PP-19 Bizon

ロシアの軽機関銃(サブマシンガン)

PP-19 «Bizon»ロシア語: 9-мм пистолет-пулемёт с магазином большой емкости модели «Бизон»、「9mm機関短銃大容量型弾倉付き«Bizon»」の意)は、ロシアイズマッシュ社が製造・販売していた短機関銃である。

PP-19 «Bizon»
PP-19 «Bizon-2»(銃床を展開した状態)
PP-19 «Bizon»
種類 短機関銃
短機関銃・PDW(PPK-20(2021-))[1]
製造国 ロシアの旗 ロシア
設計・製造 設計 ヴィクトル・M・カラシニコフ、アレクセイ・E・ドラグノフ
製造 イズマッシュ社(現:カラシニコフ・コンツェルン
仕様
種別 短機関銃
短機関銃・PDW(PPK-20(2021-))[1]
口径 9 mm
7.62 mm(Bizon-2-07)[2]
銃身長 220 mm(Bizon-2(プロトタイプ))[3]
230 mm(Bizon-2)[2]
237.5 mm(Vityaz-SN)[4]
181.5 mm(PPK-20)[5]
ライフリング Bizon-2(プロトタイプ)
4条右回り[6]
Vityaz-SN
6条、ピッチ350 mm[4]
PPK-20
6条、ピッチ250 mm[5]
使用弾薬 Bizon
9x18mm[6]
Bizon-2
9x18mm(Bizon-2/2-03/2-04)[2]
9x19mm(2-01/05)[2]
9x17mm(2-02/06)[2]
7.62x25mm(2-07)[2]
VityazPPK-20
9x19mm[4][5]
装弾数 Bizon-2(プロトタイプ)
66発[3][7]または67発[6]
Bizon-2
64発(9x18mm、9x17mm)[2]
53発(9x19mm)[2]
35発(7.62x25mm)[2]
VityazPPK-20
30発[4][5]
作動方式 シンプル・ブローバック方式
クローズドボルト撃発
全長 Bizon-2(プロトタイプ)
660 mm(銃床展開)
425 mm(銃床折畳み)[6][3][7]
Bizon-2
690 mm(銃床展開)
460 mm(銃床折畳み)[2]
Bizon-2-03
790 mm(銃床展開)
570 mm(銃床折畳み)[2]
Bizon-2-07
665 mm(銃床展開)
430 mm(銃床折畳み)[2]
Vityaz-SN
705 mm(銃床展開)
480 mm(銃床折畳み)[4]
PPK-20
600 - 660 mm(銃床展開、伸縮最小-最大)
475 mm(銃床折畳み)[5]
重量 Bizon-2(プロトタイプ)
2.47[6]- 2.5[7] - 2.6[3] kg(空弾倉込)
2.1 kg(弾倉無し)[6]
Bizon-2
2.8 kg(Bizon-2/2-04、空弾倉込)[2]
3.0 kg(2-01/05/07、空弾倉込)[2]
2.7 kg(2-02/06、空弾倉込)[2]
3.2 kg(2-03、空弾倉込)[2]
Vityaz-SN
2.9 kg(空弾倉込)[4]
PPK-20
2.7 kg(空弾倉込)[5]
発射速度 Bizon-2(プロトタイプ)
650 - 700発/分[6]
Bizon-2
680発/分[2]
700発/分(Bizon-2-01)[2]
750発/分(Bizon-2-07)[2]
Vityaz-SN
700発/分[4]
PPK-20
800発/分[5]
銃口初速 Bizon-2(プロトタイプ)
320 m/s(9x18mm PM)[7][6]
420 m/s(9x18mm PMM)[7][6]
Bizon-2
340 m/s(9x18mm PM)[2]
460 m/s(9x18mm PMM)[2]
380 m/s(9x19mm)[2]
330 m/s(9x17mm)[2]
530 m/s(7.62x25mm)[2]
290 m/s(Bizon-2-03)[2]
Vityaz-SN
370 m/s(9x19mm 7N21)[8]
PPK-20
470 m/s(9x19mm 7N21)[1]
有効射程 100 m(9x18mm PM、9x17mm)[3][7][2]
150 m(9x18mm PMM)[3][7][2]
200 m(9x19mm、7.62x25mm)[2][4][5]
歴史 
設計年 1993年 - 1995年(Bizon)
2003年 - 2004年(Vityaz)
2010年代後半 - 現在(PPK-20)
製造期間 1995年 - 現在(派生型含む)
配備期間 1996年 - 現在(派生型含む)
配備先 ロシア内務省(MVD)
ロシア連邦保安庁(FSB)
バリエーション "バリエーション"を参照
テンプレートを表示

