アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア

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アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア[注釈 1]」(英語: I Saw Her Standing There)は、ビートルズの楽曲。1作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』のA面1曲目に収録された。マッカートニー=レノン名義となっているが、主にポール・マッカートニーによって作詞作曲された楽曲。アメリカでは、1963年12月にキャピトル・レコードから発売された第1弾シングル『抱きしめたい』のB面に収録され、1964年2月8日付のBillboard Hot 100で最高位14位を獲得し[3]、11週にわたってチャートインした。

アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア
ビートルズ楽曲
収録アルバム プリーズ・プリーズ・ミー
英語名 I Saw Her Standing There
リリース
  • イギリスの旗 1963年3月22日 (1963-03-22)(Album "Please Please Me")
  • アメリカ合衆国の旗 1963年12月26日 (1963-12-26)(Single)
録音
ジャンル ロックンロール
時間 2分55秒
レーベル
作詞者 マッカートニー=レノン
作曲者 マッカートニー=レノン
プロデュース ジョージ・マーティン
チャート順位

下記を参照

ビートルズ シングル U.S. 年表
  • 抱きしめたい b/w アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア
  • (1963年 (1963)
ビートルズ シングル 日本 年表
プリーズ・プリーズ・ミー 収録曲
アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア
(A-1)
ミズリー
(A-2)
ミュージックビデオ

2004年に発表された『ローリング・ストーン(Rolling Stone)』誌が選んだ「オールタイム・グレイテスト・ソング500」と「オールタイム・グレイテスト・ギター・ソングス100」、さらに「グレイテスト・ビートルズ・ソングス100」に於いて、それぞれ140位[4]と45位[5]、16位[6]に選ばれた。

背景・曲の構成編集

当初の曲名は「Seventeen」[7]で、マッカートニーはサウスポートランカシャーで行なわれたビートルズのライブからの帰宅時に本作を考え出した[8]。1962年10月22日の夕方に、マッカートニーは友人のロリー・ストーム英語版の実家で、アコースティック・ギターを使用してコードとアレンジを考案した[9]。2日後、マッカートニーは当時のガールフレンドのセリア・モーティマー(当時17歳)とロンドンを訪れた時に、歌詞を書き下ろした[10]。この約1か月後にフォースリン・ロードにある自宅でジョン・レノンと共に完成させ[11]、1962年12月にハンブルクのスター・クラブで行われたライブで演奏された。

ベース・リフはチャック・ベリーの楽曲「アイム・トーキング・アバウト・ユー」より引用しており、マッカートニーは「まったく同じフレーズを演奏したら、それがうまく曲に合っていた」と語っている[12]。なお、ビートルズは「アイム・トーキング・アバウト・ユー」をライブで演奏したことがあり、この音源は1977年に発売された非公式ライブ・アルバム『デビュー! ビートルズ・ライヴ'62』に収録された[13]

歌詞は、リバプール芸術学校で使用していたノートに記され、1992年に出版されたマイク・マッカートニー英語版の著書『Remember: The Recollections and Photographs of Michael McCartney』には、マッカートニーとレノンがアコースティック・ギターで音を鳴らしながらノートに歌詞を記している様子を捉えた写真が掲載されている。後にマッカートニーは、当初冒頭のフレーズが「Well she was just seventeen, never been a beauty queen.(彼女はちょうど17歳。美人コンテストに優勝したことはない。)」となっていたが、「これじゃダメだ」と感じたレノンのアドバイスにより「Well she was just seventeen, You know what I mean.(彼女はちょうど17歳。ぼくの言う意味が分かるだろう。)」に変更したことを明かしており[14]、「実際のところ特に意味はないんだけど、こうすることでなんとなく意味深に聞こえるようになった」と語っている[15]。レノンも1980年に「ポールがいつもの感じで作った曲。ジョージ・マーティンは『ウケを狙ったやっつけの曲』と言っていたけどね。歌詞を少し手伝った」と語っている[16]

レコーディング編集

最初のレコーディングは、1962年末頃にキャヴァーン・クラブで行われたライブ・レコーディングで、現在リリースされたアレンジよりもテンポが遅かった。このレコーディングにおいて、レノンはリズムギターを演奏せず、イントロとヴァースでハーモニカを演奏するのみだった。

