ジョージ・スプリンガー

アメリカの野球選手 (1989 - )

ジョージ・チェルストン・スプリンガー3世George Chelston Springer III, 1989年9月19日 - )は、アメリカ合衆国コネチカット州ニューブリテン出身のプロ野球選手外野手)。右投右打。MLBトロント・ブルージェイズ所属。

ジョージ・スプリンガー
George Springer
トロント・ブルージェイズ #4
トロント・ブルージェイズ時代
(2021年7月11日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 コネチカット州ニューブリテン
生年月日 (1989-09-19) 1989年9月19日(34歳)
身長
体重
6' 3" =約190.5 cm
215 lb =約97.5 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 外野手
プロ入り 2011年 MLBドラフト1巡目
初出場 2014年4月16日
年俸 $29,666,666(2022年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

経歴 編集

プロ入り前 編集

2008年MLBドラフト48巡目(全体1437位)でミネソタ・ツインズから指名されたが、契約には至らなかった。

2010年第5回世界大学野球選手権大会アメリカ合衆国代表に選出され、日本戦では斎藤佑樹から満塁本塁打を記録した[2]

プロ入りとアストロズ時代 編集

2011年MLBドラフト1巡目(全体11位)でヒューストン・アストロズから指名され、プロ入り。A-級トリシティ・バレーキャッツ英語版でプロデビュー。8試合に出場して打率.179、1本塁打、3打点、4盗塁を記録した。

2012年はまずA+級ランカスター・ジェットホークスでプレーし、106試合に出場して打率.216、22本塁打、82打点、28盗塁を記録した。8月9日にAA級コーパスクリスティ・フックスへ昇格。22試合に出場して打率.219、2本塁打、5打点、4盗塁を記録した。

2013年はAA級コーパスクリスティとAAA級オクラホマシティ・レッドホークスでプレー。AAA級オクラホマシティでは62試合に出場して打率.311、18本塁打、53打点、22盗塁を記録した。

2014年3月30日にアストロズが総額2300万ドルの7年契約を提示したが、拒否した[3]。シーズンではAAA級オクラホマシティで開幕を迎え、13試合に出場して打率.353、3本塁打、9打点、4盗塁と結果を残した。4月16日にアストロズとメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした[4]。同日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦でメジャーデビュー。「2番・右翼手」で先発出場し、5打数1安打1四球2三振だった[5]。5月21日から29日にかけて7本塁打を打ち、新人としては1937年のルディ・ヨーク英語版以来史上2人目となる7試合7本塁打を達成した。5月にはルーキー・オブ・ザ・マンスを受賞した。シーズン約半分の78試合で20本塁打を記録した。一方で打率.231、114三振を喫した。

2015年7月1日のロイヤルズ戦でエディンソン・ボルケスの投球を受け、右手首を負傷し、右手首骨折と診断され、故障者リストに入った。この年は102試合に出場し16本塁打を含む37本の長打を放った。また16盗塁を記録し、MLB2年目で「15本塁打・15盗塁」以上をクリアした。

2016年は故障なくフルシーズン起用され、全162試合に出場。開幕時は2番打者として起用されていたが、5月下旬以降は1番打者として起用された。打率.261、29本塁打、82打点、9盗塁という成績を残したほか、アリーグトップの744打席、4位の644打数、5位の116得点を記録した。

2017年はシーズン開幕前の1月3日に第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への不参加の意思を表明した[6]。シーズンでは開幕から不動の1番打者として起用され、開幕9試合で歴代最多の4本の初回先頭打者本塁打を記録した。この年は自身初となるオールスターゲームに選出された。最終的にシーズンで計9本の先頭打者本塁打の球団記録を樹立した。自身初のオールスターゲームにも選出された。最終的にいずれも自己最高となる打率.283、34本塁打、85打点を記録。ロサンゼルス・ドジャースとのワールドシリーズでは7試合でシリーズタイ記録となる5本塁打を記録すなど、打率.379、7打点という成績を残し、球団史上初となるワールドチャンピオンに貢献。シリーズMVPに選出された[7]。オフにはシルバースラッガー賞を初受賞した。

 
ヒューストン・アストロズ時代
(2018年9月29日)

