悼む人』(いたむひと)は、天童荒太による日本の長編小説。第140回直木賞受賞作。『オール讀物』(文藝春秋)にて2006年10月号から2008年9月号まで連載された後、加筆修正を経て2008年11月に同社より刊行された。2012年大森寿美男の脚本・堤幸彦の演出で舞台化され[1]、同じ脚本・監督により映画化され2015年2月に公開された。

悼む人
著者 天童荒太
発行日 2008年11月30日(単行本)
2011年5月10日(文庫本)
発行元 文藝春秋
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判上製本
文庫本
ページ数 456(単行本)
368(文庫上巻)
320(文庫下巻)
次作 静人日記
公式サイト 『悼む人』特設サイト
コード ISBN 978-4-16-327640-3(単行本)
ISBN 978-4-16-781401-4(文庫上巻)
ISBN 978-4-16-781402-1(文庫下巻)
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続編的扱いの作品として、本作の主人公・静人が書いた日記という体裁を取った『静人日記』(しずとにっき)がある。

あらすじ

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悼む人に関わる3人を軸として、悼む人の必要性、目的、人間の死生観などを浮き彫りにしていく。

登場人物

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  • 坂築静人(さかつき しずと)
悼む人。32歳。無職。新聞や雑誌などの情報を元に事件や事故の現場を訪れ、犠牲者を悼む。
元医療機器メーカーの営業職。年前に退職し、死を悼む旅に出る。
  • 坂築巡子(さかつき じゅんこ)
静人の母。末期癌患者。58歳。病院を出て、神奈川県横浜市内の自宅での在宅ホスピスケアを受けている。
実家は鎌倉。12歳のとき兄の継郎(つぐお)(16歳)を白血病で亡くす。母親は肺癌で亡くす。
  • 坂築鷹彦(さかつき たかひこ)
静人の父。対人恐怖症的性向あり。故郷は愛媛県今治市。絵が得意。
  • 坂築美汐(さかつき みしお)
静人の妹。静人の5つ年下。都内の旅行代理店勤務。都内で一人暮らししていたが、母の在宅ケアに合わせ実家に戻る。
高久保英剛の子を妊娠。
  • 蒔野抗太郎(まきの こうたろう)
都内大手出版社の記者(契約制の特派者)。同僚たちから「エグノ」(エログロの蒔野)と呼ばれている。北海道で発見された白骨遺体の事件をきっかけに静人と知り合う。
北海道函館市出身。亡き母の実家が函館にある。
バツイチ。元妻は京都で美術関連出版社の編集責任者の男性と再婚し息子(9歳)と3人で暮らす。
  • 蒔野の父

  悪性リンパ腫で入院中。余命僅か。声を失っている。

  • 尾国理々子(おぐに りりこ)
蒔野の父の愛人。元銀座のバーのホステス。
  • 奈儀倖世(なぎ ゆきよ)
夫を殺した罪で服役後、事件現場に戻ったところ、悼む行為をしていた静人と出会い、その後、行動を共にする。
  • 甲水朔也(こうみず さくや)
奈儀倖世の夫。東北地方の寺院の長男。東大出身。幼い頃に実の母と死に別れ、義母が産んだ腹違いの弟がいる。幼い頃から神童と呼ばれる。寺の敷地に家庭内暴力の被害者女性のシェルターや高齢者施設などを設立し、仏様の生まれ変わりと慕われるが、裏の顔がある。
  • 福埜怜司(ふくの れいじ)
静人の従弟。坂築鷹彦の妹・みのりの息子。美汐と同じ年。実家は滋賀県。都内の通信事業会社勤務でインターネット関連の管理運営。
  • 高久保英剛(たかくぼ ひでゆき)
美汐の交際相手(元恋人)。高久保家の次男。兄は、県会議員の叔父の秘書をつとめる。都内の銀行に勤める。福埜怜司の大学時代の友人。
  • 福埜みのり(ふくのみのり)

  怜司の母。坂築鷹彦の妹。坂築巡子の大学時代(演劇部)の親友。滋賀県で小さな運送会社を経営。

  • 海老原(えびはら)

  都内大手出版社編集部の班デスク。蒔野の上司。

  • 野平清実(のひら きよみ)

  出版社編集部の社員。蒔野の後輩。新人記者。入社2年目

  • 高久保英剛の兄
     県会議員の叔父の秘書。

舞台

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2012年10月19日 - 10月28日にかけてのPARCO劇場での上演など、11都市で公演され、約5万人を動員した[2]

キャスト

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スタッフ

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映画

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悼む人
監督 堤幸彦
脚本 大森寿美男
原作 天童荒太
出演者 高良健吾
石田ゆり子
井浦新
貫地谷しほり
椎名桔平
大竹しのぶ
音楽 中島ノブユキ
主題歌 熊谷育美「旅路」
製作会社 「悼む人」製作委員会
配給 東映
公開   2015年2月14日
製作国   日本
言語 日本語
興行収入 3.0億円[3]
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2015年2月14日に公開された日本映画[4]。舞台版と同じく堤幸彦が監督、大森寿美男が脚本を担当した。主演は高良健吾[2]。2014年3月22日にクランクイン[4]福島県山形県新潟県[5]関東近郊[4]で5月上旬までの予定で撮影された[5]

キャスト(映画)

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キャスト出典:[6][7]

スタッフ(映画)

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封切り

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全国184スクリーンで公開され、初週2015年2月14日・15日の全国映画動員ランキング(興行通信社調べ)では、動員4万8,556人、興収5,993万7,700円で初登場8位にランクインした[8]

受賞

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オーディオブック

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綱島剛太郎中村綾の朗読により、Audibleにてオーディオブックのデータ配信が2018年3月16日に上巻、同年4月16日に下巻が発売された。

関連本

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脚注

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  1. ^ 直木賞小説『悼む人』が堤幸彦演出で舞台化、キャストに向井理、小西真奈美ら - stageニュース:CINRA.net 2012年7月13日
  2. ^ a b 高良健吾「悼む人」映画化で石田ゆり子と決意の初共演!舞台に続き堤幸彦監督がメガホン(2014年4月15日)、映画.com、2014年4月15日閲覧。
  3. ^ 『キネマ旬報』2016年3月下旬 映画業界決算特別号、74頁。
  4. ^ a b c 高良健吾主演 天童荒太氏「悼む人」が映画化 09年直木賞(2014年4月15日)、スポニチアネックス、2014年4月15日閲覧。
  5. ^ a b 高良健吾主演作「悼む人」、ベルリン国際映画祭出品の期待も(2014年4月15日)、SANSPO.COM、2014年4月15日閲覧。
  6. ^ 大竹しのぶ、高良健吾の母親役に…映画『悼む人』追加キャスト&特報解禁(2014年9月22日)、cinemacafe.net、2014年9月22日閲覧。
  7. ^ 高良健吾の主演映画『悼む人』に大竹しのぶ、井浦新、貫地谷しほりら出演&特報映像(2014年9月22日)、cinra.net、2014年9月22日閲覧。
  8. ^ 公開初週成績の出典。壬生智裕 (2015年2月17日). “『テラスハウス』が『ベイマックス』のV7を阻止!バレンタイン初日で初登場1位!【映画週末興行成績】”. シネマトゥデイ. 2015年2月18日閲覧。
  9. ^ 日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞決定”. 日刊スポーツ (2015年12月8日). 2015年12月8日閲覧。

外部リンク

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