加瀬 加奈子(かせ かなこ、1980年5月31日 - )は、女子競輪選手、元自転車競技選手、元トライアスロン選手。日本競輪選手会新潟支部所属、ホームバンクは弥彦競輪場日本競輪学校(当時。以下、競輪学校)第102期生。現姓、渡邊(わたなべ)[1]。師匠は池端将巳(79期)、弟子は治田知也滝本幸正小榑佑弥(いずれも121期)。

加瀬 加奈子
Kanako Kase
個人情報
本名 渡邊 加奈子
わたなべ かなこ
愛称 カセ
生年月日 (1980-05-31) 1980年5月31日(43歳)
国籍 日本の旗 日本
身長 164㎝
体重 66.8㎏
チーム情報
所属 日本競輪選手会新潟支部
期別 102期(女子1期)
分野 競輪、トラック、ロード
役割 選手
特徴 先行・捲り
エンデュランス
アマ所属チーム
2010-2011
CLUB SPIRITS
プロ所属チーム
2012-
日本競輪選手会新潟支部
グランツール最高成績
主要レース勝利

日本の旗 日本選手権

団体追抜 2011
オムニアム 2011
ケイリン 2012
500mTT 2013

ガールズケイリンコレクション

2013 6月
獲得メダル
日本の旗 日本
女子 自転車競技
アジア自転車競技選手権大会
2012 クアラルンプール 団体追抜
2013 ニューデリー 団体追抜
2013 ニューデリー TSP
最終更新日
2018年11月15日

キャッチフレーズは『男道』。

来歴 編集

新潟県長岡市出身。中越高等学校を経て入学した順天堂大学在籍時代にトライアスロンに取り組み、2009年に地元・新潟で開催された第64回国民体育大会で、県代表選手として出場した(17位)。

2010年弥彦競輪場が「CLUB SPIRITS」というサイクリングクラブを発足したことを受け加入したと同時に、2012年7月開始予定の女子競輪選手を目指すことになり、同じ志を持った中川諒子藤原亜衣里田中麻衣美の3人とともに共同生活をスタートさせた。同年12月、小倉競輪場で行われたエキシビションマッチ、ガールズケイリン第2戦で、同イベントで圧倒的な強さを誇る石井寛子を破って優勝したことが契機となり、日本自転車競技連盟より、強化指定選手の指名を受けた。

2011年2月25日、中川、藤原、田中の3人とともに、競輪学校第102回(女子第1期)試験に合格[2]。同年5月に同校に入学。一方、自転車競技大会にも随時参加。9月にタイで行われたACCトラックアジアカップのオムニアムで優勝を果たした。10月開催の全日本自転車競技選手権大会(以下、全日本選手権)では、団体追抜で田畑真紀上野みなみとのトリオで優勝。オムニアムでは田畑との激闘を制し、両種目の初代優勝者として名を刻んだ。

2012年第32回アジア自転車競技選手権大会にて、団体追抜で2位。競輪学校卒業直前の3月下旬、第102回卒業記念レースで完全優勝し、女子初代同レース優勝者として名を刻んだ[3]。同校在校競走成績は14勝を挙げ第2位[4]2012年5月1日、日本競輪選手会新潟支部所属の競輪選手として登録された。5月14日、全日本プロ選手権自転車競技大会前橋競輪場)の1㎞タイムトライアルで1分10秒053を記録。1988年橋本聖子がマークした、1分14秒30を大幅に上回る日本記録であった[5]。7月1日、平塚競輪場でガールズケイリンのデビュー戦を迎え、一周逃げ切り、2着に6車身の差をつけ圧勝[6]。初優勝は同年7月15日の松戸競輪場で果たした[7]全日本選手権・ケイリンでは優勝を飾った。10月23日、同年12月28日に開催予定のガールズグランプリ出場選手に選出された[8]

