WBSC世界ランキング

世界野球ソフトボール連盟が発表する野球、ソフトボールおよびベースボール5のナショナルチームのランキング
IBAFランキングから転送)

WBSC世界ランキング英語: WBSC World Ranking)とは、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)により発表される野球ソフトボールおよびベースボール5のナショナルチームのランキングシステム。

概要 編集

WBSC世界ランキングは、数値上で各国のナショナルチームの強さを表したものである。WBSCプレミア12ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)など、WBSCまたは各大陸・各国の連盟等が主催する、原則として過去4年間に開催された国際大会の成績に基づいて算出される。このランキングは、サッカーにおけるFIFAランキング等とは異なり、トップチームのみではなく世代別代表(U-23、U-18、U-15、U-12)の成績も反映されるため、多数のメジャーリーガーを輩出する強豪国であるドミニカ共和国プエルトリコのように、アンダー世代の選手の多くがMLBの傘下でプレーしておりナショナルチームの国際大会には参加しない国・地域の順位が相対的に低くなる傾向がある[1]

野球・ソフトボールともに男女それぞれのランキングが発表されているが、女子のランキングは過去3大会のWBSC女子野球ワールドカップが獲得ポイントの対象となるなど、男子とは異なる点がある。またベースボール5は男女混合の競技であることから、男女別ではなく単一のランキングとなっている。

ランキングに掲載されているのは、野球が男子80か国、女子25か国。ソフトボールが女子65か国、男子44か国。ベースボール5が49か国(2023年12月現在)。

男子野球では、大会前年末時点でのランキング上位12位までに入っている国・地域の代表が、WBSCプレミア12の出場権を得る。

2024年よりコナミデジタルエンタテインメントが命名権を取得し、WBSC/KONAMI 世界ランキング英語: WBSC/KONAMI World Rankings)を公式呼称としている[2][3]

歴史 編集

2009年国際野球連盟(IBAF)によって制定された野球のIBAFランキングを前身とし、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)の発足に伴い、2014年7月1日よりWBSCランキングへと移行した。

2016年12月31日には、ソフトボール男女それぞれのランキングが初めて公表された。

2023年1月12日には、ベースボール5のランキングが初めて公表された。

男子野球 編集

2009年にIBAFランキングが制定されて以降、長らくキューバが首位を守っていたが、2013年12月発表のランキングで陥落。代わってアメリカが首位に立つも、2014年11月発表のランキングで日本(侍ジャパン)が初の1位を獲得した。

WBSC世界ランキングへの移行後は年2回ほどのペースで最新のランキングが公表されてきた。2016年12月発表のランキングでは日本が1位を守ったが、2018年9月発表のランキングで4年ぶりに陥落。2017年第4回WBCU-18W杯で優勝したアメリカが首位に浮上した[4]。しかし、2018年U-23W杯での準優勝などにより同年12月発表のランキングで日本が再び首位に返り咲くと、以降は2019年第2回プレミア122021年東京五輪2023年第5回WBC等の主要大会を続けて制覇した日本が首位を守り続けている。

