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身長(しんちょう)は、人間ヒト)が直立した時の、又は地面から頭頂までの高さ。身の丈(みのたけ)、上背(うわぜい)、背丈(せたけ)、立っ端(たっぱ)とも言う。通常、メートル法[1][2]を使用する場合はセンチメートルで[3]インペリアル法を使用する場合はフィートとインチで表され、測点計を使用して測定される[4][5]

2017年の時点で日本人男性の平均身長は162.3cmで、日本人女性の平均身長は150.9cmであった[6][7]。また、日本人男性の20歳以上の平均身長は167.6cmで、20~29歳の平均身長は171.4cmであり、日本人女性の20歳以上の平均身長は154.1cmで、20~29歳の平均身長は157.5cmであった[6][7]

人体計測研究史の初期段階では、栄養状態を測定するための身長測定技術に関する質問はしばしば遺伝的差異に関係していた。ハプログループI (Y染色体)と呼ばれる男性における特定の遺伝子プロファイルは身長と相関している[8]。生態学的データは、この遺伝的プロファイルの頻度が集団内で増加するにつれて、その国の平均的男性身長も増加することを示している。

身長は重要でもある。なぜなら、身長は平均余命のような他の健康要素と密接に関連しているからである[8]。研究によると、身長が低いことと平均余命が長いことには相関関係がある。また、低身長の人は低血圧である可能性が高く、がんになる可能性は低い。ハワイ大学は、加齢の影響を減少させる「長寿遺伝子」のFOXO3が、より小さな体格の個人においてより一般的に認められることを見出した[9]。低身長は慢性静脈不全のリスクを低下させる[10]

集団が遺伝的背景および環境因子を共有する場合、平均身長はしばしば集団内で特徴的である。このような集団内の例外的な身長差(平均から約20%の偏差)は、ときに巨人症または小人症に起因する[11]。これらは特定の遺伝子または内分泌異常に起因する医学的状態である[11]

人間の身長の発達は、2つの重要な福祉要素、すなわち栄養の質と健康の指標として役立つことができる[12]。貧困地域や戦争地域では、小児期や青年期の慢性的な栄養失調などの環境要因により、これらの疾患がなくても成長の遅れや成人身長の著しい低下が生じることがある。ある研究では、身長が高いほど男性の交際や収入が多いことと相関することが示されているが、他の研究では、これは非白人男性には当てはまらないことが示されている[13]

身長はヒトの性的二型形質である。20世紀のイギリスの出生率の傾向を調べた研究によると、背の高い男性は背の低い男性よりも多く子供を作る傾向があったが、平均身長より低い女性は背の高い女性よりも多くの子供を産んだ[14]

概念編集

人の身体的な大きさを示す指標のひとつとして用いられている。一般に、裏をべたに床につけ、背筋を伸ばした状態での、足裏から頭部の一番高い位置までの長さである[注 1][注 2]

人類学では、身長160 cmから169 cmまでを「中身長」とし、150 cmから159 cmは「低身長」、150 cm未満は「超低身長」と言い、170 cmから179 cmは「高身長」、180 cm以上は「超高身長」とする。更に人類全体の平均身長は、男性で165 cm、女性はそれよりおよそ7 %低いとされているが[15]地域差が非常に大きい。また、後に述べるように先進国を主として近現代には大幅な身長の増加があったのをはじめ、同じや地域でも、時代によってもかなりの変異が見られる。

なお、身長は一日を通して一定ではなく、平均身長の男性で約2 cm程度の変化がある。これは、朝起きたときには椎間板が充分に水分を含んでいるが、夜寝る前には自重などにより圧迫され、かなり水分を放出するためといわれている。しかしこれらは個人の変異又は一時的なもので、人種あるいは地域集団に見られる身長の差や、時代による変化とは関係がない。

人の身体的な大きさは身長で表すのが一般的であるが、翻って動物全般の大きさをどのように測っているか比較すると、身長といった測り方はむしろ例外的で、人間以外の動物は、多くは全長 としての先端部からの先端部の長さを用いたり、体長として、の長さ(尾は含まない)を用いたりすることが一般的である。哺乳類恐竜の大半はが長く体長に比して体の高さが大きいので、体高を用いることがある。これは4本脚で直立した時のの高さの値で、を上に上げた高さではない(キリンの類を除く)。