2018年は2年連続となる開幕戦で決勝本塁打を記録した。5月7日のオークランド・アスレチックス戦では球団記録となる1試合6安打を記録[8]。2年連続2度目となるオールスターに選出され、10回表に試合を決定づける本塁打を打った。8月5日のドジャース戦で左手親指を負傷して10日間の故障者リスト入り。最終的に140試合の出場で打率.265、22本塁打、71打点の成績を残した。ポストシーズンのALDS第3戦で球団記録となるポストシーズン通算10号本塁打を放った[9]

2019年も開幕戦で本塁打を記録した。5月25日に左ハムストリングスの筋断裂で故障者リスト入りすると、1か月離脱した。3年連続3度目のオールスターゲームに選出された。最終成績は打率.292、39本塁打、96打点だった。また、先頭打者本塁打12本で自身の球団記録を更新した。

2020年オフの10月28日にFAとなった。球団からは1890万ドルのクオリファイング・オファーが提示されたが、11月11日にこれを拒否した[10]

ブルージェイズ時代 編集

2021年1月23日にトロント・ブルージェイズと6年総額1億5000万ドルの契約を結んだ[11]。オプションとしてシーズンMVPを受賞した場合は150万ドル、ゴールドグラブ賞、シルバースラッガー賞、ワールドシリーズMVP、オールスターゲーム選出のいずれかを受賞した場合はそれぞれ50万ドルの出来高が含まれる。

開幕は故障者リストで迎えた。4月28日に故障者リストから復帰し、同日のワシントン・ナショナルズ戦に「1番・指名打者」で先発出場し、ブルージェイズ移籍後初出場を果たした[12]。4月30日のアトランタ・ブレーブス戦で移籍後初安打を記録した[13]。5月1日のブレーブス戦でチャーリー・モートンから移籍後初本塁打を記録した[14]。5月5日に右大腿四頭筋の張りで再び故障者リストに入った[15]。復帰直後は打撃不振にも苦しんだが、夏場にかけて復調し、8月にはブルージェイズの選手としては史上初めて2週連続でプレイヤー・オブ・ザ・ウィークを受賞した[16][17]。しかし8月14日のマリナーズ戦にて外野守備の際に足を負傷し三度故障者リストに入った。このシーズンは怪我に悩まされ出場試合数は78試合に留まったが、打率.264、22本、50打点、OPS.907の成績を残し、プレイヤー・オブ・ザ・ウィークを3回受賞した[18]

2022年は開幕ロースターに入り、開幕をメジャーで迎えた。4月26日のレッドソックス戦で通算200本塁打を達成した[19]。6月5日のミネソタ・ツインズ戦にてMLB史上4人目となる通算50本目の初回先頭打者本塁打を記録した[20]。またこのシーズンは2019年以来となるオールスターに選出されるも、肘の故障を理由に欠場した[21]

2023年6月25日のオークランド・アスレチックス戦にて、リッキー・ヘンダーソンに次ぐMLB歴代2位となる通算55本目の初回先頭打者本塁打を放った[22]

選手としての特徴 編集

身体能力が高く、パワーとスピードを兼ね備えた万能選手である[23]。2013年シーズンには、MiLBで37本塁打、45盗塁を同時に記録している。MLBデビューを果たした2014年にも、レギュラーシーズンの半分(81試合)以下の出場試合数で、20本塁打放っている。インサイドのボールに強く、粘り強く失投を待って高い弾道の本塁打を放つのが特徴である[23]。パワーの一方でミート力に課題を残し、2014年は100以上の三振を記録した。左投手に対する打撃も課題であり、2014年の対左打率は.194だった[23]

先頭打者本塁打を多く放ち、シーズン12本はアストロズの球団記録で、通算39本は球団2位、MLB歴代8位(2020シーズン終了時点)にあたる。また、先頭打者本塁打数が9本以上のシーズンを複数回記録したのは、アルフォンソ・ソリアーノに次ぐMLB史上2人目である。[24]

