怪物魚を追え!』(かいぶつぎょをおえ!、原題:River Monsters)は、イギリスブリストルのアイコニック[1]が制作した野生生物を取り上げたドキュメンタリー番組釣り番組である。ディスカバリーチャンネルの動物専門チャンネルであるアニマルプラネットにて、2009年4月5日から2017年5月28日にかけて全9シーズンが放送された。

怪物魚を追え!
ジャンル ドキュメンタリー番組
釣り番組
司会者 ジェレミー・ウェイド
作曲 ティモ・ベイカー
国・地域 イギリスの旗 イギリス
シーズン数 全9シーズン
話数 57話
スペシャル44話
追加エピソード2話
各話の長さ 40分 (オリジナル)
50分 (延長カット)
90分(いくつかの話と最終話)
製作総指揮 ハリー・マーシャル
ローラ・マーシャル
リサ・ボサック・ルーカス
プロデューサー アンディ・クレア
ルーク・ウィルズ
ダグ・マッケイ・ホープ
製作 アイコニック、ディスカバリーチャンネル、ITV スタジオ
配給 ITV スタジオ・グローバル・エンターテインメント
放送
放送チャンネル アニマルプラネット、ITV、 ディスカバリーチャンネル、ディスカバリー マックス
放送期間 2009年4月5日 (2009-04-05) - 2017年5月28日 (2017-05-28)
番組公式サイト(英語)
アイコン・フィルム公式サイト(英語)
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生物学者であり釣り人でもあるジェレミー・ウェイドが、最も恐ろしい淡水魚を探して世界中を旅し、目撃者や、実際にそれらのモンスターによって襲われた被害者などの話を元に、怪物魚を釣り上げるのが目的である。釣った個体は最後には必ず野生に戻している(キャッチ・アンド・リリース)。これらの珍しい生物というものは、得てして人間にとって危険であると誤解されやすく、しばしば駆除や虐殺の対象となる。生物学者でもある彼の目的は、これらの珍しい生物を絶滅から救うために、その生物が本当に人間に対して有害であるかどうか、真実の生態を人々がきちんと理解できるようにすることである。

概要編集

『怪物魚を追え!』は、生物学者、冒険家、釣り人であるジェレミーウェイドがホストとなり、世界各地のを探検し、地元の民間伝承や恐ろしい怪物伝説の背後にひそむ生き物の謎に迫る。 番組でこれまで訪れた国は、カナダドイツスペインイタリアスコットランドアイスランドノルウェーアルゼンチンオーストラリアニュージーランドパプアニューギニアインド日本ロシアスリナムブラジルガイアナメキシコペルーエチオピアウガンダ、南アフリカ、 コンゴ共和国モンゴルであり、アメリカ国内だけでもアラスカ州フロリダ州ミズーリ州オクラホマ州テキサス州オレゴン州ワシントン州およびバーモント州にも及ぶ。

当番組はイギリスのITVで初放送され、アニマルプラネットの歴史の中で最も注目され、最も成功した番組の1つとなった。アメリカで放送されたディスカバリーチャンネルの番組の中では、最も視聴された番組の1つである。

番組の性質上、実際に人間に危害を加える生物もいるため、それらの生物を扱う回[2]では「刺激の強い映像が含まれます。ご了承の上ご視聴下さい」という注意 ナレーションが冒頭で挿入される。

番組は サスペンス調になっており、冒頭に水辺で人間が襲われたり、 死体が発見されたり、 行方不明事件などが起き、その原因を被害者や目撃者、研究者などから聞き込みを行い証言を得ることでじょじょに謎を解いていく。犯人(怪物魚)に目星を付け、釣り上げることで事件の真相を解き明かす[1]

釣った怪物魚の生態などを解説した後は、最後に必ずリリースする。これは実際に人間を襲った犯人が怪物魚だったとしても、それは人間が魚の聖域に入ってしまったのが原因だからである。ジェレミー曰く「多くの場合では、地元の人間が襲われるのではなく、観光客などの人が何の予備知識も情報もなく、そのような所に侵入したことが原因です」[1]。魚の生息域に無断で踏み込んでいってしまった人間にも、責任の一端があるというニュアンスを伝えるために、魚をリリースするシーンを毎回入れている[1]。またその様な怪物魚たちは、その地域の生態系頂点である事が多く、個体数の少ない希少種であること。またピラミッドの頂点がいなくなる事で生態系のバランスも崩れてしまうことも考えられる。生態系を守るためには怪物魚を川に戻すことは必要不可欠だと語る[1]