身長の決定要因編集

個人の身長は主に成長ホルモンとそれを刺激する女性ホルモンの分泌によって左右される。女性ホルモンは成長ホルモンの分泌を刺激し身長の伸びを促すと共に骨端線の閉鎖を促し、骨端線が閉鎖され成長ホルモンを止めてしまう。女性は男性より女性ホルモンの分泌が多いため、思春期開始が男性より早く、身長の伸びのピークも男性より早いが、骨端線も男性より早く閉鎖してしまうため、男性より低身長となる。思春期における身長の伸びのピークは男女とも陰毛が発生する頃となっており、男性はこの時点で既に思春期に入っている事に気づきやすく(女性は思春期開始から生じる乳房の成長開始で思春期が始まった事に気づきやすい)、男性は変声、女性は初経を迎える頃には身長の伸びのピークが過ぎており、今後あまり伸びなくなる[16]。女性ホルモンが全く作用しない男性では骨端線が閉鎖しないため高身長となる[17]。先天的に脳下垂体に異常がある場合、成長ホルモンが多くまたは長期間排出されると巨人症となり、逆に少ないまたは短期間排出の場合には小人症となる。思春期開始時期の平均身長は男性は約145 cm、女性は約134.1 cmで、思春期の身長の伸びのピークは男性は平均約13歳、女性は平均約10.88歳(10歳10か月-10歳11か月)でピーク時の女性の平均身長は約142.4 cmである[18]

身長は主に脳下垂体から分泌される成長ホルモンとその影響によって左右されることが明らかである。成長ホルモンは睡眠時に多く分泌されるため睡眠は重要であるが、睡眠時間帯による成長ホルモンの分泌量の影響はない[19]

思春期の身長の伸びはあまり個人差がない[20]とされる。そのため、身長を伸ばすには思春期前の期間が長く、かつ思春期前までにどれだけ伸ばせるかが重要で、これが大人になってからの身長を左右しやすい。

気候の影響が言われる場合もある。ベルクマンの法則によると、同種の恒温動物では寒冷地に住む種が熱帯地に住む種に比べて大柄になるとされる。これは、体が大きくなると表面積が増えて放熱量が増えるものの、体積の増加によってそれ以上に生産量が増加し[注 3]、寒冷地での生存に有利になるためとされる。人類も北欧人の方が南欧人より高い身長である。

妊娠中に牛乳を多く飲むと子供の身長が高くなるという研究結果がある[21]

生まれか育ちか編集

遺伝学と環境との正確な関係は複雑で不確実である。いくつかの双生児を対象とした研究[22]によれば、ヒトの身長の差は60~80%の遺伝率があり、100年前のメンデルの生物測定学者の議論からポリジーン遺伝であると考えられている。18万人以上を対象としたゲノムワイド関連解析(GWA)により、成人身長と関連する少なくとも180の遺伝子座において数百の遺伝的変異が同定されている[23]。その後、調査対象となった人の数は253,288人にまで拡大され、同定された遺伝的変異体の数は423の遺伝子座で697にまでなった[24]。身長比を用いた体型の別の研究では、これら697の変異体は、 (1) 主に脚の長さを決定する変異体、 (2) 主に背骨と頭の長さを決定する変異体、 (3) 全体の体型に影響する変異体という3つの特異的なクラスに分けることができると報告されている。これは、これらの697の遺伝的変異体が全身長にどのように影響するかの基礎となる生物学的メカニズムへの洞察をもたらした[25]。なお、これらの遺伝子座は高さだけでなく、他の特徴や特徴を決定する。例として、頭蓋内容積に対して同定された7つの遺伝子座のうちの4つは、以前にヒトの身長について発見されていた[26]

環境が身長に及ぼす影響は、米国に住む人類学者のバリー・ボギンとグアテマラマヤ族の子どもたちの共同研究によって示されている。1970年初頭、ボギンが初めてグアテマラを訪れたとき、マヤ族のインド人男性の平均身長は157.5cm(5フィート2.0インチ)、女性は142.2cm(4フィート8.0インチ)であった。ボギンは、最大100万人のグアテマラ人が米国に逃れたグアテマラ内戦後に、別の一連の測定を行った。彼はマヤ難民の身長がグアテマラの難民よりもかなり高いことを発見した。マヤ難民の年齢は6歳から12歳である[27]。2000年までにアメリカのマヤは、同年齢のグアテマラのマヤよりも10.24cm(4.03インチ)背が高くなっていたが、これは主に栄養状態とヘルスケアの改善によるものであった[28]。ボギンはまた、アメリカのマヤの子供たちはグアテマラのマヤ(有意に低い座高比)より平均で7.02cm(2.76インチ)長い脚を持っていたことを明らかにした[28][29]