1963年2月11日にEMIスタジオにてレコーディングが行われ、レコーディング・エンジニアはノーマン・スミス英語版が担当した。アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』のレコーディングは、同日午前10時にスタジオに入り、約3時間のセッションを3回繰り返し、10時間弱でシングルで既に発表されていた4曲を除く10曲をレコーディングするというスケジュールで行われた[17]。レコーディングは本作と「ゼアズ・ア・プレイス」から開始され、本作は9テイク録音された。午後にオーバー・ダビングを行ない、これをテイク12とした。

曲は、マッカートニーによる「one, two, three, four!」というカウントから始まる。通常カウントは、最終ミックスの段階でカットされるが、プロデューサーのジョージ・マーティンの「アルバムにあたかもライブで演奏しているかのような効果が欲しい」という意図により加えられた。このためマーティンは、テイク9におけるカウントがベストと判断し、1963年2月25日のミキシング作業時[18]にこれを繋ぎ合わせた。なお、アメリカで1963年7月22日にヴィージェイ・レコードより発売された編集盤『Introducing... The Beatles』収録テイクは、編集ミスによりイントロのカウントのうち「one, two, three」がカットされ、「four!」から始まる。

1996年に発売されたシングル『フリー・アズ・ア・バード』にはテイク9、2013年にiTunes限定で配信されたアルバム『The Beatles Bootleg Recordings 1963』にはテイク2が収録された。

収録盤編集

演奏編集

※出典[19]

チャート成績(ビートルズ版)編集

カバー編集

メンバーによるセルフカバー編集

レノンはエルトン・ジョン・バンドともに、1974年11月28日にマディソン・スクエア・ガーデンで開催されたライブで演奏した。この時の音源は、1975年に発売されたシングル『フィラデルフィア・フリーダム』のB面に収録された[26]。後に1976年に発売されたライブ・アルバム『ヒア・アンド・ゼア〜ライブ・イン・ロンドン&N.Y.』や、1990年代に発売されたボックス・セット『トゥ・ビー・コンティニュード』にも収録された。なお、このライブがレノンの生前最後のライブ演奏となり、レノンが死去した翌年3月にシングル盤が発売され、全英シングルチャートで最高位40位を獲得した[27]

マッカートニーは、ソロライブで度々演奏しており、『ポール・マッカートニー・ライブ!!』、『バック・イン・ザ・U.S. -ライブ2002』、『バック・イン・ザ・ワールド』などのライブ・アルバムに収録されている。なお、1987年に発売されたカバー・アルバム『バック・イン・ザ・U.S.S.R.』制作時に、ソロ・バージョンのレコーディングが行われたが、未発表のままとなっている[28]

1988年にビートルズがロックンロールの殿堂入りをした際に、式典に出席したジョージ・ハリスンリンゴ・スターは、ブルース・スプリングスティーンビリー・ジョエルミック・ジャガーボブ・ディランらと共に本作を演奏した。これにより、ビートルズの楽曲でメンバー全員が解散後に演奏した唯一の例となった。

ティファニーによるカバー編集

アイ・ソー・ヒム・スタンディング・ゼア
ティファニーシングル
初出アルバム『ティファニー英語版
B面
  • ゴッタ・ビー・ラブ
  • Mr.マンボ
リリース
規格
録音 1987年 (1987)
ジャンル シンセポップ
時間
レーベル MCAレコード
作詞・作曲 レノン=マッカートニー
プロデュース ジョージ・トービン英語版
ゴールドディスク
下記を参照
チャート最高順位
下記を参照
ティファニー シングル 年表
  • アイ・ソー・ヒム・スタンディング・ゼア
  • (1988年 (1988)
ティファニー英語版 収録曲
ギッド・オン・ア・コーナー
(5)
アイ・ソー・ヒム・スタンディング・ゼア
(6)
インサイド・ムーブズ
(7)
ミュージックビデオ
「I Saw Him Standing There」 - YouTube
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1988年にティファニーによるカバー・バージョン「アイ・ソー・ヒム・スタンディング・ゼア」(英語: I Saw Him Standing There)が発表され、後に発売されたアルバム『ティファニー英語版』にも収録された。なお、英語圏では性別を違えて歌うことはほとんどなく、その代わり歌詞や楽曲のタイトルを性別に合うように変更することが通例となっており、ティファニーによるカバー・バージョンもこの例に倣って、「アイ・ソー・ヒム・スタンディング・ゼア」と歌詞とタイトルが女性目線に変更されている。

日本で発売された8cmシングル盤には、カップリング曲として「ときめきハート」が収録された。この楽曲は、明治製菓MARBLE」のCMソングとして使用された[29]

