プリーズ・プリーズ・ミー (アルバム)
『プリーズ・プリーズ・ミー』(Please Please Me[注釈 1])は、ビートルズ初のイギリス盤公式オリジナル・アルバム。1963年3月22日にモノラル盤、4月26日にステレオ盤がそれぞれ発売された。
『プリーズ・プリーズ・ミー』 | |||||
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ビートルズ の スタジオ・アルバム | |||||
リリース | |||||
録音 |
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ジャンル | |||||
時間 | |||||
レーベル | パーロフォン | ||||
プロデュース | ジョージ・マーティン | ||||
専門評論家によるレビュー | |||||
チャート最高順位 | |||||
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ゴールドディスク | |||||
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ビートルズ U.K. 年表 | |||||
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ビートルズ 日本 年表 | |||||
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『プリーズ・プリーズ・ミー』収録のシングル | |||||
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『ステレオ! これがビートルズ Vol.1』 | |||||
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ビートルズ の コンピレーション・アルバム | |||||
リリース | |||||
録音 | 1962年9月1日、11月26日、1963年2月11日、20日 | ||||
ジャンル | |||||
レーベル | オデオン / 東芝音楽工業 | ||||
プロデュース | ジョージ・マーティン | ||||
ビートルズ 日本 年表 | |||||
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全14曲のうち、シングルとして既に発売されていた4曲を除く10曲が1963年2月11日に録音されるなど短期間で制作されたアルバムで、発売から6週目の全英アルバムチャートで最高位1位を獲得。その後次作『ウィズ・ザ・ビートルズ』が第1位を獲得するまで30週連続で1位を保った[6]。
制作
編集本アルバムは、2作目のシングル『プリーズ・プリーズ・ミー』(1963年1月11日発売)のヒットを受けて急遽制作されることとなった。当初はキャヴァーン・クラブで観客を前にした録音が計画されたが、キャヴァーン・クラブが音を録音する環境として適切でなかったので、EMIレコーディング・スタジオにてスタジオ・ライヴ形式での録音が行なわれた[7]。録音作業は、午前と午後の2回で予定され、後から夕方からのセッションが追加された[8]。
1963年2月11日の午前10時にスタジオに入ったビートルズとプロデューサーのジョージ・マーティンは、約3時間の作業を3回繰り返し、10時間弱でシングルで既に発表されていた4曲を除く10曲を録音、1日でアルバムを完成させた。時間と予算が限られていたことから、ほとんどの曲は原則一発録り[注釈 2]で制作された。また、収録曲14曲中6曲は、当時のビートルズが好んで演奏していたアメリカのR&B、ロックンロールなどのカヴァー曲で占められている。「ホールド・ミー・タイト」もこの時録音されたが、次のアルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』に収録された[9]。録音当日、ジョン・レノンは風邪をひいており、その影響でヴォーカルがやや鼻声になっている。ジョージ・マーティンはジョンの体調を考慮し、「ツイスト・アンド・シャウト」をセッションの最後に2テイク録音し、第1テイクを採用した。解散後にジョンは『ビートルズの(当時の)ライヴ感の生々しさを出しているという点では、このアルバムが一番近い』と発言している。なお、2月20日にマーティンによって「ベイビー・イッツ・ユー」にセレスタ、「ミズリー」にピアノがオーバー・ダビングされているが、このセッションにビートルズは関与していない[10]。
アルバム名が決定するまで、マーティンは「Off the Beatle Track」とすることを考えていた。このタイトルは、1964年にマーティンが発売したオーケストラのアルバムに使用された[11]。
アートワーク
編集ロンドン動物学会の名誉フェローだったジョージ・マーティンは、ロンドン動物園の昆虫コーナーの外でビートルズのメンバーにポーズをとらせた写真をジャケットに用いることを考案した。しかし、この提案は却下され、写真家のアンガス・マクビーンにマンチェスター・スクエアにあるEMI本社の吹き抜けからメンバーが見下ろしている写真を撮影するように依頼された[11]。発売から7年後の1969年に同じ場所、同じ構図で撮影された写真が未発表アルバム『Get Back』[注釈 3]に使用される予定となっていた。1963年と1969年に撮影された写真は、それぞれ1963年に発売されたEP『ビートルズ No.1』、1973年に発売された『ザ・ビートルズ1962年〜1966年』『ザ・ビートルズ1967年〜1970年』に使用された。
発売