シルック族ディンカ族のようなスーダンのナイロート族の人々は、世界でも最も背の高い人々と言われてきた。ロバーツが1953~54年に調査したディンカ族の男性は平均181.3cm(5フィート11.4インチ)の身長で、シルック族の男性は平均182.6cm(5フィート11.9インチ)の身長であった[30]。ナイロート族の特徴は、長い脚、狭い体、短い幹を持つことで、暑い気候に適応している[31]。しかし、1995年にエチオピア南西部で測定されたディンカ族およびシルック族の難民の男性の身長は、それぞれ平均176.4 cmと172.6 cmしかなかった。調査が指摘しているように、ナイロート族の人々は「幼児期および青年期に良好な環境条件に恵まれていれば、遺伝物質の十分な発現が可能となり、身長が高くなることがある」とされた[32]。1955年から現在まで自国で内戦が続いた結果、難民になる前にこれらの人々は、貧困にさらされていたのである。

現在、最も背の高い夫婦は元バスケットボール選手の姚明葉莉(中国の両方)で、それぞれ228.6cm(7フィート6インチ)と190.5cm(6フィート3インチ)で、合わせて419.1cm(13フィート9インチ)となる。彼らは2007年8月6日に中国の上海で結婚を行った[33]

チベットではカンゼ族は背が高いことで知られている。カンゼ族の男性の身長は平均180cm(5フィート11インチ)である[34][35]

ディナル・アルプス山脈にいる人々、主に南スラブの人(モンテネグロと東ヘルツェゴビナ)は、男性が平均身長185.6cm(6フィート1.1インチ)、女性の平均身長が170.9cm(5フィート7.3インチ)で、世界で最も高いことが記録されている。

身長の推移編集

先行人類ではホモ・ハイデルベルゲンシスの身長が男性で175cm、女性で157cmくらいと推定されている[36]。また、ホモ・ネアンデルターレンシスの身長は男性で166cm、女性で154cmくらいと推定されている[36]

古代ギリシャのヒトの平均身長は男性で164cm、女性で155cmくらいだったとみられている[36]

一般には幼少期の栄養状態とその後の健康状態が身長の推移に影響を与えるといわれている[36]。ただし、身長の大小と栄養の間の相関性には不明な点も多い。近現代になって先進諸国では身長が大きくなったが、世界的には身長の高低と生活水準(文明)の高低は一致しないことが多いからである。例えば、世界の高い身長の集団はアフリカのサラ族(英語版。平均身長181.7 cm、以下同じ)、スマトラ島中央部のマレー人 (175.5 cm)、南米南部のパタゴンテウェルチェ族も参照。175.0 cm)、スウェーデン人 (174.4 cm) など、文化にも地域にも、共通点もまとまりもない[15]。一般に、コーカソイドは高身長の傾向があり、特に北欧に分布する北方人種は高い。モンゴロイドは中身長が多く、ネグロイドナイル川上流付近で平均180 cm以上の超高身長(サラ族、ディンカ族等)のものからネグリロ(ピグミー)のように150 cmを切るような超低身長まで幅広い変異を示す。こうした差異は生まれた時からあり、フランス人の新生児の身長の平均は50 cmなのに対し、インドシナ人の場合は46 cmしかない。人種あるいは地域によるこのような差がなぜ生じたのかは不明である。

平均身長の高い部族としてはディンカ族があり男性で183cm、女性で170cmというデータがある[36]

日本では肉食の普及に伴って身長が伸びたとされる。東京帝国大学(現在の東京大学)男子学生を対象とした調査によると、1910年代から1940年代の30年間に3.1 cmの身長増加が認められ、同じく女子学生では1910年代から1950年代の40年間に3.4 cmの増加があり、戦前から男女共にほぼ10年間に1.0 cmという急速な身長の伸びが見られた事が分かる[37]。歴史を遡ると、成人男子の場合、縄文時代には156 cmから160 cmであったが、古墳時代には165 cmほどになり、以降は鎌倉時代室町時代と経るにしたがって次第に低くなり、江戸時代には157 cmと、歴史時代では最も低くなり、以後増加に転じて、明治以降は急速に高くなった[注 4]

なお、100年間に10 cmほどという急激な平均身長の伸びは、日本だけでなくヨーロッパでも確認されている。1870年代初頭から1980年までのヨーロッパ15カ国の男性の平均身長を調査した所、1870年の平均が167.7cmだったのが1980年には177.8cmになっている。国によって若干の差異があり、スペインは約163cmから約175cm、スウェーデンは約170 cmから約180 cmに伸びている[39][40]

