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カレチ』は、池田邦彦による日本漫画作品。講談社の『モーニング2009年14号から2013年31号にかけて不定期に連載されていた。なお、『モーニング』2011年1号より2013年6号までの期間は月に一度のペースでの連載となっていた。「最終章」5話分を除き、一話読み切り形式。

「カレチ」とは、長距離列車に乗務する客扱専務車掌。略称の詳細については車掌#電報略号に詳しい(鉄道業界用語参照)。

当初は昭和40年代後半を舞台に、乗客のために一生懸命になりすぎる国鉄の新米カレチ・荻野を主人公とした一話完結タイプの人情物だったが、話数を重ねるにしたがって年月が進行し、徐々に国鉄の斜陽化が描かれていくようになった。終盤では国鉄分割民営化問題に絡めてさまざまな立場で苦悩する国鉄職員の姿が描かれ、昭和62年(1987年)の国鉄の終焉とJRの発足をもって物語は完結した。

登場人物編集

いわゆるレギュラーは荻野、安斉、栗原、堀之内の4名。

国鉄職員・車掌編集

荻野憲二(おぎの けんじ)
第1話から登場。本作の主人公。国鉄大阪車掌区所属の新米カレチ(客扱専務車掌)。
仕事には一生懸命だが、乗客のことを第一に考えるあまり、時には懲罰覚悟で規則に反した行動に出たり上司と対立することもある。連載初期はお客のために規則を無視することもあったが(その最たるものが単行本では修正された龍谷幸恵のエピソードである)、ベテランになってからは規則を遵守した上で接客をするようになり、そのため初期のエピソードを振り返って「あの時の自分は間違っていた」と言及したこともある。
本人には自覚は無いが、車掌区内では優秀な職員として主に若手後輩に評判が良い模様。
「何かが身につくのは自分で到達できた時だけ、優秀な人にこそより伸びる機会を与えたい」と、後輩への指導はやや厳しくしている。
当初は独身の一人暮らしで、自身が住むアパート(くろがね荘)には電話は引かれていなかった。恋愛にはほとんど無縁で、小田志織(後述)に好意を寄せられ手作り弁当を渡された時も、女心に疎い荻野は弁当は受け取ったものの連絡先はおろか名前すら聞かなかったため、安斉(後述)に呆れられていた。その後、安斉の後押しもあって交際が始まり、昭和50年代前半(第33話時点)に彼女と結婚。
車掌見習いのころ、ワフ21147(第4話)が火災で焼失しかけた際に、小便で消火をしている。
昭和40年頃に普通車掌に登用される。この頃、乗客への親切心から閉扉を遅らせることが多々あり「ミスター・マイペース」とあだ名されていた。
国鉄末期には助役補佐に昇進し、リストラ推進の最前線に立たされる。多くの者から恨みを買いつつもその職務を全うし、国鉄分割民営化直前に国鉄を去った。
安斉正之(あんざい まさゆき?)
第2話から登場。眼鏡をかけた初老のチーフ(レチチ - 車掌長)。荻野が普通車掌時代からの師弟関係で、彼がカレチになってからは同じ列車に乗務することが多く、登場話数も多い。
不正乗車や規則に反した運賃徴収には厳しく、荻野が乗客の主張を信じすぎる点を注意することが時折ある。車掌弁はとにかく引くよう指導している。
世話焼きな性格で、荻野と志織の恋愛成就のため一肌脱いでいる。自称「恋のキューピッド」。