本稿では、その派生型についても記述する。

概要 編集

AK以来の信頼性の高い機関部に独特の64発ヘリカルマガジンを装着した特徴を持つ短機関銃であり、1993年にヴィクトル・M・カラシニコフ(AKの開発者であるミハイル・T・カラシニコフの息子)やアレクセイ・E・ドラグノフ(SVDの開発者であるエフゲニー・F・ドラグノフの息子)らによって開発された[2]

なお、愛称の「ビゾーン」(ロシア語: Бизон)はロシア語で「バイソン(野牛)」を意味し、稀に英語表記の「Bison」と誤記される事もある。

構造 編集

Bizon-2は構成部品の6割をAKS74と共有している[9][6]安全装置もAK系と同じ大型のレバーで、上から順にセーフモード・フルオート(表記АВ)・セミオート(表記ОД)となっている。Bizon-2のリアサイトは、50・100・150 mの3+2段階(のゼロイン距離)に切り替え可能で、射手から見て奥側の表示(白字の5・10)が9x18mm PM用、手前側の表示(赤字(初期は白字)の5・10・15)が強装弾の9x18mm PMM用である[3][10]。また、9x19mmを使用するPP-19-01 «Bizon-2-01»および派生型のPP-19-01 «Vityaz-SN»では、50・100・150・200 mの4段階[11][12]、PP-19-01 «Vityaz»では、AKS74Uと同様に100・200 mの2段階に切り替え可能である[13]

Bizonの最大の特徴として、「アルキメデスのねじ」の原理を応用した「シュニェーカヴィィ・マガジーン」(ロシア語: шнековый магазин[注 1])と称する円筒形の弾倉を、銃身と平行に装着していることが挙げられる[14]。この弾倉は、他の短機関銃アサルトライフルが下部にボックスマガジンを突き出しており伏射の障害になりやすいのに対し、コンパクトであると共に他の短機関銃には見られない64発という大容量を達成している。その一方、射撃を続けるうちに重心位置が変化してしまう、部品の複雑化により故障のリスクが高くなるという欠点もある。Bizon-2の初期型弾倉は、黒色に塗装されたアルミパイプ製で、外から確認できる残弾目盛りが4・24・44・64発目の4箇所に打ってある[15]。後に、表面に滑り止めのリブと使用弾薬刻印を施し、内部の機構も大幅に改良した合成樹脂製弾倉へと変更された[16]。なお、派生型のPP-19-01 «Vityaz»では、ヘリカルマガジンの代わりに一般的な合成樹脂製ボックスマガジンを使用する。

弾薬9x18mmマカロフ弾(9x18mm PM)および強装弾の9x18mm PMMの他、新たに制式化された9x19mmパラベラム弾や、輸出向けの.380ACP弾(9x17mm)、特に貫徹力や弾道性能を重視した7.62x25mmトカレフ弾の各種バリエーションがある。また、銃口に装着できるサプレッサーも供給されている[2]。PP-19で9x18mm PM弾または9x17mm弾を射撃した場合、後退するボルトのエネルギーは全てリコイルスプリングによって吸収され、ボルトはレシーバー後端に衝突することがないため、フルオート射撃時の安定性が向上する[17]

歴史 編集

1990年代初頭、ロシア連邦法執行機関向けの銃器として有効射程100 - 150 m程度の短機関銃を求めていた。これを受け、1993年戦術的および技術的要件が提示され、1995年イズマッシュ社はAKシリーズと同様の操作体系を持った9mm短機関銃、PP-19 «Bizon-2»を開発した[2]

