畑岡奈紗

日本の女性プロゴルファー

畑岡 奈紗[1](はたおか なさ、1999年1月13日 - )は、茨城県笠間市出身の日本の女子プロゴルファーである。所属はアビームコンサルティング[2]

 畑岡 奈紗 
Nasa HATAOKA
基本情報
名前 畑岡 奈紗
生年月日 (1999-01-13) 1999年1月13日(25歳)
身長 158 cm (5 ft 2 in)
国籍 日本の旗 日本
出身地 茨城県笠間市
経歴
プロ転向 2016年
JLPGA入会2017年=89期
プロ勝利数 11
優勝数
LPGAツアー 6
日本LPGA 5(TOTOはLPGAツアーに含める)
LPGAメジャー選手権最高成績
ANA 7位タイ(2020年)
全米女子プロ 2位タイ(2018年)
全米女子OP 2位(2021年)
全英女子OP 7位タイ(2022年)
エビアン 3位タイ(2023年)
成績
初優勝 日本女子オープンゴルフ選手権競技(2016年)
世界ランク最高位 3位(2019年10月7日付)
2022年7月24日現在
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宍戸ヒルズカントリークラブに勤務していた実母の影響で、11歳でゴルフを始める[3]

来歴 編集

※本項では日本女子プロゴルフ協会はJLPGA、全米女子プロゴルフ協会はUSLPGAと表記する

名前の奈紗は、アメリカ航空宇宙局(NASA)に因み、「前人未到のことをするように」との思いを込めて命名された[4]。中学時代は陸上競技(200m走)で県大会入賞の経験を持つ[5]

アマチュア時代 編集

2014年8月に開催された「日本ジュニアゴルフ選手権競技」(15-17歳の部)において、最終日にJLPGAツアー優勝経験がある同学年の勝みなみに6打差を逆転された[5]

2015年後期からJGAナショナルチーム入り[6][注 1]。同年7月の「IMGアカデミー世界ジュニアゴルフ選手権」において、個人及び団体優勝を果たす[5]。同年10月に開催されたJLPGAツアー「樋口久子 Pontaレディス」の主催者推薦選考競技会(マンデー)を勝ち上がり同ツアー初出場、初日4アンダーでトップに立つ[7]。アマチュア選手が初出場の同ツアーで首位発進するのは史上初[7]。2日目も通算5アンダーで首位を守るも[8]、最終日にスコアを伸ばせず7位タイであったがローアマチュアを獲得した[9]

2016年7月の「IMGアカデミー世界ジュニアゴルフ選手権」において、個人及び団体優勝の2連覇を果たす[10][11]。同年10月のJLPGAツアー公式戦「日本女子オープンゴルフ選手権競技」では最終日に首位から4打差の5位でスタートし、4アンダーの68で回って逆転で同ツアー初優勝を公式戦で飾った[12]。同ツアー公式戦でのアマチュアの優勝は史上初で[13]、17歳263日での優勝はこれまで宮里藍が持っていた最年少大会優勝記録(2005年=20歳105日)を大幅に更新しただけでなく[13]平瀬真由美が「JLPGAレディーボーデンカップ」(大会名は当時。現在の「LPGAツアーチャンピオンシップ」)を優勝した際の同ツアー公式戦最年少優勝記録(1989年=20歳27日)も更新した[14]

2016年10月10日にプロ転向を表明、17歳271日でのプロ入りは、宮里藍の18歳110日を更新し日本人史上最年少となった[14]

プロ入り後 編集

2016年11月11日開幕の「伊藤園レディスゴルフトーナメント」でプロとして初出場[15]。同年12月USLPGAツアーファイナルクオリファイングトーナメント(QT)に進出し、14位タイとなり日本人最年少の17歳で翌シーズンの同ツアー出場権を獲得した[16]

2017年から森ビル所属となる[17]。同年からはUSLPGAツアーを主戦場としてプレー[18]。一時帰国して参戦したJLPGAツアー「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント」でプロ入り初優勝を果たした[19]。18歳254日での同ツアー2勝目は、宮里藍が保持していた18歳262日を更新するものであった[19][注 2]。その翌週の同ツアー公式戦「日本女子オープンゴルフ選手権競技」では最終日には8バーディーを奪って65とし、20アンダー(4日間通算268)で2位に8打差をつけて圧勝[14]。同ツアー公式戦における最多アンダーパー記録を更新し、樋口久子が1976年・1977年と連覇して以来40年ぶりの大会2連覇をプロ初の2週連続優勝で達成した[20][注 3]

「2017年ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント優勝」の資格でJLPGA入会を申請し、同時期に申請したイ・ボミと共に2017年10月1日付でJLPGA89期生となる[21]

同年USLPGAツアーファイナルQTをトップ通過し、翌シーズンの同ツアー出場権を獲得[22]

