恵庭・東宝シネマ8
恵庭・東宝シネマ8(えにわ・とうほうシネマエイト、2000年7月8日開業 - 2015年5月31日閉館)は、北海道恵庭市に所在した日本のシネマコンプレックス(映画館)。
恵庭・東宝シネマ8 Eniwa Toho Cinema8 | |
---|---|
恵庭・東宝シネマ8 (右側の看板がトライアル恵庭店) | |
情報 | |
正式名称 | 恵庭・東宝シネマ8 |
旧名称 | ブレスガーデン・東宝シネマ8 |
完成 | 2000年 |
開館 | 2000年7月8日 |
開館公演 |
「ミッション:インポッシブル2」 (ジョン・ウー監督)他 |
閉館 | 2015年5月31日 |
最終公演 |
「脳内ポイズンベリー」 (佐藤祐市監督)他 |
収容人員 | (8スクリーン)1,508人 |
客席数 | 下記参照 |
延床面積 | 4,400[1]m² |
設備 | ドルビーデジタル(サラウンドEX)、DTS、SDDS、DLP |
用途 | 映画上映 |
運営 | 北海道東宝株式会社 |
所在地 |
〒060-1405 北海道恵庭市戸磯391-1 |
最寄駅 | JR■千歳線サッポロビール庭園駅 |
最寄バス停 | 北海道中央バス「サッポロビール北海道工場」 |
最寄IC | 道央自動車道恵庭IC |
東宝グループの北海道東宝株式会社(2016年5月31日会社解散)が経営・運営した最初で最後のシネコンであり、最後まで残った北海道東宝直営の映画館である。当初はブレスガーデン・東宝シネマ8の名称で開業したが、程なくして現在の名称に定着した。
沿革
編集- 2000年7月8日:開業。
- 2003年8月5日:『ロボコン』試写会が行われ、主演の長澤まさみと監督の古厩智之が舞台挨拶を行う[2]。
- 2004年3月8日:松竹映画『クイール』試写会が行われ、主演の椎名桔平と監督の崔洋一が舞台挨拶を行う[3]。
- 2009年:北海道東宝のホームページを開設。
- 2010年:スクリーン1と8に3Dデジタルシネマシステムを導入。
- 2011年7月:開業以来使用していた35mm映写機による上映を取りやめ、全スクリーンにデジタル上映機能を導入。同時にスクリーン7も3D対応となった。
- 2012年5月:TOHOシネマズチェーン限定上映の短編コメディアニメーション「紙兎ロペ」の長編映画版『映画 紙兎ロペ つか、夏休みラスイチってマジっすか!?』が上映される。
- 2015年
概要
編集館名 | 所在地 | 営業年 |
---|---|---|
恵庭舘 | 漁町 | 1914年 - 1996年 |
島松劇場 | 島松 | 1935年 - 1963年 |
スバル座 | 栄恵町 | 1954年 - 1965年 |
恵庭・東宝シネマ8 | 戸磯 | 2000年 - 2015年 |
恵庭市と映画館
編集恵庭に初めて映画館が出来たのは1914年(大正3年)、漁町に「恵庭舘」が開業したのが始まりである[4]。その後1935年(昭和10年)に「島松劇場」、1954年(昭和29年)に「スバル座」がオープンし、3館に増えるも、1963年(昭和38年)に島松劇場、1965年(昭和40年)にスバル座が閉館してしまう[4]。恵庭舘は1970年(昭和45年)の市制施行後も同市内唯一の映画館として営業を継続したが、建物の老朽化などを理由に1996年(平成8年)2月25日、『男はつらいよ 寅次郎紅の花』(山田洋次監督)をもって82年の歴史の幕を閉じた[4]。
東宝シネマ8開業
編集先述の恵庭舘が閉館した翌年の1997年(平成9年)、江別市にワーナー・マイカル・シネマズ江別(現:イオンシネマ江別)がオープン。更に1998年(平成10年)にはサッポロファクトリー(札幌市)内にパラマウント・ユニバーサルシネマ11(現:ユナイテッド・シネマ札幌)、1999年(平成11年)には小樽市にワーナー・マイカル・シネマズ小樽(現:イオンシネマ小樽)といったシネマコンプレックスが開業。それらの後を追うように北海道東宝株式会社も恵庭市にシネコンを設置することになる。
