デスメタル

音楽のジャンル
デス・メタルから転送)

デスメタル (Death Metal) は、ヘヴィメタルジャンルの一種。

デスメタル
Death Metal
様式的起源 スラッシュメタル
ブラックメタル
ハードコア・パンク
文化的起源 1980年代後半のアメリカ合衆国フロリダ州タンパ
使用楽器 ボーカル
ギター
ベース
ドラム
派生ジャンル メタルコア
デスコア
サブジャンル
メロディックデスメタル
デスラッシュ
ブルータル・デスメタル
テクニカルデスメタル
地域的なスタイル
スウェディッシュ・デスメタル
ローカルシーン
アメリカ合衆国
スウェーデン
イギリス
ブラジル
日本
ポーランド
関連項目
グラインドコア
ハードコア・パンク
デスヴォイス
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概要

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現在は特定の音楽性を指した言葉として定着しているが、そもそもは死体地獄などが歌詞のテーマとして多く出てくるスラッシュメタルバンドを形容した呼称であった。「アグレッシブでよりエクストリームなスラッシュメタル」と表現されることのある音楽を展開したバンド、デスが元祖デスメタルと呼ばれるのには、このような理由がある。ルーツとしては、スラッシュメタルから派生していると言われている。

古くはナパーム・デス、近年ではナザムを筆頭とするグラインドコアはデスメタルと音楽的に近い関係にあるが、こちらはハードコア・パンクのサブジャンルであるため、破滅的ではなく社会への不満などをテーマに置いている点で異なる。ただし、ゴアグラインドは、テーマの点においても(やや指向が異なるものの)デスメタルと似通っている事が多い。アット・ザ・ゲイツカーカスディスメンバーなどはいち早くデスメタルに叙情的なメロディを持ち込み、「メロディックデスメタル」と呼ばれるスタイルを開拓した。また、1990年代後半以降アメリカに出現したダイイング・フィータス、ディーズ・オブ・フレッシュなどの複雑かつキャッチーな音像を特徴とするデスメタルは「ニュースクール」と呼ばれる。これに対して、モービッド・エンジェルディーサイドなどの古くから活動しているバンドは「オールドスクール」と呼ばれる。

特徴

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主なデスメタルの特徴としては、以下のような傾向が挙げられる(ただしどの項目にも多数の例外があり、一概には言えない)

  • ダウンチューニングを施したギターベース
  • 半音階で構成された和音コード進行の多用。展開形やテンションコードの前衛的な利用。
  • テンポの急激な変化、手数の多いドラム、複雑なギターリフ
  • 複雑なリズム展開、曲展開(一般的な、ヴァース→コーラス→ヴァース……の展開に従わない)
  • 高速のスラッシュビート、ブラストビートなどの特殊なドラムパターンの多用
  • デスヴォイスの使用(メロディを廃し、うなり叫ぶ歌唱法)
  • 歌詞のテーマは主に、死、殺人、反宗教、異教信仰、性的倒錯、社会批判、苦痛、など。

デスメタルでは各パートが一体となって形成するリフとリズムが特に重要な役割をもつ。

最も主張の強いパートはギターの場合が多い。スラッシュメタルのようにリズムを刻むリフも多くあるが、蠢くような高速の単音リフや不気味なコードワークをジャンル固有の特徴としている。単音を左右で2本重ねてコードを作るパターンを多く用いるため、ツインギター/ツインリード編成のバンドが非常に多い。生粋のデスメタルにおいてはメロディアスといえるほどに流麗なギターリフは少ないが、独自の雰囲気を持ったリードを執ることが多い。また、モービッド・エンジェルオビチュアリーなどギターソロに独自のメロディを盛り込んで個性を持たせているバンドも数多くいる。

ベースはギターの低音域を支えるだけの単純で目立たないものも多いが、カンニバル・コープスのようにテクニカルに動き回るベースリフを入れたり、ツインギターにあわせて高音を弾いてトリプルリードのような進行を作ったりするなど、幅広く用いられている。

