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不法滞在(ふほうたいざい)または不法滞留(ふほうたいりゅう)とは、出入国関係法令(日本の場合は出入国管理及び難民認定法)に違反した状態で外国(自らが国籍を有する以外の国)に滞在している状態を指す。非正規滞在あるいは超過滞在あるいはオーバーステイ英語: over stay)という表現が用いられることもある。

概要編集

難民法を立法化している国では政治難民は不法滞在にならない。ただし不法滞在の外国人が捕まると退去強制を逃れる手段として虚偽の難民申請をする場合が多く、難民に対する法的扱いに寛容なヨーロッパでは、不法滞在で逮捕される者の多くが引き伸ばしの手段として難民申請を行う。不法入国者の大多数が難民認定を申請し、滞在し続けているという現状があるため[要出典]、難民申請者は不法移民であるという偏見がヨーロッパで定着してしまった。

俯瞰的な観点からみると、世界各国の後進国から先進国への不法入国及び不法滞在が散見され、近年は不法移民の流入によって先進国の社会不安が増大したことから、特に不法移民取締の要請が社会的に強まりつつある。ヨーロッパのように不法入国者による犯罪や移民反対デモに則して移民全体に厳しい措置をとる国もある一方で、移民の制限を緩めて合法的に移民をしやすくし、質の悪い(犯罪や反社会的行為に走るような)不法移民を選別しようとする国も存在する。外国人が不法滞在者であることのみをもって国外退去を命じることは、難民の人権保護等の観点から問題があるとの意見もある[誰によって?]。1869年の移民法可決から長きにわたり移民受け入れに寛容とされてきたカナダも、移民の流入先は都市部に偏っており、移民は税収増につながらないばかりか難民制度を悪用した不正移民及び社会不安により移民に消極的になっていると報道されている。

不法滞在者は法的な地位が安定していないことから刑事犯罪に走る傾向があるとされ[誰?]、その抑止のため日本では近年不法滞在者の摘発が強化されつつある。また、日本では昨今の不況を反映して多くの企業で人件費の削減が進められているが、そのために企業が不法滞在者を不当に安い賃金で労働に従事させるなどの問題が表面化している。1990年(平成2年)の全ての移住労働者及びその家族の権利の保護に関する国際条約はこうした背景から採択された。

種類編集

不法滞在は不法残留不法移住不法入国による短期間の滞在に大別される。不法滞在者は退去強制(いわゆる「強制送還」)の対象となる。日本にはEU諸国間におけるシェンゲン協定のような、外国人が自由に往来できる制度がないため、日本国籍を持たない人(外国人)が合法的に日本に滞在するためには、一部の例外を除き、出入国管理及び難民認定法(入管法)に定める在留資格のいずれかを持たなければならないこととなっている。したがって、日本における不法滞在者とは在留資格(厳密には「在留の資格」)を持たない外国人を指すと言ってもよい。

不法残留(日本の場合)
入国する際には、空港またはで上陸許可を受け、在留資格を有していたが、定められた在留期限満了後も出国せずに在留していること(オーバーステイ・超過滞在)。
不法入国
上陸許可を受けず、したがって在留資格を取得せずに入国すること。または、有効でないパスポートを用いるなど、不正な手段で入国すること。
不法入国の手段は、近年では偽変造パスポート行使、船舶による密航など多様化している上、人数の把握ができないため、対策が困難である。
不法移住(Illegal immigration)
不法入国し、長期にわたって居住すること。

日本の状況編集

 
2015年~2019年(各年1月1日現在)の不法残留者数の推移[1]
  • 日本では不法滞在者が1993年平成5年)の約30万人をピークに年々減少し、2014年(平成26年)年初には59,061人に激減した。新しい入国審査制度やオンライン情報受付などによる[2]出入国管理及び難民認定法第62条や第66条に規定される報償金に対する認知向上などが効果を上げたと見られた。しかし、2015年(平成27年)以降は増加し、2019年は、74,167人となった。

原因として、

  • 政府東南アジア諸国からの観光客誘致やビジネス面での利便性向上を目的に、東南アジアに対して査証緩和を実施したことに伴い新規入国の数が増えたこと[3]

下記の日本における不法残留者数にあるタイフィリピンベトナムインドネシアマレーシアは2013年7月1日に緩和措置(タイ・マレーシアは査証免除)がなされており、2014年にもフィリピン・ベトナムで2回、インドネシアで3回、2015年は中国で1回、2016年はベトナムで1回、2017年は中国で1回、2018年はフィリピンで1回、2019年1月時点では中国で1回の緩和措置がされている[4]