1996年ロシア内務省(MVD)はBizon-2を採用した。弾薬として、より高性能な防弾装備貫通能力を持った9x18mm PMMあるいは9x18mm PP(GRAU:57-N-181SMあるいは7N16)と呼ばれる強装弾を利用するようになり、これ以降Bizon-2は様々な派生型を生んだ[18][2]

2003年、ロシア内務省は、都市部では威力過剰であったAKS74Uに代わる新たな短機関銃を要求し、2004年には大幅な改良を施した新製品PP-19-01 «Vityaz»が開発、2005年にはロシア内務省によって採用され、さらにロシア連邦保安庁(FSB)にも採用されている。今日でもロシア連邦の官民を問わず様々な派生型が使用されている。さらに、多数の国家に輸出されている[19]

2010年代後半には、「«Vityaz-MO»研究開発計画」に基づきVityaz-SNの改良が行なわれ、2020年8月の「アルミヤ-2020」にてPPK-20が発表された。PPK-20はその後も改良が続けられており、2021年には既に採用試験を完了しており、ロシア連邦軍への採用についてはロシア国防省の最終決定を待っている段階である[5][1][20]

バリエーション 編集

Bizon 編集

AKS74を元に開発された短機関銃[注 2]。使用弾薬は9x18mm

PP-19 Bizon-2 編集

Bizonの改良型とされるモデル。使用弾薬は9x18mm。設計や部品の多くをAKS74と共有している[23]。量産中、幾度にも渡って改良が施されており、様々なバリエーションが存在する。1996年ロシア内務省に採用された[2]

プロトタイプでは、表面が滑らかで後のものより全長がやや長いアルミパイプ製の66発[3][7](あるいは67発[6]ヘリカルマガジン、両側に3つの放熱孔が空いた鋼板製ハンドガード、AKS74Uに似たサイトガード付きのリアサイト(50・100 mに対応)とヒンジ付きレシーバーカバー、SVDから流用したフロントサイト、上部両側に大きな長方形の2つのスロットがあるコンペンセイター等を装備していた[6]

量産初期のモデルでは、フロントサイトはAKタイプとなり、リアサイトはタンジェントタイプに、レシーバーカバーはヒンジ無しの脱着式に、フラッシュサプレッサーやコンペンセイターは無く、残弾確認穴のあるアルミパイプ製の64発ヘリカルマガジンを使用する[注 3]様に変更された。弾倉の改良に伴い、弾倉装着用ピンがフロントサイトブロック前方から後方に移り、かつ弾倉装着時に干渉しない様にハンドガード前端下部に切り欠きがついた[3][10]

1995年頃には、AK100シリーズに準じた暗視装置光学照準器が装着可能なサイドレールの追加、銃口部にサプレッサーが装着できるよう着脱可能としたフラッシュサプレッサーの装備といった改良が施された。また、遅くとも2000年代初頭までには、表面に滑り止めのリブと使用弾薬刻印を施した、合成樹脂製の64発ヘリカルマガジンへと変更されている[10]

Bizon-2-01 編集

PP-19 Bizon-2の使用弾薬を9x19mmに変更したモデル。2001年ロシア内務省に採用された[2]

Bizon-2-02 編集

PP-19 Bizon-2の使用弾薬を9x17mmに変更したモデル[2]

Bizon-2-03 編集

PP-19 Bizon-2のインテグラル・サプレッサーモデル[注 4]。使用弾薬は9x18mm。旧名称Bizon-2B。初速を音速以下まで低下させるために銃身基部に複数の穴が空けられ、その周りを筒状の金属製メッシュおよび膨張室で覆う形となっており、銃口には着脱式サプレッサーが装備されている[24][2][注 5]

Bizon-2-04 編集

PP-19 Bizon-2のセミオートモデル。使用弾薬は9x18mm[2]

Bizon-2-05 編集

Bizon-2-01のセミオートモデル。使用弾薬は9x19mm[2]

Bizon-2-06 編集

Bizon-2-02のセミオートモデル。使用弾薬は9x17mm[2]

Bizon-2-07 編集

PP-19 Bizon-2の使用弾薬を7.62x25mmに変更したモデル。1997年に開発された[2]