先進諸国での高身長化も含め、身長がどのような理由でどのように決まるかについては古今に様々な説がある。栄養以外にも、照明の発達による昼間時間の延長がホルモン分泌に影響を与えた結果であろうとする意見もあるが[注 5]、現在でも決定的と言えるものはない。多くの要素が、中にはまだ知られていない原因も含めて複雑に影響し合っている可能性が考えられる。従って、巨人症や小人症のような明らかな異常の場合を除き、人為的に身長を制御する事(背を高くしたい云々)は困難な上、安易に行なうのは肉体的もしくは精神的に大きな危険を伴う恐れがある。

2007年平成20年)のある発表では、国別平均身長はオランダが1位。アメリカ合衆国が5位に転落したことに関して、ジャンクフード過剰摂取による一定の微量栄養素不足が原因[41]とも指摘されたが、不明である[42]

他器官への影響編集

身長が伸びる際、骨格系があらゆる方向に伸び、眼軸長(角膜網膜までの距離)も伸びて近視に繋がる場合があるという仮説がある[43]。また、マルファン症候群という症候群がある。高身長には限らないが、遺伝的な予想身長よりも背が高くなった場合に起こりうるものだという。

身長に関する俗説編集

牛乳を飲むと背が伸びる
他にも「小魚を食べる」などがある。共通するのはカルシウムを多く摂取しようという事である。カルシウムの摂取が身長の伸びにどう関与するかは明確ではない。また、人が一日に摂取できるカルシウムの量は決まっている。身長を伸ばすためには蛋白質が重要で、カルシウムは骨を硬くするだけという指摘もある。もっとも、牛乳には蛋白質も含まれているため、摂取量の差が身長の差に現れる可能性はある(あくまで可能性に過ぎない)。[独自研究?]
バスケバレーなどのジャンプ系の運動が効果がある
このような「ジャンプ系」の運動に限らず、体をひねる・そらす・曲げるなどの体をまんべんなく動かす全身運動による刺激が、関節液(軟骨に栄養を届かせる)の循環をよくし、骨の成長を促すという意見もある[44]

身長の測定編集

 
身長計

身長の実測編集

通常、身長の測定には身長計が用いられる[45]。身長計の前に背を向けて立ち、スケールを頭頂部にまで下げたところで目盛を読む。最近はデジタルスケールのものもある。

身長は仰臥位で測定されることもあり頭頂部とかかと基部に三角定規などを当てマークしておきメジャーなどで測定する[45]

なお、起立不可能な患者や脊椎前弯患者などの身長の測定の場合には膝下高による推定身長による算定も用いられる[45]#身長の推定も参照)。

第二次世界大戦後の日本ではメートル法によりセンチメートル表記を主に使用するが[注 6]、それ以前は尺貫法によりを用いて表記していた。特に、成人男性の身長は5尺台(約150-180cm)であることが多いので、「5尺」を省略して寸だけで身長を表すことが広く行われていた。

身長の推定編集

イギリスの統計学者カール=ピアソンは、四肢の長管骨の長さからその個人の身長を推定する公式を発表し、事故死・犯罪被害者の白骨遺体はもちろん、化石人骨の身長を知るために広く用いられている。下にその一例を示す。

推定身長 (cm) = 81.036+1.880(大腿骨最大長[cm])

足痕長、足痕幅から、およその身長を推定することができることがある。一般に、日本人の成年男性の身長は、

身長 (cm) = 80.44+3.53×足痕長 (cm)、身長 (cm) = 109.40+5.23×足痕幅 (cm)

また、日本人成年女性の身長は、

身長 (cm) = 71.09+3.65×足痕長 (cm)、身長 (cm) = 110.14+4.14×足痕幅 (cm)

の計算で算出できるとされている。

あるいは、個人の身長は両親の身長から大まかに推測計算することが可能である。予測身長と呼ばれ、下記の計算法がある。

男子

(両親の身長の合計+13cm)/2+2

女子

(両親の身長の合計-13cm)/2+2 [46]

他にも幾つか細部が異なる計算方法もある。おおむね、この数値の誤差 9 cm以内で収まるのが一般的だが、成長期に身長が伸びやすい環境で生育した個体や、その逆の個体ではその限りではない。

身長の調査編集

平均身長編集

 
日本人の平均身長の推移[6][7]

「国民健康・栄養調査 / 平成29年国民健康・栄養調査」の「身長の平均値の年次推移(男性、年齢階級別)」、「身長の平均値の年次推移(女性、年齢階級別)」によると、2017年の時点で日本人男性の平均身長は162.3cmで、日本人女性の平均身長は150.9cmであった[6][7]。また、日本人男性の20歳以上の平均身長は167.6cmで、20~29歳の平均身長は171.4cmであり、日本人女性の20歳以上の平均身長は154.1cmで、20~29歳の平均身長は157.5cmであった[6][7]