2018年は6月のUSLPGAツアーメジャー大会「全米女子オープン」では日本人初の10代でのトップ10入り(10位)となった後[23]、3週間後の「ウォルマートNWアーカンソー選手権」で同ツアー初優勝を19歳162日の日本人最年少で達成し[14]、翌週のUSLPGAツアーメジャー大会「KPMG 全米女子プロゴルフ選手権」では、惜しくもプレーオフで敗れはしたものの2位タイ。一時帰国して9月の「日本女子オープンゴルフ選手権競技」に参戦し、樋口久子以来となる2人目の大会3連覇に挑んだが、柳簫然韓国)の前に3打及ばず2位となる[24]。その後11月のUSLPGA・JLPGA共催の「TOTOジャパンクラシック」では最終日に4打差を逆転しUSLPGAツアー2勝目を挙げた[25]

2019年は3月のUSLPGAツアー「起亜クラシック」で優勝し同ツアー3勝目[26]。一時帰国して参戦した9月のJLPGAツアー公式戦「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」で優勝[14]。大会レコードとなる18アンダーでの優勝と日本人史上最速となる同ツアー出場17試合での生涯獲得賞金1億円突破も達成した[27]。さらに10月の同ツアー公式戦「日本女子オープンゴルフ選手権競技」でも同世代の大里桃子らを抑えて大会3度目の優勝[28]。これにより1977年の樋口久子以来となる史上2人目の同一年度日本タイトル二冠を達成[29]、20歳245日での国内公式戦3勝目[14]、20歳266日での同4勝目は共に史上最年少となった[28]。この直後の同年10月7日付世界ランクで自身最高位となる3位となる[30]

2021年8月の開催となった2020年東京オリンピックゴルフ競技女子では通算274の9位だった[31]

人物 編集

トレーニングには他競技のやり方を取り入れてもいる。例を挙げるなら野球のバットでテニスボールを打つなど[32]

中嶋常幸に師事している[33]

トーナメント優勝 編集

LPGAツアー(6) 編集

No. 日付 トーナメント名 スコア 打差数 2位(タイ)
1 2018年6月24日 ウォルマートNWアーカンソー選手権英語版 -21 6打差   オースティン・アーンスト英語版
2 2018年11月4日 TOTOジャパンクラシック[注 4] -14 2打差   永峰咲希  上田桃子  カルロタ・シガンダ
3 2019年3月31日 起亜クラシック -18 3打差   朴仁妃  パク・ソンヒョン  コ・ジンヨン

  アサアラ・ムニョス  ダニエル・カン

4 2021年7月11日 マラソン・クラシック -19 6打差   Elizabeth Szokol  Mina Harigae
5 2021年9月26日 ウォルマートNWアーカンソー選手権英語版 −16 1打差   Eun-Hee Ji
  Minjee Lee
6 2022年4月24日 DIO Implant LA Open -15(67-68-67-67=269) 5打差   Hannah Green

JLPGAツアー(5) 編集

No. 日付 トーナメント名 スコア 打差数 2位(タイ)
1 2016年10月2日 @日本女子オープンゴルフ選手権競技 -4 1打差   堀琴音
2 2017年9月24日 ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント -13 4打差   李知姫
3 2017年10月1日 日本女子オープンゴルフ選手権競技 -20 8打差   申智愛
4 2019年9月15日 日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯 -18 8打差   大西葵  馮珊珊
5 2019年10月6日 日本女子オープンゴルフ選手権競技 -18 4打差   大里桃子  柳簫然  岡山絵里

@:アマチュア出場

団体戦 編集

※来歴に記載のない大会のみ

アマチュア

プロフェッショナル

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 後述のプロ転向表明までの間ナショナルチームメンバーであった。
  2. ^ 宮里藍も畑岡同様にアマチュア(東北高等学校)時代の2003年にミヤギテレビ杯で日本女子ツアー初優勝を果たしており、ツアー2勝目の2004年のダイキンオーキッドレディスがプロ初優勝である。
  3. ^ 但し、樋口久子は東京放送(現在のTBSホールディングス)主催により『TBS女子オープン』という名称で開催された1968年の第1回から1970年までの第3回及び、現行の日本ゴルフ協会主催となり第4回大会として開催された1971年までの4年間、日本女子オープンの連続優勝記録(4連覇)を保持している。
  4. ^ 日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のツアーも兼ねる。

