リーサル・ウェポン
『リーサル・ウェポン』(Lethal Weapon)は、1987年に公開されたアメリカのアクション映画。
リーサル・ウェポン | |
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Lethal Weapon | |
監督 | リチャード・ドナー[1][2] |
脚本 | シェーン・ブラック |
製作 |
リチャード・ドナー ジョエル・シルバー |
製作総指揮 | ヴィッキー・ディー・ロック |
出演者 |
メル・ギブソン ダニー・グローヴァー |
音楽 |
マイケル・ケイメン エリック・クラプトン |
撮影 | スティーヴン・ゴールドブラッド |
編集 | スチュワート・ベアード |
製作会社 | シルバー・ピクチャーズ |
配給 | ワーナー・ブラザース |
公開 |
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上映時間 |
110分 118分(ディレクターズ・カット版) |
製作国 |
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言語 | 英語 |
製作費 | $15,000,000(概算) |
興行収入 |
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次作 | リーサル・ウェポン2/炎の約束 |
反発しあいながらも、ともに犯罪組織と戦うリッグスとマータフの間には、コメディタッチな描写や、マータフの家族との触れ合いを描いた人間的ドラマもあり、徐々にふたりのパートナーシップが築かれていく過程が描かれている。
あらすじ
ある夜、ロサンゼルスの高級アパートメントから売春婦が飛び降り自殺する。LA市警察本部捜査第一課のロジャー・マータフ部長刑事が、現場に臨場。死んだ売春婦は、マータフの旧友の娘であった。
この飛び降り自殺に事件性があるのか捜査を始めた矢先に、薬物対策課から異動してきたマーティン・リッグス刑事を、マータフは新しい相棒としてあてがわれる。リッグスはマータフよりかなり若いが、ベトナム戦争では陸軍特殊部隊員として死線をくぐりぬけた経験があり、拳銃射撃と格闘の力量は極めて高い。ただ、3年前に愛妻を事故で亡くして以来[4]、自暴自棄になることが多く、市警察本部でも問題になっていた。
マータフはこの新しい相棒に困惑しながらも、自宅に招くなどして、次第に打ち解けるようになっていく。そしてリッグスと共に、売春婦の飛び降り自殺を捜査していくと、背景にCIA特殊部隊のOBたちによるヘロイン密輸組織が浮かび上がってくる。だが、捜査の過程でリッグスとマータフ、さらにはマータフの家族まで命の危険にさらされ始める。
登場人物
- マーティン・リッグス
- 妻を亡くし、自殺衝動に駆られている刑事[1]。
- ロジャー・マータフ
- 刑事[1]。50歳。
- ジョシュア
- マカリスターの部下[1]。
- マカリスター
- 将軍[1]。
- マイケル・ハンサカー
- 銀行家[1]。
- トリッシュ・マータフ
- ロジャーの妻[1]。
- リアン・マータフ
- ロジャーとトリッシュの娘[1]。
- アマンダ
- 情婦。マイケルの娘[1]。
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | |
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TBS版 | テレビ朝日版 (追加録音版) | ||
マーティン・リッグス | メル・ギブソン | 鈴置洋孝 | 磯部勉 |
ロジャー・マータフ | ダニー・グローヴァー | 田中信夫 | 池田勝 |
ジョシュア | ゲイリー・ビジー | 秋元羊介 | 金尾哲夫 |
マカリスター将軍 | ミッチェル・ライアン | 中庸助 | 小林修 |
マイケル・ハンサカー | トム・アトキンス | 加藤正之 | 小島敏彦 |
トリッシュ・マータフ | ダーリン・ラヴ | 火野カチコ | |
リアン・マータフ | トレイシー・ウォルフ | 井上喜久子 | 渕崎ゆり子 |
アマンダ・ハンサカー | ジャッキー・スワンソン | セリフなし | |
マーフィ警部 | スティーヴ・ケイハン | 村松康雄 藤城裕士[5] |
伊藤和晃 |
精神科医 | メアリー・エレン・トレイナー | 佐々木優子 | |
ボイエット刑事 | グランド・L・ブッシュ | 石塚運昇 | 長島雄一 |
マッカスキー刑事 | ジャック・チボー | 藤城裕士 | |
刑事 | ドン・ゴードン | 広瀬正志 | |
メンデス | エド・オロス | 辻親八 | |
エンドウ | アル・レオン | 長島雄一 | |
ディキシー | リリシア・ナフ | 深実りか | |
