リアルインパクト

日本の競走馬

リアルインパクトReal Impact)は、日本中央競馬会 (JRA) に登録されていた競走馬。おもな勝ち鞍は2011年安田記念2015年ジョージライダーステークスディープインパクトの初年度産駒の一頭である。馬名の由来は「本物の衝撃」で、両親の名前より連想。

リアルインパクト
2011年安田記念
欧字表記 Real Impact
品種 サラブレッド
性別
毛色 鹿毛
生誕 2008年5月14日(16歳)
登録日 2010年6月24日
抹消日 2015年11月28日
ディープインパクト
トキオリアリティー
母の父 Meadow Lake
生国 日本の旗 日本北海道安平町
生産者 ノーザンファーム
馬主 キャロットファーム
調教師 堀宣行美浦
厩務員 斎藤裕也
競走成績
生涯成績 30戦5勝
(中央)28戦4勝
(海外)2戦1勝
獲得賞金 (中央競馬)3億9609万4000円
(海外)112万豪ドル
勝ち鞍
GI 安田記念 2011年
GI ジョージライダーS 2015年
GII 阪神カップ 2013年・2014年
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経歴 編集

デビュー前 編集

当歳時に生産者であるノーザンファーム代表・吉田勝己一口馬主法人のキャロットクラブ代表・手嶋龍一によって2009年のセレクトセールに上場されたものの、買い手がつかず3000万円で主取りとなった。そこでセレクトセールにいた調教師の堀宣行に声をかけ、同クラブで4000万円(400口)で募集された。

2歳 編集

2010年6月函館競馬場に入厩。当初は夏開催でデビュー予定だったが、ゲート試験に合格後に疲れが出たため放牧に出された。9月に再度入厩後、順調に調教を積み、10月東京競馬場の2歳新馬戦後藤浩輝を鞍上にデビュー。圧倒的1番人気に支持され、レースも3馬身差で快勝した。次走の京王杯2歳ステークスでは中団から馬群を割って追い込むが、外から伸びたグランプリボスに3/4馬身差をつけられ2着。更に朝日杯フューチュリティーステークスではフランシス・ベリーに乗り換わり、直線最内から伸びるもゴール前で再度グランプリボスに交わされ2着に敗れた。

3歳 編集

 
落鉄し宙に舞う蹄鉄
(写真中央上部)

レース後は宮城県山元トレーニングセンターに放牧に出されたが、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に遭い、同トレセンでの調整が不可能になった。このため、3日後に美浦トレーニングセンター近郊の牧場に輸送された後、3月18日に美浦トレセンに帰厩した。この影響で調整が遅れ、初戦のニュージーランドトロフィーでは内田博幸を鞍上に迎えて挑むも11着に敗退した。レース後は調子が上向き順調に調教を重ね、NHKマイルカップに臨んだがスタートの出負け、直線で前が壁になるなどスムーズなレースが出来ず、内から伸びてくるも3着に敗退。三度グランプリボスの後塵を拝する。この時点で東京優駿(日本ダービー)に出走可能な収得賞金を保持していたが、距離適性を考慮して日本ダービーの出走登録を見送り、敢えて古馬相手の安田記念に出走。9番人気の低評価ながらも、戸崎圭太を鞍上に3、4番手で進めると直線で抜け出し、右前脚を落鉄しながらも[1]最後は同厩舎のストロングリターンの追撃をクビ差抑え、1分32秒0のタイムで勝利した。同競走において出走した3歳馬は当馬のみで、2004年メイショウボーラー(11着)以来7年ぶりであった。3歳馬による安田記念(前身の安田賞含む)勝利は第2回のスウヰイスー以来59年ぶり、1984年グレード制施行により安田記念がGIに指定された1984年以降では初の3歳馬による勝利となった[注 1][2]。また、グレード制施行以後に古馬GI競走で1勝馬が勝利したのも史上初である[3]

夏の休養明け緒戦となった毎日王冠では岩田康誠を鞍上に3番手追走から直線で一旦先頭に立ったが、外から追い込んできたダークシャドウに交わされ2着に終わる。マイルチャンピオンシップ福永祐一騎乗で1番人気で出走、好位で脚を溜めたが直線で伸びず5着に敗退。阪神カップも福永が騎乗し、道中では3番手を追走したが、直線で進路が開かず、内々で詰まってしまい10着に敗退した。