人物 編集

祖父のジョージ一世はパナマからアメリカに移民した人権活動家で、父のジョージ二世は弁護士であり、幼少期にはリトルリーグ・ワールドシリーズで日本と対戦している[2]。母はプエルトリコ出身のメスティーソ体操選手だった[2]。2人の妹はアマチュアの競技ソフトボールで活躍している[23]

高校時代に一度落第を経過した影響で、大学進学が1年遅れた[25]

吃音症であり、幼少期にはイジメられたこともあったが、今では気にしておらず、自分が吃ってる姿を見て、吃音症に悩む人に勇気を持って欲しいと言及している[26]

詳細情報 編集

年度別打撃成績 編集

















































O
P
S
2014 HOU 78 345 295 45 68 8 1 20 138 51 5 2 0 2 39 4 9 114 4 .231 .336 .468 .804
2015 102 451 388 59 107 19 2 16 178 41 16 4 2 3 50 0 8 109 4 .276 .367 .459 .826
2016 162 744 644 116 168 29 5 29 294 82 9 10 0 1 88 2 11 178 12 .261 .359 .457 .815
2017 140 629 548 112 155 29 0 34 286 85 5 7 0 4 64 1 11 111 11 .283 .367 .522 .889
2018 140 620 544 102 144 26 0 22 236 71 6 4 0 3 64 0 5 122 12 .265 .346 .434 .780
2019 122 556 479 96 140 20 3 39 283 96 6 2 0 4 67 1 6 113 12 .292 .383 .591 .974
2020 51 222 189 37 50 6 2 14 102 32 1 2 0 2 24 0 5 38 3 .265 .359 .540 .899
2021 TOR 78 342 299 59 79 19 1 22 166 50 4 1 0 1 37 1 4 79 6 .264 .352 .555 .907
2022 133 583 513 89 137 22 4 25 242 76 14 2 0 5 54 1 7 100 7 .267 .342 .472 .814
2023 154 683 613 87 158 25 1 21 248 72 20 5 0 3 60 1 5 125 20 .258 .327 .405 .732
MLB:10年 1160 5175 4512 802 1206 203 19 242 2173 656 86 39 2 28 547 11 71 1089 91 .267 .354 .482 .835
  • 2023年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

年度別守備成績 編集



左翼(LF) 中堅(CF) 右翼(RF)




































2014 HOU - 8 24 0 0 0 1.000 71 139 6 7 2 .954
2015 - 10 27 0 0 0 1.000 93 162 6 3 3 .982
2016 - 1 4 0 0 0 1.000 147 304 12 2 2 .994
2017 - 84 151 2 1 2 .994 78 92 3 0 0 1.000
2018 1 0 0 0 0 ---- 80 140 4 1 1 .993 77 112 4 0 1 1.000
2019 - 75 137 2 0 0 1.000 59 83 3 2 1 .977
2020 - 42 82 0 0 0 1.000 9 4 0 0 0 1.000
2021 TOR - 40 87 1 2 0 .978 4 1 0 0 0 1.000
2022 - 86 178 6 1 2 .995 26 13 0 0 0 1.000
2023 - 1 1 0 0 0 1.000 131 260 6 0 1 1.000
MLB 1 0 0 0 0 ---- 427 831 15 5 5 .994 695 1170 40 14 10 .989
  • 2023年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

表彰 編集

記録 編集

背番号 編集

  • 4(2014年 - )