分布と割合編集

 
17歳の日本人の身長の分布[47]

17歳の日本人男子の身長の割合

  145cm未満 (0%)
  145~150cm (0.02%)
  150~155cm (0.13%)
  155~160cm (2.46%)
  160~165cm (11.57%)
  165~170cm (27.83%)
  170~175cm (33.36%)
  175~180cm (18.11%)
  180~185cm (5.41%)
  185~190cm (0.96%)
  190cm以上 (0.07%)

17歳の日本人女子の身長の割合

  140cm未満 (0.02%)
  140~145cm (0.47%)
  145~150cm (5.05%)
  150~155cm (21.39%)
  155~160cm (35.91%)
  160~165cm (26.7%)
  165~170cm (8.94%)
  170~175cm (1.28%)
  175~180cm (0.2%)
  180cm以上 (0.01%)

文部科学省の平成30年度「学校保健統計調査 身長の年齢別分布」に日本人の身長の年齢別分布が公開されている[47]。17歳時点での日本人の身長分布は、男女共に正規分布を描いていた。また割合を見ていくと、17歳の日本人男子の身長の中央値は170cmであるが、その付近である165~170cmと170~175cmで全体の割合の半分以上の61.19%を占めている[47]。そして160cm未満は2.61%であり、180cm以上が6.44%を占めている。17歳の日本人女子の身長の中央値は157cmであるが、155~160cmで全体の35.91%を占めている[47]

パーセンタイル値編集

文部科学省の平成30年度の学校保健統計調査には、「年齢別 性別 身長の3,10,25,50,75,90および97パーセンタイル値」が公開されている[48]。それによると、男子女子でそれぞれ以下の表のようになっている。

なお、パーセンタイルとは、計測値の統計的分布上で、小さいほうから数えて何%目の値は、どれくらいかという見方をする統計的表示法である。例えば、日本人男子の17歳時点での181cmという身長は97パーセンタイルに位置するが、これは、100人の17歳男子を身長が低い方から高い方に並べて集めたときに、身長が低い方から数えて97番目(上から3番目)に181cmの男子がいるということである。また、50パーセンタイルは中央値である。

年齢別 身長の3,10,25,50,75,90および97パーセンタイル値(男子)[48]
年齢 身長(cm)
3% 10% 25% 50% 75% 90% 97%
5歳 101 104 107 110 113 116 119
6歳 107 110 113 116 119 122 125
7歳 113 115 119 122 125 129 132
8歳 118 121 124 128 131 135 138
9歳 123 126 129 133 137 141 144
10歳 127 131 134 138 142 146 151
11歳 132 136 140 144 149 154 159
12歳 138 142 147 152 158 163 167
13歳 144 149 154 160 165 169 173
14歳 152 156 161 165 169 173 177
15歳 157 160 164 168 172 175 179
16歳 158 162 165 169 173 177 181
17歳 159 163 166 170 174 178 181
年齢別 身長の3,10,25,50,75,90および97パーセンタイル値(女子)[48]
年齢 身長(cm)
3% 10% 25% 50% 75% 90% 97%
5歳 100 103 106 109 112 115 118
6歳 106 109 112 115 118 121 124
7歳 111 114 117 121 124 128 131
8歳 117 120 123 127 130 134 138
9歳 122 125 129 133 137 141 145
10歳 127 131 135 139 144 148 153
11歳 133 137 142 147 151 155 158
12歳 140 144 148 152 155 159 162
13歳 144 148 151 154 158 161 165
14歳 146 149 152 156 160 163 166
15歳 147 150 153 157 160 163 167
16歳 147 150 153 157 161 164 167
17歳 148 151 154 157 161 164 167

日本人の身長は、他の運動・身体データと共に、文部科学省のスポーツ・青少年局参事官生涯スポーツ課が年齢別体格測定として調査結果を公表している。

身長と生活編集

人間工学上の設計編集

生活空間においては、ドアの高さやベッドの長さなど、身長を意識して設計されているものが多く、人間工学では身長は重要な要素の一つである。学童の体位向上(身長増加)により、学校で使用する机や椅子が合わなくなり、規格の変更が為される例もある。

自動車オートバイ飛行機などの乗り物においては、設計時に想定された操縦者の身長から大きく外れている体格の場合、乗降や操縦に重大な支障を来たす場合がある。座席や操縦に使用するインターフェイスの取替えなどによってある程度の身長差はカバーできるが、それでもなお過不足を生じる程操縦席と操縦者の身長のミスマッチが大きい場合、低身長や高身長が直接の障害となって、その乗り物への搭乗を断念しなければならない事態が生じうる。

