ライアン・ムーア

イギリスの騎手 (1983 - )

ライアン・ムーアRyan Lee Moore1983年9月18日 - )は、イギリスを拠点とする騎手。イギリス・バークシャー出身。父はゲーリー・ムーア調教師)、弟はジェイミー・ムーア障害競走専門騎手)。エイダン・オブライエン厩舎主戦騎手を務めている。

ライアン・ムーア
Ryan Moore 20230319.jpg
2023年3月19日
基本情報
国籍 イギリスの旗 イギリス
出身地 イングランドの旗 イングランドバークシャー
生年月日 (1983-09-18) 1983年9月18日(39歳)
騎手情報
初免許年 2000年
免許区分 平地・障害
テンプレートを表示

来歴編集

2000年5月18日にトウセスター競馬場で障害騎手としてデビュー。父の管理馬であるマーシービートで初騎乗初勝利を果たす。

2002年、1月に平地競走で初勝利を挙げる。

2003年、39勝を挙げ最優秀見習い騎手となる。

2004年、5月に京王杯スプリングカップに出走したフィートソーファストに騎乗するために初めて日本を訪れ、中央競馬初騎乗となった同レースでは3着となった。同年イギリスで132勝を挙げ勝利数5位となる。

2006年シャーガーカップにおいて5戦2勝、2着2回の成績で最優秀騎手賞を受賞する。インターナショナルステークスノットナウケイトに騎乗して制し、G1初勝利を挙げる。この年は182勝を挙げ、イギリスのリーディングジョッキーとなる。当時23歳でのリーディングジョッキー獲得は史上2番目の若さである。12月には第20回ワールドスーパージョッキーズシリーズに参加したが、26ポイントで10位だった。

2007年、春先に右腕を骨折し、3か月の休養を強いられる。11月に第24回マイルチャンピオンシップに出走するベクラックスに騎乗するために3度目の来日を果たし、レースに挑むが8着だった。翌週第8回ジャパンカップダート第27回ジャパンカップにも騎乗したが、それぞれ15着と7着だった。12月5日インターナショナルジョッキーズチャンピオンシップに出場したが0ポイントで10位だった。12月にマイケル・スタウト調教師から、厩舎の主戦騎手に指名された[1]

2008年、2回目のイギリスリーディングを獲得した。

2009年7月25日キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスコンデュイットで制覇した。12月5日12月6日には第23回ワールドスーパージョッキーズシリーズに出場。ゴールデンスパートロフィーをチャームナデシコに騎乗して勝利し、日本での初勝利を挙げた。総合成績は3位だった。そして12月9日には第12回インターナショナルジョッキーズチャンピオンシップに出場し、クリストフ・ルメールジョニー・ムルタと共に同点優勝を果たした。またこの年も前年に続いて、イギリスリーディングを獲得している。

2010年6月5日ダービーステークス(英ダービー)をワークフォースで制し、ダービージョッキーとなった。10月3日には同馬とのコンビで凱旋門賞も制した。

11月14日エリザベス女王杯スノーフェアリーで制し、日本での重賞初勝利をG1で飾った。翌週、11月21日マイルチャンピオンシップでもキンシャサノキセキに騎乗するため、11月16日-11月22日の期間で、初めて日本中央競馬会(JRA)の短期騎手免許を取得した[2]11月17日、エリザベス女王杯の後検量の際に馬装具の一部を外していたことが発覚し、エドワード・ダンロップ調教師、ロビン・トレヴァー調教助手と共に、JRAより厳重注意処分を受けた[3]11月27日東京競馬場で行われた第24回ワールドスーパージョッキーズシリーズで初優勝を果たすと、12月8日の第13回インターナショナルジョッキーズチャンピオンシップでも優勝し、前年に続き連覇を達成した[4]

2011年11月13日、スノーフェアリーでエリザベス女王杯を連覇した。1頭の外国馬が日本の平地GIを2勝したのはこれが初めてのことである[5]