代表歴 編集

  • 2010年世界大学野球選手権大会アメリカ合衆国代表

脚注 編集

  1. ^ George Springer Contract Details, Salaries, & Earnings” (English). Spotrac. 2022年10月6日閲覧。
  2. ^ a b c 開幕10試合で先頭弾4発のアストロズ・スプリンガー「青木は最高のチームメートだ」 スポーツ報知 (2017年4月13日) 2017年5月1日
  3. ^ George Springer rejects seven-year, $23 million offer from Astros” (英語). CBS Sports (2014年3月20日). 2014年4月17日閲覧。
  4. ^ Astros Select Springer From Triple A Oklahoma City” (英語). MLB.com (2014年4月16日). 2014年4月17日閲覧。
  5. ^ Scores for Apr 16, 2014” (英語). ESPN (2014年4月16日). 2014年4月17日閲覧。
  6. ^ Springer decides to skip World Baseball Classic MLB.com (英語) (2017年1月3日) 2017年5月1日閲覧
  7. ^ Anthony, Castrovince (2017年11月1日). “Springer swats his way to MVP honors” (英語). Major League Baseball Advanced Media. http://m.mlb.com/news/article/260386660/george-springer-named-world-series-mvp/ 2017年11月2日閲覧。 
  8. ^ Springer's 6-hit night, 462-foot HR lead romp”. MLB.com. 2020年1月18日閲覧。
  9. ^ Springer joins Mr. October in exclusive club” (英語). MLB.com (2018年10月8日). 2020年1月18日閲覧。
  10. ^ George Springer, J.T. Realmuto Decline Qualifying Offers” (英語). MLB Trade Rumors. 2020年11月11日閲覧。
  11. ^ Blue Jays Sign George Springer” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年1月23日閲覧。
  12. ^ Keegan Matheson (2021年4月28日). “Springer makes long-awaited '21 debut” (英語). MLB.com. 2021年4月29日閲覧。
  13. ^ Keegan Matheson (2021年5月1日). “Kirk connects for 2 HRs as Blue Jays romp” (英語). MLB.com. 2021年5月2日閲覧。
  14. ^ Keegan Matheson (2021年5月2日). “Springer hits 1st Blue Jays HRs ... one 470 feet!” (英語). MLB.com. 2021年5月2日閲覧。
  15. ^ Keegan Matheson (2021年5月6日). “Springer to IL again with quad strain” (英語). MLB.com. 2021年5月8日閲覧。
  16. ^ “【MLB】週間MVPはアがスプリンガー、ナはボットーが受賞”. (2021年8月3日). https://www.sportingnews.com/jp/mlb/news/mlb週間mvpはアがスプリンガーナはボットーが受賞/ct8bcu9i0hdd11bwxv5mygmtj 2022年2月11日閲覧。 
  17. ^ “【MLB】アはスプリンガーが2週連続、ナはクロンが受賞、週間MVP”. The Sporting News. (2021年8月10日). https://www.sportingnews.com/jp/mlb/news/mlbアはスプリンガーが2週連続ナはクロンが受賞週間mvp/6f1jjgfh6kkg13qezzcw9psvu 2022年2月11日閲覧。 
  18. ^ “2021年レギュラーシーズン最終週の週間MVPはブルージェイズのスプリンガーとドジャースのT・ターナー”. SPOZONE. (2021年10月5日). https://spozone.tv/archives/16785 2022年2月12日閲覧。 
  19. ^ Keegan Matheson (2022年4月26日). “Springer's homer sets stage for walk-off heroics” (英語). MLB.com. 2022年4月27日閲覧。
  20. ^ “ブルージェイズのスプリンガーが史上4人目の通算50本目の初回先頭弾… イチローは37本で10位”. スポーツ報知. (2022年6月6日). https://hochi.news/articles/20220606-OHT1T51028.html 2022年8月19日閲覧。 
  21. ^ “レンジャーズ・シーガーがオールスター選出 肘の不調で欠場のスプリンガーに代わり”. 日刊スポーツ. (2022年7月15日). https://www.nikkansports.com/m/baseball/mlb/news/amp/202207150000079.html 2022年8月19日閲覧。 
  22. ^ “ブルージェイズ・スプリンガーが通算55本目の先頭打者ホームラン、歴代単独2位”. 日刊スポーツ. (2022年6月26日). https://www.nikkansports.com/m/baseball/mlb/news/amp/202306260000227.html 2023年6月28日閲覧。 
  23. ^ a b c d 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2015』廣済堂出版、2015年、234頁頁。ISBN 978-4-331-51921-9 
  24. ^ George Springer Career Home Runs”. Baseball-Reference.com. 2020年1月18日閲覧。
  25. ^ 行間から想像する世界 栄光にたどりついた元・落第生の過去 スポニチアネックス (2017年11月3日) 2017年11月5日閲覧
  26. ^ 吃音でイジメられた少年がWシリーズ5発でMVPに 東スポウェブ (2017年11月11日) 2017年11月12日閲覧

関連項目 編集

外部リンク 編集