最初のシーズンでは、ピラニアアリゲーターガーオオメジロザメなどを取り上げた。それらはすべて、人間にとって危険な生き物と認識はされているが、その生態を詳しく理解できている人は少ない。この番組では、その怪物と呼ばれる生き物たちの捕食習慣、行動、保全状況についても説明した。特定のエピソードは、ホストの舞台裏の解説を示すキャプション付き『怪物魚を追え!:Unhooked』として再放送され、アニマルプラネットとディスカバリーチャンネルの両方で見ることもできる。

制作編集

釣り好きだったジェレミーだが、20代前半の頃にイギリスという小さな国での釣りに飽きてしまう。ある時、読んだ雑誌にインドの魚について書かれた記事があり、思い切ってインドへ向かう。違う環境に置かれたことで、充実感や自信を身につける[1]。イギリスに戻り、その体験を雑誌に寄稿したところ、署名記事に選ばれたことで、「もしかしたらこれが、自分の職業になる可能性もあるかも」という手応えを感じる[1]

その後何冊か本を出版しつつ、全世界を旅するうちに、地元の人間たちの間で噂される怪物たちに興味を持ち始め、2005年頃に『リバー・モンスターズ』の構想ができあがる。イギリスのさまざまなテレビ番組制作会社にその企画を売り込む中で、話に乗ってくれたアイコニックという会社だった[1]。それは2009年に単発の1年番組ということで放送を開始したが、反響が良かったため(後述の評価も参照)、続編が制作されることが決定した[1]。日本でも2012年10月3日放送の『マツコ&有吉の怒り新党』で当番組が取り上げられた[3]

だが本人によると、番組4年目のシーズン4の時点で既に取り上げる題材が少なくなってきた事から「もうそろそろ限界ではないか」と感じ始めていたが、人気もあったことからさらに5年ほど番組は続いた。だが2017年にシーズン9に突入し「これで、もう本当に限界」となり、番組は終了する事になった[1]

『怪物魚を追え!』は終了したが、2019年8月よりアニマルプラネットで新番組『ダーク・ウォーターズ』の放送を開始した。これは前作が”淡水魚”というくくりであるのに対し、こちらはもっと幅広く、水辺に住む怪物や、人魚と言ったものにまで対象を広げている[4]。また、殺人魚などホラー要素やサスペンス色の強かった前作に比べ、「面白そうだな」「楽しそうだな」と感じる題材を探求していくという[1]

出演者編集

 
ジェレミーウェイド(2011年)
- 大塚芳忠[5]
番組のホストを務める生物学者で、専門は淡水魚[6]。1956年3月23日[7]、イギリスサフォーク生まれ[8]
ブリストル大学動物学学位を取得し、ケント大学生物科学大学院を卒業した。その後、ケント中学校の生物学の教師としても働いていたことがある[9]
釣りに興味を持ち始めたのは、イースト・アングリアに住んでいた時から。 「私が生まれ育ったイギリス南東部のサフォーク州の村には川が流れていました。ある程度の年齢の男の子たちは誰もが釣り竿が渡されて「勝手に遊んできなさい」と言われるような環境でした」[1]。「だからアルプス山脈の麓に生まれた人が自然と登山家になるのと同じように、私は川に引き付けられたんだと思います」[10]
1992年にポール・ブーテと共に、最初の本『クレイジーリバーのどこかで』(原題: Somewhere Down the Crazy River)を出版し作家デビュー[11]
撮影中、何度か危険な目にも遭っている。タイでは観光客があまり来ない場所で釣りをしていたため、スパイ容疑で警察逮捕されている。タイにわざわざ魚を釣りに来る人間などおらず、魚の写真を撮ったり、そのまま逃がしたりといった行動が、タイ人にとっては理解しがたい不審な行動に見えたのだという[4]
ディスカバリーUKとの初めての仕事でアマゾンに行った時、ロケ地に向かう飛行機エンジンが空中で停止し墜落しかけたこともある。その時はパイロットの腕が良く、沼地帯に不時着させたため、本人も撮影スタッフも怪我をした者はいなかった[4]
2014年には『シャークネード』を製作したアサイラム社の映画ブラッド・レイク:アタック・オブ・ザ・キラー・ランプリーズ英語: Blood Lake: Attack of the Killer Lampreys』にヤツメウナギ専門家として出演し、俳優デビューもしている。
当番組を通して数々の怪物魚を釣り上げたことから、日本では「神釣り師」とも呼ばれている[12][13]。2019年6月に来日し、同じく世界中を旅する芸人千原せいじ[13]、日本人で怪物魚ハンターとし活躍している平坂寛らとトークショーを行った[12]