ヴォーカルは他の音楽ジャンルと異なり、メロディをほとんどもたず、『歌詞をともなったリズム楽器』としての役割が強い。叫ぶといってもスタイルは様々で、太い低音、掠れた低音、中音域の絶叫、嗚咽のような咆哮、ゴロゴロとした超低音(グロウル/ガテラルなどと呼ばれる)など多岐に渡る。

またそれら全てを支えるドラムは特に重要な役割をもつパートで、ドラマーの個性と音作りが曲の雰囲気を左右する事もある。デスメタル特有のギターリフは単体では決まったリズムを持たない場合が多く、そういったリフはドラムが全てを牽引することになるためである。メタルシーンにおいて著名な高いテクニックを持つドラマーは、前述のバンドメンバーを含めこのジャンルにも数多く存在している。

初期のデスメタル、特にアメリカのものは、ルーツであるスラッシュメタルの影響が大きかった。また、グラインドコアとデスメタルは、互いに影響を与えつつ発展して来たジャンルだが、最近は特にグラインドコア寄りのアプローチを示すバンドも多く、厳密に両者の区別をつけるのは難しい。グラインドコア、ファストコアに比べれば体感速度は劣るが、デスメタルのドラムプレイは他のエクストリーム・ミュージックと比べてもBPMが高いものが多い。

歴史

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1980年代

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デスメタルは1980年代後半頃、スラッシュメタルの影響下に生まれた。中でもカリフォルニアポゼストは、デスメタルの成立に大きな影響をあたえている。テクニカルで複雑な展開や悪魔的な歌詞は、後にデスメタルと呼ばれる音楽の原点になっている。ポゼストの1stアルバムには、「Death Metal」というタイトルの曲も入っている。スラッシュメタルとデスメタルの架け橋となったバンドは他に、セルティック・フロストスローターマスターなどがいる。また、デスメタルと直接の関係は無いものの、ソドムスレイヤーもデスメタルのルーツとして挙げることができる。

1980年代後半に入ると、アメリカフロリダ州タンパを中心にデスオビチュアリーなど、第一世代のデスメタルバンドが続々と出現する。この頃のデスメタルは、デスヴォイスが既に使われているものの、まだスラッシュメタルの延長線上にあり、「スラッシュメタルと呼ぶ方が妥当だ」と感じる人もいた[要出典]。また、最初期のデスメタルはハードコア色の強いスラッシュメタルが多かったが、この時期になるとデスメタルの独自のサウンドが確立されるようになる。

日本ではHellchildがスラッシュメタルのサウンドで活動していたが、Deathからの影響を受け徐々にデスメタルへと移行[1]。同時期に活動していたグラインドコアバンドMULTIPLEXと共に、当時の日本のデスメタル/グラインドコアシーンを作り上げていく存在となる。他にもVoidd、BELETH、NECROPHILEなどのバンドが存在した。

1990年代前半

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1980年代の終わりから1990年代の初め、デスオビチュアリーモービッド・エンジェルはアンダーグラウンドで人気を高めてゆき、デスメタルは一種のブームになる。この時期のアルバムには、アメリカフロリダ州タンパにあるレコーディングスタジオ「モリサウンド」で録音された物が多く、フロリダはUSデスメタル・シーンの中心だった。また、ジャケットのアートワークの多くは、新進気鋭のダン・シーグレイヴがつとめていた。スコット・バーンズも、数々のデスメタルバンドのプロデュースを手掛けたことでシーンの有名人物だった。これらはこの時代のデスメタルのシンボルだとも言える。