編集1963年当時の慣習でモノラル盤は3月22日、ステレオ盤は4月26日に発売された。モノラル盤とステレオ盤の発売日が異なっているのはビートルズのアルバムでは唯一の事例である。録音は実質1日、既発曲の4曲を含めても計3日間という極端な短期間で制作されたが、同アルバムは発売と当時に大ヒットし、イギリスのメロディ・メーカー誌上で第1位を30週連続記録した[12]。また本作に代わって第1位を奪取したのは次作アルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』だった。
CDは1987年2月26日にモノラル盤のみで発売され、ステレオ盤CDは2009年9月9日に発売された。ステレオ・バージョンが存在しない「ラヴ・ミー・ドゥ」と「P.S.アイ・ラヴ・ユー」の2曲は、当初は疑似ステレオ・バージョンでLP盤に収録されていたが、CDにはモノラル・バージョンのままで収録されている。
日本では「来日記念盤」という形で、曲順とジャケット・デザインを変えて、写真集を付けた形で『ステレオ! これがビートルズ Vol.1』のタイトルで1966年に発売。イギリス盤と同じ曲順とデザインで発売されたのは10年後の1976年6月だった。アメリカではCDが発売される1987年まで発売されず、一部の楽曲をカットした編集盤が1964年にヴィージェイ・レコードから『Introducing... The Beatles』 のタイトルで、1965年にキャピトル・レコードから『ジ・アーリー・ビートルズ』と題されて発売された。
評価
編集現在も名盤と評価され『ローリング・ストーン』・「オールタイム・ベスト・アルバム500」において39位[13]、「オールタイム・ベスト・デビュー・アルバム100」において第17位を記録。
収録曲
編集- 邦題の表記は、日本公式サイトに準拠[14]。
- 特記を除き、作詞作曲はマッカートニー=レノンによるもの。
# | タイトル | 作詞・作曲 | リード・ボーカル | 時間 |
---|---|---|---|---|
1. | 「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」(I Saw Her Standing There) | ポール・マッカートニー | ||
2. | 「ミズリー」(Misery) |
| ||
3. | 「アンナ」(Anna (Go To Him)) | アーサー・アレキサンダー | ジョン・レノン | |
4. | 「チェインズ」(Chains) | ジョージ・ハリスン | ||
5. | 「ボーイズ」(Boys) | リンゴ・スター | ||
6. | 「アスク・ミー・ホワイ」(Ask Me Why) | ジョン・レノン | ||
7. | 「プリーズ・プリーズ・ミー」(Please Please Me) |
| ||
合計時間: |
# | タイトル | 作詞・作曲 | リード・ボーカル | 時間 |
---|---|---|---|---|
1. | 「ラヴ・ミー・ドゥ」(Love Me Do) |
| ||
2. | 「P.S.アイ・ラヴ・ユー」(P.S. I Love You) | ポール・マッカートニー | ||
3. | 「ベイビー・イッツ・ユー」(Baby It's You) | ジョン・レノン | ||
4. | 「ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット」(Do You Want To Know A Secret) | ジョージ・ハリスン | ||
5. | 「蜜の味」(A Taste Of Honey) | ポール・マッカートニー | ||
6. | 「ゼアズ・ア・プレイス」(There's A Place) |
| ||
7. | 「ツイスト・アンド・シャウト」(Twist And Shout) | ジョン・レノン | ||
合計時間: |
# | タイトル | 作詞・作曲 | リード・ボーカル | 時間 |
---|---|---|---|---|
1. | 「プリーズ・プリーズ・ミー」(Please Please Me) |
| ||
2. | 「アンナ」(Anna (Go To Him)) | アーサー・アレキサンダー | ジョン・レノン | |
3. | 「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」(I Saw Her Standing There) | ポール・マッカートニー | ||
4. | 「ボーイズ」(Boys) |
| リンゴ・スター | |
5. | 「ミズリー」(Misery) |
| ||
6. | 「チェインズ」(Chains) |
| ジョージ・ハリスン | |
7. | 「アスク・ミー・ホワイ」(Ask Me Why) | ジョン・レノン | ||
合計時間: |
# | タイトル | 作詞・作曲 | リード・ボーカル | 時間 |
---|---|---|---|---|
1. | 「ツイスト・アンド・シャウト」(Twist And Shout) |
| ジョン・レノン | |
2. | 「蜜の味」(A Taste Of Honey) |
| ポール・マッカートニー | |
3. | 「ラヴ・ミー・ドゥ」(Love Me Do) |
| ||
4. | 「ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット」(Do You Want To Know A Secret) | ジョージ・ハリスン | ||
5. | 「ベイビー・イッツ・ユー」(Baby It's You) |
| ジョン・レノン | |
6. | 「ゼアズ・ア・プレイス」(There's A Place) |
| ||
7. | 「P.S.アイ・ラヴ・ユー」(P.S. I Love You) | ポール・マッカートニー | ||