荻野たちの一番の相談相手であったが、国鉄解体の影響で車掌の職を追われてしまう。その後精神を病み、死に場所を求め一昼夜彷徨った後、遮断機の下りた踏切に飛び込んだ子供を救助し、走行してきた国鉄EF65形電気機関車に轢かれて亡くなった。享年53。
なお「グランドステーション〜上野駅鉄道公安室日常〜」の第2巻に大阪車掌区のカレチとして登場している。
堀之内(ほりのうち)
第9話から登場。大阪車掌区の特発車掌[1]。普段は助役等の補佐をしている。
新潟県出身、昭和29年国鉄入社。
嫌味でお調子者な性格に見られることが多い。地獄耳の持ち主で根回しの達人。「つまりすなわち…」が口癖。
営業規則を完璧に熟知してはいるが、車掌として勤務した経験が浅いこともあり、規則一辺倒の旅客対応をすることも多い。
両親は幼いころに病気で他界しており、親類の伯母に育てられた。その伯母の「人の役に立て」という言いつけから、寝台列車に客として乗っていたときに、難産の娘のもとへ向かう老婆に自分の寝台を譲ったこともある。
西鹿児島駅行き列車に乗務した際に食事の支度を忘れ、営業している飲食店を探して鹿児島の町をさまよっていたところ明かりのついていた家をたまたま見つけ、そこで世話になった女性に一目惚れした。後にこの女性と結婚し、国鉄を退職。その後は鹿児島市で妻と喫茶店を営んでいる。
規則一辺倒だったことから、乗客本位の荻野と衝突することも度々あった。しかし次第に荻野のことを理解するようになり、荻野に相談を持ちかけることもあった。
同僚の武勇伝が好きらしく、武藤が濡れ衣(後記)で記録断念したのを残念がったり、栗原の強盗犯逮捕を歓喜したりしていた。
第3巻番外編「荻野さん夢のハネムーン」では、荻野と志織が結婚間近なことを知り「宮崎ハネムーンに行くんじゃないの」と揶揄したために、荻野は「ハネムーン中に堀之内そっくりの人と何度も出会う」という悪夢を見る羽目になった。
田所(たどころ)
荻野の車掌見習い期間中の指導車掌。現在は定年退職している。荻野のことを初めて「車掌」と呼んだ人物。現役時代、戦時中にグラマンF6Fから機銃掃射を受けるも、その際に乗車していた緩急車ワフ21147の車軸の下に隠れたことで九死に一生を得る。それ以来同車両を命の恩人としてとても大切にしていた。ワフが廃車になるときは許可をとって吹田工場まで最後の乗車をした。
村上(むらかみ)
荻野と同じ守口六中出身の、荻野の後輩鉄道員。車掌登用を目指し、荷物列車乗務中。荻野を「荻野兄ィ」と呼び慕う。カレチに昇格することに憧れ、当初は荷物列車の仕事を軽んじていたが、勘違いから荷物を危うく違う駅へ誤配しそうになるという失敗を教訓に大きく成長し、ニレチ(荷扱い専務車掌)になることを決意。それ以来、真面目に仕事に取り組むようになった。しかし、国鉄合理化の流れからニレチへの道を断念せざるを得なくなり、苦悩の末に旅客列車の車掌となる。仕事ぶりは以前のような軽い態度がなくなり優秀でソツもなく、狭き門の新幹線カレチにも若くして昇格する。
田村
村上と同じ列車に乗務するニレチ。村上の優秀さを認めつつも少々いい加減な仕事の仕方に呆れていたが、一人前のニレチになるための極意を教える。その後、村上がニレチ昇格が困難になり悩んでいた際には、心を鬼にして「与えられた仕事を好きになれ」と諭している。定年後は生命保険会社に転職している。
新堂(しんどう)