2000年(平成12年)7月8日に8スクリーンの恵庭・東宝シネマ8(以下、シネマ8と略す)が開業。開館番組として、トム・クルーズ主演の『ミッション:インポッシブル2』(ジョン・ウー監督)などが上映され、同市4年5か月ぶりの映画館誕生を彩った。シネマ8開館後の同年9月23日にはワーナー・マイカル・シネマズ北見(現:イオンシネマ北見)、11月30日にはワーナー・マイカル・シネマズ釧路(現:イオンシネマ釧路)が開業している。
上映される作品は主に東宝の邦画・洋画がメインであったが、松竹や東映の配給作品やアート系の一部作品も少なからず上映していた。また、子供向けアニメ映画が封切られる前後には、その作品のキャラクターの着ぐるみ[注 1]が登場する撮影会が主に土曜・日曜・祝日の午前と午後に行われることがあった。
デジタル化〜閉館とその後
編集2009年(平成21年)、ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』が大ヒットし、世界中で3D映画ブームが起こる。その流れに乗って開業10年を迎えた2010年(平成22年)、シネマ8は3Dデジタルシネマ(MasterImage 3D[5])を一部スクリーンに導入。さらに隣接する千歳市に競合館「じゃがポックルシアター」(現:新千歳空港シアター)がオープンした2011年(平成23年)7月に全スクリーンを完全デジタル化した。この頃には音楽アーティストのライブビューイングも行うようになり、『AKB48 24thシングル選抜じゃんけん大会』(2011年9月20日[6])や奥田民生『ひとり股旅スペシャル@厳島神社』(2011年10月22日[7])、桑田佳祐の年越しライブ(2011年12月31日[8])などが同時生中継されていた。漫画家の横山裕二は2013年(平成25年)5月23日に『探偵はBARにいる2』(橋本一監督)をシネマ8で観たことを自身のツイッターで明かしている[9]。
2015年(平成27年)2月17日、北海道東宝は同年5月31日をもってシネマ8を閉館することを発表[1]。集客力の低迷で賃貸借契約を解約したことが主な理由とされている[10][11]。閉館記念の特別興行は行われず、同月9日封切の『脳内ポイズンベリー』(佐藤祐市監督)[12]を最終上映作として15年の歴史に幕を閉じた。隣接していたトライアル恵庭店(旧:カウボーイ恵庭店)も当館閉館から1ヵ月後の同年7月5日に閉店[13]している。最後までTOHOシネマズチェーンに吸収合併されることなく閉館したため、シネマイレージやvitなどのサービスは導入されなかった。以後、北海道内の東宝系列シネコンは2023年11月30日にオープンした『TOHOシネマズ すすきの』(札幌市・COCONO SUSUKINO内)まで8年半途絶えることになる[14]。
閉館後跡地はしばらく空きテナント状態が続いていたが、令和改元後の2020年(令和2年)1月になって、木材加工会社と土地売買契約を結んだことが報じられ[15][16]、同年7月9日、函館市に本社を置く佐藤木材工業がプレカット工場を新設することが発表された[17]。2021年(令和3年)3月16日に恵庭支店事務所が開設され[18]、2022年(令和4年)1月11日にプレカット工場の稼働が開始された[19][20]。シネコンのあった場所には北斗市に本社を置く『エンドレス・テック』の恵庭営業所・倉庫が同月7日に稼働を開始している[21][22]。
データ
編集スクリーン詳細 スクリーン 座席数 音響設備 3Dデジタル上映 1 380 DTS/SRD-EX/SDDS ○ 2 142 SRD × 3 142 SRD × 4 110 SRD × 5 110 SRD × 6 240 DTS/SRD-EX × 7 193 DTS/SRD-EX ○ 8 191 DTS/SRD-EX ○
近隣施設
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b “恵庭・東宝シネマ8が5月末閉館へ”. 苫小牧民報 (苫小牧民報社). (2015年2月17日) 2015年6月1日閲覧。
- ^ “東宝シネマ8で「ロボコン」の特別試写会”. 千歳民報 (苫小牧民報社). (2003年8月6日) 2016年6月19日閲覧。