合計時間: |
クレジット
編集※出典[15]
- ビートルズ
-
- ジョン・レノン - リード・ボーカル、バッキング・ボーカル、リズムギター、アコースティック・ギター、ハーモニカ、ハンドクラップ
- ポール・マッカートニー - リード・ボーカル、バッキング・ボーカル、ベースギター、ハンドクラップ
- ジョージ・ハリスン - リードギター、アコースティック・ギター、ハンドクラップ、バッキング・ボーカル、リード・ボーカル(A-4, B-4)
- リンゴ・スター - ドラム、タンバリン、マラカス、リード・ボーカル(A-5)
- 外部ミュージシャン・スタッフ
チャート成績
編集チャート (1963年) | 最高位 |
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ドイツ (Offizielle Top 100)[16] | 4 |
UK アルバムズ (OCC)[17] | 1 |
チャート (1987年) | 最高位 |
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日本 (オリコン) | 3 |
オランダ (MegaCharts)[18] | 24 |
UK アルバムズ (OCC)[19] | 32 |
チャート (2009年) | 最高位 |
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オーストリア (Ö3 Austria)[20] | 75 |
ベルギー (Ultratop Flanders)[21] | 76 |
ベルギー (Ultratop Wallonia)[22] | 78 |
日本 (オリコン)[23] | 27 |
オランダ (MegaCharts)[18] | 89 |
フィンランド (Suomen virallinen lista)[24] | 25 |
イタリア (FIMI)[25] | 64 |
オランダ (MegaCharts)[18] | 89 |
ニュージーランド (RMNZ)[26] | 32 |
ポルトガル (AFP)[27] | 29 |
スペイン (PROMUSICAE)[28] | 53 |
スウェーデン (Sverigetopplistan)[29] | 27 |
スイス (Schweizer Hitparade)[30] | 74 |
UK アルバムズ (OCC)[31] | 38 |
チャート (2010年) | 最高位 |
---|---|
US Billboard 200[32] | 155 |
認定
編集国/地域 | 認定 | 認定/売上数 |
---|---|---|
アルゼンチン (CAPIF)[33] | Platinum | 60,000^ |
オーストラリア (ARIA)[34] | Gold | 35,000^ |
カナダ (Music Canada)[35] | Gold | 50,000^ |
デンマーク (IFPI Danmark)[36] | Platinum | 20,000 |
ニュージーランド (RMNZ)[37] Reissue |
Gold | 7,500^ |
イギリス (BPI)[38] 2009年以降の売上 |
Platinum | 300,000 |
アメリカ合衆国 (RIAA)[39] | Platinum | 1,000,000^ |
^ 認定のみに基づく出荷枚数 |
英国レコード産業協会による認定は、1994年以降の売上によるもの[40]。
脚注
編集注釈
編集- ^ パッケージには「Please Please Me with Love Me Do and 12 Other Songs」と記載されている。
- ^ 当時は2トラック録音なので、歌と演奏を同時録音し、それぞれが1つずつのトラックに録音された
- ^ のちに編集が加えられて『レット・イット・ビー』となった。
出典
編集- ^ “Pop/Rock " British Invasion " Merseybeat”. AllMusic. 2018年11月3日閲覧。
- ^ Carlin, Peter Ames (2009-11-03). Paul McCartney: A Life. Simon & Schuster. p. 82. ISBN 1-4165-6209-5
- ^ Please Please Me is "one of the greatest first albums in rock", in Rolling Stone's The 100 Best Debut Albums of All Time
- ^ Erlewine, Stephen Thomas. “Please Please Me - The Beatles | Songs, Reviews, Credits”. AllMusic. All Media Network. 2021年10月1日閲覧。
- ^ McCormick, Neil (2009年9月4日). “The Beatles – Please Please Me, review”. The Telegraph. 2021年10月1日閲覧。
- ^ “please please me | full Official Chart History”. Official Charts Company. 2020年7月9日閲覧。
- ^ Martin, George; Pearson, William (1994). With a Little Help from My Friends: The Making of Sgt. Pepper. Boston: Little, Brown. p. 77. ISBN 0-316-54783-2
- ^ Lewisohn 1988, pp. 24–26.