エピソード編集

シーズン1(2009)編集

全6回

話数 原題 日本語タイトル ロケ地 怪物魚
1 Alligator Gar 伝説の古代魚 アメリカ・テキサス州 アリゲーターガー
2 European Maneater ヨーロッパの巨大魚 ドイツベルリン ヨーロッパオオナマズ
3 Piranha 最凶ピラニア アマゾン川 ピラニア
4 Amazon Flesh Eaters アマゾンの殺人魚 アマゾン川 ピライーバ
カンディル
5 Amazon Assassins 鎧を着た巨大魚 アマゾン川 ピラルクー
カイマン
コブラ・グランジ
6 Freshwater Shark 人食いザメ アメリカ・フロリダ州
オーストラリアブリスベン川
オオメジロザメ
イリエワニ
タマカイ

シーズン2(2010)編集

全7回

話数 原題 日本語タイトル ロケ地 怪物魚
1 Death Ray 有毒エイリアン タイメコン川 アカエイ
2 Killer Snakehead アメリカの凶暴魚 アメリカ・フロリダ州 スネークヘッド
3 Alaskan Horro 川底の生きた化石 アメリカ・アラスカ州 カワカマス
シロイルカ
シロチョウザメ
4 Demon Fish コンゴ川の殺人魚 コンゴ川 ゴライアス・タイガーフィッシュ(ムベンガ
5 Congo Killer 伝説の巨大ナマズ コンゴ川 マミワタ
ハイギョ
オオナマズ
6 Rift Valley Killers 滝つぼの悪魔 リフトバレー ナイルパーチ
7 Hidden Predato アフリカの巨大ザメ 南アフリカ共和国 オオメジロザメ

シーズン3(2011)編集

全7回

話数 原題 日本語タイトル ロケ地 怪物魚
1 Flesh Ripper 伝説の人喰い魚 ニュージーランド ニュージーランドオオウナギ
2 The Mutilator 最強の顎を持つ魚 パプアニューギニア クロコダイル
ボール・カッター(パクー
3 Cold Blooded Horror カッパの正体 日本築地琵琶湖福岡 河童
ビワコオオナマズ
ハンザキ(オオサンショウウオ
4 Chainsaw Predator シー・モンスター オーストラリア・フィッツロイ川 ノコギリエイ
5 Electric Executioner カウボーイ・キラー ブラジルトカンチンス川 デンキウナギ
6 Jungle Killer ジャングルの殺人魚 スリナム アニュマラ(タライロン
7 Silent Assassin 毒牙を持つ人喰い魚 アルゼンチンパラナ川 アカエイ

シーズン4(2012)編集

全7回

話数 原題 日本語タイトル ロケ地 怪物魚
1 American Killers アメリカの人喰い魚 アメリカ・フロリダ州ミズーリ州オザークス湖、オクラホマ州 ハタ
オオメジロザメ
フラットヘッドキャットフィッシュ英語版
2 Russian Killer ロシアの超巨大魚 ロシアアムール川 アゴヒゲアザラシ
アムールオオナマズ英語版
カルーガチョウザメ
アムールチョウザメ
3 Mongolian Mauler モンゴルの凶暴魚 モンゴルムルン タイメン(アムールイトウ
4 Asian Slayer 呪いの怪物魚 インドヒマラヤタイ サレンワラゴアトゥー英語版
ウシサワラ
プラニセプス
レッドテールキャットフィッシュ
5 Phantom Assassin 幻の珍魚 オーストラリア・フィッツロイ川 グリフィスシャーク
6 Pack of Teeth 巨大ピラニア 南アフリカオカバンゴ・デルタ エングエシュ(タイガーフィッシュ英語版
7 Invisible Executioner ザンベジ川のモンスター ザンビアザンベジ川カリバダムカリバ湖 ソロモンフィッシュヴンドゥー英語版
ニャミニャミ
マズンダ

シーズン5(2013)編集

全回

話数 原題 日本語タイトル ロケ地 怪物魚
Face Ripper


Atomic Assassin
Killer Torpedo
Colombian Slasher
Vampires of the Deep
Legend of Loch Ness

シーズン6(2014)編集

全回

話数 原題 日本語タイトル ロケ地 怪物魚
Amazon Apocalypse
Jungle Terminator
River of Blood
Man-Eating Monster
Bone Crusher
Body Snatcher