2012年8月19日、スノーフェアリーでジャンロマネ賞を勝利。しかし後のスノーフェアリーの薬物検査で、禁止薬物が検出されたため、その勝利を剥奪された[6]11月10日から12月24日の期間にかけて、JRAの短期騎手免許を取得[7]11月11日イジゲン武蔵野ステークスを勝ち、日本馬に騎乗しての重賞初勝利を果たした[8]

2013年11月24日ジャパンカップにおいてジェンティルドンナに騎乗し、日本競馬史上初の同一馬によるジャパンカップ連覇の偉業を成し遂げる。

2014年3月29日ドバイシーマクラシックで再びジェンティルドンナに騎乗し、道中大きな不利がありながらレースレコードと合わせてメイダン競馬場芝2410mのコースレコードで勝利する。

2015年エイダン・オブライエン厩舎の主戦騎手ジョセフ・オブライエンが減量苦であることから、この年新たに同厩舎と主戦騎手契約を結ぶ[9]5月2日グレンイーグルス2000ギニーを勝つと、翌5月3日にはレガティッシモ1000ギニーを勝利[10]。1900年以降、同一シーズンに両ギニー競走を制覇した6人目の騎手となった[11]ロイヤルアスコット開催では単年における新記録となる9勝を挙げた[12]。しかし、7月9日ニューマーケット競馬場での枠入り時に騎乗馬が暴れて首を負傷[13]。当初は全治1か月余りと見られていたが[14]、2か月半後の9月24日のニューマーケット競馬場の2歳戦で復帰した[15]。10月30・31日にキーンランド競馬場で行われたブリーダーズカップ・ターフファウンドで、またブリーダーズカップ・ジュヴェナイルターフをヒットイットアボムで優勝し、シューメーカー賞の栄誉に輝いた。

ロンジンワールドベストジョッキーに2014年、2016年、2021年の3度選出されている[16]

年度別成績表編集

イギリス[17]編集

騎乗数 勝利 勝率 獲得賞金
勝数 順位 金額 順位
2004年 959 125勝 5位 .130 145万3966 8位
2005年 1041 120勝 3位 .115 165万3281 7位
2006年 1158 180勝 1位 .155 267万1887 2位
2007年 667 126勝 3位 .189 247万8827 4位
2008年 990 186勝 1位 .188 356万1436 1位
2009年 837 174勝 1位 .208 474万6077 1位
2010年 772 137勝 3位 .177 388万7771 1位
2011年 504 94勝 7位 .187 259万8952 2位
2012年 603 116勝 4位 .192 246万8765 4位
2013年 899 194勝 - .216 451万0605 -
2014年 775 162勝 - .209 438万0299 1位
2015年 381 81勝 - .213 503万8613 1位
2016年 462 103勝 - .223 808万5004 -
通算 - - - --- - -

※金額の単位はUKポンド

中央競馬[18]編集

騎乗数 勝利 勝率 連対率 獲得賞金
勝数 順位
2004年 1 0勝 189位 .000 .000 1519万
2005年 騎乗なし
2006年 4 0勝 181位 .000 .000 375.7万
2007年 6 0勝 179位 .000 .000 130万
2008年 1 0勝 169位 .000 .000 0
2009年 5 1勝 140位 .200 .200 5776.3万
2010年 34 6勝 90位 .176 .235 2億42.4万
2011年 1 1勝 131位 1.00 1.00 9394.8万
2012年 102 14勝 66位 .137 .304 2億5632.6万
2013年 94 16勝 59位 .170 .298 6億3885.5万
2014年 103 23勝 49位 .223 .330 3億4661.8万
2015年 65 16勝 58位 .246 .400 4億5038.4万
2016年 66 17勝 56位 .258 .379 4億6028.8万
通算 482 94勝 - .195 .320 25億2485.2万