Bizon-2のラインナップ整理 編集

2000年代に、Bizon-2シリーズのラインナップは大幅に変更された。使用弾薬別に、PP-19 «Bizon-2»PP-19-01 «Bizon-2-01»PP-19-02 «Bizon-2-02»の3機種を基本モデルとし、インテグラル・サプレッサーモデルのBizon-2-03およびセミオートモデルのBizon-2-04ないしBizon-2-06はこれらに統合、Bizon-2-07は廃番となった。新たなBizon-2シリーズでは以下の様なオプションが選択できた[25]

  1. セミ/フルオート、または、セミオートのみの射撃モード
  2. AKS74タイプの左側折りたたみ式ストック、または、レシーバーカバー上部に重なるように前上方に折りたためるストック
  3. 着脱式サプレッサー無し、着脱式サプレッサー付属、インテグラル・サプレッサーモデル[注 4]

オプションの組み合わせによる品番の違いは下表の通りである[25]

Bizon-2シリーズ品番
使用弾薬
型番
射撃モード ストック サプレッサー
無し 着脱式 インテグラルタイプ
9x18mm
PP-19 «Bizon-2»
セミ/フル 左側折畳み PP-19.Sb PP-19.Sb-01 PP-19.Sb-04
上方折畳み PP-19.Sb-02 PP-19.Sb-03 PP-19.Sb-05
セミ 左側折畳み PP-19.Sb-30 PP-19.Sb-31 PP-19.Sb-34
上方折畳み PP-19.Sb-32 PP-19.Sb-33 PP-19.Sb-35
9x19mm
PP-19-01 «Bizon-2-01»
セミ/フル 左側折畳み PP-19-01.Sb PP-19-01.Sb-01 PP-19-01.Sb-04
上方折畳み PP-19-01.Sb-02 PP-19-01.Sb-03 PP-19-01.Sb-05
セミ 左側折畳み PP-19-01.Sb-30 PP-19-01.Sb-31 PP-19-01.Sb-34
上方折畳み PP-19-01.Sb-32 PP-19-01.Sb-33 PP-19-01.Sb-35
9x17mm
PP-19-02 «Bizon-2-02»
セミ/フル 左側折畳み PP-19-02.Sb PP-19-02.Sb-01 PP-19-02.Sb-04
上方折畳み PP-19-02.Sb-02 PP-19-02.Sb-03 PP-19-02.Sb-05
セミ 左側折畳み PP-19-02.Sb-30 PP-19-02.Sb-31 PP-19-02.Sb-34
上方折畳み PP-19-02.Sb-32 PP-19-02.Sb-33 PP-19-02.Sb-35

なお、2009年頃には、9x17mm弾を使用するPP-19-02 «Bizon-2-02»はラインナップから外されている[26]

PP-19-01 Vityaz 編集

Bizonを元に、一般的な30発ボックスマガジン[注 6]を使用する様改良した短機関銃で、2004年に開発された。使用弾薬は9x19mmで、ロシア国内の警察や内務省向けに開発された。愛称の「ヴィーチシ」(ロシア語: Витязь)は「騎士」「英雄」等を意味する[注 7]

PP-19-01.Sb-10 Vityaz 編集

PP-19-01 Vityazの改良型で、既に製造終了していたAKS74Uの製造ラインを再活用するため、AKS74Uと出来る限り部品を共通化したモデル。AKS74Uとの外観上の違いは、9x19mm弾に対応した弾倉・ボルト・レシーバーカバー等や、サプレッサーが装着できるよう着脱可能とした新型フラッシュサプレッサー・マズルブレーキ、暗視装置や光学照準器が装着可能なサイドレール等である。なお、レシーバーもAKS74Uと共通化してあり、他の«Bizon»シリーズ並びに«Vityaz»シリーズの様なレシーバーの短縮化は施されていない。このモデルは区別のためPP-19-01, バージョン10 «Vityaz» PP-19-01.Sb-10ロシア語: 9-мм пистолет-пулемет ПП-19-01, исполнение 10 «Витязь» ПП-19-01.Сб-10)と呼称されている[29]