男子野球ランキング上位の変遷
発表日 国数 1位 2位 3位 4位 5位
1 2012年12月31日 73  キューバ 766.02  アメリカ合衆国 733.25  日本 664.42  韓国 518.2  チャイニーズタイペイ 499.79
2 2014年12月31日 73  日本 785.18  アメリカ合衆国 766.02  キューバ 662.98  チャイニーズタイペイ 605.48  オランダ 433.5
3 2016年12月31日 70  日本 5699  アメリカ合衆国 4928  韓国 4849  チャイニーズタイペイ 4261  キューバ 3857
4 2018年9月25日 74  アメリカ合衆国 5515  日本 5245  韓国 4849  キューバ 4395  チャイニーズタイペイ 3165
5 2018年12月17日 76  日本 5796  アメリカ合衆国 5565  韓国 4987  チャイニーズタイペイ 3569  キューバ 3516
6 2019年12月31日 85  日本 6127  アメリカ合衆国 4676  韓国 4622  チャイニーズタイペイ 4352  メキシコ 3375
7 2020年3月18日 86  日本 6167  アメリカ合衆国 4676  韓国 4648  チャイニーズタイペイ 4385  メキシコ 3375
8 2021年6月28日 84  日本 4141  チャイニーズタイペイ 3590  韓国 3452  アメリカ合衆国 3114  メキシコ 2483
9 2021年8月11日 85  日本 4290  韓国 3423  チャイニーズタイペイ 3315  アメリカ合衆国 3077  メキシコ 2270
10 2021年12月31日 85  日本 3752  チャイニーズタイペイ 3321  韓国 3137  メキシコ 2722  アメリカ合衆国 2445
11 2022年12月31日 81  日本 4179  チャイニーズタイペイ 3819  アメリカ合衆国 3449  韓国 3428  メキシコ 2723
12 2023年3月28日 84  日本 5323  アメリカ合衆国 4402  メキシコ 4130  チャイニーズタイペイ 4061  韓国 4049
13 2023年8月15日 80  日本 5274  アメリカ合衆国 4654  メキシコ 4226  韓国 4025  チャイニーズタイペイ 3991
14 2023年10月5日 79  日本 5677  アメリカ合衆国 4492  メキシコ 4390  韓国 4260  チャイニーズタイペイ 4094
15 2023年11月2日 80  日本 5572  メキシコ 4709  アメリカ合衆国 4492  韓国 4186  チャイニーズタイペイ 3974
16 2023年12月18日 80  日本 5797  メキシコ 4764  アメリカ合衆国 4492  韓国 4353  チャイニーズタイペイ 4170
男子野球ランキングの年間獲得ポイント
大会数 親善試合数 1位 2位 3位 4位 5位
2015 13 25  アメリカ合衆国 2486  韓国 2244  日本 1859  キューバ 1640  カナダ 1605
2016 12 4  日本 1146  パナマ 796  韓国 736  オーストラリア 624  メキシコ 612
2017 19 4  アメリカ合衆国 2127  日本 1644  韓国 1204  オランダ 1133  オーストラリア 1015
2018 20 22  日本 1187  チャイニーズタイペイ 1049  韓国 829  メキシコ 780  ドミニカ共和国 693
2019 15 7  日本 2190  チャイニーズタイペイ 1917  韓国 1879  アメリカ合衆国 1597  メキシコ 1304
2020 2 4  ニカラグア 120  キューバ 110  ベネズエラ 100  コロンビア 91  パナマ 81
2021 14 7  ベネズエラ 783  オランダ 751  メキシコ 638  コロンビア 608  ドミニカ共和国 592
2022 19 8  日本 1614  チャイニーズタイペイ 1547  アメリカ合衆国 1544  メキシコ 1331  韓国 1120
2023 21 37  日本 2428  メキシコ 1791  アメリカ合衆国 1735  韓国 1702  ベネズエラ 1485

※大会と親善試合の区分はWBSCでのポイント加算方法に基づく。

加盟国・地域別ランキング 編集

野球 編集

男女の上位20位について記述する。

男子野球ランキング上位20位
(2023年12月31日発表)
順位 変動 チーム ポイント 加盟組織
01     日本 5797 アジア
02     メキシコ 4764 南北アメリカ
03     アメリカ合衆国 4492 南北アメリカ
04     韓国 4353 アジア
05     チャイニーズタイペイ 4170 アジア
06     ベネズエラ 3975 南北アメリカ
07     オランダ 3288 ヨーロッパ
08     キューバ 3121 南北アメリカ
09     ドミニカ共和国 2667 南北アメリカ
10     パナマ 2534 南北アメリカ
11     オーストラリア 2367 オセアニア
12     プエルトリコ 2355 南北アメリカ
13     コロンビア 2105 南北アメリカ
14     イタリア 1939 ヨーロッパ
15     チェコ 1900 ヨーロッパ
16     カナダ 1397 南北アメリカ
17     ドイツ 1223 ヨーロッパ
18     イギリス 1142 ヨーロッパ
19     イスラエル 1086 ヨーロッパ
20     ニカラグア 1021 南北アメリカ
  • 変動は2023年12月18日時点との差
女子野球ランキング上位20位
(2023年12月31日発表)
順位 変動 チーム ポイント 加盟組織
01     日本 0765 アジア
02     チャイニーズタイペイ 0662 アジア
03     ベネズエラ 0581 南北アメリカ
04     アメリカ合衆国 0510 南北アメリカ
05     メキシコ 0496 南北アメリカ
06     プエルトリコ 0490 南北アメリカ
07  1   カナダ 0428 南北アメリカ
08  1   香港 0377 アジア
09  1   キューバ 0350 南北アメリカ
10  1   韓国 0313 アジア
11  2   オーストラリア 0264 オセアニア
12  2   フランス 0180 ヨーロッパ
13  2   フィリピン 0172 アジア
14  2   中国 0151 アジア
15     インド 0130 アジア
16  1   インドネシア 0109 アジア
17  1   パキスタン 0094 アジア
18     ドミニカ共和国 0072 南北アメリカ
19     タイ 0068 アジア
20     チェコ 0056 ヨーロッパ
  • 変動は2023年9月22日時点との差