  • 景気回復を背景にアジア諸国からの技能実習生や留学生の来日などが活発になったこと[5]

2019年のベトナム人不法残留者の場合、11,131人の内5,587人(ベトナム人不法残留者全体の約50.1%)が技能実習(その内、受入れ方式が団体監理型である1号ロ[入国1年目]が2,403人、2号ロ[入国2・3年目]が3,166人)で、次いで留学が3,065人(ベトナム人不法残留者全体の約27.5%)であった。一方、中国人不法残留者の場合は、10,119人の内2,819人(中国人不法残留者全体の約27.9%)が技能実習(その内、受入れ方式が団体監理型である1号ロが1,239人、2号ロが1,572人)であり、留学は1,074人(中国人不法残留者全体の約10.6%)であった。ベトナムと比べて割合が低く、短期滞在(4,321人、中国人不法残留者全体の約42.7%)が多くを占めている。技能実習の場合、ベトナムだけで不法残留技能実習生全体の約59.7%(1号ロは約59.9%、2号ロは約59.5%)で占めており、中国を加えた場合、約89.7%(1号ロは約90.7%、2号ロは約89.1%)となる。留学の場合はベトナムだけで不法残留留学生全体の約65.1%を占めており、中国が加わった場合、約88.0%となる[1]

また、2018年の新規入国の技能実習生(技能実習1号ロ)は、137,973人であり、5年前の61,841人と比べ、約2.2倍増加している。国籍別では、ベトナム71,368人(技能実習生[技能実習1号ロ]全体に占める割合:約51.7%)、中国32,310人(技能実習生[技能実習1号ロ]全体に占める割合:約23.4%)、インドネシア11,511人(技能実習生[技能実習1号ロ]全体に占める割合:約8.3%)フィリピン、10,806人(技能実習生[技能実習1号ロ]全体に占める割合:約7.8%)であり、ベトナムと中国で約4分の3を占め、フィリピンとインドネシアを加えると全体の約9割を占める[6][7]

かつては中国からの入国者だけで7割以上を占めたが、近年は中国国内の賃金上昇(製造業一般工の場合 上海:249ドル[2008年]→662ドル[2018年] 深セン:204ドル[2008年]→490ドル[2018年][8])により技能実習生としての来日希望者が46,636人(2012年)から32,310人(2018年)と約3割減少した。一方でベトナムからの入国者が6,768人(2012年)から71,368人(2018年)と約10.5倍になっており、急増している[6][7]

  • 技能実習生が、来日後に別の仕事を求めて実習先から姿を消すケースが増えていること[9]。背景には、就業先の劣悪な労働環境(低すぎる賃金、長時間労働)がある[10]

失踪者は、2018年は9,052人であり、6年前の2,005人と比べて4.5倍と急増している。国別の内訳は2017年の7,089人の内、その多くを占めるのがベトナム(3,751人)であり、失踪者全体の約52.9%を占める。2016年までは中国の方が多かったが、ベトナム人技能実習者の失踪者数の増加(496人[2012年]→3,751人[2017年])と中国人技能実習者の失踪者数が2015年のピークを境に減少(1,177人[2012年]→3,116人[2015年]→1,594人[2017年] )したことにより、2017年はベトナムが最多となった[11]。更に、2015年~2018年の間に、技能実習生全体の約2%前後が毎年失踪している。[12]

野党7党派は2018年12月3日、失踪した技能実習生に対して法務省が2017年に実施した聞き取り調査の「聴取票」を独自に分析した結果を公表した所、全体の約67%にあたる1,939人が最低賃金(時給714円=2016年の沖縄県宮崎県)未満で、約10%にあたる292人が月の残業時間が「過労死ライン」とされる80時間を超えていたとしている。聴取票は、失踪後に入管法違反などで摘発された実習生から入国警備官が聞き取って記入するもの。国籍・性別、失踪動機、月給、労働時間などを尋ねる項目がある。法務省は昨年、2,870人を対象に実施。失踪動機(複数回答)の最多は「低賃金」の1,929人(67.2%)で、このうち144人(5.0%)が「契約賃金以下」、22人(0.8%)は「最低賃金以下」だった。月給は「10万円以下」1,627人(56.7%)、「10万円超~15万円以下」1,037人(36.1%)などとなった。 調査対象者は2,870人だったが、聴取票は22人分の重複があり、法務省は2,892人分として開示。野党が開示データをもとに算定したところ、月給は平均10万8,000円、光熱費などの名目による控除額は平均3万2,000円だった[13]