出典 編集

  1. ^ 畑岡 奈紗 プロフィール詳細”. 日本女子プロゴルフ協会. 2019年5月28日閲覧。
  2. ^ プロゴルファー 畑岡奈紗選手と所属契約を締結”. アビームコンサルティング (2020年6月1日). 2020年6月13日閲覧。
  3. ^ 思いきりのいいショットは、何でもさせてくれた親からの賜物”. 笠間市 (2018年1月13日). 2019年5月28日閲覧。
  4. ^ 畑岡奈紗 プロフィール”. ゴルフダイジェスト・オンライン. 2019年9月15日閲覧。
  5. ^ a b c 英字名は“NASA” 初出場単独首位アマ畑岡奈紗の原動力”. ゴルフダイジェスト・オンライン (2015年10月30日). 2019年9月15日閲覧。
  6. ^ a b c d 畑岡 奈紗選手のプロフィール”. JGA. 2019年9月17日閲覧。
  7. ^ a b ツアー史上初、アマが初出場で首位発進”. ALBA.Net (2015年10月30日). 2019年9月15日閲覧。
  8. ^ 初出場完全優勝の快挙へ 16歳の畑岡奈紗は“ご利益イーグル”で勢い”. ゴルフダイジェスト・オンライン (2015年10月31日). 2019年9月15日閲覧。
  9. ^ 【2015】樋口久子 Pontaレディス”. 日本女子プロゴルフ協会 (2015年11月1日). 2019年9月15日閲覧。
  10. ^ Leaderboard 2016 Girls15-17” (英語). IMG Academy Junior World Golf Championships (2016年7月15日). 2019年9月15日閲覧。
  11. ^ Leaderboard 2016 Girls 15-17 Team” (英語). IMG Academy Junior World Championships (2016年7月15日). 2019年9月15日閲覧。
  12. ^ 女子ゴルフ・畑岡奈紗、アマ史上初のメジャー優勝”. デイリースポーツ (2016年10月2日). 2019年9月15日閲覧。
  13. ^ a b 17歳の畑岡奈紗が最年少V アマ選手優勝は大会史上初 日本一決める日本女子オープン”. sankei.com. 2016年10月2日閲覧。
  14. ^ a b c d e f 畑岡奈紗 強すぎる20歳の軌跡”. ゴルフダイジェスト・オンライン (2019年9月15日). 2019年9月15日閲覧。
  15. ^ “畑岡奈紗がプロデビュー 4番で初バーディー 伊藤園L”. スポニチアネックス. (2016年11月11日). https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2016/11/11/kiji/K20161111013703740.html 2016年11月11日閲覧。 
  16. ^ “畑岡奈紗、米ツアー参戦へ 予選会で出場権獲得”. ゴルフダイジェストオンライン. (2016年12月5日). http://news.golfdigest.co.jp/news/lpga/article/66568/1 2016年12月5日閲覧。 
  17. ^ プロゴルファー畑岡奈紗選手と所属契約を締結”. 森ビル (2017年1月13日). 2019年9月15日閲覧。
  18. ^ a b Bio | Nasa Hataoka” (英語). LPGA. 2019年9月15日閲覧。
  19. ^ a b “18歳畑岡奈紗がプロ初勝利! ツアー2勝目は藍超え最年少/国内女子”. サンケイスポーツ. 産業経済新聞社. (2017年9月24日). http://www.sanspo.com/golf/news/20170924/jlp17092414260004-n1.html 2017年9月24日閲覧。 
  20. ^ “畑岡奈紗が40年ぶり女子オープン連覇! メジャー記録20アンダー”. ゴルフダイジェストオンライン. (2017年10月1日). https://news.golfdigest.co.jp/jlpga/5762/article/70811/5/ 2018年6月4日閲覧。 
  21. ^ 畑岡奈紗とイ・ボミにLPGAの会員証”. ALBA.Net (2017年10月5日). 2019年5月28日閲覧。
  22. ^ 2017年米LPGAツアーファイナルQT 出場選手&成績”. ALBA.Net (2017年12月4日). 2019年5月28日閲覧。
  23. ^ 伸び盛り畑岡奈紗、日本勢初の10代トップ10入り”. 日刊スポーツ (2018年6月5日). 2019年9月15日閲覧。
  24. ^ “柳簫然が大会初制覇 日本女子OPゴルフ”. 日経電子版. 日本経済新聞社. (2018年9月30日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35934280Q8A930C1000000/ 2018年11月5日閲覧。 
  25. ^ 畑岡奈紗が米ツアー2勝目”. 日刊スポーツ (2018年11月4日). 2019年9月15日閲覧。
  26. ^ 2019年 キア・クラシック 最終日 スコア結果”. ゴルフダイジェスト・オンライン (2019年4月1日). 2019年5月28日閲覧。
  27. ^ 畑岡奈紗 独走Vでアジアナンバーワン”. 日本女子プロゴルフ協会 (2019年9月15日). 2019年9月15日閲覧。
  28. ^ a b 畑岡奈紗Vで国内メジャー2連勝”. 日刊スポーツ (2019年10月6日). 2019年10月6日閲覧。
  29. ^ 畑岡が2年ぶり3度目の日本一”. サンケイスポーツ (2019年10月6日). 2019年10月6日閲覧。
  30. ^ Rankings2019-10-07” (英語). Women's World Golf Rankings (2019年10月7日). 2019年10月9日閲覧。
  31. ^ “畑岡奈紗は6打及ばず9位「金メダル目指して5年…悔しい気持ち大きい」”. 日刊スポーツ. https://www.nikkansports.com/olympic/tokyo2020/golf/news/202108080000196.html 2021年8月8日閲覧。 
  32. ^ 畑岡が帰国「五輪参加は自分の財産」 米ツアー参戦5季目は賞金ランク3位”. 産経ニュース (2021年12月22日). 2021年12月22日閲覧。
  33. ^ レジェンド中嶋常幸が教え子の畑岡奈紗にエール
  34. ^ リーダーボード|アマタフレンドシップカップ特集”. ALBA.Net (2018年12月23日). 2019年10月5日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集