- ^ Lewisohn 1988, p. 36.
- ^ Lewisohn 1988, p. 28.
- ^ a b Lewisohn 1988, p. 32.
- ^ “Please Please Me – The Beatles”. Apple Corps. 2018年11月17日閲覧。
- ^ Pond, Steve. “The Beatles: Please Please Me”. Rolling Stone. 2018年11月3日閲覧。
- ^ “プリーズ・プリーズ・ミー [CD EXTRA][CD] - ザ・ビートルズ”. ユニバーサルミュージック. 2020年6月12日閲覧。
- ^ Lewisohn 1988.
- ^ "Offiziellecharts.de – The Beatles – Please Please Me" (in German). GfK Entertainment Charts. 2021年10月1日閲覧。
- ^ "Official Albums Chart Top 100". Official Charts Company. 2021年10月1日閲覧。
- ^ a b c "Dutchcharts.nl – The Beatles – Please Please Me" (in Dutch). Hung Medien. 2021年10月1日閲覧。
- ^ "Official Albums Chart Top 100". Official Charts Company. 2021年10月1日閲覧。
- ^ "Austriancharts.at – The Beatles – Please Please Me" (in German). Hung Medien. 2021年10月1日閲覧。
- ^ "Ultratop.be – The Beatles – Please Please Me" (in Dutch). Hung Medien. 2021年10月1日閲覧。
- ^ "Ultratop.be – The Beatles – Please Please Me" (in French). Hung Medien. 2021年10月1日閲覧。
- ^ “ザ・ビートルズ“リマスター”全16作トップ100入り「売上金額は23.1億円」”. ORICON NEWS (オリコン). (2009年9月15日) 2021年10月1日閲覧。
- ^ "The Beatles: Please Please Me" (in Finnish). Musiikkituottajat – IFPI Finland. 2021年10月1日閲覧。
- ^ "Italiancharts.com – The Beatles – Please Please Me". Hung Medien. 2021年10月1日閲覧。
- ^ "Charts.org.nz – The Beatles – Please Please Me". Hung Medien. 2021年10月1日閲覧。
- ^ "Portuguesecharts.com – The Beatles – Please Please Me". Hung Medien. 2021年10月1日閲覧。
- ^ "Spanishcharts.com – The Beatles – Please Please Me". Hung Medien. 2021年10月1日閲覧。
- ^ "Swedishcharts.com – The Beatles – Please Please Me". Hung Medien. 2021年10月1日閲覧。
- ^ "Swisscharts.com – The Beatles – Please Please Me". Hung Medien. 2021年10月1日閲覧。
- ^ "Official Albums Chart Top 100". Official Charts Company. 2021年10月1日閲覧。
- ^ “Billboard 200 Chart”. Billboard (2010年12月4日). 2021年10月1日閲覧。
- ^ “Discos de Oro y Platino” (スペイン語). Cámara Argentina de Productores de Fonogramas y Videogramas. 201108-20時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月1日閲覧。
- ^ "ARIA Charts – Accreditations – 2009 Albums" (PDF). Australian Recording Industry Association. 2021年10月1日閲覧。
- ^ "Canadian album certifications – The Beatles – Please Please Me". Music Canada. 2021年10月1日閲覧。
- ^ "Danish album certifications – The Beatles – Please Please Me". IFPI Danmark. 2021年10月1日閲覧。 Click on næste to go to page if certification from official website
- ^ "New Zealand album certifications – The Beatles – Please Please Me". Recorded Music NZ. 2021年10月1日閲覧。
- ^ "British album certifications – The Beatles – Please Please Me". British Phonographic Industry. 2021年10月1日閲覧。
- ^ "American album certifications – The Beatles – Please Please Me". Recording Industry Association of America. 2021年10月1日閲覧。
- ^ “Beatles albums finally go platinum”. British Phonographic Industry (BBC News). (2013年9月2日) 2021年10月1日閲覧。
参考文献
編集- Lewisohn, Mark (1988). The Beatles Recording Sessions. New York: Harmony Books. ISBN 0-517-57066-1
関連文献
編集- 『バンドスコア ビートルズ / プリーズ・プリーズ・ミー』(シンコーミュージック、2005年10月25日)ISBN 978-4401362370