また、2019年3月29日、法務省の発表より、2017年1月~18年9月に不法残留等により入国警備官の聴取を受けて聴取票が作成された失踪技能実習生5,218人のうち少なくとも759人(延べ937人)に、最低賃金違反など実習先による不正行為の疑いがあった。その内訳は、

  • ①最低賃金違反(当時における地域別最低賃金を下回る賃金しか支払われていないおそれのあるもの):58人
  • ②契約賃金違反(契約条件を下回る賃金しか支払われていないおそれのあるもの):69人
  • 賃金からの過大控除(賃金から住居費や食費等が控除される場合において、実費を上回る過大な控除がなされているおそれのあるもの):92人
  • 割増賃金不払い(時間外労働等に対する割増賃金が適正に支払われていないおそれのあるもの):195人
  • ⑤残業時間等不適正(36協定未締結の状態で,又は36協定に違反して,残業又は休日労働をさせているおそれのあるもの):231人
  • ⑥その他の人権侵害(①~⑤に該当するもののほか,暴行脅迫監禁,違約金・強制預金、旅券在留カード・預金通帳等の取上げ,正当な理由のない帰国の強制、ハラスメント等の重大な人権侵害に該当するおそれのあるもの):36人
  • ⑦書類不備(賃金台帳が備え付けられていないもの又は保存期間の満了前に賃金台帳を廃棄した等の重大な不備があるおそれのあるもの):222人
  • ⑧その他の不正行為等(技能実習計画との齟齬、虚偽帳簿書類の提出等に該当するおそれのあるもの)34人

となっている。更に、2012年~2017年(6年分)の技能実習生の死亡事案171件の内、監理団体等の報告漏れ、入管局の記載漏れ等の43件あり、入管当局における死亡事案の把握が不十分であることが露見された。[12]

上記の理由による背景があると考えられる。

  • 不法滞在者の多くは、日本での経済的利益を得ることを目的としているが、渡航費や斡旋手数料などとして莫大な前借金を負わされて日本に入国し、強制的に働かされている者もおり、人身売買として問題となっている。不法滞在者はもちろん、それを雇った事業主や不法入国を援助した者に対しても罰則がある。
  • 1990年代初頭の不法滞在者数は現在と違い、1993年(平成5年)の時点でタイ人が55,380人、イラン人が同年5月1日時点で40,001人[14]となっていた

日本における不法残留者数編集

1995年(平成7年)以降、韓国人の不法滞在者数が1位となっている。また、韓国とタイ、フィリピン、マレーシア、シンガポールでは女性の方が男性よりもかなり多い。

2019年(平成31年)1月1日現在と最盛期[15]の比較
  • 韓国 12,766人 〈構成比17.2%〉← 62,580人(1999年)
  • ベトナム 11,131人(構成15.0%)≪最盛期≫
  • 中国 10,119人 (構成比13.6%)← 39,740人(1994年)
  • タイ 7,480人 (構成比10.1%)← 55,380人(1993年)
  • フィリピン 5,417人 (構成比7.3%)← 42,610人(1998年)
  • 台湾 3,747人(構成比5.1%)← 9,437人(1999年)
  • インドネシア 3,323人(構成比4.5%)← 7,246人(2004年)
  • マレーシア 1,808人(構成比2.4%)← 38,530人(1992年)
  • シンガポール 1,021人(構成比1.4%)
  • ブラジル 938人(構成比1.3%)← 5,026人(1997年)
  • その他 16,317人(構成比22.1%)← 87,930人(1992年)
  • 計 74,167人 ← 298,600人(1993年)
法務省資料