ライブで演奏した際の映像で構成されたミュージック・ビデオが存在している。

発売形態と収録曲編集

カセット・シングルおよび7インチシングル
#タイトル作詞・作曲時間
1.「アイ・ソー・ヒム・スタンディング・ゼア」(I Saw Him Standing There)レノン=マッカートニー
2.「ゴッタ・ビー・ラブ」(Gotta Be Love)
3.「Mr.マンボ」(Mr. Mambo)
  • ジョン・ドワーティ
  • マーク・ポール
合計時間:
12インチシングル
#タイトル作詞・作曲リミキサー時間
1.「アイ・ソー・ヒム・スタンディング・ゼア」(I Saw Him Standing There (Dance Mix))レノン=マッカートニービル・スミス
2.「ゴッタ・ビー・ラブ」(Gotta Be Love)
 
3.「Mr.マンボ」(Mr. Mambo)
  • ジョン・ドワーティ
  • マーク・ポール
 
合計時間:
7インチシングル(イギリス)
#タイトル作詞・作曲時間
1.「アイ・ソー・ヒム・スタンディング・ゼア」(I Saw Him Standing There)レノン=マッカートニー
2.「Mr.マンボ」(Mr. Mambo)
  • ジョン・ドワーティ
  • マーク・ポール
合計時間:
8cmシングル(日本)
#タイトル作詞・作曲時間
1.「アイ・ソー・ヒム・スタンディング・ゼア」(I Saw Him Standing There)レノン=マッカートニー
2.「ときめきハート」(Can't Stop A Heartbeat)
  • ジョン・ドワーティ
  • マーク・ポール
合計時間:
ミニ・アルバム(日本)
#タイトル作詞・作曲リミキサー時間
1.「ふたりの世界」(I Think We're Alone Now (Extended Version))
  • ビル・スミス
  • ジョン・ドワーティ
2.「アイ・ソー・ヒム・スタンディング・ゼア」(I Saw Him Standing There (Dance Mix))レノン=マッカートニービル・スミス
3.「ときめきハート」(Can't Stop A Heartbeat (Long Version))
  • ジョン・ドワーティ
  • マーク・ポール
 
4.「Mr.マンボ」(Mr. Mambo)
  • ジョン・ドワーティ
  • マーク・ポール
 
5.「ときめきハート」(Can't Stop A Heartbeat (Long Version))
  • ジョン・ドワーティ
  • マーク・ポール
 
合計時間:

チャート成績(ティファニー版)編集

チャート成績(1988年) 最高位
オーストラリア (ARIA)[30] 10
ニュージーランド (Recorded Music NZ)[31] 3
オランダ (Single Top 100)[32] 40
アイルランド (IRMA)[33] 4
日本 (オリコン) 64
UK Singles (Official Charts Company)[34] 8
US Billboard Hot 100[35] 7

認定編集

国/地域 認定 認定/売上枚数
日本 (RIAJ)[36] 14,550^

その他のアーティストによるカバー編集

脚注編集

[脚注の使い方]

注釈編集

  1. ^ 1960年代から1970年代に発売された楽譜集では「その時ハートは盗まれた」という邦題がつけられているが、東芝音楽工業はこの邦題を採用していない。ただし、1975年7月に新興楽譜出版社が発行した楽譜集『ビートルズ80曲集』198頁 - 199頁に「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」の楽譜が掲載されているが、タイトルとして「I Saw Her Standing There」に「その時ハートは盗まれた」が併記されている[1]。また、1966年7月にビクターから発売されたメリー・ウェルズ英語版のLP『くたばれ!ビートルズ』(原題:LOVE SONGS TO THE BEATLES)に、この楽曲のカバーが収録された際に「その時ハートは盗まれた」という邦題が採用されている[2]