車掌補。鉄道の知識は豊富だが、口下手で乗客への対応をあまりしたがらなかった。しかし食堂車を楽しみにしていた老夫婦のために、自身の鉄道知識を活かして粋な計らいを思いつき、乗務員や食堂車従業員の協力を得て実現させ、大いに感謝された。それ以来乗客への対応も積極的になり、荻野が「すっかり変わったな」と感心したほどである。その後、合理化で姫路駅勤務となり、仕事への意欲を失いかけていた。駅で運行トラブルが発生した際には持前の知識を活かした解決策を提示し、率先して行動に移すも、当初は理解を得られず、リストラ候補に挙げられてしまう。しかし、臨時列車の車両故障の対応で見せた機転で大きく評価を上げた。
芝崎(しばさき)
鳥取車掌区のカレチ。倉吉線関金駅駅長の甥。地元を大切にしたい一心で倉吉線の行く末に不安を持っている。倉吉線の臨時急行列車に乗務した際には、定期運行に昇格させたいがために乗車人員を水増しして報告しようとした。しかし、自らもかつて水増し報告をした苦い経験を持つ荻野に感づかれ、正確な報告をするよう諭される。
栗原純(くりはら じゅん)
大阪車掌区の後輩カレチ。乗務のための準備には余念が無く、仕事ぶりはまじめ。少々直情的な性格で、荻野の指導の真意を理解できず、ときに反発することもある。第20話において空手三段の実力の持ち主であることが判明した。大学時代の後輩が出版社に勤務しており、国鉄末期には告発記事を書いている。彼は当初、荻野の「国鉄を守る」という意見に賛同したが、不正の片棒を担がされている整備工の話を聞き、後輩に国鉄内部告発のことを書くように勧め、一時的に荻野と衝突した(最終的に荻野は彼の国鉄荒療治改革の話に賛同した)。
国鉄解体時のリストラの嵐も切り抜け、民営化後のJRでもカレチとして勤務している。
宮地崇(みやじ たかし)
昭和44年、荻野が普通車掌だったころの同僚。乗客数が増加の一途をたどる京阪神地区の状況から迅速な扉扱いと定時発車にこだわり、「ミスター・マイペース」こと荻野とは正反対の考え方の持ち主。国鉄103系電車導入当初に多発したオーバーランの原因を知り、大量輸送時代の到来に対する国鉄の認識の甘さに憤り、「このままでは国鉄は滅びる」と危機感を抱く。その後、自分の理想とする鉄道輸送を実現するために邁進し、平成24年現在は「京阪神南紀鉄道」の副社長となっている。
各務(かがみ)
3話に登場。寝台特急あかつきに乗務していた車掌長(チーフ)。乗客のためとはいえ、反対側のホームに停車していた寝台急行桜島に無断で侵入してしまった荻野を厳しく叱るが、「お客さんのためにベストをつくそうとする気持ちは一級品」と評している。1話にも風貌の似た車掌長が登場するが、同一人物かは不明。
赤石(あかいし)
29話に登場。大阪車掌区の新米車掌補。国鉄直営の国鉄志免炭鉱に勤務していたが、配転の斡旋を受けて昭和30年代後半ごろに国鉄の車掌補となり、新堂の指導を受けることとなる。初乗務となる寝台特急あかつき1号の乗務時に、隣のホームの貨車に積まれた石炭に夢中になり、20系客車の全てのドアをホーム側から閉めてしまい[2]、欠乗事故を起こしかけた(荻野のいる車掌室に飛び込んで回避した)。はるかに年下の新堂に対しても常に敬語を使い、仕事振りも真面目であったが、長崎で乗務の合間に炭鉱で働く旧友と飲んだ際に「戻らないか」と言われた上、駅の売店にあった新聞で自分が勤めていた炭鉱の落盤事故のニュースを見つけ、炭鉱に戻ることを決意した。