入国者収容所等に収容されている不法滞在者の状況編集

ビザの有効期限を過ぎても日本にとどまるなどして不法滞在となり、入国者収容所等に6カ月以上長期収容されている外国人が増えている。長期化している主な理由として

  • 東京入国管理局が2010年に強制送還しようとしたガーナ国籍の男性(当時45歳)が飛行機の中で死亡したこと。男性を「猿ぐつわ」や結束バンドで拘束し、前かがみの姿勢を取らせていたことが問題となり、3年弱は強制送還がなされず、再開後は帰国を拒否する収容者が増えたこと。
  • 不法滞在者の国籍国の駐日大使館等が送還忌避者(退去強制令書が発付され,本来なら国籍国へ送還されるべき立場にもかかわらず,諸般の事情等により直ちに送還できないことから,一時的に収容を解かれている者)に係る臨時旅券の職権発給を拒否し、身柄取引が出来ず強制送還できないこと。
  • 入管法第61条の2の6第3項の規定により、難民手続中は強制送還が停止される。その為、この事情を知って申請する収容者が多くなったこと(2016年の退令仮放免者(3,555人)中、約半数(1,759人)の者が難民認定申請していた。)
  • 入国管理局に対して処分取消請求訴訟を提起することで、「裁判を受ける権利」に配慮して,訴訟係属中の者に対しては裁判の終結まで事実上送還を行っていないこと
  • 法務省が施設外での生活を認める「仮放免」の審査を厳しくしたこと

などがある。[16][17]

2016年末に収容されていた1,133人中、6カ月以上の「長期収容者」は313人(約28%)だったが、2017年末は1,351人中576人(約43%)と人数、割合がともに増加した。2018年に入ってからも急増し、7月末時点で1,309人中709人(約54%)だった。収容が5年を超える人もいる。[17]

医療面に関しては、全国にある17の入管施設で常勤医がいるのは東日本入国管理センターのみである。しかし、常勤医は日勤で、医師のいない夜間は朝まで待つか、職員の判断で救急搬送するしかない。いずれも、近隣の民間医療機関などの医師が輪番で勤務しているが、入管当局の幹部は「土日や夜間でも相談できる常勤医師がいないと困る。救急の場合など、外部医療機関への搬送が増える」とこぼす。外部へ搬送するには、逃走防止のため職員数人が交代制で付き添わなければならない上、健康保険が適用されず高額の医療費がかかってしまう。そのため、隣接の医師会へ呼びかけるなどして常勤医の募集をしているが、一向に集まらない。背景には、民間医療機関の医師と比較した給料の低さや最先端の医療から取り残される不安があるためである。[18][19]

また、少なくとも東日本入国管理センターでは、かつてはシャワー室前に監視カメラが設置されていたが、プライバシー権の侵害だと問題視され、2018年10月12日に撤去された。更に、居室外に出られるのが午前・午後の3時間ずつだけで、運動場には金網の天井が張り巡らされている。[19]

不法滞在者による犯罪編集

2018年(平成30年)の 外国人犯罪者の日本全体の刑法犯検挙件数に占める割合は、約3.1%であり、総検挙人員は約2.8%であった。 外国人犯罪者の約29.8%(刑法犯:約6.3%、特別法犯:約56.1%)が不法滞在者であり、2018年(平成30年)の 外国人犯罪者の総検挙者数の内訳では、正規滞在は7,777人(内 刑法犯:5,478人、特別法犯:2,299人)、不法滞在の犯罪者3,305人(内 刑法犯:366人、特別法犯:2,939人)である。不法滞在者による犯罪には、まず窃盗(不法滞在刑法犯検挙人員の約64.2%[235件])や入管法違反(不法滞在特別法犯検挙人員の約96.8%[2,846件])が多く、次いで覚醒剤大麻麻薬及び向精神危険ドラッグの密輸入及び違法製造・栽培、密売、所持の薬物事犯(不法滞在特別法犯検挙人員の約1.9%[55件])、さらに知能犯(不法滞在刑法犯検挙人員の約11.7%[43件])などがある[20]

