NBC偵察車
NBC偵察車(エヌビーシーていさつしゃ)は、陸上自衛隊のNBC(核・生物・化学)兵器対処用の装輪装甲車(NBC偵察車両)である。小松製作所製造。
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基礎データ | |
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全長 | 8.00m[1] |
全幅 | 2.50m[1] |
全高 | 3.20m[1] |
重量 | 約20t[1] |
装甲・武装 | |
主武装 | 12.7mm重機関銃M2×1 |
機動力 | |
速度 | 95km/h[1] |
エンジン | カミンズ社製水冷4サイクルターボチャージャー付きディーゼル[1] |
軽装甲機動車や中距離多目的誘導弾と同様に、制式化ではなく部隊使用承認の形で採用されているため、○○式という名称は付けられていない。
概要 編集
陸上自衛隊の、NC(核・化学)兵器対処用の装備である化学防護車と、B(生物)兵器対処用の装備である生物偵察車を一本化したNBC兵器対処用の後継車両であり、化学科に配備される。
NBC兵器による広域にわたる汚染地域などの状況を検知・識別機材などにより偵察を行い、必要な情報を収集する事で早期に状況を解明し、適切な対応を取る事で影響・被害を抑える事を目的に開発された。
開発は2005年(平成17年)度に開始され、2009年(平成21年)度に完了した。2010年(平成22年)度予算より調達が開始されている。1両当たりの単価は約6.3億円である。
特徴 編集
4軸8輪の大型装甲車両で、前任装備である化学防護車の全長6.1m・全高2.38mに対し、本車は全長が8mと長く、全高も3.2mあるなどNBC兵器分析機器のための車内容積も充分に取られている。NBCフィルタにより車内は清浄化されており、中性子線などに対する放射線防護方法も考慮されている[3]。4軸のうち前2軸の4輪が操輪される機構になっていることが、防衛省防衛装備庁のサイトに掲載されている画像で判断できる[4]。自衛武装として車体中央上部左側に遠隔操作式の12.7mm重機関銃M2 1基を有する[3]。
化学防護車もそうであるように、NBC偵察車両はNBC汚染下の各種地形で活動できる防護装備と機動性を有し、かつ種々の観測・分析機材を搭載できる大きな容積を確保しうる装甲兵員輸送車の派生型とされることが多く、本車両のように専用の装甲車体を開発した例は他に無い[3]。日本では法令、およびそれに準拠した道路環境により、車体幅2.5mと諸外国の軍用装甲車に比べ、狭く抑えたサイズでなければ運用に制約が伴うという事情にもよる。
化学防護車と生物偵察車の一本化及び将来の装輪戦闘車両ファミリーとの共通化を図る事により運用性が向上するほか、整備コストやライフサイクルコストの抑制が可能になるとされている。
化学防護車で検体等の採取用に車体後部に設けられていた大型のマニピュレーターは細かい作業に不向きで扱い辛い上に故障等も多く、現場からは不評であった。 この為、本車ではコスト削減も兼ねてマニピュレーターの装備は見送られた。 代わりに車体後部にグローブボックスのような機能を持つモジュールが設置され、これを用いて車内から安全に検体等の採取を行える様になっている。
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前面
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側面
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後面
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車体上部の化学剤監視装置
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車体上部に機銃を有する
調達 編集
予算計上年度 | 調達数 |
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平成22年度(2010年) | 3両 |
平成23年度(2011年) | 2両+3次補正予算9両[5] |
平成25年度(2013年) | 2両 |
平成26年度(2014年) | 1両+1両[6] |
平成27年度(2015年) | 0両+1両[6] |
合計 | 19両 |
最終的に約50両が調達される予定となっている[7]。
配備 編集
車体上面には機関銃ではなく、放射線測定器が備わっている
登場作品 編集
映画 編集
アニメ・漫画 編集
脚注 編集
- ^ a b c d e f 平成22年度ライフサイクルコスト管理年次報告書
- ^ “陸上自衛隊 NBC偵察車[写真蔵]”. レスポンス. (2013年4月28日)
- ^ a b c 『軍事研究』 2011年6月号 「放射能汚染の恐怖&陸自化学科部隊の新型NBC偵察兵器」P123-146
- ^ 研究開発 装備開発官 陸上装備開発が完了した主なもの
- ^ 平成24年度防衛関係費について
- ^ a b +は補正予算分
- ^ 24年度概算要求・要望における災害対処能力の向上
関連項目 編集
外部リンク 編集
- 防衛省・自衛隊:平成16年度 事前の事業評価 評価書一覧
- 防衛省・自衛隊:平成21年度 事前の事業評価 評価書一覧
- 防衛省・自衛隊:平成21年度 事後の事業評価 評価書一覧
- 核(Nuclear)生物(Biological)化学(Chemical) NBC偵察車 初公開 陸自化校 - 朝雲ニュース2012年5月24日(朝雲新聞社)