マックリーリー | マイケル・シェーナー | 立木文彦 | 中田和宏 |
ガスタフ | ガスタフ・ヴィンタス | 沢木郁也 | |
麻薬の売人 | ジミー・F・スキャッグス | 星野充昭 | 手塚秀彰 |
ジェイソン・ロナード | 沢木郁也 | ||
ブラッキー・ダメット | 高宮俊介 | ||
ニック・マータフ | デイモン・ハインズ | ||
キャリー・マータフ | エボニー・スミス | ||
役不明又はその他 | 近藤玲子 他 |
高乃麗 矢島晶子 辻親八 増田ゆき 中沢みどり 津村まこと 伊藤栄次 相沢正輝 堀川仁 佐藤しのぶ 大黒和広 種田文子 小川智子 柳沢栄治 柳沢真由美 桜澤凛 佐々木瑶子 追加録音版キャスト 石田嘉代 すずき紀子 浅野まゆみ 落合弘治 上田燿司 金野恵子 多田野曜平 高橋英則 | |
翻訳 | 宇津木道子 | 武満真樹 (平田勝茂) | |
演出 | 福永莞爾 | 蕨南勝之 | |
調整 | 山田太平 | ||
効果 | リレーション | ||
プロデューサー | 上田正人 | 圓井一夫 山川秀樹 | |
制作 | 東北新社 TBS |
ムービーテレビジョンスタジオ | |
初回放送 | 1988年12月13日 『火曜ロードショー』 |
1997年3月23日 『日曜洋画劇場』 |
- テレビ朝日版はこの作品のみステレオ音声で制作、放送された。これは後年に発売されたBlu-ray リーサル・ウェポン コレクションに収録されている。
- また、テレビ朝日版は2013年1月13日にWOWOWで放映される際に、初回放送時にカットされた箇所を同一声優で追加録音(および一部のシーンを再録)した。
スタッフ
- 製作:リチャード・ドナー、ジョエル・シルバー
- 監督:リチャード・ドナー
- 脚本:シェーン・ブラック
- 撮影:スティーヴン・ゴールドブラッド
- 音楽:マイケル・ケイメン、エリック・クラプトン
- 提供:ワーナー・ブラザース、シルバー・ピクチャーズ
解説
全編を通して、爆発シーン・カーチェイス・銃撃戦など、ハードアクションが多い。なお、本作のアクションシーンはホリオン・グレイシーが指導を行っている。
タイトル
リーサル・ウェポンとは、直訳すれば「致命的な武器」という意味で通常「凶器」と訳される。格闘技に精通しているリッグスに対しマータフが「生身の人間でも凶器になりうる」と揶揄する。
異なるエンディング
劇場公開には含まれないが、エンディングは2バージョン撮影されており、二人がパートナーを解消した形でエンディングを迎えるバージョンもある。続編の4のDVDに収録されているが、もしこのエンディングが採用された場合は、続編は作られなかったことになる。
日本語吹き替え
リッグスは自殺用に特殊な弾丸を持ち歩いており、日本語字幕では単に「自殺用の弾丸」となっているが、オリジナルの英語版では「ホローポイント(実際映像に映っているのはフルメタルジャケット弾)を持っている」と言っている。吹替版では、TBS版は「特別な弾」、テレビ朝日版は「強力な特別製の弾」、WOWOWの吹替補完版は「ホローポイント弾」と、それぞれ訳されている。
評価
シリーズ化された第2作以降でその傾向が強くなるコメディ的要素やバディ・ムービー的要素が本作品でも見られるが、後の作品と比べて本作は暗く、リッグスの自殺願望のある狂った男という面がかなり押し出されている。
銃の構え方について、マータフ役のダニー・グローヴァーはなかなか様になっているが、メル・ギブソンは構え方は若干おかしいとの指摘があり、さらに射撃場のシーンでは、撃つときに目を閉じてしまっているのが確認できる。
本作におけるリッグスの格闘技術は、殴る・蹴るに加えて関節技にも重点を置いており、格闘技的な視点からはリアルなもの(実際の特殊部隊における使用の有無ではなく、技術の再現という意味合いにおいて)となっている。ただ、現実の格闘技においてもそうであるように、関節技は“視覚的に派手でわかりやすいもの”にはなりにくく、2作目以降ではシンプルな殴る・蹴るがメインであり、その技術も「カラテ」の一言で片付けられるような扱いとなっている。
そのほか
- リッグスの愛用する銃はベレッタM92F、敵の麻薬組織から奪って乱射するサブマシンガンはH&K MP5で、奇しくも、この作品から少し遅れて作られ、このシリーズと並んで1980年代後半から1990年代を代表するアクション映画となった『ダイ・ハード』のマクレーン刑事が使用していたのと同じ銃とサブマシンガンである。M92FはLAPDの制式採用銃だが、リッグスの物は特別製だと2作目で本人の口から語られている。本作でリッグスの使うM92Fは指掛け部の大きなスライドストップ・レバーを取り付け、マガジンキャッチ・ボタンに六角ネジを取り付けている。これはスライドのリリースとマガジン交換の操作を容易にするための改修と思われる。後にも改良が繰り返され、4作目の『リーサル・ウェポン4』ではレーザーグリップも追加装備される。また、自殺を図るシーンではグリップパネルのベレッタマークが金色に塗られているが、その他の発砲シーンでは銀色に塗られている。