 
PP-19-01.Sb-20 Vityaz-SN
 
PP-19-01.Sb-20 Vityaz-SN

PP-19-01.Sb-20 Vityaz-SN 編集

Vityazの改良型で、AK105に準じた各種改良を施したモデル[4]。構成部品の7割以上をAK74MおよびPP-19 Bizon-2と共有している[2]2005年にロシア内務省に採用された他、ロシア連邦保安庁(FSB)にも採用されている。このモデルは区別のためPP-19-01, バージョン20 «Vityaz-SN» PP-19-01.Sb-20ロシア語: 9-мм пистолет-пулемет ПП-19-01, исполнение 20 «Витязь-СН» ПП-19-01.Сб-20)と呼称されている[30]

グリップは太めのものとなり、リアサイトブロックやハンドガード等はAK105に似たものとなっている。また、暗視装置や光学照準器の装着用として、当初はAKで一般的なレシーバー左側面のサイドレールのみを装備していたが、後にレシーバーカバー上部にピカティニーレールを備えたモデル(PP-19-01.Sb-20)もしくはサイドレール付きモデル(PP-19-01.Sb-20-01)のいずれかを選択できるようになった[31]

なお、現在販売されているモデルは、レシーバーカバー上部のピカティニーレールが改良されている[注 8]他、レシーバー左側面のサイドレールや、ロア・ハンドガード下部の長いピカティニー・レールおよび右側の短いピカティニー・レール等、かつては選択式あるいはオプション扱いであったレール類が、全て標準装備されている[4]

Vityaz-MO 編集

Vityaz-MO(GRAU:6P73)は、「«Vityaz-MO»研究開発計画」に基づき開発されたVityaz-SNの改良型で、専用のクイック・デタッチャブル式低騒音射撃装置(PMS)(GRAU:6Ch66)と共に2018年に発表された。6Ch66サプレッサーを装着できる銃身固定のバードケージ型フラッシュサプレッサー、改良されたピカティニーレールを上部に備えたレシーバーカバー、ピカティニーレールを下部および右側に備えたロアハンドガード等が装備されている。なお、レシーバー左側面にサイドレールは無い[33]

2020年7月には、AK-12(2020年モデル)に似た左側面折りたたみ式の伸縮ストック、AK-12(2016年モデル)に似たフィンガー・チャネル付きのグリップ、右手人差し指で操作できるよう延長されたセレクター等を装備した改良型が、国による採用試験を完了したと発表された[34]

PPK-20 編集

PPK-20(GRAU:6P73)は、「«Vityaz-MO»研究開発計画」により開発されたもので、Vityaz-MOにさらなる各種改良を施したモデル。口径9x19mm。

2020年8月の「アルミヤ-2020」では、Vityaz-MOにPPK-20の名称が与えられ正式に発表された[35][36]

2021年8月の「アルミヤ-2021」では更に改良が進められており、181.5 mmまで短縮化された銃身、ピカティニー・レールを備えたAK-12タイプのレシーバーカバー、上下面にピカティニー・レールおよび両側面にM-LOKスロットを備えた新型ハンドガード、AM-17に似た右側面折りたたみ式の伸縮ストック、AK-12(2020年モデル)に似たクリーニングキット内蔵のグリップとトリガーガードを一体化したグリップ・アセンブリ、左右どちらの親指でも操作できるアンビタイプ・セレクター、レシーバーカバー後端に配置されたサイトガード付きのピープ形リアサイト、ハンドガードと一体化したフロントサイトおよびサイトガード等を装備している。2021年夏時点において、PPK-20は既に採用試験を完了しており、ロシア連邦軍への採用についてはロシア国防省の最終決定を待っている段階である[5][1][20]

サイガ-9 編集

カラシニコフ・コンツェルン社が開発、販売するPP-19-01.Sb-20 Vityaz-SNベースの民間向けカービン。狩猟や競技向けに販売されており、フルオートは廃止されセミオートのみになっている[37]

TR9 パラドックス 編集

2019年6月の国際軍事技術フォーラム「アルミヤ-2019」で発表された345 TK弾を使用する民間向け仕様[38]

