七種競技(ななしゅきょうぎ)とは、2日間で合計7種の競技を行う陸上競技における混成種目である。五種競技(ペンタスロン)や十種競技(デカスロン)に相当する英語名はヘプタスロン (Heptathlon)。

単に七種競技といった場合、女子七種競技を指すことが多い。勝者は「クイーン・オブ・アスリート」と称される[1]。男子七種競技はその男子版ではなく、室内で十種競技のうち7種を行うものである。なお、女子七種競技に対し同様に室内で行うのは五種競技であるが、オリンピック種目となっていた五種競技とは別である。

(女子)七種競技は、主に高校生以上の女子によって行われる。モスクワオリンピックまで行われていた五種競技が前身で、日本では1981年から、世界では1982年から記録が公認されている[2]

実施種目(競技順) 編集

得点 編集

各種目の得点は、以下の表に示す各数式の変数にそれぞれの記録を代入し、その合計点を求めることで計算される。ただし手動計測の場合は、100mHと200mでは+0.24秒しなければならない。十種競技同様、採点法の改正があっても過去の記録は公認される[2]

競技種目 略字 代入する項目 数式
100mH 100H 記録T(秒単位) 9.23076×(26.7-T)1.835
走高跳 HJ 記録d(cm単位) 1.84523×(d-75)1.348
砲丸投 SP 記録D(m単位) 56.0211×(D-1.5)1.05
200m 200 記録T(秒単位) 4.99087×(42.5-T)1.81
走幅跳 LJ 記録d(cm単位) 0.188807×(d-210)1.41
やり投 JT 記録D(m単位) 15.9803×(D-3.8)1.04
800m 800 記録T(秒単位) 0.11193×(254-T)1.88

場所記録 編集

エリア 記録 名前 所属 場所 日付
アフリカ 6423点 マーガレット・シンプソン   ガーナ ゲツィス 2005年5月29日
アジア 6942点 ガーダ・シュアー   シリア ゲツィス 1996年5月26日
ヨーロッパ 7032点 カロリナ・クリュフト   スウェーデン 長居 2007年8月26日
北アメリカ 7291点 ジャッキー・ジョイナー・カーシー   アメリカ合衆国 ソウル 1988年8月20日
南アメリカ 6346点 エヴェリス・アグイラー   コロンビア イバゲ 2021年3月14日
オセアニア 6695点 ジェーン・クリスティーナ・フレミング   オーストラリア オークランド 1990年1月28日

世界歴代10傑 編集

記録 名前 所属 日付
1 7291点 ジャッキー・ジョイナー=カーシー   アメリカ合衆国 1988年8月20日
2 7032点 カロリナ・クリュフト   スウェーデン 2007年8月26日
3 7013点 ナフィサトウ・ティアム   ベルギー 2017年5月28日
4 7007点 Larisa Turchinskaya   ソビエト連邦 1989年6月11日
5 6988点 アンナ・ホール   アメリカ合衆国 2023年5月29日
6 6985点 ザビーネ・ブラウン   ドイツ 1992年5月31日
7 6981点 カタリナ・ジョンソン=トンプソン   イギリス 2019年10月4日
8 6955点 ジェシカ・エニス   イギリス 2012年8月4日
9 6946点 ザビーネ・ジョン   東ドイツ 1984年5月6日
10 6942点 ガーダ・シュアー   シリア 1996年5月26日

国内歴代10傑 編集

記録 名前 所属 日付
1 5975点 山﨑有紀 スズキAC 2021年5月23日
2 5962点 中田有紀 さかえクリニック 2004年6月5日
3 5907点 ヘンプヒル恵 中央大学 2017年6月11日
4 5821点 宇都宮絵莉 長谷川体育施設 2018年4月22日
5 5713点 佐藤さよ子 日立土浦 2001年6月9日
6 5633点 大玉華鈴 日本体育大学 2021年5月23日
7 5597点 桐山智衣 モンテローザ 2016年6月12日
8 5573点 菊川恵子 筑波大学 1999年10月2日
9 5559点 平戸安紀子 筑波大学 2002年4月21日
10 5517点 熱田心 岡山陸協 2022年6月5日

■参考(旧規格)

記録 名前 所属 日付
5639点 生方留美子 ミズノ 1995年6月10日
5537点 磯貝美奈子 群馬大学 1988年4月24日

世界記録 (WR)と七種競技記録 (HB) の比較 編集

種目 WR–世界記録
HB–七種競技記録
NHB-種目別日本最高
名前 記録 得点 得点差 Notes
100mH
WR トビ・アムサン 12.12 s 1261
HB ジェシカ・エニス 12.54 s 1195 −66
NHB    ヘンプヒル恵 13.40 s
走高跳
WR ステフカ・コスタディノヴァ 2.09 m 1359
HB ナフィサトウ・ティアム 2.02 m 1264 −95
砲丸投
WR ナタリア・リソフスカヤ 22.63 m 1378
HB アウストラ・スクイテ 17.31 m 1016 −362
200m走
WR フローレンス・グリフィス=ジョイナー 21.34 s 1251
HB ジャッキー・ジョイナー=カーシー 22.30 s 1150 −101
走幅跳
WR ガリナ・チスチャコワ 7.52 m 1351
HB ジャッキー・ジョイナー=カーシー 7.27 m 1264 −87
やり投
WR バルボラ・シュポタコバ 72.28 m 1295
HB バルボラ・シュポタコバ 60.90 m 1072 −223 ルール改正後
HB テッサ・サンダーソン 64.64 m 1145 −150 ルール改正前
800m走
WR ヤルミラ・クラトフビロバ 1.53.28 1224
HB Nadine Debois 2.01.84 1087 −137
合計 世界記録 9119
七種競技記録 8048

室内陸上における男子七種競技 編集

男子の正式種目である。60m、走幅跳、砲丸投、走高跳、60mH、棒高跳、1000mからなる。

世界記録
6645点、アシュトン・イートンUSA、2012年3月10日)
60m - 6秒79
走幅跳 - 8m16
砲丸投 - 14m56
走高跳 - 2m03
60mH - 7秒68
棒高跳 - 5m20
1000m - 2分32秒77
日本記録
5831点、中村明彦スズキ浜松AC、2016年2月21日)
60m - 7秒03
走幅跳 - 7m13
砲丸投 - 11m60
走高跳 - 1m94
60mH - 8秒13
棒高跳 - 4m90
1000m - 2分32秒88

脚注 編集

  1. ^ 七種競技:2日間の戦いを制した選手は「クイーン・オブ・アスリート」に。競技終了後に健闘を称え合う場面も見どころの一つ
  2. ^ a b 陸上競技マガジン1999年記録集計号330p

関連項目 編集

外部リンク 編集