バイソン属
バイソン属(バイソンぞく、Bison)は、ウシ目(偶蹄目)ウシ科に分類される属。
バイソン属 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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ヘイゲンバイソン Bison bison bison
シンリンバイソン Bison bison athabasca ヨーロッパバイソン Bison bonasus | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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種 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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分類
編集バイソン属の発祥はアジア南方にあるとされ、現生種は大別して2種、絶滅種は大別して8種が確認されている[1][2]。
絶滅種
編集- Bison antiquus ムカシバイソン Bison antiquus
- Bison georgicus[3]
- Bison latifrons ジャイアントバイソン Bison latifrons
- Bison menneri[3]
- Bison occidentalis ホクチヤギュウ[4] Bison occidentalis
- Bison palaeosinensis
- Bison priscus ステップバイソン Steppe bison
- Bison schoetensacki Bison schoetensacki
現生種
編集- Bison bison アメリカバイソン American bison
- Bison bison bison ヘイゲンバイソン Plains bison
- Bison bison athabascae シンリンバイソン Wood bison
- Bison bonasus ヨーロッパバイソン European bison
- Bison bonasus bonasus (Linnaeus, 1758) リトアニアバイソン Lithuanian bison
- Bison bonasus caucasius コーカサスバイソン Caucasian bison (絶滅)
- Bison bonasus hungarorum カルパティアバイソン Carpathian bison (絶滅)
コーカサスバイソンの復元を目指して野生に放たれたヨーロッパバイソンとアメリカバイソンとのハイブリッドを新亜種 Bison bonasus montanus(ポーランド語版)とするべきだという意見もある。[6]
形態
編集現生種においては、同年代同士を比較した平均的な体重上の最大種はアメリカバイソンの一形態または一亜種のシンリンバイソンであり、体長240-380センチメートル、尾長90センチメートル、体高195-201センチメートル、体重500-1,179キログラムに達する[7]。
平均的な体重における最小種はヨーロッパバイソンであり、体長250-350センチメートル、尾長80センチメートル、体高180-210センチメートル[2]、体重650-1,350キログラムになる。
頭骨は幅広いうえに短い。脊椎(頸椎後部や胸椎前部)の突起が長いため、肩が隆起する。頭部から肩にかけて長い体毛で覆われる。
頭部には雌雄共に、皺や捻れのない短い角がある。角の断面は円形。
最大の種類は、北米に生息していたジャイアントバイソン(Bison latifrons) であり、体高約2.3 - 2.5メートル、体長約4.8メートル、体重約1.2 - 2トン以上、角の差し渡しが約2.2メートルと、史上最大の牛科動物および史上最重の反芻類の一種であった[8][9][10][11]。また、ステップバイソンの亜種の一つであり、現在のシベリアやモンゴルや中国などに分布していた Bison priscus gigas もジャイアントバイソンに匹敵する大きさと形態と分布をしていたと考えられている[12]。
生態
編集森林や草原に生息する。10-20頭の群れを形成して生活するが、繁殖期にはより大規模な群れを形成することもある。
繁殖形態は胎生。1回に1頭の幼獣を産む。
分布
編集現生種はアメリカ合衆国、カナダ、メキシコ(再導入)[13]、ヨーロッパ各地(ポーランド等)、アゼルバイジャン(再導入)、ロシア、サハ共和国(再導入)[14][15][16][17]等に見られる。この他、イギリスでも試験的な再導入が行われている[18]。
一方、バイソン属の起源はオーロックスと同様にアジア南方にあるとされ、かつてはユーラシア大陸やブリテン諸島や日本列島の広範囲にいたと思われる[1][2]。
日本列島においては、岩手県の花泉遺跡からはステップバイソンに近いと考えられる「ハナイズミモリウシ」がオーロックスと共に発掘されている[19]。また、栃木県から発掘された大型のバイソン属の化石は分類が不明だが、発掘された骨格は瀬戸内海(香川県小豆島沖)から発見された ホクチヤギュウ(Bison occidentalis)[4]と似た数値を有している[20]。北海道からは、北広島市[21]および八雲町[22]、浦河町[23]からバイソン属の化石が発掘されている。
人間との関係
編集開発による生息地の破壊、乱獲、家畜との交雑などにより野生下で絶滅(ヨーロッパバイソン)、もしくはそれに近い状態まで生息数が激減(アメリカバイソン)した。前者は飼育下個体を繁殖させ再導入し、後者は生息地での保護により自然公園や自然保護区内である程度まで生息数が回復している。
その他
編集白亜紀に生息した恐竜のスピノサウルスやオウラノサウルスは、背中の突起は一般的なイメージとして「帆」が認識されているが、それ以外の有力な仮説として筋肉の隆起という説もある。この仮説の根拠の基盤の一つとなったのが、バイソン属、特にアメリカバイソンや先祖であるジャイアントバイソンの骨格とされている。[24][25]
画像
編集-
ステップバイソン
B. priscus
脚注
編集- ^ a b Marsolier-Kergoat, Marie-Claude; Palacio, Pauline; Berthonaud, Véronique; Maksud, Frédéric; Stafford, Thomas; Bégouën, Robert; Elalouf, Jean-Marc (17 June 2015). “Hunting the Extinct Steppe Bison (Bison priscus) Mitochondrial Genome in the Trois-Frères Paleolithic Painted Cave”. PLOS ONE 10 (6): e0128267. doi:10.1371/journal.pone.0128267. ISSN 1932-6203. PMC 4471230. PMID 26083419. オリジナルの16 May 2017時点におけるアーカイブ。 .