登場作品 編集

アニメ・漫画 編集

うぽって!!
ビゾンという擬人化キャラが登場。
Angel Beats!
第1話および第8話にて、死んだ世界戦線(SSS)のメンバーが使用。
やわらか戦車
第6話にて、飛行機に乗り込もうとしたテロリストが所持。第10話では、ベイベーが兄者に対して発砲。
ソードアート・オンラインオルタナティブガンゲイルオンライン
チームSHINKのターニャが使用。

ゲーム 編集

Alliance of Valiant Arms
「Bizon PP-19」という名称で、ゲーム内兵科「ポイントマン」の主武器として登場。デフォルトでは装弾数64発の9x18mmマカロフ弾を使用するマガジンを、カスタマイズで装弾数53発の9x19mmパラベラム弾を使用するマガジンに変更可能。
また、「Bizon Arachne」という名称で強化版をゲーム内ガチャで入手可能。
ARMA 2
PP-19と、サプレッサー装備型のPP-19 SDが登場。
Far Cry 3
「BZ19」という名称で登場。サイトやサプレッサーの有無、銃器の色をカスタマイズできる。
MASSIVE ACTION GAME
「ビペラ2」の名称で登場。セイバーのサブマシンガンであり、トップクラスの装弾数を誇る。
OPERATION7
ゲームの仕様により様々なカスタムが可能となっている。
Operation Flashpoint: Cold War Crisis
時代設定が1985年であるにもかかわらず登場している。ソ連軍陣営の特殊部隊兵科(スペツナズ)で使用可能な短機関銃として、サプレッサー付きのものを使用可能。
Paperman
威力は低めだが、連射力が高いという設定になっている。弾数が50発になっている。現在では調整が入って弱体化されたが、弱体化前は最強武器の一角として猛威を振るっていた。
PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS
PC版では「PP-19 Bizon」、モバイル版では「PP-19」という名称で登場。装弾数53発。サイトやマズル、アクセサリーが装着可能。
SOCOM: U.S. Navy SEALs Portable
「BIZON」という名称で登場。
WarRock
「BIZON」という名称で登場。AIパッケージで購入できる。
ゴーストリコン フューチャーソルジャー
「PP19」という名称で登場。ロシア軍特殊部隊「ボダーク」の短機関銃である。装弾数64発。
コール オブ デューティシリーズ
CoD:G
「Bizon」という名称で登場。マルチプレイモードにて新規開始時から使用できる。
CoD:MW
「PP19 Bizon」の名称で登場。
CoD:BOCW
PP-19に似ているが、細部の仕様が異なる銃(恐らく年代的に試作モデルという設定)が「Bullfrog」として登場する。
CoD:MWII
PP-19が「MINIBAK」、PP-19-01が「VAZNEV-9K」という名称で登場する。
CoD:Mobile
「PP19 Bizon」の名称で登場。マルチプレイ、バトルロワイアルで使用可能。 
サイフォンフィルター
「BIZ-2」の名称で登場する。
ソードアート・オンライン フェイタル・バレット
サプレッサー仕様が「スパイラルシャドウ」の名称で登場。放熱孔の数と位置が異なる架空銃である。レインが使用する。
ディビジョン
「PP-19」の名称で登場する。
バイオハザード7 レジデント イービル
「マシンガンP19」の名称で登場する。
バトルフィールドシリーズ
BF2
MEC対戦車兵で使用可能。
BF3