ソフトボール 編集

男女の上位20位について記述する。

女子ソフトボールランキング上位20位
(2023年12月31日発表)
順位 変動 チーム ポイント
01     アメリカ合衆国 4301
02     日本 2899
03     プエルトリコ 2875
04     チャイニーズタイペイ 2573
05     カナダ 1885
06     イタリア 1816
07     メキシコ 1717
08     オランダ 1602
09     チェコ 1483
10     オーストラリア 1379
11     キューバ 0953
12     スペイン 0950
13     イギリス 0936
14     フィリピン 0868
15     中国 0845
16     ペルー 0827
17     ベネズエラ 0814
18     イスラエル 0725
19     ドイツ 0646
20     フランス 0624
  • 変動は2023年11月10日時点との差
男子ソフトボールランキング上位20位
(2023年12月31日発表)
順位 変動 チーム ポイント
01     オーストラリア 3318
02     日本 3286
03     カナダ 2852
04     アルゼンチン 2835
05     チェコ 2477
06     アメリカ合衆国 1992
07     ベネズエラ 1748
08     ニュージーランド 1643
09     メキシコ 1574
10     キューバ 1203
11     シンガポール 1022
12     チームWBSC[注 1] 0904
13     デンマーク 0802
14     フィリピン 0590
15     イスラエル 0576
16     南アフリカ 0549
17     オランダ 0380
18     クロアチア 0367
19     コロンビア 0325
20     ドミニカ共和国 0321
  • 変動は2023年11月22日時点との差

ベースボール5 編集

上位20位について記述する。

ベースボール5ランキング上位20位
(2023年12月31日発表)
順位 変動 チーム ポイント
01     フランス 3037
02     チャイニーズタイペイ 2775
03     キューバ 2393
04     チュニジア 1995
05     リトアニア 1892
06     日本 1639
07     南アフリカ 1593
08     メキシコ 1560
09     韓国 1442
10     ガーナ 1219
11     イタリア 1194
12     オランダ 1179
13     トルコ 1144
14     ケニア 1046
15     中国 1030
16     ベルギー 0952
17     ルーマニア 0905
17     ベネズエラ 0905
19     チェコ 0885
20     マレーシア 0842
  • 変動は2023年11月16日時点との差

算出方法 編集

WBSCが発表している世界ランキングは、過去4年間に出場したWBSC公認の国際大会の成績から算出される。各国の獲得したポイントを加算してゆき、トータルポイントの多少により格付けされる。国際大会で獲得できるポイントは順位ごとに設定されているが、「大会の格」と「大会出場チームのランキング」によって変動する。また、2013年にIBAFは世界ランキングシステムの拡大と、各国野球連盟が男女ランキングのために獲得できる追加のポイント制度の導入を発表した[7]

2022年12月時点での男子野球のランキングポイント計算方法は以下の通り[8]

大会別獲得ポイント 編集

最高ランク世界大会 編集

大会 最大ポイント 最小ポイント 優勝ボーナスポイント
WBSCプレミア12 1200 120 180
ワールド・ベースボール・クラシック 1000 100 150

世代別ワールドカップ 編集

大会 最大ポイント 最小ポイント 優勝ボーナスポイント
WBSC U-23ワールドカップ 600 60 90
WBSC U-18ワールドカップ 500 50 75
WBSC U-15ワールドカップ 400 40 60
WBSC U-12ワールドカップ 300 30 45

シニア大陸選手権・主要マルチスポーツ大会 編集

基本最大ポイント 最小ポイント
100 - 500 合計最大ポイントの10%

参加チームのランキングによって基本最大ポイントに加算されるチームクオリティボーナスポイントは、以下の通り。

参加チーム 加算ポイント
ランキング12位以上のチーム 1チームごとに50
ランキング24位以上のチーム 1チームごとに25
ランキング36位以上のチーム 1チームごとに10
その他のチーム 1チームごとに5