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- ^ a b 春成秀爾「更新世末の大形獣の絶滅と人類」『国立歴史民俗博物館研究報告』第90巻、国立歴史民俗博物館、2001年3月、17,43、doi:10.15024/00000978、ISSN 0286-7400。
- ^ a b c Castaños J., Castaños P., Murelaga X., 2016, "First Complete Skull of a Late Pleistocene Steppe Bison ( Bison priscus ) in the Iberian Peninsula", Ameghiniana, 53(5), pp.543-551, DOI: 10.5710/AMGH.03.06.2016.2995
- ^ Rautian, G. S.; Kalabushkin, B. A.; Nemtsev, A. S. (2000). “A New subspecies of the European Bison, Bison bonasus montanus ssp. nov.”. Doklady Biological Sciences 375 (4): 563–567.
- ^ Gennady G. Boeskorov, Olga R. Potapova, Albert V. Protopopov, Valery V. Plotnikov, Larry D. Agenbroad, Konstantin S. Kirikov, Innokenty S. Pavlov, Marina V. Shchelchkova, Innocenty N. Belolyubskii, Mikhail D. Tomshin, Rafal Kowalczyk, Sergey P. Davydov, Stanislav D. Kolesov, Alexey N. Tikhonov, Johannes van der Plicht, 2016, The Yukagir Bison: The exterior morphology of a complete frozen mummy of the extinct steppe bison, Bison priscus from the early Holocene of northern Yakutia, Russia, pp.7, Quaternary International, Vol.406 (2016 June 25), Part B, pp.94-110
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- ^ East, Shirley G. (2011-12-29). The Dream Hunters Epoch: The Paleo Indians Series. ISBN 9781465396945
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- ^ Edmonton Journal, "Elk Island wood bison big hit in Russia", Hanneke Brooymans, 5 August 2010
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- ^ CBC News, "More Alberta bison to roam Russia", 23 September 2013
- ^ https://geographical.co.uk/wildlife/bison-return-to-the-uk-a-success
- ^ 黒沢弥悦、モノが語る牛と人間の文化 ②岩手の牛たち、pp.29-31、LIAJ News No.109、奥州市牛の博物館
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- ^ 北広島市, バイソンの頭骨片・28点(pdf)
- ^ 木村 方一, 2007年, 太古の北海道―化石博物館の楽しみ, 第9章 そのほかの化石の紹介 - 3. 野牛(バイソン)の化石/八雲町郷土資料館、ISBN 978-4894534193, 北海道新聞社
- ^ 高橋啓一、楊平「中国黒竜江省ハルビン市周辺のマンモス動物群を訪ねて : 中国東北地域の後期更新世哺乳動物群から日本のマンモス動物群を考える」(PDF)『化石研究会会誌』第51巻第2号、化石研究会、2019年3月、43-52頁、CRID 1520291855460931968、ISSN 03871924、国立国会図書館書誌ID:029627170。
- ^ Bailey, J.B. (1997). "Neural spine elongation in dinosaurs: sailbacks or buffalo-backs?". Journal of Paleontology. 71 (6): 1124–1146.
- ^ Was Spinosaurus a Bison-Backed Dinosaur?