国鉄職員・他編集

武藤(むとう)
国鉄金沢運転所所属のベテラン運転士お召し列車の運転経験もある「プロ中のプロ」。列車を定時で運転することを何よりも誇りとしている。定時へのこだわりは並々ならぬものがあり、“架線に付着物”を発見して停車したにもかかわらず、駅長から「この駅を停車駅と勘違いしたことの言い訳ではないか」と疑われた際にも、その濡れ衣に対して反論せず、運転再開を優先させた。これに関して荻野に理由を問われたが、「我々の使命は定時」とだけ答えている。この一件で、表彰目前だった無事故記録が途切れてしまった。
生真面目で無愛想だが、荻野の乗客のことを第一に考える気持ちに共感して理解を示す。
中島達夫(なかじま たつお)
宮原機関区機関士。「生涯一機関士でありたい」という思いから指導機関士への昇格を拒否し、自主退職まで考えていた。美津子という名前の妻がいたが、既に他界しているらしい。
焼き鳥屋にて堀之内と荻野の会話に出た「機関士根性」という言葉に立腹したが、その時の堀之内の言葉にヒントを得てわざと列車を遅延させ、指導機関士昇格を潰そうと考えた。しかし、偶然にも同じ列車の乗務となった荻野から説得され考えを改める。その後、指導機関士に昇格したことを荻野に祝ってもらい「こんな若者がいるのなら指導するのも悪かない」と考えるようになった。後に国鉄を退職、荻野は彼の自宅へ駆けつけ、酒を持参してお祝いをした(偶然にも彼と妻の好きな酒であった)。
林田(はやしだ)
東広島駅連結手。クラシック音楽の鑑賞が趣味。連結手としての技術は優れているが、仕事は金のためと割り切っており、東京でのクラシックコンサートに行きたいがために残業には非協力的だった。そのことについて上司から「今の仕事のやり方になんの疑問もないのか?」と問われていた。東京のコンサートへ向かうために乗車した列車に乗務していた荻野から瀬野八瀬野駅 - 八本松駅の急勾配)の補機の開放作業への協力を懇願されしぶしぶ承諾、作業終了後に瀬野駅の職員達から大いに感謝され、初めて仕事の喜びを味わった。後日、荻野と再会した際にはカラヤン指揮のバッハレコードをプレゼントした。
その後、東京の武蔵野操車場へ異動。コンピュータ制御で自動的に仕分けされる貨車の様子を制御盤越しに監視する仕事に就く。徹底的に合理化された作業、煩わしい人付き合いの無い職場、プライベートな時間を満喫できることに当初こそ喜んでいたが、徐々に違和感を抱き始め、国鉄を退職。トラック運転手に転職した。
加藤直吉(かとう なおきち)
中島達夫がまだ岡山機関区に赴任したばかりの新米の機関士だったころ、岡山運輸事務所で運転主任付運転監督をしていた男。運転監督の仕事は機関士の運転を監督することだが、加藤は「サプライズテスト」と称して機関士のミスを誘うような罠を仕込んで添乗していた。そのため、大抵の機関士はこの罠に嵌って機関助士に降格させられてしまい、殆どの者は処分に納得がいかず辞職していた。そして中島も後にその罠に嵌められてしまい、恨みを抱いた彼に木の棒で叩きのめされた(その後、中島は降格の悔しさをばねに必死に努力し、3年後には機関士に返り咲く)。中島をはじめ、多くの国鉄職員は彼を酷く憎んだが、彼は自分の仕事を自分の信じるがままにやっただけであった。後に胃ガンが原因で死去するが、中島は彼の死後、その本心を理解することになる。
益岡達朗(ますおか たつろう)
27話に登場。本社採用で国鉄米子鉄道管理局に赴任してきた、荻野の後輩。中学校時代は卓球部で荻野と共に活躍していた。
現場研修のため、山陰本線御来屋駅助役代行を務めるが、良かれと思って行った行動について駅長の権藤から度々鉄拳指導を受ける。当初はその理不尽な仕打ちに反発し、駅長の更迭を目論んで内部告発をしようとまで考えた。しかし、駅長が殉職した後、彼の一見すると規則違反に思える様々な行動やなぜ自分が鉄拳指導を受けたのかについて、真意を理解することになる。配属当初は現場を早く去り本社で働きたいと考えていたが思い直し、研修後も現場で働き続けることを決意した。
師岡(もろおか)