4歳 編集

2012年緒戦は2月26日中山記念。道中好位の3番手につけたが直線で差を詰められず3着。続く4月22日マイラーズカップでは1番人気に支持され、道中中団を追走したが、直線で失速し18着と殿負けに終わった。連覇がかかった6月3日安田記念では2番手に位置し直線で一旦先頭に立つも6着に敗れた。秋の初戦10月7日毎日王冠は道中4番手を追走、直線では弾けるような反応はなく徐々に差を詰める程度で4着に敗れた。続く11月18日鞍上を岩田康誠からR・ムーアに変わって挑んだマイルチャンピオンシップではスローペースの中5番手を追走、直線を向くも伸びずにそのまま5着でゴールした。

5歳 編集

2013年緒戦は2月3日東京新聞杯で鞍上はデクラン・マクドノー。外から好スタートで先団4番手につけたが、その後直線で失速すると馬群に沈み11着に終わった。次走2月24日中山記念は道中シルポートが大逃げを打つ展開で後方を追走、最後見せ場もなく8着に敗れた。3月31日ダービー卿チャレンジトロフィーは積極的に前を行く作戦で4番手を追走、しかし直線でギアが上がらず12着に敗れた。約6ヶ月半の休みを経て出走した富士ステークスで2着と好走。マイルチャンピオンシップでは10着に敗れた。続く阪神カップで逃げ切り勝ちを収め、安田記念以来約2年6ヶ月ぶりの勝利を挙げた[4]

6歳 編集

2014年は初のスプリント戦となるオーシャンステークスから始動し8着[5]高松宮記念では不良馬場で力を発揮できず9着に敗れた[6]。再びマイル路線に戻り、安田記念に出走したが高松宮記念と同様に不良馬場が合わず13着と大敗[7]。夏は休養し、11月のキャピタルステークス6着を挟んで阪神カップへ出走。コパノリチャードとの叩き合いを制し、連覇を達成した[8]

7歳 編集

2015年はオーストラリアのG1・ドンカスターマイルに参戦することとなった[9]。現地初戦としてG1・ジョージライダーステークスへの出走を決めた[10]。レースでは先手をとる展開で、直線に入ってからの叩き合いを制し優勝した[11]。続くドンカスターマイルでは2着に敗れた[12][13]。帰国初戦の安田記念と秋初戦の毎日王冠はともに12着に敗れ[14][15]、マイルチャンピオンシップでも8着に敗れた[16]11月28日付けで競走馬登録を抹消した[17]

