10 14   ランディ・ド・プニエ ホンダ 30 +29.860 11 6
11 41   アレックス・エスパルガロ ドゥカティ 30 +31.761 12 5
12 5   コーリン・エドワーズ ヤマハ 30 +33.604 7 4
13 33   マルコ・メランドリ ホンダ 30 +36.622 10 3
14 7   青山博一 ホンダ 30 +38.968 15 2
15 71   カルロス・チェカ ドゥカティ 30 +56.169 16 1
Ret 65   ロリス・カピロッシ スズキ 13 棄権 14
Ret 69   ニッキー・ヘイデン ドゥカティ 2 アクシデント 5

Moto2クラス決勝結果 編集

順位 No ライダー Bike 周回 タイム/リタイヤ グリッド ポイント
1 17   カレル・アブラハム FTR 27 43:49.499 9 25
2 29   アンドレア・イアンノーネ スピードアップ 27 +0.522 3 20
3 60   フリアン・シモン スッター 27 +0.583 7 16
4 12   トーマス・ルティ モリワキ 27 +0.760 10 13
5 45   スコット・レディング スッター 27 +4.205 4 11
6 15   アレックス・デ・アンジェリス モトビ 27 +5.385 5 10
7 3   シモーネ・コルシ モトビ 27 +11.399 20 9
8 40   セルヒオ・ガデア ポンス カレックス 27 +21.420 21 8
9 77   ドミニク・エガーター スッター 27 +22.439 17 7
10 2   ガボール・タルマクシ スピードアップ 27 +22.912 12 6
11 16   ジュール・クルーセル スッター 27 +23.511 11 5
12 9   ケニー・ノエス プロモハリス 27 +25.169 13 4
13 6   アレックス・デボン FTR 27 +30.571 25 3
14 68   ヨンニ・エルナンデス BQR 27 +31.077 24 2
15 19   ザビエル・シメオン モリワキ 27 +31.276 19 1
16 46   ハビエル・フォレス AJR 27 +33.381 15
17 25   アレックス・バルドリーニ ICP 27 +33.548 28
18 72   高橋裕紀 テック3 27 +37.556 22
19 71   クラウディオ・コルティ スッター 27 +38.602 26
20 56   マイケル・ランセデール スッター 27 +38.763 23
21 55   エクトル・ファウベル スッター 27 +39.540 16
22 14   ラタパー・ウィライロー ビモータ 27 +39.835 33
23 43   Román Ramos MIR 27 +39.849 14
24 35   ラファエレ・デ・ロサ テック3 27 +40.519 27
25 44   ロベルト・ロルフォ スッター 27 +42.803 18
26 63   マイク・ディ・メッリオ スッター 27 +44.234 30
27 8   アンソニー・ウエスト MZ-RE ホンダ 27 +1:01.722 36
28 5   ホアン・オリベ プロモハリス 27 +1:02.031 37
29 61   ウラジミール・イワノフ モリワキ 27 +1:09.526 32
30 24   トニ・エリアス モリワキ 27 +1:25.529 1
31 88   ヤンニック・ゲーラ モリワキ 26 +1 Lap 41
32 95   マシェル・アル・ナイミ BQR 26 +1 Lap 40
33 66   國川浩道 ビモータ 26 +1 Lap 42
Ret 80   アクセル・ポンス ポンス カレックス 26 アクシデント 29
Ret 39   ロベルティーノ・ピエトリ スッター 22 棄権 38
Ret 10   フォンシ・ニエト モリワキ 18 棄権 31
Ret 70   フェルッチオ・ランボルギーニ モリワキ 17 棄権 35
Ret 65   ステファン・ブラドル スッター 11 アクシデント 2
Ret 54   ケナン・ソフォーグル スッター 9 棄権 6
Ret 31   カルメロ・モラレス スッター 7 棄権 8
Ret 53   バレンティン・デビーズ ADV 4 アクシデント 39
DNS 4   リカルド・カルダス ビモータ スタートせず 34

125ccクラス決勝結果 編集

順位 No ライダー Bike 周回 タイム/リタイヤ グリッド ポイント
1 38   ブラッドリー・スミス アプリリア 24 40:25.648 3 25
2 44   ポル・エスパルガロ デルビ 24 +2.786 5 20
3 40   ニコラス・テロル アプリリア 24 +3.149 2 16
4 93   マルク・マルケス デルビ 24 +8.326 1 13
5 11   サンドロ・コルテセ デルビ 24 +24.375 4 11
6 12   エステベ・ラバト アプリリア 24 +26.743 6 10
7 71   小山知良 アプリリア 24 +26.823 11 9
8 7   エフレン・バスケス デルビ 24 +27.634 7 8
9 35   ランディ・クルメナッハ アプリリア 24 +41.211 10 7
10 39   ルイス・サロム アプリリア 24 +41.279 8 6
11 23   アルベルト・モンカヨ アプリリア 24 +1:02.540 15 5
12 78   マルセル・シュロッター ホンダ 24 +1:02.999 17 4
13 55   イサック・ビニャレス アプリリア 24 +1:08.522 16 3
14 15   シモーネ・グロツキー アプリリア 24 +1:08.798 18 2
15 84   ヤコブ・コーンフェール アプリリア 24 +1:24.798 20 1
16 99   ダニー・ウェブ アプリリア 24 +1:27.614 14
17 56   Peter Sebestyén アプリリア 24 +1:38.939 19
18 58   ホアン・ペレロ ホンダ 24 +1:39.356 25
19 32   ロレンツォ・サヴァドーリ アプリリア 24 +1:40.387 21
20 63   ズルファミ・カイルディン アプリリア 23 +1 Lap 24
21 73   テイラー・マッケンジー ホンダ 23 +1 Lap 29
22 70   John McPhee ホンダ 23 +1 Lap 31
Ret 50   ストゥーラ・ファーガーハウグ アプリリア 23 アクシデント 27
Ret 31   ニクラス・アジョ デルビ 21 棄権 23
Ret 72   マルコ・ラバイオリ ランブレッタ 20 棄権 30
Ret 14   ヨハン・ザルコ アプリリア 19 アクシデント 13
Ret 59   Johnny Rosell ホンダ 19 棄権 26
Ret 52   ダニー・ケント ランブレッタ 15 棄権 22
Ret 69   ルイ・ロッシ アプリリア 12 棄権 28
Ret 94   ジョナス・フォルガー アプリリア 10 棄権 12
Ret 96   トマソ・ガブリエリ アプリリア 10 アクシデント 32
Ret 26   アドリアン・マルティン アプリリア 5 棄権 9

脚注 編集

参考文献 編集


前戦
2010年のポルトガルグランプリ
ロードレース世界選手権
2010年シーズン
次戦
2011年のカタールグランプリ
前回開催
2009年のバレンシアグランプリ
  バレンシアグランプリ 次回開催
2011年のバレンシアグランプリ