荒井正吾
荒井 正吾(あらい しょうご、1945年(昭和20年)1月18日 - )は、日本の運輸官僚、政治家。奈良県知事(民選第17代)。
荒井正吾 あらい しょうご | |
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![]() 荒井 正吾(2012年) | |
生年月日 | 1945年1月18日(74歳) |
出生地 |
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出身校 |
東京大学法学部 シラキューズ大学マックスウェル行政大学院 |
前職 |
国家公務員(運輸省) 海上保安庁長官 |
所属政党 |
(自由民主党→) 無所属 |
称号 |
法学士(東京大学・1968年) 行政学修士(シラキューズ大学・1972年) |
公式サイト | こちら知事室です/奈良県公式ホームページ |
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当選回数 | 3回 |
在任期間 | 2007年5月3日 - 現職 |
選挙区 | 奈良県選挙区 |
当選回数 | 1回 |
在任期間 | 2001年7月29日 - 2007年3月9日 |
海上保安庁長官(第36代)、参議院議員(1期)、外務大臣政務官(第1次小泉第2次改造内閣・第2次小泉内閣)、参議院文教科学委員長等を歴任した。
目次
来歴編集
大阪府八尾市に生まれ、奈良県大和郡山市で育つ。奈良女子大学附属高等学校、東京大学法学部卒業。大学在学中に国家公務員採用上級甲種試験(法律)に合格し、1968年に運輸省に入省した。本省勤務の他、OECD日本政府代表部への出向や、シラキューズ大学マックスウェル行政大学院への留学(公共経営修士(専門職)を取得)も経験する。1999年、海上保安庁長官に就任し、2001年に退官するまで務めた。
2001年7月、第19回参議院議員通常選挙に自由民主党公認で奈良県選挙区から出馬し、民主党公認の元衆議院議員、前田武志を破り初当選した。2003年、第1次小泉第2次改造内閣で外務大臣政務官に任命され、第2次小泉内閣まで務める。2005年8月8日の郵政民営化法案の参議院本会議における採決では、党の賛成方針に反して退席し、投票を棄権したため、党から戒告処分を受けた。
2006年、参議院文教科学委員長に就任。2007年3月5日、同年4月の奈良県知事選挙に出馬するため、扇千景参議院議長に辞職願を提出し、9日の参議院本会議で辞職が許可された[1]。4月8日投開票の奈良県知事選挙では自民・公明両党の推薦や、引退する柿本善也知事の支援を受けて出馬し、日本共産党の推薦を受ける前生駒市議会議員を破り、当選した[2]。
2011年の奈良県知事選挙では、前年10月に再選出馬を表明していた荒井の圧勝が有力視されていたが、奈良県医師会長の塩見俊次が「関西広域連合への参加」を掲げて無所属での出馬を表明し[3]、関西広域連合への参加を拒否する荒井県政を批判していた大阪府知事(当時)の橋下徹が塩見への支持を表明[4]。選挙戦で荒井は「職員は増え、予算にも無駄が出る」「奈良は近隣府県から自立しなければいけない」等、引き続き関西広域連合への不参加を強調したのに対し、告示日のわずか2日前に出馬を表明し、関西広域連合への参加を掲げる塩見が荒井を猛追し、生駒市では塩見が荒井の得票数を上回り、奈良市でも約3千票差、全体では約7万票差まで詰め寄られるも、組織票を手堅く固めた荒井が再選された[5][6][7]。