さらに、参加チーム内のランキング12位以内のチームの数により、以下のトップ12ボーナスポイントが加算される。

ランキング12位以内チーム数 加算ポイント
2 - 3 50
4以上 100

公式大陸・地域大会 編集

基本最大ポイント 最小ポイント
最大100 合計最大ポイントの10%

参加チームのランキングによって基本最大ポイントに加算されるチームクオリティボーナスポイントは、以下の通り。

参加チーム 加算ポイント
ランキング12位以上のチーム 1チームごとに50
ランキング24位以上のチーム 1チームごとに25
ランキング36位以上のチーム 1チームごとに10
その他のチーム 1チームごとに5

マイナーマルチスポーツ大会 編集

基本最大ポイント 最小ポイント
最大50 合計最大ポイントの10%

参加チームのランキングによって基本最大ポイントに加算されるチームクオリティボーナスポイントは、以下の通り。

参加チーム 加算ポイント
ランキング12位以上のチーム 1チームごとに20
ランキング24位以上のチーム 1チームごとに10
ランキング36位以上のチーム 1チームごとに5
その他のチーム 1チームごとに3

また、次の大会は以下のようにポイントを定める。

大会 最大ポイント 最小ポイント
FISUワールドゲームズ 40 4

世代別ワールドカップ予選 編集

大会 最大ポイント 最小ポイント
WBSC U-23ワールドカップ 120 12
WBSC U-18ワールドカップ 100 10
WBSC U-15ワールドカップ 80 8
WBSC U-12ワールドカップ 60 6

親善試合など 編集

対戦相手 基本獲得ポイント ボーナスポイント
ランキング12位以内の相手に勝利 6
ランキング24位以内の相手に勝利 4
ランキング25位以下の相手に勝利 2
10位以上高い相手に勝利 4
5位から9位高い相手に勝利 2

ポイント差の計算 編集

大会の最終順位により各チームが獲得するポイント差は、以下のように求められる。

 

例えばプレミア12の場合、最大ポイントが1200、最小ポイントが120であるから、 がポイント差となる。 これにより、各順位の獲得ポイントは、

順位 獲得ポイント
1位 1200 + 180
2位 1102
3位 1004

のようになる。なお、ポイントの小数点以下は四捨五入し整数とする。

その他 編集

2012年はサンダーシリーズ(台湾vsキューバ)並びに、日本とキューバとの強化試合が、IBAF実行委員により1勝ごとに25ポイントを付与された[9]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ グアテマラオリンピック委員会英語版国際オリンピック委員会(IOC)から資格停止処分を受けていることから、グアテマラの国名・国旗が使用できない状態にある[5][6]

出典 編集

  1. ^ WBCが残した「不公平感」という課題。世界ランク順なら日本も「死の組」避けられず?”. CoCoKARAnext (2023年3月26日). 2023年3月27日閲覧。
  2. ^ Japan finish 2023 on top of WBSC/KONAMI Men's Baseball World Ranking” (英語). World Baseball Softball Confederation (2023年12月18日). 2023年12月20日閲覧。
  3. ^ 「WBSC 世界ランキング」公式呼称の使用について” (PDF). World Baseball Softball Confederation (2023年12月18日). 2023年12月20日閲覧。
  4. ^ “日本は米国に抜かれ世界ランク2位 4年ぶり陥落”. 日刊スポーツ. (2018年2月23日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/201802230000427.html 2018年2月27日閲覧。 
  5. ^ “IOC、グアテマラの委員会に資格停止処分”. Reuters. (2022年10月17日). https://jp.reuters.com/article/olympics-ioc-idJPKBN2RC05S 2023年8月24日閲覧。 
  6. ^ WBSC U-23 Men’s Softball World Cup - Group B Preview” (英語). World Baseball Softball Confederation (2023年4月11日). 2023年8月24日閲覧。
  7. ^ IBAF to provide opportunity for World Ranking points2013年2月19日
  8. ^ MEN’S BASEBALL WORLD RANKING METHODOLOGY” (PDF). World Baseball Softball Confederation (2022年12月19日). 2023年1月12日閲覧。
  9. ^ IBAFが世界ランキング ポイントシステムを拡大へ2013年3月2日

外部リンク 編集