マッサージチェアの対応する身長を140cm~185cmとするメーカーが多く、範囲から外れる場合は座布団を敷いたり体をずらすなどの工夫が必要となる[49][50]

身長制限編集

施設・設備によっては、安全上の理由から利用に身長制限を設けることがある。プール・遊園地の乗り物では、多くの場合に最低身長が定められている。子供向けの遊具・施設やスーパー銭湯(異性の子供)などでは、最高身長を制限しているところがある。年齢だと個人差が大きいし、身分証明書で確認をとるのは現実的ではない。※しかし子供運賃は平等にするため小学生(幼児は、大人1人あたり2人まで無料)であり、公衆浴場条例は身長表記だと適切でないので9歳以下(多くの県)となっている。

職種によっては、身長によって制限が設けられている職業がある。消防士は消防服のサイズが決まっているため多くの自治体で男子160cm以上、女子155cm以上としている。警察官は犯人の制圧などを遂行するため『体格基準』が規定されており各都道府県警によって異なるが、おおむね「男子160cm以上」「女子150cm以上」を基準としていた[51]。近年では志願者数の減少やサイバー犯罪に対処するサイバー捜査官など体力を重視しない職種も増えているため、健康であれば身長体重を不問とする動きが広がっている[52]

力士新弟子検査は、身長167cm以上(就職場所と言われる3月場所は中学卒業見込者に限り身長165cm以上)が必要となる。

英国内情報機関の情報局保安部(MI5)は2004年(平成17年)、「男性は身長180cm、女性は173cmを上回らないことが望ましい」との職員採用の新基準を設けた[53]。諜報活動においては、極端な長身は目立つため相応しくないものとみられる。

航空業界編集

航空機耐空証明などの保安基準があるため操縦席の交換が難しく、操縦士には体格の制限が設けられている。パイロットは男女共通で158cm以上とする国が多く、軍隊では操縦席が狭い戦闘機を想定し190cm以下という制限も設けていることが多い。これはアメリカ軍が第二次世界大戦時の徴兵でパイロットの採用基準とした『62インチ(約157.5cm)から75インチ(約190.5cm)』という成人男性の平均身長を元にした基準をそのまま使っているためである。アメリカ軍は多くの国の軍にも影響を与える存在であり、自衛隊では自衛官防衛大学校の採用基準が『男子155cm以上、女子150cm以上』であるが、操縦士候補生である航空学生のみ男女共通で『158cm以上、190cm以下』としている。

航空機メーカーではボーイングロッキード・マーティンなど軍用機・民間機の両市場で業界標準を主導するアメリカの企業が多く、他国のメーカーでもこの基準に倣うことが多い。法律面でも多くの国の航空機関は連邦航空局の基準を参考にしており、航空業界では民間は『62インチ以上』、軍は『62インチ以上、75インチ以下』が事実上の標準となっている。なおアメリカ空軍では現在、身長『63~79インチ』、座高『34~40インチ』の基準を採用している[54]

第二次世界大戦まではメーカーは自国の成人男性の平均身長を基準に設計していたため、零式艦上戦闘機のように当時の日本人男性の平均身長に合わせた結果、アメリカの成人男性ではラダーペダルが踏み込めないサイズとなり、飛行させるために座席を後退させるなどの改造が必要な機体も多い[55]

客室乗務員は会社ごとに異なるが、航空機に搭載される座席や救命胴衣などが『62インチ以上』の基準となっていることが多いため、おおむね62インチ前後である。例としてはシンガポール航空日本航空は158cm、ユナイテッド航空は152.4cmとなっている。韓国では、大韓航空を始め多くが162cm以上としており、他国のものより厳格である。韓国国家人権委員会は、この身長制限は合理的な理由がなく、差別であるとして2008年に是正勧告を行っているが、2014年時点で大韓航空(女性乗務員)以外の会社は廃止している[56]。2015年には大韓航空の女性乗務員の募集要項から身長制限が廃止された[57]

宇宙開発初期には宇宙飛行士の多くが空軍パイロットであったため、NASAの基準も軍の基準(62インチから75インチ)で採用された人間に合わせた設計となり、民間出身者が増えた現在でも訓練で使用する練習機やシミュレータなどは過去の基準で作られているため、制限がそのまま引き継がれている。日本ではJAXAの規定は『149cm以上、193cm以下』という独自基準だったが、2008年度の募集からNASAや多くの宇宙機関で使われるアメリカ軍の基準(158cm以上、190cm以下)に変更している。さらに、船外活動では宇宙服のサイズの関係で165cm以上が必要とされる[58]