34話に登場。新潟電力区柏崎配電分区電力工手。感電しにくいと言う理由から金属製ではなく、竹製のハシゴを使用している。虫食いの検査も抜かりない。
青海川駅近くの引留碍子の修理中に風にあおられて転落。接近してきた特急北越との接触は免れたが、腰の骨を折ってしまった。入院先の病院で息子から443系架線検測車の導入とそれに伴う電力工手の消滅を聞かされ激怒。3ヶ月後、退院と同時に職場に復帰した。しかし復帰後、架線の修理中にハシゴが折れてしまい、架線にぶら下がった状態になる。どうしようもなくなった彼はまたも転落。今度は右足を折ってしまった。
二度目の退院後またもすぐに職場復帰し、非番であるにもかかわらず「仕事が無くなるのが名残惜しい」と言う理由で出勤したが、作業中に落雷に巻き込まれ殉職した。
師岡の息子(もろおかのむすこ)
34話に登場。新潟鉄道管理局の施設部次長。心臓の弱い母親が早死したのは危険な仕事を続ける父親が心配をかけ続けたせいだと思っており、父親への辞職勧告から一転、電力工手という職業自体を潰すという考えに気持ちが変わっていった。父親の死から2日後に行われた架線検測車の説明会では、説明係を担当している。
京極(きょうごく)
35話に登場。金沢運転所のベテラン検査長。完璧な検査を信条としており、武藤にも認められるほどの凄腕であった。
しかし、新しく就任した所長が合理化を推進したため、これまで通りの完璧な検査ができなくなった。憤りを感じていたところに「京阪神南紀鉄道」からの引き抜きを受け、転職を決意。武藤も連れて行こうとしたがつっぱねられたため、武藤の担当する列車を完璧に検査し、武藤を誘い込もうと企む。しかしあえなく失敗し、単身で転職。現在は地方私鉄に勤務している。
篠田(しのだ)
38・39話に登場。検査係で、荻野・栗原が特急列車で乗務していたときに一緒に乗務、荻野に頼まれて冷水器を修理した。
栗原は「愛想の無い男だ」と思ったが、荻野に「冷水器の清掃までしてくれたから」とたしなめられる。
篠田はこの乗務を含めて、上司による水増しカラ出張の片棒を担がされており、腐り切っていた。荻野は彼と国鉄を守るため「これ以上の追及は無用」と栗原を諭すが、不満な栗原と後輩の雑誌記者は(運転所長が諸般の事情から納得する対応を得られなかった)彼を誘発して、カラ出張問題が告発されることになった。
岩崎(いわさき)
18・41話に登場。保線係の作業長、線路補修のプロ。栗原が自らの保身から発した虚言に振り回されたが、それを陳謝しに来た栗原に対して厳しくは責めず、仲間意識を高める様に諭した。
国鉄のリストラで、駅そばの店員に配置換えされた。荻野にリストラ職員の「草刈り作業」について相談され、その意義を教えた上で荻野に売り物である駅そばをおごった。
向田(むこうだ)
36話に登場。荻野が新潟県新発田市東公園に保存されているD51 512を見に来て出会った元機関士。国鉄入社当初、家族の口減らしだったきっかけと仕事の辛さで腐っていた。
だが、先輩機関士・佐野の「神業」を観てそれを学ぼうとするが、佐野は兵役が近いことも有りあり「教える時間がない」と断られた。代わりに佐野の同期・木下を焚きつけて「神業」を盗み取ることに成功した。
先輩機関士が続々徴兵されて行ったため18歳にして機関士を拝命。「神業」を実践しようとするが、戦時下で機関車もろくに整備されていなかったためボイラーが爆発、試みは失敗した。
その後従軍して復員するが、先輩機関士の帰還で国鉄に再就職出来ず、違う職業に就いた。しかしながら今でも鉄道に対する愛着は強い。
志木(しき)
40話〜42話に登場。国鉄労働組合の支部長で、安斉とともに「草刈り作業」のリストラに廻された。
「国鉄上層部は境遇を変えるつもりがないから」と安斉を反乱(?)に焚きつけようとするが、安斉の死を知り同じくリストラされた組合員と共に(安斉が自殺したと思い)、自分が安斉を追い詰めたのではないかと責任を感じていた。
当初、助役補佐(管理者側)である荻野に対して「上層部の犬」とみなして反感を持っていたが、安斉の死をきっかけに荻野の「職人としての責務」に態度を軟化させた。そして、これまでの考えを修正することとなる。