※金額の単位は

JRA・騎乗成績編集

日付 競馬場・開催 競走名 馬名 頭数 人気 着順
初騎乗 2004年5月16日 2回東京8日目11R 京王杯スプリングC フィートソーファスト 18頭 8 3着
初勝利 2009年12月5日 2回阪神6日目4R ゴールデンスパーT チャームナデシコ 15頭 4 1着
重賞初騎乗 2004年5月16日 2回東京8日目11R 京王杯スプリングC フィートソーファスト 18頭 8 3着
重賞初勝利 2012年12月10日 5回東京4日目11R 武蔵野ステークス イジゲン 16頭 1 1着
GI初騎乗 2007年11月18日 5回京都6日目11R マイルCS ベクラックス 18頭 9 8着
GI初勝利 2010年11月14日 6回京都4日目11R エリザベス女王杯 スノーフェアリー 18頭 4 1着

主な勝ち鞍編集

イギリス編集

アイルランド編集

フランス編集

アメリカ編集

日本編集

アラブ首長国連邦編集

香港編集

その他編集

出典編集

脚注編集

  1. ^ 『優駿』2015年1月号、59頁。 
  2. ^ C.スミヨン、R.ムーア、A.クラストゥス騎手に短期免許交付 2010-11-18閲覧
  3. ^ 前例なし…スノーフェアリー関係者に「厳重注意」(競馬) ― スポニチ Sponichi Annex ニュース 2010-11-18閲覧
  4. ^ キャセイパシフィックインターナショナルジョッキーズチャンピオンシップ 内田博幸騎手の騎乗成績 2010-12-11閲覧
  5. ^ a b c d GIレースで2勝した唯一の外国競走馬・スノーフェアリー - 有吉正徳 世界の名馬 - 朝日新聞デジタル&M 2015-06-27閲覧
  6. ^ スノーフェアリーが禁止薬物の使用で、GI勝利を剥奪| netkeiba.comニュース 2012-11-30閲覧
  7. ^ R.ムーア騎手、C.ルメール騎手に短期騎手免許交付 2012-11-09閲覧
  8. ^ a b c d R.ムーアの騎手成績|競馬データベース - netkeiba.com 2015-06-28閲覧
  9. ^ Moore confirmed as first rider for O'Brien
  10. ^ 時事ドットコム:レガティッシモが優勝=英競馬1000ギニー 2015-06-27閲覧
  11. ^ ライアン・ムーア騎手、両ギニー競走を制覇(イギリス)[その他] | 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル 2015-06-27閲覧
  12. ^ Royal Ascot: Ryan Moore secures record-breaking ninth winner
  13. ^ Ryan Moore out of Newmarket meeting with neck injury
  14. ^ Ryan Moore set to be out for ‘more than a month’ from Newmarket injury
  15. ^ [1]
  16. ^ 2021年ロンジンワールドベストジョッキーの発表 JRA”. jra.jp. 2021年12月2日閲覧。
  17. ^ Statistics”. British Horseracing Authority. 2017年1月30日閲覧。
  18. ^ R.ムーアの年度別成績|競馬データベース - netkeiba.com 2014-12-08閲覧
  19. ^ a b ムーア騎手、オブライエン厩舎の主戦騎手へ(アイルランド)[その他] | 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル 2015-06-27閲覧
  20. ^ 不思議な競馬となったエクリプスS - netkeiba.com 2015-06-27閲覧
  21. ^ エリザベス女王の所有馬エスティメイト、ゴールドカップ優勝(イギリス)【その他】 | 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル 2015-06-27閲覧
  22. ^ コロネーションC、アスクがG1初制覇 - netkeiba.com 2015-06-27閲覧
  23. ^ Results From The 2.45 Race At Epsom | 3 June 2011 | Racing Post 2015-06-27閲覧
  24. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 第28回ワールドスーパージョッキーズシリーズ出場外国騎手プロフィール JRA、2015-06-27閲覧
  25. ^ 興行的にも大成功となった今年のロイヤルアスコット - netkeiba.com 2015-06-28閲覧