ファッションモデル業界編集

スーパーモデルブランドコレクションショーなどに出演するモデルは、通常175cm以上の高身長である。雑誌に関しては身体のバランスがよければ特別な身長の高さは求められないが、170cm前後を満たしているモデルが多い。また、雑誌、CMのモデルなどにはカメラの前での動きのよさや、いわゆるフォトジェニックであることも要求される。日本国外においていわゆるハイファッションの仕事をこなすモデル達は、ほとんどの場合これらの条件をクリアしている。

個人の身長の役割編集

身長と健康編集

研究によると、身長が低いことと平均余命が長いことには相関関係がある。また、低身長の人は低血圧である可能性が高く、がんになる可能性も低い。ハワイ大学は、加齢の影響を減少させる「長寿遺伝子」のFOXO3が、より小さな体格の個人においてより一般的に認められることを見出した[9]。低身長は慢性静脈不全のリスクを低下させる[59]。いくつかの研究では、身長が全体的な健康の要因であることが示されているが、身長が高いほど心血管の健康が良くなり、身長が低いほど寿命が長いことが示唆されている[60]。また、癌のリスクは身長とともに増大することもわかっている[61]

それにもかかわらず、身長と健康との関係に関する現代の西洋化された解釈では、世界的に観察された身長の変動を説明できない[62]カヴァッリ=スフォルツァは、世界的な身長の変動は、環境の違いによる進化的圧力に一部起因する可能性があると指摘している。これらの進化的圧力は身長に関連した健康影響をもたらす。ヨーロッパのような寒冷気候では背の高さが適応上の利点であるが、温暖気候地域では短さが体温の放散で役に立つ[62]。その結果、背が高いことと低いことの両方が異なる環境条件で健康利益を提供できるので、健康と身長の間の関係を容易に一般化することはできない。

極端な場合には、極端に背が高いと、心臓に血液を供給するための負荷が増大し、また、脳が四肢と通信するのに要する時間が増大することから生じる問題のために、心臓血管系の問題を含む様々な医学的問題を引き起こし得る。例えば、検証可能な歴史上最も背の高いロバート・ワドローは、生涯を通じて身長が高くなるにつれ、歩くのが困難になった。その後の人生の多くの写真で、ワドローは何かをつかんで支えているようにしていた。彼が22歳で死去した時には、装具を着用していた。

身長と寿命の間の全体的な関係については、情報源の間で意見が一致していない。サマラスとエルリックは、「Western Journal of Medicine」誌で、ヒトを含むいくつかの哺乳類における身長と寿命の間に逆相関があることを示している[63]

身長が150cm(4フィート11インチ)未満の女性では骨盤が小さく、出産時に肩甲難産などの合併症を起こすことがある[64]

2005年にスウェーデンで行われた研究は、スウェーデン人男性の身長と自殺の間には強い逆相関があることを示した[65]

ヒトや動物で得られた多くの研究によれば、体が短く小さいほど加齢が遅くなり、慢性疾患が少なく寿命が長い。例えば、ある研究では、「長寿命化」という主張を支持する領域が八つ見つかった。これらの領域には、長寿、平均寿命、100歳代、男性と女性の寿命の違い、より背の低い人における死亡率の利点、生存の知見、カロリー制限によるより小さな体の大きさ、および種内の体の大きさの違いに関する研究が含まれる。それらはみな、背の低い人は健康な環境と栄養状態で長生きするという結論を支持している。しかし、その寿命の差は小さい。ヒトを対象としたいくつかの研究では、0.5年/cmの身長低下(1.2年/インチ)が認められている。しかし、すべての背の高い人が若くして死ぬわけではない。多くは高齢まで生き、中には100歳以上になる人もいる[66]

身長と職業での成功編集

一見差し障りのないように見えるいくつかの身体的特徴(例えば身長)と職業上の成功との関係を評価した研究が、心理学、経済学、および人間生物学の分野で数多く行われている[67]。身長と成功の相関関係は数十年前に探究された[68][69]。一部のスポーツでは背の低い人が有利であると考えられているが(例えば、体操、レーシングカーの運転など)、他の多くのスポーツでは背の高い人が有利である。ほとんどの職業分野では、身長は人間の能力とは無関係である。それにもかかわらず、いくつかの研究は成功は身長と正の相関があることを見出した。しかし、そには成功の差を説明できる身長と相関する性別や社会的・社会的地位のような他の要因の可能性もある[67][70][68][71]