その他編集

山本宣夫
第1話に登場。「京阪神南紀鉄道」運輸部長。一見強面で言葉遣いも悪い。
社員旅行の車中、荻野がある事情を抱えた女性客を乗車予定の弥彦線の列車に乗り換えさせてあげたいがために、乗り換え駅の東三条駅での乗り継ぎ客を水増し報告していたことに気づき、自分たち一行がその乗り継ぎ客だと嘘の申し出を行い、荻野を処分の危機から救った。荻野を気に入り「クビになったら自分の会社に来い」と言い残す。
龍谷幸恵
大阪市交通局トロリーバスの車掌。新人車掌時代の荻野がよく利用しており、車掌研修がうまくいかず悩んでいた彼を励ましていた。
彼女も鉄道の車掌に憧れていたものの、当時女性は車掌になれなかったため[3]、トロリーバスの車掌となった。だが、そのトロリーバスも廃止となり、車掌を辞めざるを得なくなる。
それから10年後、大阪駅でカレチとなった荻野と再会。大阪府議会女性参画室に勤め、男女雇用機会均等の実現を目指し努力している。
なお、彼女の登場するエピソードの終盤の展開[4]は、雑誌掲載時に賛否両論を巻き起こしたため、単行本では筋書きが変更されている[5]
山岡武雄(やまおか たけお)
関金駅前商店会の商店会長。大阪からの臨時直通急行「いなば55号」が運行される際に「昭和33年天神祭のような活気を取り戻そう」と関金駅長と共に町を回って営業した。
急行が関金駅に到着した際、芝崎から「(定期化の目安となる)『乗車率50%の壁』を突破した」との知らせを聞いて大喜びしたが、後にそれは水増しだったことが判明し、ぬか喜びに終わった。水増しを修正しようとする荻野に対して芝崎とともに文句を言うが、駅長に窘められて「もう一度、急行の臨時直通請願に挑戦する」と態度を変えた。
小田志織(おだ しおり)→荻野志織(おぎの しおり)
向日町運転所寝台車の解体作業をする業者の社員として働く女性。車内の遺留品捜索で、その真摯な対応から荻野に好意を抱くようになる。
その後、安斉のはからいもあり荻野と交際を始め、昭和50年代(第33話時点)に結婚。堀之内がのちに妻となる女性に恋愛感情を持ったときはアドバイスをしている。
河野みどり(かわの みどり)
1巻の読切短編「RAIL GIRL〜三河の花〜」と、1・2・4巻巻末の番外編「みどりの昭和の鉄道たんけん」に登場。
小学4年生で、飯田線の三河花咲(みかわはなさく)駅[6]に隣接した簡易委託駅である家の娘。父親は国鉄職員だったが早くに死去、母親は商店経営で駅の業務を受託している。大雨による土砂崩壊の際に豊橋駅行きのモハ52形列車に停止合図を出し、のちに国鉄から表彰された。
「鉄道たんけん」においては、1巻でラジカセカセットテープを、2巻でカメラフィルムを入れ忘れており、ややいい加減な面も見受けられる。
奈々子(ななこ)
28話と4巻巻末の番外編「みどりの昭和の鉄道たんけん」に登場。9月8日生まれの小学4年生。28話では東京駅ホームで知恵の輪に夢中になり線路に転落、荻野に保護される。
父親は荻野と同じく国鉄のカレチで、仕事が忙しく日頃構ってもらえないことに不満を抱いていた。しかし、荻野とともに上野動物園こだま号が展示してある交通博物館に行き、荻野の言葉を聞くうちに父の仕事の大切さに気付く。
「みどりの昭和の鉄道たんけん」では4巻で飛び入り参加、みどりにライバル意識を燃やすも、クイズに同時正解したことがきっかけでなかよしになった。

RAIL GIRL〜三河の花〜編集

愛知県東部のとある駅の管理を行う商店主の娘・河野みどりとその鉄道沿線にまつわる物語。

河野みどり(かわの みどり)
#その他参照
みどりの母親
駅の委託業務を行う商点主。未亡人で、女手一つでみどりを育てる。
鉄道員の恋人がいて、みどりは最初嫉妬を帯びた(ように見えた)感情を持っていてそれを見た母が別れを切り出そうとする。
だが、実際は駅に出入りする人々を世話する母に嫉妬していたことがわかり、みどりの後押しも有りその恋人と復縁する。
行き倒れた昌男に代わって列車に停車合図をしに行くように命令し、尻込みするみどりに平手打ちをして「駅の人」としての責務として行かせるほど、駅を預かる姿勢には真摯さが見受けられる。
渡辺 昌男(わたなべ まさお)
みどりの学校に転入してきた男子。鉄道好きで同級生・野口から(みどりが)委託駅の娘であることを知り、みどりの家へ遊びに来るようになった。
当初、みどりは彼に親しくしていたが、彼の興味はあくまでみどりの住む駅に向いており、加えて彼女の母と親しくなったことから、みどりは嫉妬から疎ましくなり避けるようになる。
線路上で土砂崩れが発生した現場を目にして、倒れそうになりながらもみどり母子のもとへ駆けつけた。みどりの母が彼を病院へ連れて行く代わりに、みどりが災害による事故防止のための停止合図をすることになった。
それ以降みどりの嫉妬感は消え去り、再びみどりの家(駅)へ遊びに行けるようになった。
みどりのクラスではモテる方である。
野口(のぐち)
みどりの同級生で喧嘩仲間。だが、本心はみどりのことを慕っている。いわゆるツンデレ
雨傘を忘れたみどりに傘を貸そうとして、みどりに相合傘を提案される。それがきっかけとなり、みどりとの距離が縮まった。相合傘を提案したみどりが初めて自分の家庭事情を相談された相手。
実家の家業は農家だが、自分が坊主頭の風体と粋がっているところから花を育てる農家であることは隠していた。みどりに思わずそれを告白すると、「かっこいい」といわれ、照れ顔で「駅の娘もいいもんだ」と返した。
みどりの表彰記念パーティーには昌男とともに招待された。
先生
みどりのクラス担任。みどりが書いた宿題の作文が良い出来だったことから読ませることにした(帰宅途中、みどりは野口に作文の矛盾点を指摘された)。