- ^ “恵庭で映画「クイール」の試写会”. 千歳民報 (苫小牧民報社). (2004年3月8日) 2016年6月19日閲覧。
- ^ a b c d 「『銀幕史』庶民と共に 恵庭・東宝シネマ8あす閉館」『北海道新聞千歳/恵庭』北海道新聞社、2015年5月30日、24面。2019年5月31日閲覧。
- ^ “2012年4月公開日本映画作品リスト”. 札幌映画サークル (2012年4月1日). 2020年1月28日閲覧。
- ^ “生中継!AKB48 24thシングル選抜じゃんけん大会”. ライブスパイア (2011年9月20日). 2017年1月24日閲覧。
- ^ 奥田民生 (2011年9月27日). “「奥田民生ひとり股旅スペシャル@厳島神社」映画館生中継、上映劇場・チケット先行情報!”. ソニー・ミュージックアーティスツ. 2017年1月24日閲覧。
- ^ “桑田佳祐の年越しライブを全国89か所の映画館で同時生中継”. 音楽ナタリー (ナターシャ). (2011年12月3日) 2017年1月24日閲覧。
- ^ 横山裕二 [@gessanyokoyama] (2013年5月23日). "恵庭東宝シネマ8にて2館目の探偵2を楽しませていただきました!". X(旧Twitter)より2021年11月18日閲覧。
- ^ ““シネマ8”5月閉館 近隣シネコンと競合激化 映画ファン「寂しい」”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2015年2月18日) 2020年3月21日閲覧。
- ^ “恵庭・東宝シネマ8が5月末で閉館”. 北の映像ミュージアム (2015年4月2日). 2020年1月28日閲覧。
- ^ “2015年5月公開日本映画作品リスト”. 札幌映画サークル (2015年5月1日). 2020年1月28日閲覧。
- ^ “「明和住建」トライアル恵庭店跡の活用策模索”. リアルエコノミー. (2015年6月9日) 2020年1月28日閲覧。
- ^ 『「TOHOシネマズ すすきの」11月30日(木)グランドオープン “ドルビーシネマ”北海道初上陸』(プレスリリース)TOHOシネマズ株式会社、2023年9月12日 。2023年9月17日閲覧。
- ^ 「恵庭『トライアル』跡地 木材加工業者に売却」『北海道新聞千歳/恵庭』北海道新聞社、2020年1月23日、14面。2020年3月21日閲覧。
- ^ “木材加工会社が土地取得 恵庭の大型店舗跡 工場に改修”. 千歳民報 (苫小牧民報社). (2020年1月16日) 2020年1月28日閲覧。
- ^ 大谷佳奈「恵庭に住宅部材工場 函館・佐藤木材 22年4月稼働予定」『北海道新聞 経済/商況』北海道新聞社、2020年7月10日、11面。2020年7月11日閲覧。
- ^ “北海道恵庭支店事務所開設”. 佐藤木材工業 (2021年3月16日). 2021年11月18日閲覧。
- ^ “佐藤木材工業 月5000坪の加工能力 恵庭のプレカット工場が本格稼働”. 北海道住宅通信 (北海道住宅通信社). (2022年1月25日) 2022年1月27日閲覧。
- ^ “プレカット工場”. 佐藤木材工業. 2022年1月27日閲覧。 “北海道恵庭工場”
- ^ “営業所案内”. 株式会社エンドレス・テック. 2022年1月27日閲覧。 “恵庭営業所”
- ^ 朽木崇洋 (2022年1月18日). “エンドレス・テック、北海道・恵庭に営業所 加工木材保管 輸送も引き受け 他の貨物も取り扱い視野”. 物流ニッポン (物流ニッポン新聞社) 2022年1月27日閲覧。
- ^ “子供たちに大受けマジック一家”. 千歳民報 (苫小牧民報社). (2007年2月26日) 2017年1月24日閲覧。
- ^ “アカデミー効果 大入り「おくりびと」”. 千歳民報 (苫小牧民報社). (2009年2月25日) 2017年1月24日閲覧。
- ^ “東宝シネマ8とコラボ”. むらかみ牧場日誌. さくらインターネット (2011年5月19日). 2015年9月13日閲覧。