マーク・ミリー(英語: Mark Alexander Milley、1958年6月18日 - )は、アメリカ合衆国軍人である。2021年現在アメリカ軍制服組トップである統合参謀本部議長。

マーク・A・ミリー
Mark A. Milley
General Mark A. Milley.jpg
マーク・A・ミリー陸軍大将
生年月日 (1958-06-18) 1958年6月18日(63歳)
出生地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
Flag of Massachusetts.svg マサチューセッツ州ウィンチェスター
出身校 プリンストン大学
コロンビア大学
海軍戦争大学
称号 文学士
文学修士
ディフェンス・ディスティングイッシュド・サービス・メダル
アーミー・ディスティングイッシュド・サービス・メダル
ディフェンス・スーピア・サービス・メダル
レジオン・オブ・メリット
ブロンズスターメダル
配偶者 ホリアンナ・ミリー

在任期間 2019年10月1日 -
大統領

ドナルド・トランプ

ジョー・バイデン
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経歴編集

1958年6月18日マサチューセッツ州ウィンチェスターに誕生する。プリンストン大学卒業後、1980年に同大学の予備役将校訓練課程に参加してアメリカ陸軍に入隊。駐アフガニスタン国際治安支援部隊統合部隊の司令官や在韓アメリカ軍第2師団の大隊長、陸軍総軍総司令官などを経て、2015年から陸軍参謀総長2019年9月30日ジョセフ・ダンフォードの後任として統合参謀本部議長に就任[1]。同日バージニア州アーリントン基地で行われた就任式には、ドナルド・トランプ大統領が出席したほか、日本の山崎幸二統合幕僚長大韓民国朴漢基合同参謀本部議長も参加した[2][3]

国内姿勢編集

2020年6月1日、ジョージ・フロイドの死をきっかけとしたワシントンD.Cでの抗議デモを催涙ガスなどで強制排除したその約30分後、軍服を着たミリーはホワイトハウスから教会までトランプ大統領に随行したことで軍OBや議会から批判をうけた。11日、国防大学の卒業生に向けた祝辞でこのことを「私はあの場にいるべきではなかった」「米軍が国内政治に関与しているとの印象を与えてしまった」と述べ[4]、軍は国内政治に関与しない原則 (apolitical military) を大切にしなければならないと語った[5]

2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件の際は、ミリー議長以下、陸海空軍の長らの署名入りで米軍統合参謀本部が全ての米軍兵士に宛てた異例の声明を出した。「連邦議会や議事堂、憲法上の手続きに対する直接的な攻撃だ。我々は憲法を守り、支持する。憲法上の手続きを混乱させる全ての行為は我々の伝統や価値観、誓いだけでなく、法に背いている」と非難し、「各州や裁判所が確認して議会も認定した通り、2021年1月20日にはジョー・バイデン次期大統領が憲法に基づいて就任し、46代目の最高司令官となる」とその中で述べた[6][7]。また、「トランプが唆した非合法デモは、1933年2月のドイツ国会議事堂放火事件と同じだ」「クーデターを連中は計画しているが、軍や中央情報局(CIA)、連邦捜査局(FBI)の手を借りずにクーデターなど成功するわけがない。銃は我々が握っている」と発言してトランプがクーデターを命じた場合は陸海空各軍のトップと1人ずつ辞任する計画を行っていたとされ[8]、これに対してトランプは「ミリーという男は極左がアメリカと星条旗を攻撃するのをただ傍観していただけだ」「ジェームズ・マティス国防長官やダンフォード前統合参謀本部議長の反対を押し切って私が統合参謀本部議長にしたのは、バラク・オバマがミリーを解任したからだ。ミリーほど国防総省で尊敬されていない人間はいない」「クーデターを起こすつもりだったとしても、ミリーとだけはやりたくなかった」とこき下ろした[9][10]

2021年6月、米議会において批判的人種理論英語版を軍のカリキュラムに盛り込んでいると共和党議員から追及された際には[11]、「アメリカ陸軍士官学校は大学です。我々は訓練し、理解することが重要です。私は白い怒り英語版を理解したい。私は白人です。何千もの人々がこの建物を襲撃し、アメリカ合衆国憲法を覆そうとした原因は何か、私はそれを見つけたい」「現在も将来もリーダーは理解することが重要です。私は毛沢東を読み、カール・マルクスを読み、レーニンを読みましたが、それは私を共産主義者にしていません」と擁護した[12][13]

2021年9月にワシントン・ポストボブ・ウッドワードとロバート・コスタ氏が共著したトランプ政権末期の内幕本 Peril (原題) が出版され、トランプ政権の末期に、ミリーが2回にわたり水面下で中国人民解放軍李作成連合参謀部参謀長に電話していたことが明らかになった。1回目の2020年10月30日には「攻撃する場合には、私が事前に電話する。奇襲攻撃にはならない」と約束、また議事堂襲撃事件の2日後にも電話した[14]。また、ミラーはペロシ下院議長との核兵器についての会話で、ペロシのトランプ大統領の精神状態が正常ではないという主張に同意した[15]。この本の内容を元に、ミリーが越権行為に及んだとの批判がなされていることに対し、国防総省やバイデン政権、またボルトン元大統領補佐官もミリーの擁護に動いた[16][17]