チャイニーズドラゴン関係者らによる事件
平成29年6月、中国人の男らは、平成29年2月、飲食店において同席した中国人の男性らに対し、瓶で殴るなどの暴行を加え、傷害を負わせた。同年6月、中国人の男2人(定住者)を傷害罪で逮捕した。
中国人及び日本人の男女らは、平成29年7月、カラオケ店に日本人女性を呼び出して監禁し、頭部等を殴打するなどの暴行を加えて現金を脅し取ろうとした。同年9月、中国人の男女5人(永住者、日本人の配偶者等、定住者、技能)及び日本人の女1人を監禁罪、傷害罪及び恐喝未遂罪で逮捕した。
中国人の男は、他の者と共謀の上、平成29年8月、カラオケ店に中国人男性を呼び出して監禁し、顔面や頭部等を殴打するなどの暴行を加えて現金を脅し取ろうとした 同年10月 中国人の男1人(特定活動)を監禁罪、傷害罪及び恐喝未遂罪で逮捕した[21]
ベトナム人による窃盗等事件
ベトナム人の男女らは、平成28年10月から同年11月にかけて、佐賀県熊本県及び福岡県の衣料品販売店において衣料品を窃取し、東京都のマンションの一室に郵送し、航空機を利用して海外へ運搬していた。平成29年7月までに、ベトナム人の男3人(不法残留)を窃盗罪で逮捕し、盗品を海外へ運搬していたベトナム人の女2人(短期滞在)を盗品等運搬罪で逮捕した[21]
有印公文書偽造による入管法違反
不正取得した旅券在留カードを使用して、不法出国と不法入国を繰り返す犯罪もある。2012年(平成24年)に愛知県で起きた韓国人女性による入管法違反の事件では、2009年(平成21年)10月から2010年(平成22年)4月までの間、不法滞在の女性が不正取得した旅券を使用し、日本人女性になりすまして日韓間の出入国を何度も繰り返していた事件がある[22]
偽装認知
不法滞在の外国人が在留資格を得る目的で、実の子と偽って日本人に認知してもらうことをいう。2009年(平成21年)2月に、東京都で起きた中国人による偽装認知事件では、中国人2人の間にできた子供を日本人男性との間にできた子供と偽り、日本人男性が認知したとする虚偽の届け出を市役所に提出し、中国人が日本国籍の実子を養育していたもので、中国人父母と日本人男性の間に面識はなかった。
不法出入国
日本国内での犯罪から逃亡するために[23]、また不法滞在者が用事などで一時帰国せざるを得なくなり、その際に正規手続きによって日本から出国をすると不法滞在が判明してしまう為、これを防ぐ目的での「不法出国」が増加している。2006年(平成18年)に、海上保安庁が摘発した不法出国者数は41人。このうち36人が韓国人で、そのほとんどは女性であった[24]。2013年には、福岡県で釜山広域市へ帰るため、釣り船を待っていた不法滞在の韓国人女性6人が摘発されている[25]。女性らは韓国へ退去強制されたが、再び日本へ渡航するために釣り船による密航を行なっている。警察では「日本の上陸拒否期間を知った上で組織的に行われた悪質な犯行」としている[25]

デマ編集

2015年7月8日、それまでの外国人登録証から新たな在留カードへ移行する期限を迎えたが、このとき「この移行に伴い、同年7月9日以降在日は全員不法滞在者になり、強制送還される」という噂が、インターネット上に広がった[26]。この結果、法務省入国管理局に寄せられる不法滞在の通報メールが、7月から9月までで1万件程度に及び、在日朝鮮人らに関する根拠のない情報が大幅に増えた[26]

入国管理局は受け付けを一時停止し、業務妨害等に当たらないか警察に相談し「外国人を中傷する電子メールは、通報システムの目的にそぐわず、まったく遺憾だ」としている[26]。通報メールは2004年に導入され、日本弁護士連合会は、2005年「一般市民に、不法滞在者ではないかという注意を向けさせ、外国人への偏見や差別を助長する」などと、中止を求める意見書を法務大臣宛てに提出、2015年11月、市民団体「移住者と連帯する全国ネットワーク」が法務省に対し「差別の扇動につながる」と指摘していた[26]