競走成績 編集

競走日 競馬場 競走名 距離(馬場) 頭数 オッズ
(人気)
着順 タイム
(上り3F)
着差 騎手 斤量
[kg]
1着馬(2着馬)
2010.10.24 東京 2歳新馬 芝1400m(良) 14 01.3(01人) 01着 1:24.8 (33.4) -0.5 後藤浩輝 55 (コスモソルフェリノ)
0000.11.13 東京 京王杯2歳S GII 芝1400m(良) 15 03.4(02人) 02着 1:21.9 (33.5) -0.1 後藤浩輝 55 グランプリボス
0000.12.19 中山 朝日杯FS GI 芝1600m(良) 16 10.3(04人) 02着 1:34.0 (34.8) -0.1 F.ベリー 55 グランプリボス
2011.04.09 阪神 ニュージーランドT GII 芝1600m(良) 18 07.5(04人) 11着 1:35.0 (33.9) -0.5 内田博幸 56 エイシンオスマン
0000.05.08 東京 NHKマイルカップ GI 芝1600m(良) 18 06.1(04人) 03着 1:32.5 (34.0) -0.3 内田博幸 57 グランプリボス
0000.06.05 東京 安田記念 GI 芝1600m(良) 18 29.3(09人) 01着 1:32.0 (34.5) -0.0 戸崎圭太 54 ストロングリターン
0000.10.09 東京 毎日王冠 GII 芝1800m(良) 11 06.8(02人) 02着 1:46.7 (33.2) -0.0 岩田康誠 57 ダークシャドウ
0000.11.20 京都 マイルCS GI 芝1600m(稍) 18 04.2(01人) 05着 1:34.3 (35.1) -0.4 福永祐一 56 エイシンアポロン
0000.12.17 阪神 阪神カップ GII 芝1400m(良) 18 02.8(01人) 10着 1:21.4 (35.8) -0.9 福永祐一 56 サンカルロ
2012.02.26 中山 中山記念 GII 芝1800m(良) 11 10.0(04人) 03着 1:48.1 (35.3) -0.8 岩田康誠 57 フェデラリスト
0000.04.22 京都 マイラーズカップ GII 芝1600m(良) 18 06.0(01人) 18着 1:34.8 (36.3) -1.6 岩田康誠 58 シルポート
0000.06.03 東京 安田記念 GI 芝1600m(良) 18 20.4(12人) 06着 1:31.9 (35.4) -0.6 岩田康誠 58 ストロングリターン
0000.10.07 東京 毎日王冠 GII 芝1800m(良) 16 18.6(07人) 04着 1:45.3 (34.2) -0.3 岩田康誠 57 カレンブラックヒル
0000.11.18 京都 マイルCS GI 芝1600m(稍) 18 16.8(09人) 05着 1:33.2 (34.6) -0.3 R.ムーア 57 サダムパテック
2013.02.03 東京 東京新聞杯 GIII 芝1600m(良) 16 11.1(06人) 11着 1:34.1 (34.5) -1.2 D.マクドノー 56 クラレント
0000.02.24 中山 中山記念 GII 芝1800m(良) 15 11.7(07人) 08着 1:47.8 (35.5) -0.5 内田博幸 57 ナカヤマナイト
0000.03.31 中山 ダービー卿CT GIII 芝1600m(良) 16 12.9(07人) 12着 1:33.3 (35.6) -0.7 和田竜二 58 トウケイヘイロー
0000.10.19 東京 富士S GIII 芝1600m(良) 15 29.6(09人) 02着 1:33.6 (33.8) -0.1 戸崎圭太 58 ダノンシャーク
0000.11.17 京都 マイルCS GI 芝1600m(良) 18 34.1(13人) 10着 1:33.2 (34.7) -0.8 戸崎圭太 57 トーセンラー
0000.12.23 阪神 阪神カップ GII 芝1400m(良) 18 15.4(08人) 01着 1:21.4 (34.8) -0.0 R.ムーア 57 ガルボ
2014.03.08 中山 オーシャンS GIII 芝1200m(良) 16 06.4(02人) 08着 1:09.6 (34.5) -0.7 戸崎圭太 57 スマートオリオン
0000.03.30 中京 高松宮記念 GI 芝1200m(不) 18 16.7(07人) 09着 1:13.3 (37.6) -1.1 戸崎圭太 57 コパノリチャード
0000.06.08 東京 安田記念 GI 芝1600m(不) 17 85.7(14人) 13着 1:38.4 (39.2) -1.6 戸崎圭太 58 ジャスタウェイ
0000.11.30 東京 キャピタルS OP 芝1600m(良) 16 08.4(04人) 06着 1:33.8 (35.0) -0.2 R.ムーア 58 シェルビー
0000.12.27 阪神 阪神カップ GII 芝1400m(良) 18 14.4(08人) 01着 1:20.7 (34.7) -0.0 W.ビュイック 57 (コパノリチャード)
2015.03.21 ローズヒル ジョージライダーS G1 芝1500m(稍[注 2] 14 01着 1:28.29 -0.1 J.マクドナルド 59 (Criterion)
0000.04.06 ランドウィック ドンカスターマイル G1 芝1600m(重[注 3] 20 02着 -1.8 J.マクドナルド 55 Kermadec
0000.06.07 東京 安田記念 GI 芝1600m(良) 17 13.1(06人) 12着 1:32.9 (35.6) -0.9 内田博幸 58 モーリス
0000.10.11 東京 毎日王冠 GII 芝1800m(良) 13 48.3(12人) 12着 1:46.6 (34.7) -1.0 C.ルメール 58 エイシンヒカリ
0000.11.22 京都 マイルCS GI 芝1600m(良) 18 95.9(17人) 08着 1:33.3 (33.2) -0.5 H.ボウマン 57 モーリス

種牡馬時代 編集

競走馬引退後は2016年より種牡馬となり、社台スタリオンステーションで繋養される[18]

同年のシーズンオフからはシャトル種牡馬としてオーストラリアアローフィールドスタッドで繋養される[19]

2019年のファーストシーズンサイアーランキングで3位となる。初年度産駒からラウダシオンNHKマイルカップを勝ち、初重賞かつ初GI制覇となった[20]

2021年より優駿スタリオンステーションで繋養されることになった。

主な産駒 編集

太字はGI・JpnIを示す

グレード制重賞優勝馬 編集

地方重賞優勝馬 編集

  • 2018年産
    • ティーズダンキー(2021年梅桜賞
  • 2020年産

血統表 編集

リアルインパクト血統サンデーサイレンス系 / Nothirdchance 5×5) (血統表の出典)

ディープインパクト
2002 鹿毛
北海道早来町
父の父
*サンデーサイレンス
Sunday Silence
1986 青鹿毛
アメリカ
Halo Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well Understanding
Mountain Flower
父の母
*ウインドインハーヘア
Wind in Her Hair
1991 鹿毛
アイルランド
Alzao Lyphard
Lady Rebecca
Burghclere Burghclere
Highclere