高さと成功の相関関係は、政治の世界でも証明されている。アメリカの大統領選挙では、背の高い候補者が20世紀に25回のうち22回勝利した[72]。にもかかわらず、イエズス会の創立者であるイグネイシャス・ロヨラは身長が150cm(4フィート11インチ)で、20世紀の著名な世界の指導者ウラジミール・レーニンベニート・ムッソリーニニコラエ・チャウシェスクヨシフ・スターリンなどは平均以下の身長だった。しかし、これらの例はすべて現代のマルチメディア、つまりテレビの登場以前のものであり、これは現代社会における差別をさらに高める可能性がある。さらに、身長は職業的成功と同様に強く相関する自信の代理指標であることを示唆する証拠が増えている[73]

身長とスポーツ編集

多くのスポーツでは身長が高いことが有利に働く。特に、バレーボールバスケットボールなど高さを要求するスポーツでその傾向が顕著である。サッカーなど他の競技でもリーチや打点の高さなどの面で、長身[注 7]がキーパー・守備などで有利となるが目立たないポジションでもある。逆に少年サッカーなどでは小柄な選手がフォワードに選ばれ、シュートを決めて注目を浴びることもある。大相撲では新弟子検査の項目に身長があり、基準に満たない者は入門することができない[注 8]

柔道ボクシングなどの格闘技では体重別に階級があるため、無差別級を除き、身長もある程度近い選手同士が対戦する事になる。一方、長身を動かすには時間がかかるために俊敏性や器用さの面で劣ることがあり、小柄な選手の方が有利とされるケースもある。[要出典]

身長の低い選手の活躍を場を増やすためバレーボールでは全日本バレーボール小学生大会第1回大会(1981年)から後衛専門の選手を配置する特別ルール「バックセンター固定制」が取り入れられ[74]、後に国際ルールとしてリベロが制定された。このほか活躍しやすいポジションとして、バスケットボールポイントガード野球二塁手などが挙げられる。[要出典]サッカーではFWMFに時折見られる[75]

フェンシングでは、身長やリーチの差を瞬発力が補う場合があるという[76]。同じく武具を使用して一撃で勝敗に繋がる競技剣道は不明。

一方で、身長が高いことが不利に働く競技も少なからず存在する。競馬競艇モータースポーツなど動物や乗り物に乗る競技ではこの傾向が顕著である。可能な限り体重を落とす必要があるため、身長が低い競技者が有利となり、長身は圧倒的に不利になる。また、乗り物によっては余りにも長身であると、操縦席に身体が収まらない事態を生じる場合があり、結果としてその乗り物を使用する競技への志望を断念しなければならなくなる場合もある[注 9]

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ 身長と並んで、身体の大きさを示すためにしばしば用いられる指標が体重である。
  2. ^ 健康診断などで行う身体測定などでは、一般に、足裏をべたにつけた状態で測定したものを「身長」と呼ぶように規定されている。forefoot(つま先)だけをつけた状態で立つと頭頂の位置が上がる。女性はハイヒールを履いて活動している状態では、実際にはつま先だけを地面につけた状態(つま先立ちの状態)になっているのと同等で、かなり頭頂の位置は高くなっている。犯罪現場付近での容疑者の便宜的な特定、監視カメラ映像の人物同定などでは、(便宜的に)健康診断での身長とは異なって(足裏をべたにつけるとする規定とは異なった)数値が用いられている場合もある。
  3. ^ 体表面積は体の大きさ、例えば身長もしくは全長の2乗に比例して増減するが、体積は3乗に比例するので、体が大きくなると表面積より体積の増加量が増え、体温の保持に都合が良い。
  4. ^ 近現代以前には身長の測定は行なわれていなかったから、これらの数字は発掘された古人骨からの推定値である[38]
  5. ^ 近現代になって照明器具が発達し、夜間も昼間と同じように明るい環境となった事により、昼間の時間が長くなったと同じ作用が人体に働き、それに伴って内分泌が変化して身長の伸びを促進したとする考え。成長ホルモンは睡眠中に活発に分泌されるという説と矛盾するが、身長を決定する因子が非常に複雑に入り組んでいる可能性を考えれば、あり得ない説ではない。
  6. ^ 1966年(昭和42年)に尺貫法は全面的に禁止された。
  7. ^ しかし、国民の平均身長が世界一とされるオランダの代表チームの平均身長は、国民の平均よりも低いくらいでW杯出場国の中では低い部類に入っており、またリオネル・メッシディエゴ・マラドーナなど身長160cm台でありながらスター選手となった選手も少なからず存在しているなど、サッカーでは長身であるほど有利というわけではない事が窺える。
  8. ^ 第一検査は173cm以上、第二検査は167cm以上。
  9. ^ モータースポーツではラリードライバーのケン・ブロックが、高身長(183cm)が原因でF1マシンの運転席に収まらず走行を断念した事例がある[77]

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関連項目編集