「PP-19」という名称で登場。DLC「Back to Karkand」により追加される。装弾数55発。
バトルフィールド2042
Zenit社製ストックなどでカスタムされたPP-19 Bizon-2が「PP-29」として登場。
フリーダム・ファイターズ
「サブマシンガン」という名称で登場。見た目はPP-19であるが、装弾数が40発になっている。
メタルギアソリッド4
ドレビンショップで購入可能。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 「シュニェーク」(ロシア語: шнек、「スクリュー」「オーガー」の意)は、ドイツ語の「シュネッケ」(ドイツ語: Schnecke、「カタツムリ」の意)に由来しているとされる。また、「ヘリカルマガジン」(ドイツ語: Helixmagazin)のことを「シュネッケンマガツィーン」(ドイツ語: Schneckenmagazin)と呼称することもある。
  2. ^ 後述のBizon-2プロトタイプを、イズマッシュ社の公式サイト[7]およびマニュアル[21]ではBizon-2として公表していたが、同モデルをBizonとして紹介する文献[6]もあり、Bizon-2がいつ頃登場したのか、そしてBizonとBizon-2との違いは明らかにはなっていない[22]
  3. ^ 装弾数を64発としたのは、9x18mm弾の支給形態が16発単位であり、その倍数である64発としたためとの説がある[6]
  4. ^ a b Bizon-2のインテグラル・サプレッサーモデルは、MP5SDシリーズ等の様な銃身・サプレッサー一体型のものではなく、初速を音速以下まで減速するための穴空き銃身および膨張室を備えた銃本体と、着脱式サプレッサーモデルと同様なマズルタイプ・サプレッサーの組み合わせで構成されている[24]
  5. ^ フロントサイトは銃身先端ではなく、銃身を覆う膨張室の先端の方に取り付けられている[17]
  6. ^ 30発ボックスマガジン採用により、大容量のヘリカルマガジンを使用するBizonに比べて装弾数はおよそ半分となっているが、Vityazではマガジン2個を連結するマガジンクリップを標準付属品とすることにより、弾倉交換を迅速に行えるようになっている[27]
  7. ^ «Vityaz»短機関銃開発の発案者の一人であるセルゲイ・I・ルィシューク予備大佐は、元ロシア内務省国内軍所属で、1991年に編成された第1特殊任務支隊「ヴィーチシ」およびその前身部隊の部隊長を務めた経験があった。彼は2002年に設立されたばかりの、退役した特殊任務部隊隊員らによる組織「特殊任務部隊隊員社会保障協会«マルーンベレー兄弟団«ヴィーチシ»」(ロシア語: Ассоциация социальной защиты военнослужащих подразделений специального назначения «Братство краповых беретов «Витязь»)の会長(当時)でもあった。また、«Vityaz»短機関銃の開発資金は、彼と«マルーンベレー兄弟団«ヴィーチシ»によって調達された資金により賄われたこともあり、彼らの功績を称えて新型短機関銃に«Vityaz»と名付けたとされる逸話がある[28]
  8. ^ 当初、レシーバーカバー上部のピカティニー・レールには横溝(グルーヴ)が施されていない部分が一部存在していた[32]が、現在はレール全体に横溝が施されている。また、横溝部への数字の印字や、レール固定用リベットの位置やサイズ等の変更もあり、より光学機器が使いやすくなっている[4]