シーズン7(2015)編集

全5回

話数 原題 日本語タイトル ロケ地 怪物魚
1 Mekong Mutilator メコン川の切り裂き魔 カンボジアメコン川トンレサップ スッポン
パーカーホ
メコンオオナマズ
淡水フグ
2 Africa's Deadliest オカバンゴの捕食集団 アフリカオカバンゴ湿地帯 タイガーフィッシュ
クロコダイル
3 Alaska's Cold Water Killer アラスカ 漁師失踪の謎 アラスカ キングサーモン
ネズミザメ
オヒョウ
4 Canadian Horror カナダ 未知の恐怖 カナダ レイクトラウト
ノーザンパイク
マスキーパイク
5 South Pacific Terrors フィジー 楽園の襲撃者 フィジー ロウニンアジ
タウタンバレ(オオウナギ

シーズン8(2016)編集

全回

話数 原題 日本語タイトル ロケ地 怪物魚
Deep Sea Demon
Death Down Under
Razorhead
Terror in Paradise
Devil of the Deep

シーズン9(2017)編集

全回

話数 原題 日本語タイトル ロケ地 怪物魚
Killers From The Abyss
ce Cold Killer
Coral Reef Killer
Return of the Killer Catfish
Volcanic Island Terror
Malaysian Lake Monster

追加エピソード編集

全2回

話数 原題 日本語タイトル ロケ地 怪物魚
The Lost Reels: Amazonian Giant
The Lost Reels: Himalayan Giant

番組の評価編集

視聴数編集

シーズン1

『怪物魚を追え!』の第1回放送は。130万人の視聴者を集め、アニマルプラネットの歴史の中で、最も視聴された初回放送の記録となった。また、6年以上にわたってプライムタイムのテレビ放送を定期的に放映もされた[14]。第2話のエピソードでは、総視聴者が186万人となり、第1回に比べ39%の増加となった。これらの数値は、アニマルプラネットのゴールデンタイム番組の歴史において、最高の記録となった[15]。 最初のシーズンは、すべてのエピソードが平均して100万世帯を超えた。最終話は147万世帯であった[16]

シーズン2

シーズン2のプレミアエピソードは、合計170万人の視聴者を獲得し、こまでで最高のシーズンになった[17]

関連項目編集

脚注編集

  1. ^ a b c d e f g h i j k l モンスターのような魚を釣ることで生態系が見える。「怪物魚を追え!」ジェレミー・ウェイドさん”. ハフポスト (2019年7月20日). 2020年1月13日閲覧。
  2. ^ カンディルやオオメジロザメ、アカエイなどの回。
  3. ^ 「マツコ&有吉の怒り新党」で紹介された情報”. kakaku.com (2012年10月3日). 2020年1月13日閲覧。
  4. ^ a b c 【インタビュー】『ダーク・ウォーターズ』のジェレミー・ウェイドが語る、釣り師としての自分を形作ったもの”. dplay (2019年8月8日). 2020年1月13日閲覧。
  5. ^ クレイジーボックス 大塚芳忠プロフィール
  6. ^ シーズン1 第6回「人食いザメ」より。
  7. ^ Official River Monsters Facebook Page wishing Jeremy Wade "happy birthday"”. 2020年1月13日閲覧。
  8. ^ Marshall, Harry (2009年7月23日). “'Presenting' Natural History”. TBI Magazine. Informa Telecoms & Media. 2012年4月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年6月1日閲覧。
  9. ^ travel, natural history & fishing journalist”. Jeremy Wade (2008年8月30日). 2012年6月1日閲覧。
  10. ^ “Jeremy Wade: Exclusive Interview”. Adventure Outdoors Magazine (Summer 2016): 72. 
  11. ^ Books by Jeremy Wade”. Jeremy Wade (2013年11月1日). 2020年1月13日閲覧。
  12. ^ a b 世界中の怪物魚を追い求める“神”釣り師 ジェレミー・ウェイドが待望の来日!6月20日(木)、怪物魚ハンター平坂寛氏とのコラボトークイベントに100名を無料招待”. 産経新聞 (2019年5月31日). 2020年1月13日閲覧。
  13. ^ a b 千原せいじ、アニマルプラネットの「神」釣り師と共演「例えにグランドピアノなんて出てこーへん」”. ラコ&ピースニュースマガジン (2019年9月29日). 2020年1月13日閲覧。
  14. ^ River Monsters Delivers Best Premiere Numbers in Animal Planet History Broadcasting & Cable
  15. ^ Cable Ratings: Animal Planet's River Monsters A Ratings Monster Broadcasting & Cable
  16. ^ River Monsters is TV ratings hit Times of the Internet
  17. ^ Cable Ratings: River Monsters Brings Record Haul To Animal Planet Broadcasting & Cable

外部リンク編集