2013年は、第33回アジア自転車競技選手権大会で、団体追抜、チームスプリントともに2位となった。ガールズケイリンでは、3月31日の平塚決勝から、6月1日の和歌山予選2まで、15連勝を記録。6月のガールズケイリンコレクション前橋ステージでガールズケイリンコレクション初優勝。全日本選手権女子500mタイム・トライアルでは優勝。ただ、9月のガールズケイリンコレクション京王閣ステージではガールズケイリン総選挙にて得票数1位で選出されるも、出走直前に交通事故のため欠場、以後10月末までの開催をすべて自粛欠場した[9]

2018年7月12日、未婚ながら妊娠10週目であることが判明。以後、出場が決まっていたガールズケイリンフェスティバル、ガールズケイリンコレクションアルテミス賞を含む全てのレースを大事を取って欠場[10]し出産に備えることとなった。相手は交際1年になる40代の一般男性で、現役競輪選手に例えるなら高田真幸[11]似、とのこと[12]。そして、1が4つでゲンが良い(競輪では4日間全て1着の完全優勝)こともあり、同年11月11日に婚姻届を提出。渡邊姓となったが、レース復帰後も登録名である加瀬加奈子のまま競走に参加する意向で[13]、改姓後も競輪選手としての登録氏名の変更は行っていない。

2019年2月2日、第一子である長女・米(まい)を出産[14]。復帰試験にも合格したことで、同年7月よりレースに復帰することが決まった[15]7月19日からの奈良FIIにて1年ぶりにレースに復帰し、母親となってからの初めてのレースは初日予選2着・2日目予選4着とまとめて決勝進出を決め、最終日決勝は7着で終えた。11月27日向日町FII決勝にて産休後初となる1着で、通算45回目の優勝を果たした[16]

2021年7月13日青森FIIで通算48回目の優勝を果たす。41歳1か月13日での優勝であり、それまで同期の門脇真由美が持っていたガールズケイリン最年長優勝記録を8年ぶりに更新した[17]

2022年7月13日、弥彦FIで1年ぶり、通算49回目の優勝を果たす。42歳1か月13日での優勝であり、一度豊岡英子に抜かれた最年長優勝記録を再度更新した[18]。そして同年10月12日、函館FI(ナイター)でも42歳4か月12日で優勝し(完全優勝)、通算50回目の優勝を果たすとともに、7月に自身が更新したガールズケイリン最年長優勝記録を再度更新(更新は3度目)した[19]11月1日富山FII2日目第6レース(予選2)で1着となり、通算300勝を達成[20]。デビューから10年4か月での達成であった。

2023年は、4月20日の奈良FII(モーニング)で2022年7月の弥彦FI以来の優勝を果たした[21]ほか、8月14日青森FII(ミッドナイト)では43歳2か月14日で(通算52回目)[22]9月5日の弥彦FIIでも43歳3か月5日で(通算53回目)[23]、それぞれ優勝を果たし自身の持つガールズケイリン最年長優勝記録を更新した。12月6日の奈良FII(モーニング)でも優勝し、同年は前年を上回る4回の優勝を果たした。なお、ガールズケイリン最年長優勝記録は自身より半年ほど生まれの早い高橋梨香が保持している[24]

主な獲得タイトルと記録 編集

  • 2013年 - ガールズケイリンコレクション前橋ステージ(6月)
  • 通算300勝達成 - 2022年11月1日、富山FII・第6レース
  • ガールズケイリン最年長優勝 - 43歳3か月5日。2023年9月5日、弥彦FIIにて達成(翌6日に高橋梨香が記録更新)

エピソード 編集

  • ガールズケイリン選手で弟子を取った選手はほかに梶田舞(弟子は山本レナ)、石井寛子(弟子は岡本二菜、但しのち解消)、小坂知子(弟子はアマチュア選手)、溝口香奈(弟子は安東莉奈)、中村由香里(弟子はアマチュアの男子選手)がいるが、男子選手を、加えて複数の選手を弟子に取ったのは加瀬が初めてである[25](弟子を取った経緯は、外部リンクの「Winners 〜栄光の軌跡〜」【後編】を参照のこと)。