*トキオリアリティー
Tokio Reality
1994 栗毛
アメリカ
Meadow Lake
1983 栗毛
アメリカ
Hold Your Peace Speak John
Blue Moon
Suspicious Native Raise a Native
Be Suspicious
母の母
What a Reality
1978 栗毛
アメリカ
In Reality Intentionally
My Dear Girl
What Will Be Crozier
Solabar F-No.3-i

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ GI指定後、3歳馬が出走可能になったのは、1996年である。
  2. ^ 公式発表は"Good"で、日本では稍重に相当。
  3. ^ 公式発表は"Soft 7"で、日本では重に相当。

出典 編集

  1. ^ 【安田記念】オーナー&生産者ビックリ!”. サンケイスポーツ (2011年6月6日). 2011年6月9日閲覧。
  2. ^ 【安田記念】3歳馬インパクトV!アパパネ6着 (2/2ページ)”. サンケイスポーツ (2011年6月5日). 2011年6月5日閲覧。
  3. ^ 【安田記念】府中に衝撃!9番人気リアル歴史的V”. スポニチアネックス (2011年6月5日). 2011年6月6日閲覧。
  4. ^ リアルインパクト逃げ切り、2年6ヶ月ぶりの重賞勝利!/阪神カップ”. netkeiba.com (2013年12月23日). 2013年12月23日閲覧。
  5. ^ 【オーシャンS】リアルインパクト 初の6F戦で新境地開く”. スポニチアネックス (2014年3月4日). 2014年12月30日閲覧。
  6. ^ 【高松宮記念】戦い終えて”. スポニチアネックス (2014年3月31日). 2014年12月30日閲覧。
  7. ^ 【安田記念】戦い終えて”. スポニチアネックス (2014年6月9日). 2014年12月30日閲覧。
  8. ^ リアルインパクトが接戦を制して連覇達成!/阪神C”. netkeiba.com (2014年12月27日). 2014年12月30日閲覧。
  9. ^ ロゴタイプの豪州遠征に社台F代表吉田照哉氏「これからは選択肢を広げていく時代」”. netkeiba.com (2015年1月10日). 2015年3月21日閲覧。
  10. ^ 【ジョージライダーS】(ワールドエース&リアルインパクト出走・21日、豪)~出馬表が確定”. netkeiba.com (2015年3月19日). 2015年3月21日閲覧。
  11. ^ リアルインパクトが叩き合いを制し海外GI制覇!/豪・ジョージライダーS”. netkeiba.com (2015年3月21日). 2015年3月21日閲覧。
  12. ^ リアルインパクトは2着 勝ったのはカーマデック/豪・ドンカスターマイル”. netkeiba.com (2015年4月6日). 2015年11月29日閲覧。
  13. ^ 2015年レース結果”. breednet.com (2015年4月6日). 2015年11月29日閲覧。
  14. ^ 2015年安田記念レース結果”. netkeiba.com (2015年6月7日). 2015年11月29日閲覧。
  15. ^ 2015年毎日王冠レース結果”. netkeiba.com (2015年10月11日). 2015年11月29日閲覧。
  16. ^ 2015年マイルチャンピオンシップレース結果”. netkeiba.com (2015年11月22日). 2015年11月29日閲覧。
  17. ^ リアルインパクトが引退”. ラジオNIKKEI. 2022年7月2日閲覧。
  18. ^ リアルインパクト号が競走馬登録抹消”. 日本中央競馬会 (2015年11月28日). 2015年11月29日閲覧。
  19. ^ リアルインパクト、豪州にシャトルされる(オーストラリア)ジャパンスタッドブックインターナショナル、2016年6月29日閲覧
  20. ^ 【NHKマイルC結果】ラウダシオンが2番手から押し切り戴冠!M.デムーロ騎手は連覇達成!”. netkeiba.com (2020年5月10日). 2020年5月10日閲覧。
  21. ^ 【海外競馬】リアルインパクト産駒が豪G1で2着&G3制覇 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2021年4月5日閲覧。
  22. ^ Lunar Impact | Record By Race Type | Racing Post
  23. ^ Count De Rupee | Record By Race Type | Racing Post
  24. ^ モズメイメイ”. JBISサーチ. 公益財団法人日本軽種馬協会. 2023年5月27日閲覧。
  25. ^ プルタオルネ”. www.jbis.or.jp. JBISサーチ. 2022年10月23日閲覧。
  26. ^ 【香港・QE2世C】ネオリアリズムが海外G1初制覇!スポーツニッポン、2017年4月30日閲覧

外部リンク 編集