2014年12月4日、奈良県議会本会議で翌2015年の奈良県知事選挙に3選を目指して出馬する意向を表明した[8]。出馬表明後も、記者会見で関西広域連合への参加にはなおも否定的な見解を示していたが[9]、2015年1月、生駒市長の山下真が関西広域連合への参加を掲げて知事選への出馬を表明[10]。選挙戦では、関西広域連合長である井戸敏三兵庫県知事も荒井への支持を表明し、不参加に理解を示す一方、荒井自身がこれまでの主張を一変させ、防災や観光等の分野に限定した関西広域連合への「部分的参加」を表明[11]。生駒市長を辞職して立候補した山下に約5万5千票差まで迫られるも、前回同様に自民・公明両党の支持層を中心に組織票を手堅く固め、3人の新人候補を下して3選[12]。当選後の4月14日、記者会見で改めて関西広域連合への部分的参加を表明し、加入に向けた手続きを進める方針を示した[13]。同年7月23日、関西広域連合委員会に奈良県の奥田喜則副知事が出席し、防災、観光・文化振興の2分野に限った部分的参加を正式に表明[14]。
政策・主張編集
関西広域連合編集
2015年7月23日に部分的参加を表明するまでは、奈良県は大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・和歌山県・徳島県・鳥取県の2府5県による、救急医療や防災等の分野で府県の枠組みを超えて連携・協力し、地方分権の受け皿を作る目的で2010年12月に設置された特別地方公共団体である関西広域連合に、関西圏の府県で唯一、不参加を表明していた。奈良県知事である荒井は、奈良が大阪府の一部に編入されていた明治時代の一時期を挙げて「当時は奈良には議席数も少なく、小学校を作るのも大変だった」「住民の意向から離れた集権的組織で、地方分権に逆行する懸念がある」等、関西広域連合をはじめ、道州制も含めた府県の枠組みを超えた連携を繰り返し批判し[15]、広域連合長の井戸敏三兵庫県知事や、2011年から全国知事会会長を務める山田啓二京都府知事から説得されても、不参加の立場を一貫して崩さなかった。
2008年に大阪府知事に就任した橋下徹は、関西広域連合への参加を拒否する奈良県をたびたび批判し、2011年2月24日には駅の設置箇所やルートを巡って議論が続いているリニア中央新幹線の名古屋〜大阪間について、奈良県が参加を拒否し続ける場合はリニアの路線計画を変更し、駅は奈良県内ではなく京都府内への設置を国に働きかける考えを表明。これに対し、荒井はリニア新幹線駅のルートや駅の設置箇所は運輸省時代に既に決定されており、地方公共団体である関西広域連合の動きに不快感を示した[16]。
その後も一貫して不参加を主張していたが、2015年の奈良県知事選挙に際して、生駒市長の山下真が関西広域連合への参加を掲げて出馬したのに対し、荒井は従来の主張を一変させ、一転して「部分的参加」を表明した[11]。
しかし2016年4月、リニア中央新幹線の停車駅誘致をめぐり「京都や関西広域連合とは絶対に仲良くしてはダメ」と発言するなど、従来の意見を引っ込めたわけではない[17]。
人物編集
歌手の松山千春は、共通の友人を通じて親交がある。2011年6月6日、松山は奈良県庁を表敬訪問し、橋下徹大阪府知事(当時)の主導によって進められる関西広域連合をはじめ関西圏の地方自治体の連携に懸念を表明して荒井知事にエールを送り、荒井は謝意を示した[18]。
所属団体・議員連盟編集
年譜編集
- 1945年1月18日 - 大阪府八尾市にて出生
- 1963年3月 - 奈良女子大学附属高等学校卒業
- 1967年 - 国家公務員採用上級甲種試験(法律)合格
- 1968年3月 -東京大学法学部 卒業
- 4月 - 運輸省入省
- 1972年6月 - シラキューズ大学マックスウェル行政大学院修了
- 1979年9月 - 運輸省海運局外航課同盟憲章企画室長
- 1986年6月 - 運輸省大臣官房文書課広報室長
- 1987年10月 - 運輸省大臣官房国有鉄道改革推進部日本鉄道建設公団・本州四国連絡橋公団監理官
- 1989年7月 - 運輸省航空局監理部航空事業課長
