船山(ふなやま)は、飛騨高地の中央に位置する岐阜県高山市下呂市にまたがる標高1,479 m[注釈 1][2]舟山とも書く。

船山
北東側の高山市立久々野小学校から望む船山、山腹にひだ舟山スノーリゾートアルコピア(2015年3月28日)
北東山麓の久々野小学校から望む船山
標高 1,479.39[1] m
所在地 日本の旗 日本
岐阜県高山市下呂市
位置 北緯36度01分27秒 東経137度14分22秒 / 北緯36.02417度 東経137.23944度 / 36.02417; 137.23944座標: 北緯36度01分27秒 東経137度14分22秒 / 北緯36.02417度 東経137.23944度 / 36.02417; 137.23944[1]
山系 飛騨高地
船山の位置(日本内)
船山
船山の位置
プロジェクト 山
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概要 編集

位山川上岳と船山を合わせて位山三山、飛騨三霊山と呼ばれている[3]。西側の位山との鞍部の位山峠には東山古道が通っていた[3]。船山を含む周辺の山域は、岐阜県の位山舟山県立自然公園の指定を受けている[4]ぎふ百山の一つに選定されている[5]。山頂部には、モミネズコイチイなどの原生林があり[2]、船山山頂花木園が整備されている[3]。山頂の東側には船山神社がある[3]。山頂部にはテレビ局電気通信事業者高山市方面への電波通信施設が乱立する[3][6]。山麓の傾斜地にある開拓地では、高冷地の気候を生かしてナシリンゴモモなどが栽培されている[7][8]

東山腹には、ひだ舟山スノーリゾートアルコピアスキー場が開設され[6]、夏には「アルコピアひまわり園」の観光スポットとなっていた[7]。しかし、利用客の落ち込みから、ひだ舟山スノーリゾートアルコピアは2023年(令和5年)3月12日に廃止された[9]。廃止後も旧スキー場のゲレンデをヒマワリ畑にするイベントは継続している[10]。旧スキー場についてはキャンプ場などを開設する計画がある[9]

山名の由来 編集

昔は「久々濃山」と呼ばれていた[8]。『宮殿縁起』では、「雲の波を分け船を止めたことから船山と呼ばれた」とされている[8]を逆さに伏せたような山容であることが山名の由来であるとする説もある[3][7]飛騨富士(ひだふじ)の異称をもつ[7][11][12]

登山道 編集

岐阜県道98号宮萩原線沿いの位山峠及びアララギ湖から登山道が開設されている。位山峠から山頂へ至る登山道の下部にはブナの原生林があり[3]、位山峠から登るコースは「光と風の道」と名付けられている岐阜大学演習林に沿ったコース[6][8]。積雪期には、ひだ舟山スノーリゾートアルコピアからリフトを利用して雪山登山が行われることもあり[3]、山頂部には北アルプスを望む展望台があり[7]、東屋が設置されている。山頂部からは白山御嶽山、位山、川上岳などを望むことができる[3][6]

地理 編集

高山市の南側にあり、飛騨高地で独立峰のように位置する[3]。山頂部は東西に長い[3]乗鞍岳から西に延びる位山分水嶺に属する[8]

周辺の主な山 編集

山頂の東2.9 kmには、大沢山(標高1,112 m)がある。周辺の主要な山を以下に示す。

山容 山名 標高(m)
[1][注釈 2][13]
三角点等級
基準点名[1]
船山からの
方角距離(km)
備考
  乗鞍岳 3,025.73  一等
「乗鞍岳」
 東北東 29.7 日本百名山
  位山 1,528.87 三等
「位山」
 西北西 4.2 日本二百名山
  船山 1,479.39 二等
「船山」
  0 ぎふ百山
  川上岳 1,625.49 一等
「兎馬場」
 西南西 8.3 阿寺山地の最高峰
日本三百名山
  御嶽山 3,067  (一等)「御岳山」
(3,063.61m)
 東南東 26.2 日本百名山

周辺の峠 編集

源流の河川 編集

 
飛騨川の支流の牛牧谷にある夫婦滝

木曽川水系の以下の飛騨川支流源流となる山で、太平洋側の伊勢湾へ流れる。

  • 牛牧谷 - 山頂の南東4.7 kmに夫婦滝がある[12]
  • 初谷
  • 無数河川 - 山頂の西2 kmに、1975年昭和50年)の久々野防災ダムが建設され、アララギ湖ができた[8]。周辺にアララギ湖キャンプ場とアララギ湖原生林公園がある[3]

交通・アクセス 編集

東山麓の飛騨川沿いにJR東海高山本線と国道41号通り、北山麓の無数河川沿いに岐阜県道455号段久々野線が通り、西山腹に岐阜県道98号宮萩原線が通る。北山腹に林道が通り、南山腹に山頂部の電波通信設備へ至る船山管理道路が通る[15]

船山の風景と眺望 編集

船山の風景 編集

船山からの眺望 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 山頂部は高山市(旧大野郡久々野町)に位置し、西山腹は下呂市(旧益田郡萩原町、南山腹は下呂市(旧益田郡小坂町)に位置する。
  2. ^ 基準点の標高は、国土地理院による2014年3月の改定値を反映。

出典 編集

  1. ^ a b c d 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2014年6月9日閲覧。
  2. ^ a b c 日本山名辞典 (1992)、460頁
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 島田 (2009)、42-43頁
  4. ^ 県立自然公園”. 岐阜県. 2014年6月9日閲覧。
  5. ^ 岐阜県山岳連盟 (1987)
  6. ^ a b c d 東 (2010)、156-157頁
  7. ^ a b c d e 久々野(くぐの)地域”. 高山市. 2014年6月9日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g 伊藤 (2005)、1115-1116頁
  9. ^ a b 廃止スキー場「アルコピア」キャンプ場運営申し出 岐阜・高山市の経営者、年間利活用”. 岐阜新聞. 2023年8月23日閲覧。
  10. ^ ヒマワリ圧巻20万本、ゲレンデ一面に大輪 岐阜・高山市の旧アルコピア”. 岐阜新聞. 2023年8月23日閲覧。
  11. ^ 吉野 (1996)、66頁
  12. ^ a b 女男滝(めおとだき)”. 岐阜県. 2014年6月10日閲覧。
  13. ^ 日本の主な山岳標高(長野県の山・岐阜県の山)”. 国土地理院. 2015年6月9日閲覧。
  14. ^ 中部北陸自然歩道”. 岐阜県. 2014年6月11日閲覧。
  15. ^ 下呂市登山口情報20150522修正”. 下呂市. 2014年6月10日閲覧。

参考文献 編集

  • 岐阜県山岳連盟『ぎふ百山』岐阜新聞社、1987年7月。ISBN 4905958474 
  • 徳久球雄 編『コンサイス日本山名辞典』(修訂版)三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1 
  • 島田靖、堀井啓介『改訂版 岐阜県の山』山と溪谷社〈新・分県登山ガイド・改訂版〉、2009年12月。ISBN 9784635023702 
  • 日本山岳会『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1 
  • 飛騨山岳会『飛騨の山』ナカニシヤ出版、2010年11月。ISBN 9784398757838 
  • 吉野晴朗『ふるさとの富士200名山』東方出版、1996年8月。ISBN 488591499X 

関連項目 編集

外部リンク 編集