出典 編集

  1. ^ a b c d e Kalashnikov to unveil PPK-20 submachine gun”. Kalashnikov Groupe (2021年8月22日). 2023年8月10日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao NO Assoc. DEAL 2010, pp. 170–177.
  3. ^ a b c d e f g h i PP-19技術的解説 1995, p. 3.
  4. ^ a b c d e f g h i j k PP-19 Submachine Gun”. Kalashnikov Groupe. 2023年8月10日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j PPK-20 Submachine Gun”. Kalashnikov Groupe. 2023年8月10日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n Kokalis 1995, pp. 44–48.
  7. ^ a b c d e f g h i BIZON-2”. OJSC Izhmash. 1998年5月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月10日閲覧。
  8. ^ NO Assoc. DEAL 2010, pp. 178–179.
  9. ^ Iannamico 2016, p. 207.
  10. ^ a b c Stott 2019, pp. 32–36.
  11. ^ PP-19操作説明書, p. 10.
  12. ^ PP-19-01操作説明書 2006, p. 11.
  13. ^ PP-19-01操作説明書 2006, p. 9.
  14. ^ PP-19操作説明書, pp. 19–21.
  15. ^ Stott 2019, pp. 32–33.
  16. ^ Stott 2019, pp. 34–36.
  17. ^ a b PP-19操作説明書, p. 9.
  18. ^ «Шнек» под стволом[リンク切れ]
  19. ^ Полиция Уругвая купит у России оружия на миллион долларов
  20. ^ a b PPK-20: Specs”. Kalashnikov Groupe (2021年10月20日). 2023年8月10日閲覧。
  21. ^ PP-19技術的解説 1995.
  22. ^ Гук, Руслан (2020年3月25日). “Со «шнеком» под стволом” [銃身の下に「スクリュー」が付いた] (ロシア語). Warspot.ru. 2023年9月1日閲覧。
  23. ^ PP-19技術的解説 1995, p. 4.
  24. ^ a b PP-19操作説明書, pp. 9, 21–22, 35–36.
  25. ^ a b PP-19操作説明書, pp. 3–6.
  26. ^ 9 mm. submachine gun with large capacity magazine "BIZON"”. OJSC Izhmash. 2009年2月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月10日閲覧。
  27. ^ PP-19-01操作説明書 2006, pp. 21, 83–84, 89–90.
  28. ^ Гук, Руслан (2020年9月1日). “«Витязь» в шкуре «Бизона»” [「バイソン」の皮をかぶった「騎士」] (ロシア語). Warspot.ru. 2023年9月1日閲覧。
  29. ^ PP-19-01操作説明書 2006, pp. 3, 44–45, 50–51, 53–67.
  30. ^ PP-19-01操作説明書 2006, pp. 3–4.
  31. ^ PP-19-01操作説明書 2006, pp. 3–4, 46–49, 52–53, 68–76.
  32. ^ PP-19-01操作説明書 2006, p. 72.
  33. ^ Vityaz-MO: Specs”. Kalashnikov Groupe (2019年3月27日). 2023年8月10日閲覧。
  34. ^ Dmitry Fediushko (2020年7月23日). “Kalashnikov completes state trials of Vityaz-MO 9 mm SMG”. Janes. 2023年8月10日閲覧。
  35. ^ Kalashnikov submachine gun presented”. Kalashnikov Groupe (2020年8月25日). 2023年8月10日閲覧。
  36. ^ PPK-20 capabilities”. Kalashnikov Groupe (2020年9月30日). 2023年8月10日閲覧。
  37. ^ Civilian products Kalashnikov” (PDF). Kalashnikov Groupe. 2023年9月1日閲覧。
  38. ^ TR9 «PARADOX» capabilities”. Kalashnikov Groupe (2019年9月6日). 2023年9月1日閲覧。

参考文献 編集

  • Russian Close Combat Weapon. NO "Association "Defense Enterprises Assistance League". (2010). ISBN 978-5-904540-04-3 
  • Iannamico, Frank (2016). AK-47: the Grim Reaper (2nd ed.). ISBN 978-0-9823918-5-3 
  • Kokalis, Peter J. (1995-08). “РУССКИЙ «БИЗОН» [ロシアの«BIZON»]” (ロシア語). СОЛДАТ УДАЧИ("Soldier of Fortune" ロシア版) (Фирма «Мейкер») 1995 (8). ISBN 5-86753-012-4. 
  • Stott, Rob (2019). the AK47 catalog volume 4. ISBN 978-1798264935 
  • イズマッシュ社 (1995) (ロシア語). 9-мм пистолет-пулемет с магазином большой емкости модели "Бизон-2": Техническое описание: ПП-19.ТО [9mm機関短銃大容量型弾倉付き"Bizon-2":技術的解説:PP-19.TO] 
  • イズマッシュ社 (ロシア語). 9-мм пистолет-пулемёт с магазином большой ёмкости модели "Бизон-2": Руководство по эксплуатации: ПП-19 РЭ [9mm機関短銃大容量型弾倉付き"Bizon-2":操作説明書:PP-19 RE] 
  • イズマッシュ社 (2006) (ロシア語). 9-мм пистолет-пулемет ПП-19-01, исполнение 10 «Витязь» и исполнение 20 «Витязь-СН»: Руководство по эксплуатации: ПП-19-01 РЭ [9mm機関短銃PP-19-01, バージョン10 «Vityaz» および バージョン20 «Vityaz-SN»:操作説明書:PP-19-01 RE] 
  • イズマッシュ社 (2015) (ロシア語). 9-мм пистолет-пулемет ПП-19-01, исполнение 20 «Витязь-СН»: Каталог деталей и сборочных единиц: ПП-19-01 КДС-20 [9mm機関短銃PP-19-01, バージョン20 «Vityaz-SN»:パーツおよびアセンブリカタログ:PP-19-01 KDS-20] 

関連項目 編集

外部リンク 編集