- 1991年6月 - 運輸省航空局監理部総務課長
- 1992年6月 - 運輸省大臣官房文書課長
- 1993年6月 - 運輸省運輸政策局観光部長
- 1995年6月 - 運輸省大臣官房審議官
- 1996年6月 - 運輸省鉄道局次長
- 1997年6月 - 運輸省自動車交通局長
- 1999年7月13日 - 海上保安庁長官
- 2001年1月5日 - 退官
- 7月29日 - 第19回参議院議員通常選挙に自由民主党公認で奈良県選挙区から出馬し、初当選
- 2003年9月25日 - 外務大臣政務官
- 2006年9月28日 - 参議院文教科学委員長
- 2007年3月9日 - 参議院議員辞職
- 2011年4月10日 - 奈良県知事選挙で再選
- 2015年4月12日 - 奈良県知事選挙で3選
脚注編集
- ^ “荒井正吾参院議員の辞職を許可、補選は行わず”. 読売新聞. (2007年3月9日) 2015年11月14日閲覧。
- ^ “奈良県知事に前参院議員・荒井氏が初当選”. 読売新聞. (2007年4月8日) 2015年11月14日閲覧。
- ^ “現職と2新人激突へ - 知事選あす告示”. 奈良新聞. (2011年3月23日) 2013年3月17日閲覧。
- ^ “奈良県知事選、3人が届け出…一転激戦に”. 読売新聞. (2011年3月24日) 2013年3月17日閲覧。
- ^ “奈良知事は現職の荒井氏が再選を決める”. 読売新聞. (2011年4月10日) 2015年11月14日閲覧。
- ^ “再選の荒井・奈良県知事、広域連合不参加への批判票に重み”. 日本経済新聞. (2011年4月12日) 2015年11月14日閲覧。
- ^ “奈良知事に現職の荒井氏再選 新顔の塩見氏ら破る”. 朝日新聞. (2011年4月10日) 2015年11月14日閲覧。
- ^ “奈良県の荒井知事、3選出馬を表明”. 日本経済新聞. (2014年12月4日) 2015年11月14日閲覧。
- ^ “関西広域連合加盟、なお否定的 荒井奈良知事3選出馬へ 自民支援か”. 産経新聞. (2015年1月6日) 2015年11月14日閲覧。
- ^ “知事選 生駒市長、出馬表明 山下氏「県政刷新」 現職と対決姿勢鮮明/奈良”. 毎日新聞. (2015年1月6日) 2015年11月14日閲覧。
- ^ a b “防災と観光で関西広域連合に参加表明 近畿で唯一不参加の奈良 知事選前に”. 産経新聞. (2015年3月6日) 2015年11月14日閲覧。
- ^ “【統一地方選】荒井氏が3新人振り切り3選 奈良県知事選”. 産経新聞. (2015年4月12日) 2015年11月14日閲覧。
- ^ “奈良の荒井知事 関西広域連合に加入準備へ”. 産経新聞. (2015年4月14日) 2015年11月14日閲覧。
- ^ “奈良県、関西広域連合へ参加表明 12月から2分野で”. 朝日新聞. (2015年7月23日) 2015年11月14日閲覧。
- ^ “「広域連合不参加」を主張してきた奈良の荒井知事、理由は過去の「大阪府に編入時代」の苦労…?”. 産経新聞. (2015年3月7日) 2015年11月14日閲覧。
- ^ “橋下知事「ならリニアは京都」 運輸官僚の奈良知事「だから広域連合ダメ」”. 産経新聞. (2011年2月27日) 2015年11月14日閲覧。
- ^ “リニア駅誘致で奈良知事「京都は排除しないと」”. 読売新聞. (2016年4月25日) 2016年5月6日閲覧。
- ^ “政局トークで知事激励 - 松山千春さん県庁訪問”. 奈良新聞. (2011年6月7日) 2015年11月14日閲覧。
- ^ 協会概要 - 各地の協会公益社団法人 日本中国友好協会(日中友好協会)
- ^ 2017年度 奈良県吹奏楽連盟・役員 - 奈良県吹奏楽連盟公式ホームページ