『カレチ』初期と同じぐらいの時代を背景とする鉄道公安室の話「グランドステーション」を参考までに記載。こちらも『モーニング』で連載された。

グランドステーション〜上野駅鉄道公安室日常〜編集

第一巻978-4-06-388594-1 2016年04月22日 『モーニング』2015年48号、2016年1号、7号、11号、15号
第二巻978-4-06-388652-8 2016年10月21日 『モーニング』2016年19号、28号、32号、36・37合併号、41号
昭和40年代初頭、上野駅で鉄道、駅、そして乗降客などの安全を守った「鉄道のおまわりさん」の物語。
樋口耕平(ひぐち こうへい)
国鉄に入社して5年、24歳の時に上野駅鉄道公安室に配属された新人公安職員(いわゆる 鉄道公安職員)。
幼いころに両親に先立たれ、浮浪児となるが彼を知る上司の師岡による後押しで国鉄に入社、鉄道公安官となった。
父が食料横流しに加担したことから、正義感から師岡に密告したため父は国鉄を免職となり夭折。
のちに父にあっせんした男から「家族で食べられるだけの白米しか見返りをとらなかった」と言われて戸惑い国鉄を退職しようとするが、師岡に「君は生まれながらの鉄道公安官である」と言われ、思いとどまった。
師岡勇三(もろおか ゆうぞう)
耕平の上司(指導役で相棒)、勤続20年のベテランらしいが見た目は頼りない。
幼き日の耕平を知っていて、行く末を憂いて国鉄入社の後押しをしたことから、彼が指導役となった。
彼は耕平を「正義の人」と見るが、耕平の正義が暴走しないか心配している。
耕平と親しくなった路子に、耕平の話をして「実は彼を心配している」と話した。
藤田路子(ふじた みちこ)
耕平と初めて会ったときは大学生で、日本中の鉄道路線を乗りとおすのが目標な鉄道マニア。
きっかけは師岡がちょっとしたことで助けたことから恩義に感じて時折、旅の土産を携えては師岡を訪問することがあった。
上野駅で耕平が見かけ、面倒を見た「啄木族」な痴呆症の老女を耕平が何とかしてあげたいと鉄道知識のある彼女に相談する。彼女は耕平のいう「朝礼台」のキーワードから北海道のとあるローカル線沿線出身であることが判明。
啄木族の老婆がきっかけとなり、耕平の鉄道がらみのお節介に彼女が協力することになった。
清水優作(しみず ゆうさく)
師岡の元上司。師岡の行動に対して苦言を呈することが多い。
耕平に対して助言することもある。

書誌情報編集

脚注編集

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  1. ^ 勤務中の車掌に不測の事態が発生した場合、その代わりに列車に乗務する職員。
  2. ^ 20系客車のドアの開閉は手動で行い、車掌室から一斉に解錠・施錠を行う仕組みとなっている。
  3. ^ 女性車掌の登用が本格化したのは21世紀に入ってからである。
  4. ^ 荻野が初乗車の時に彼女をこっそり車掌室に乗せ、出発合図をさせる。
  5. ^ 車掌帽を渡された彼女が「車掌ならば絶対にこんなことをしてはいけない」と諭し、荻野が反省する。
  6. ^ 架空の駅。

関連項目編集

  • 甲組の徹 - 作者が同出版社で連載している鉄道漫画。昭和16年に国鉄に就職して庫内手から機関助士、機関士を目指した鉄道員の物語。

外部リンク編集