参考文献 編集

脚注 編集

  1. ^ 広報KEIRIN、第130号 - 3ページ目参照
  2. ^ 日本競輪学校女子第1回生徒入学試験合格者名簿 - KEIRIN.JP
  3. ^ 競輪の卒業記念レース 女子は加瀬が優勝 - スポニチアネックス 2012年3月22日付
  4. ^ 競走成績戦法別一覧表 (PDF) - KEIRIN.JP
  5. ^ 加瀬加奈子TTで日本新/全プロ競技大会 - 日刊スポーツ 2012年5月15日付
  6. ^ 2012年7月1日、平塚第7レース結果 - 楽天Kドリームス
  7. ^ 2012/07/15(最終日)第9レースA級ガールズ決勝 - KEIRIN.JP
  8. ^ 『ガールズグランプリ2012【FII】』出場予定選手の決定について - KEIRIN.JP 10月23日付
  9. ^ [1] - ガールズケイリン:加瀬加奈子、交通事故で出場自粛「100%の状態で臨めない」 2013年09月11日
  10. ^ 欠場理由として『病気欠場』となっているが、現状では妊娠発覚による欠場が理由にないため、健康体だが『病気欠場』とした。
  11. ^ 高田真幸 - keirin.jp
  12. ^ “【競輪】ガールズの加瀬加奈子が妊娠 出産予定は来年2月「産後も現役を続ける」”. デイリースポーツ (神戸新聞社). (2018年7月12日). https://www.daily.co.jp/horse/2018/07/12/0011439538.shtml 2018年7月12日閲覧。 
  13. ^ 記念すべき - 加瀬加奈子ブログ「加瀬加奈子の男道」、2018年11月11日
  14. ^ “ガールズ1期生の加瀬加奈子が出産「旦那も大喜び」”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2019年2月2日). https://www.nikkansports.com/public_race/news/201902020001031.html 2019年2月3日閲覧。 
  15. ^ “加瀬加奈子7月に復帰「出産より怖いものはない!」”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2019年6月3日). https://www.nikkansports.com/public_race/news/201906030001096.html 2019年6月4日閲覧。 
  16. ^ “【競輪】ガールズの加瀬加奈子が出産後初優勝 現役選手で産休後優勝は初めて”. デイリースポーツ (神戸新聞社). (2019年11月27日). https://www.daily.co.jp/horse/2019/11/27/0012912281.shtml 2019年12月3日閲覧。 
  17. ^ “1期生加瀬加奈子がガールズ最年長V更新/青森”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2021年7月13日). https://www.nikkansports.com/public_race/news/202107130000553.html 2021年7月13日閲覧。 
  18. ^ 2022年7月13日、弥彦競輪第10レース - Rakuten Kドリームス
  19. ^ 42歳加瀬加奈子が最高齢優勝記録を更新”. netkeirin (2022年10月12日). 2022年10月13日閲覧。
  20. ^ ライちゃん [@raichan_toyama] (2022年11月1日). "本日(11/1)富山競輪で♥️加瀬加奈子選手(新潟)が㊗️通算300勝達成ラーーイ🎀". X(旧Twitter)より2022年12月1日閲覧
  21. ^ 2023年04月20日 レース詳細/奈良 11R”. 楽天Kドリームス (2023年4月20日). 2023年6月11日閲覧。
  22. ^ KEIRINスポニチ [@sponichikeirin] (2023年8月15日). "【#青森 ミッドナイト #ガールズケイリン】". X(旧Twitter)より2023年8月15日閲覧
  23. ^ “【弥彦競輪F2・ガールズ決勝】加瀬加奈子が最年長V記録更新!「これが感無量というやつですね」”. スポーツニッポン (スポーツニッポン新聞社). (2023年9月5日). https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2023/09/05/kiji/20230905s00052000435000c.html 2023年9月5日閲覧。 
  24. ^ KEIRINスポニチ [@sponichikeirin] (2023年11月26日). "【#川崎 #ガールズケイリン 記録更新‼️】". X(旧Twitter)より2023年11月27日閲覧
  25. ^ “加瀬加奈子は3着で余裕の決勝進出 新人男子3人の弟子を刺激に先行力も競走得点も上昇中/豊橋”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2022年11月12日). https://www.nikkansports.com/public_race/news/202211120000605.html 2022年11月12日閲覧。 

外部リンク 編集