出典編集

  1. ^ 『ビートルズ80曲集』草野昌一 新興楽譜出版社東京、1975年7月10日、第24版、198 - 199頁。2019年5月16日閲覧。
  2. ^ メリー・ウェルズ、「その時ハートは盗まれた」、『くたばれ!ビートルズ』B面第5曲目に収録、ビクター、1966年7月、SJET-7827。
  3. ^ a b The Hot 100 Chart”. Billboard (1964年3月21日). 2020年8月24日閲覧。
  4. ^ “The 100 Greatest Guitar Songs of All Time : Rolling Stone”. Rolling Stone. (2011年4月7日). https://www.rollingstone.com/music/music-lists/500-greatest-songs-of-all-time-151127/the-beatles-i-saw-her-standing-there-65377/ 2019年6月29日閲覧。 
  5. ^ “500 Greatest Songs of All Time”. Rolling Stone. (2011年4月7日). オリジナルの2008年6月25日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20080625061017/http://www.rollingstone.com/news/coverstory/20947527/page/41 2019年6月29日閲覧。 
  6. ^ “100 Greatest Beatles Songs”. Rolling Stone. (2011年9月19日). https://www.rollingstone.com/music/music-lists/100-greatest-beatles-songs-154008/i-saw-her-standing-there-180952/ 2019年6月29日閲覧。 
  7. ^ ビートルズ/レコーディング・セッション, p. 30.
  8. ^ Badman 2000, p. 50.
  9. ^ Lewisohn 2013, p. 747-748.
  10. ^ Lewisohn 2013, p. 748.
  11. ^ Miles 1997, p. 93-94.
  12. ^ Harry 1992, p. 329.
  13. ^ Womack 2016, p. 228.
  14. ^ ビートルズ/レコーディング・セッション 1998, p. 270.
  15. ^ Miles 1997.
  16. ^ Sheff 1981.
  17. ^ Lewisohn 1988, p. 24.
  18. ^ Lewisohn 1988, p. 28.
  19. ^ MacDonald 2005, p. 66.
  20. ^ "Ultratop.be – The Beatles – I Saw Her Standing There" (in French). Ultratop 50. 2020年10月10日閲覧。
  21. ^ Lever Hit Parade summary”. Flavour of New Zealand (1964年2月13日). 2020年8月24日閲覧。
  22. ^ Swedish Charts 1962-March 1966/Kvällstoppen - Listresultaten vecka för vecka > Januari 1964” (Swedish). hitsallertijden.nl. 2020年8月24日閲覧。
  23. ^ "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2020年10月10日閲覧。
  24. ^ Billboard Japan Hot 100 | Charts”. Billboard JAPAN. 阪神コンテンツリンク (2013年11月25日). 2020年10月10日閲覧。
  25. ^ Top 100 Hits of 1964/Top 100 Songs of 1964”. Music Outfitters. 2020年10月10日閲覧。
  26. ^ The Elton John Band - Philadelphia Freedom / I Saw Her Standing There - DJM - UK - DJS 354”. 45cat. 2020年8月24日閲覧。
  27. ^ Official Singles Chart Top 75 (29 March 1981 - 04 April 1981)”. Official Charts Company (1981年3月29日). 2020年8月24日閲覧。
  28. ^ Weiner, Allen (1994) [1992]. The Beatles: The Ultimate Recording Guide. p. 250. ISBN 978-0816025114 
  29. ^ アイ・ソー・ヒム・スタンディング・ゼア | ティファニー”. ORICON NEWS. オリコン. 2020年8月24日閲覧。
  30. ^ "Australian-charts.com – Tiffany – I Saw Him Standing There". ARIA Top 50 Singles. 2020年8月24日閲覧。
  31. ^ "Charts.org.nz – Tiffany – I Saw Him Standing There". Top 40 Singles. 2020年8月24日閲覧。
  32. ^ "Dutchcharts.nl – Tiffany – I Saw Him Standing There" (in Dutch). Single Top 100. 2020年8月24日閲覧。
  33. ^ "The Irish Charts – Search Results – I Saw Him Standing There". Irish Singles Chart. 2020年8月24日閲覧。
  34. ^ "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2020年8月24日閲覧。
  35. ^ The Hot 100 Chart”. Billboard (1988年4月23日). 2020年8月24日閲覧。
  36. ^ "Japanese single certifications – Tiffany – Could've Been" (Japanese). Recording Industry Association of Japan. 2020年10月10日閲覧 Select 1988年月 on the drop-down menu
  37. ^ The Rill Thing - Little Richard | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月24日閲覧。
  38. ^ The Who - Live At Shea Stadium 1982”. Discogs. Zink Media. 2020年8月24日閲覧。
  39. ^ Let The Music Play: Supreme Rarities: Motown Lost & Found (1960-1969)”. Discogs. Zink Media. 2020年8月24日閲覧。
  40. ^ Goin' Down - The Tubes | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月24日閲覧。
  41. ^ Therapy - Jim Lea | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月24日閲覧。
  42. ^ Abbey Load - Beatallica | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月24日閲覧。
  43. ^ Yesterday [Original Motion Picture Soundtrack] - Original Motion Picture Soundtrack | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月24日閲覧。

参考文献編集

外部リンク編集