  26. ^ 2015年デューハーストステークス - レーシングポスト、 2015年11月4日閲覧
  27. ^ 2015年フィリーズマイル - レーシングポスト、2015年11月4日閲覧
  28. ^ グレンイーグルスが2カ国2000ギニー制覇 - 予想王TV@SANSPO.COM
  29. ^ プリティポリーS、プロミシングリードがG1初制覇 - netkeiba.com 2015-06-27閲覧
  30. ^ 馬三郎タイムズ コラム | キングジョージの人気を左右するムーアの選択 2015-06-27閲覧
  31. ^ メイトロンS、エシュロンが初のG1タイトル - netkeiba.com 2015-06-27閲覧
  32. ^ 2015年クリテリウム・アンテルナシオナル - レーシングポスト、2015年11月4日閲覧
  33. ^ サンクルー大賞典、スパニッシュムーンがV - netkeiba.com 2015-06-27閲覧
  34. ^ ノヴェリストが勝利/サンクルー大賞 - 競馬ニュース : nikkansports.com 2015-06-27閲覧
  35. ^ 2015年マルセルブサック賞 - レーシングポスト、2015年11月4日閲覧
  36. ^ モーリスドゲスト賞、7番人気キングスアポストルが重賞初V - netkeiba.com 2015-06-27閲覧
  37. ^ ロイヤルオーク賞、アレグレットがG1初制覇 - netkeiba.com 2015-06-27閲覧
  38. ^ アスクがG1・2勝目/仏G1 - netkeiba.com 2015-06-27閲覧
  39. ^ Results From The 11.02 Race At Arlington park (USA) | 17 August 2013 | Racing Post 2015-06-28閲覧
  40. ^ Results From The 6.50 Race At Santa anita (USA) | 3 November 2012 | Racing Post 2015-06-28閲覧
  41. ^ 2015年ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルターフ - レーシングポスト、2015年11月4日閲覧
  42. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2022年11月5日). “米国ブリーダーズC初日結果 ジュベナイルターフはサクソンウォリアー産駒がV”. サンスポZBAT!. 2022年11月5日閲覧。
  43. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2022年11月5日). “米国ブリーダーズC初日結果 ジュベナイルターフはサクソンウォリアー産駒がV”. サンスポZBAT!. 2022年11月5日閲覧。
  44. ^ 【BCターフ】マジシャンが差し切りV|競馬ニュース|競馬予想のウマニティ - サンスポ&ニッポン放送公認SNS 2015-06-28閲覧
  45. ^ 2015年ブリーダーズカップ・ターフ - レーシングポスト、2015年11月4日閲覧
  46. ^ 年度代表馬ワイズダン快勝/BCマイル - 競馬ニュース : nikkansports.com 2015-06-28閲覧
  47. ^ 【チャンピオンズC】ゴールドドリームが優勝 今年のJRAダートG1完全制覇スポーツ報知、2017年12月3日閲覧
  48. ^ 【ドバイシーマクラシック】(29日ドバイ)~ジェンティルドンナが念願の勝利 | 競馬実況web | ラジオNIKKEI 2015-06-28閲覧
  49. ^ JRAホームページ|トピックス&コラム|競馬コラム|海外競馬リポート 2015-06-28閲覧
  50. ^ JRAホームページ|トピックス&コラム|競馬コラム|海外競馬リポート 2015-06-28閲覧
  51. ^ 【香港ヴァーズ】ムーア・ハイランドリールが優勝 | サンケイスポーツ 2015-12-18閲覧
  52. ^ オーウェン馬出走取消/カナディアンIS - 競馬ニュース : nikkansports.com 2015-06-28閲覧
  53. ^ 2015年カナディアンインターナショナルステークス - ホースレーシングネーション、2015年11月4日閲覧
  54. ^ 2015年E.P.テイラーステークス - ホースレーシングネーション、2015年11月4日閲覧
  55. ^ 10/17 ファンタスティックライト産駒G1V ホースナビ、2015-06-28閲覧
  56. ^ リンガリがG1・2勝目 - netkeiba.com 2015-06-28閲覧

関連項目編集