前述のバンドに加え、ディーサイドカンニバル・コープスなどはアンダーグラウンドに留まらない商業的成功を収める。サンライト・スタジオのあったスウェーデンもデスメタルの人気が高く、エントゥームドディスメンバーが代表的なバンドに挙げられる。ただし、その後のスウェーデンのシーンはイエテボリメロディックデスメタルが中核を担うようになり、純粋なデスメタルは衰退の道をたどる。ヨーロッパのデスメタルは全体的に見て、アメリカよりもディスチャージセルティック・フロストの影響が強い。1990年代中頃になると、大手のレコード会社(特にロードランナー・レコード)がデスメタルバンドとの契約を取らないようになり、デスメタルのブームは収束の方向に向かう。

この時期はデスメタルの一般的なスタイルが定着すると共に、デスメタルのスタイルの分化も認められる。デスは4thアルバム『ヒューマン-Human』以降、変拍子や複雑なリフを主体とした曲を書くようになるが、このスタイルは一般的にテクニカルデスメタルもしくはプログレッシヴデスメタルと呼ばれている。ジャズフュージョンの要素を取り入れたエイシストシニックもこのジャンルに入る。また、オートプシーはスロウパートの多さが特徴のドゥーミーなデスメタルを展開した。サフォケイションクリプトプシーフロリダのデスメタルより複雑なリフを特徴とし、1990年代後半のアメリカのシーンに大きな影響力を持つことになる。

1990年代後半

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1990年代後半のシーンは、1990年代前半と比べて全体的にアンダーグラウンドの役割が大きい。アメリカでは、ブラストビートを主軸とし、次々とリフを変える複雑な演奏を特徴とするバンドが多く現れた[注 1]。また、ファストパートからグルーヴィなミドルパートになだれ込む、ビートダウンも多くのバンドが使うようになる。サフォケイションなどは早くからビートダウンを使っていたが、1990年代後半に入りダイイング・フィータスディバウメントのように影響力のあるバンドがビートダウンを取り入れたことで、多くのバンドが曲中にビートダウンを入れるようになった。

独自のスタイルが確立されたテキサスニューヨークでは、多くのデスメタルバンドが誕生した。日本ではDEFILED、VOMIT REMNANTSらが活躍した[2]

2000年代後半

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2000年代に入ってからは、アメリカ以外の国でもこれらニュースクールのバンドが出現し、今では主流のサウンドになっている。アメリカ以外では、ブラジルインドネシアコロンビアのバンドが独特のサウンドを持っている事で有名である。また、ポーランドも多くのデスメタルバンドを輩出している。日本ではGOREVENTやINFERNAL REVULSION、INFECTED MALIGNITY、WOUNDEEP、DISCONFORMITYなどが誕生してシーンを盛り上げている[2]

扱うレーベル

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主なバンド一覧

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メロディックデスメタルのバンドは別項にて記載。詳しくはメロディックデスメタルのページへ

アメリカ

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カナダ

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メキシコ

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ブラジル

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ウルグアイ

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コロンビア

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チリ

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イギリス

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ドイツ

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フランス

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ベルギー

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イタリア

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スウェーデン

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ノルウェー

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フィンランド

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デンマーク

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ニュージーランド

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オーストラリア

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オーストリア

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オランダ

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スペイン

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ポルトガル

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ロシア

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ウクライナ

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ポーランド

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チェコ

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スロバキア

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ブルガリア

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ギリシア

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日本

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関連ジャンル

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関連項目

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脚注

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注釈

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出典

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出典

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  • McIver, Joel (2000). Extreme Metal. Omnibus Press. ISBN 88-7333-005-3 
  • Christe, Ian (2003). Sound of the Beast: The Complete Headbanging History of Heavy Metal. HarperCollins. ISBN 978-0-380-81127-4 
  • Ekeroth, Daniel (2008). Swedish Death Metal. Bazillion Points. ISBN 978-0-9796163-1-0 
  • Kahn-Harris, Keith (2007). Extreme Metal: Music and Culture 

外部リンク

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  •   ウィキメディア・コモンズには、Death metalに関するカテゴリがあります。