統合参謀本部議長として編集

 
日本山崎幸二統合幕僚長韓国朴漢基合同参謀本部議長との3カ国の制服組トップ会談。
  • 2019年10月1日
    日米韓の制服組トップによる会談をもった。出席者は、前日の就任式に参加した山崎統合幕僚長と朴漢基議長。
  • 2019年11月12日
    訪日。安倍晋三首相・菅義偉官房長官・茂木敏充外務大臣を表敬訪問[18]
  • 2019年11月13日
    米韓軍事委員会会合に出席するため韓国を訪問した。14日には別途韓国を訪問したマーク・エスパー国防長官文在寅大統領らに面会し、日韓秘密軍事情報保護協定破棄を見直すよう説得に当たった[19]

脚注編集

  1. ^ ミリー新統合参謀本部議長が就任 米軍制服組トップ”. 産経新聞社 (2019年10月1日). 2019年11月13日閲覧。
  2. ^ GSOMIA終了決定後、初めて会った韓日米の制服組トップ「北東アジアの平和ために多国間協力を強化」”. 中央日報 (2019年10月1日). 2019年11月13日閲覧。
  3. ^ ミリー新統合参謀本部議長が就任、在韓米軍大隊長を歴任”. 東亜日報 (2019年10月2日). 2019年11月13日閲覧。
  4. ^ “米軍制服組トップ、トランプ氏に随行謝罪 教会訪問で”. 日本経済新聞. (2020年6月12日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60278830S0A610C2000000/ 2021年7月19日閲覧。 
  5. ^ 米軍制服組トップ、トランプ氏の写真撮影に同行したのは「誤り」” (日本語). BBCニュース (2020年6月12日). 2021年9月20日閲覧。
  6. ^ "米軍制服組トップ、異例の共同声明で議会乱入を非難". ウォール・ストリート・ジャーナル. 13 January 2021. 2021年1月13日閲覧
  7. ^ "米軍統合参謀本部が議事堂乱入を非難、異例の兵士向け共同文書で". ロイター. 13 January 2021. 2021年7月18日閲覧
  8. ^ “米軍幹部ら辞任準備 トランプ氏のクーデター警戒―内幕本”. 時事通信. (2021年7月18日). https://www.jiji.com/jc/article?k=2021071700318 2021年7月19日閲覧。 
  9. ^ "米軍トップに「クーデター男」と叩かれたトランプが「左翼め!」". NEWSポストセブン. 13 January 2021. 2021年1月13日閲覧
  10. ^ Forgey, Quint (2021年7月15日). “Trump denies coup attempt in latest attack on Milley”. POLITICO. https://www.politico.com/news/2021/07/15/trump-deny-coup-mark-milley-499763 2021年7月15日閲覧。 
  11. ^ Cox, Chelsey. “Gen. Mark Milley fires back against GOP criticism of critical race theory” (英語). USA TODAY. 2021年9月20日閲覧。
  12. ^ Stewart, Phil (2021年6月24日). “Top U.S. general hits back at right-wing uproar over racism teachings” (英語). Reuters. https://www.reuters.com/world/us/top-us-general-hits-back-right-wing-uproar-over-racism-teachings-2021-06-23/ 2021年9月24日閲覧。 
  13. ^ America’s top general defends study of critical race theory by military”. The Guardian (2021年6月24日). 2021年7月19日閲覧。
  14. ^ 米軍トップ「攻撃なら事前通知」 中国側に、トランプ氏暴走懸念―著名記者が内幕本:時事ドットコム” (日本語). 時事ドットコム. 2021年9月20日閲覧。
  15. ^ Wade, Peter (2021年9月14日). “Afraid of World War 3, Milley Went Behind Trump's Back to Calm Tensions with China” (英語). Rolling Stone. 2021年9月15日閲覧。
  16. ^ Staff, Reuters「バイデン氏、米軍制服組トップを擁護 中国との電話巡り」『Reuters』、2021年9月16日。2021年9月20日閲覧。
  17. ^ 米軍トップと中国の電話に批判、国防総省とホワイトハウスは擁護” (日本語). CNN.co.jp. 2021年9月20日閲覧。
  18. ^ ミリー米統合参謀本部議長による安倍総理大臣表敬”. 日本国外務省 (2019年11月12日). 2019年11月13日閲覧。
  19. ^ 米国の度重なる要求にも「No」、危機に追い込まれた韓米同盟”. 朝鮮日報 (2019年11月16日). 2019年11月16日閲覧。
先代:
ジョセフ・ダンフォード
アメリカ統合参謀本部議長
第20代:2019 –
次代:
先代:
レイモンド・オディエルノ
アメリカ陸軍参謀総長
第39代:2015 – 2019年
次代:
ジェイムス・C・マッコンビル