脚注編集

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  1. ^ a b “本邦における不法残留者数について(平成31年1月1日現在)” (プレスリリース), 法務省出入国在留管理庁, (2019年3月22日), http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00079.html 2019年3月22日閲覧。 
  2. ^ 「情報受付」 法務省出入国在留管理庁
  3. ^ 御木本千春 (2016年3月11日). “在留外国人、過去最多の223万人 - 不法残留も増加” (日本語). マイナビニュース. http://news.mynavi.jp/news/2016/03/11/495/ 2019年3月22日閲覧。 
  4. ^ “最近のビザ緩和(一般旅券所持者)” (プレスリリース), 外務省, (2019年1月), https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000110948.pdf 2019年3月22日閲覧。 
  5. ^ 在留外国人が過去最多…不法残留者も2年連続増 読売新聞社 2016年3月11日
  6. ^ a b “平成30年における外国人入国者数及び日本人出国者数等について(確定値)” (プレスリリース), 法務省出入国在留管理庁, (2019年3月22日), http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00080.html 2019年3月22日閲覧。 
  7. ^ a b 法務省司法法制部. “出入国管理統計統計表”. 2018年7月28日閲覧。
  8. ^ 松山 昭浩 (2019-05-08) (PDF). アジア・オセアニア各国の賃金比較 (2019年5月) (Report). 三菱UFJ銀行国際業務部情報室. https://www.bk.mufg.jp/report/insasean/AW20190508.pdf 2019年6月3日閲覧。. 
  9. ^ 和田武士 (2019年3月22日). “在留外国人過去最多に、不法残留者は5年連続増 法務省” (日本語). 毎日新聞社. https://mainichi.jp/articles/20190322/k00/00m/040/192000c 2019年3月22日閲覧。 
  10. ^ “失踪実習生、最低賃金未満67% 野党が分析、「政府説明は虚偽」”. 共同通信. (2018年12月3日). https://this.kiji.is/442267346399560801 2018年12月5日閲覧。 
  11. ^ 法務省 (2018-03-23) (PDF). 資料4 技能実習制度の現状 (不正行為・失踪) (Report). http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/fiber/ginoujisshukyougikai/180323/4_moj-genjyou.pdf 2018年7月28日閲覧。. 
  12. ^ a b 法務省 技能実習制度の運用に関するプロジェクトチーム (2019-03-28) (PDF). 調査・検討結果概要 (Report). https://www.kantei.go.jp/jp/singi/gaikokujinzai/kaigi/dai4/siryou3.pdf 2019年4月7日閲覧。. 
  13. ^ “失踪実習生 67%が最低賃金未満 野党7党派が法務省調査を分析”. 毎日新聞. (2018年12月3日). https://mainichi.jp/articles/20181203/k00/00m/010/634000c 2018年12月5日閲覧。 
  14. ^ “本邦における不法残留者数について(平成13年1月1日現在)” (プレスリリース), 法務省入国管理局, (2001年4月), http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/press_010413-1_010413-1.html 2019年3月23日閲覧。 
  15. ^ 外国人登録の状況と不法滞在者
  16. ^ 法務省出入国在留管理庁 (2017-11) (PDF). 退去強制業務について(13ページ、PDF14ページ) (Report). http://www.moj.go.jp/content/001240066.pdf 2019年3月17日閲覧。. 
  17. ^ a b 藤原学思 (2018年9月23日). “不法滞在の外国人、収容が長期化 半年以上が700人超” (日本語). 朝日新聞. https://www.asahi.com/articles/ASL9G7CZ5L9GUHBI01Q.html 2019年3月17日閲覧。 
  18. ^ “不法滞在者収容 入国管理センター 常勤医師「ゼロ」に 救急不安 医療費も高額化” (日本語). 産経新聞. (2015年2月26日). https://www.sankei.com/affairs/news/150226/afr1502260033-n2.html 2019年3月17日閲覧。 
  19. ^ a b “医療劣悪、権利制限も 入管施設 塩川・藤野氏が視察 茨城・牛久” (日本語). 新聞赤旗. (2018年10月21日). https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-10-21/2018102102_03_1.html 2019年3月17日閲覧。 
  20. ^ 警察庁組織犯罪対策部組織犯罪対策企画課 (2019-03) (PDF). 平成30年における組織犯罪の情勢【確定値版】 第3章 来日外国人犯罪情勢(P85、P90、P94) (Report). https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/kikakubunseki/sotaikikaku04/h30.sotaijousei.pdf 2019年3月29日閲覧。. 
  21. ^ a b 警察庁組織犯罪対策部組織犯罪対策企画課 (2018-04) (PDF). 平成29年における 組織犯罪の情勢【確定値版】 第4章 来日外国人犯罪情勢(P104:チャイニーズドラゴン、P107:ベトナム人による窃盗事件 (Report). https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/kikakubunseki/sotaikikaku03/h29.sotaijousei.pdf 2019年3月23日閲覧。. 
  22. ^ 来日外国人犯罪の検挙状況<平成24年上半期>P24 警察庁刑事局組織犯罪対策部  2013年(平成25年)5月閲覧
  23. ^ 「JR西日暮里スプレー噴射事件 密入国ルート」2006年4月12日統一日報
  24. ^ 「不法出国 90%は韓国女性」2007年5月2日 統一日報
  25. ^ a b 風俗店に就業するため日本へ密航しようとした女性らを摘発=韓国 サーチナ 2013年(平成25年)5月13日
  26. ^ a b c d “不法滞在の通報、前年比3倍超 ネット上のデマ影響か”. 朝日新聞. (2015年12月23日). http://digital.asahi.com/articles/ASHDK5T49HDKOIPE01M.html 

関連項目編集