- 一方、マータフが愛用しているリボルバーは、スミス&ウェッソンのモデル19。
- リッグスが砂漠での狙撃に使用しているのは、ドイツのヘッケラー&コッホのスナイパーライフルH&K PSG1。セミ・オートマティックで、命中精度が高いのが特徴。軍用狙撃銃として多数の国で採用されている。ミュンヘンオリンピック事件の悲劇がきっかけで当時の西ドイツがH&Kに設計を依頼した。望遠スコープは同じくドイツのメーカー、ヘンゾルト社製。リッグスは身を隠しての狙撃効果を上げるために、二脚(バイポッド)を使用している。
- ジョシュアがヘリからハンサカーの狙撃に用いるのは、コルト・コマンドーXM177。これにスコープを装着している。またクライマックスにおいて、ジョシュアがクラブで掃射している銃も、同じものである。
- 監督のリチャード・ドナーはアクション映画の傑作にするべく、過去の名作群からエッセンスを抽出している。自殺志願者の説得のシーンは『ダーティ・ハリー』、マータフがリッグスを自宅に連れていくのは黒澤明の『野良犬』、ジョシュアとの素手での決闘は西部劇(『大いなる西部』?)などの影響と考えられる。[要出典]
- 作品の背景にベトナム戦争があり、CIA、エア・アメリカ、特殊部隊、傭兵などが主要な登場人物に設定されている。
- リッグスがトレーラーハウスで銃口を口に咥えているとき、テレビで流れているアニメは、同じワーナー製作の『バックス・バニー』である。
- マイケル・ハンサカーの暗殺シーンは、フランク・シナトラ主演『影なき狙撃者』にインスパイアされたものである。
- ハンサカーがベトナム除隊後に所属していたとされるエア・アメリカは実在した航空会社である。CIAのフロントカンパニーとして、ラオスを拠点に活動を行なっていた。麻薬や武器の空輸など、非合法活動にも従事。1976年に閉鎖された。1990年、メル・ギブソンはこの組織をテーマにした『エア★アメリカ』に主演している。
- マータフは50歳の設定だが、ダニー・グローヴァーの撮影当時の実年齢は40歳前後である。
- 本作はハリウッド映画にありがちなヒロインが登場しない。そのこともあってか、リッグスとマータフの関係がフォーカスされ、硬派な作品に仕上がっている。
- 本作は偉大なスタントマン、故ダー・ロビンソンに捧げられている。
- 精神科医を演じたメアリー・エレン・トレイナーはドナー作品の常連で、ロバート・ゼメキスの元妻であった。2015年、膵臓がんで亡くなった。
- バディ・ムービーの傑作でもあり、リッグスとマータフが、ゲーム『ポリスノーツ』の下敷きにもなっている。
続編
5作目も製作が予定されていたが、メル・ギブソンが出演を辞退したため、5作目の製作企画は消滅した。
- リーサル・ウェポン2/炎の約束(1989年)
- リーサル・ウェポン3(1992年)
- リーサル・ウェポン4(1998年)
- リーサル・ウェポン (テレビドラマ)(2016年9月 - 放送中)
脚注
- ^ a b c d e f g h i リーサル・ウェポン : 作品情報 - 映画.com
- ^ 映画 リーサル・ウェポン (1987)について 映画 ... - allcinema
- ^ a b “Lethal Weapon (1987)” (英語). Box Office Mojo. 2010年2月16日閲覧。
- ^ 彼の自殺願望の原因となった妻の死の真相については第2作で明らかになる。
- ^ 本編に初登場してから精神科医と会話するシーンでは村松康雄だが、髭を剃ったマータフに声を掛ける次のシーンでは藤城裕士に変わっている。
外部リンク
- WarnerBros.com | Lethal Weapon | Movies(英語)
- 【ワーナー公式】映画(ブルーレイ,DVD & 4K UHD/デジタル配信) | リーサル・ウェポン(日本語)
- 【初回生産限定スペシャル・パッケージ】リーサル・ウェポン | NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン(Blu-ray・セル商品(2015年6月3日発売))(日本語)
- リーサル・ウェポン | NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン(Blu-ray・セル商品(2010年4月21日発売))(日本語)
- リーサル・ウェポン - allcinema
- リーサル・ウェポン - KINENOTE
- Lethal Weapon - オールムービー(英語)
- Lethal Weapon - インターネット・ムービー・データベース(英語)