ニホンツキノワグマ

ニホンツキノワグマ(学名 U. t. japonicus)はツキノワグマの日本産亜種日本列島本州及び四国に生息する。

ニホンツキノワグマ
Ursus t. japonicus Ueno Zoo.jpg
ニホンツキノワグマ(恩賜上野動物園
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 食肉目 Carnivora
: クマ科 Ursidae
亜科 : クマ亜科Ursinae
: クマ属 Ursus
: ツキノワグマ Ursus thibetanus
亜種 : タイワンツキノワグマ U. t. japonicus
学名
Ursus thibetanus japonicus
Schlegel1857
和名
ニホンツキノワグマ
英名
Japanese black bear

目次

形態編集

体長120-150センチメートル。尾長6-11センチメートル。体重はオスで60-120キログラム、メスで40-80キログラムほどで、大陸産に比べ小型である。最大の記録は1967年宮城県で捕獲された220キログラムの個体で、近年にも2001年山形県で体長165センチメートル、体重200キログラムの記録が報告されている。肩が隆起せず、背の方が高い。全身の毛衣は黒いが、稀に赤褐色や濃褐色の個体もいる。胸部に三日月形やアルファベットの「V」字状の白い斑紋が入り(無い個体もいる)、旧属名Selenarctos(月のクマの意)や和名の由来になっている。

生態編集

本州及び四国森林に生息し、九州では絶滅したとされる[1]夜行性で、昼間は樹洞や岩の割れ目、洞窟などで休むが果実がある時期は昼間に活動することもある[2]。夏季には標高2,000メートル以上の場所でも生活するが、冬季になると標高の低い場所へ移動し冬眠する。食性は植物食傾向の強い雑食で、果実、芽、昆虫、魚、動物の死骸などを食べる[3][4][5][6]。以前はヒグマと違い、大型動物を捕食することはほとんどないと考えられていたが、近年では猛禽類イヌワシ)の雛や大型草食獣(ニホンカモシカニホンジカ)などを捕獲して食べたりする映像が研究者や観光客により撮影されることから、環境により動物を捕獲して食料とする肉食の傾向も存在すると考えられる[7]。繁殖形態は胎生。主に2頭の幼獣を産む。授乳期間は3か月半。幼獣は生後1週間で開眼し、生後2-3年は母親と生活する。生後3-4年で性成熟する。寿命は24年で、飼育下の寿命は約33年である。

脚注編集

出典編集

  1. ^ 坪田敏男、溝口紀泰、喜多功「ニホンツキノワグマ Ursus thibetanus japonicus の生態と生理に関する野生動物医学的研究」、『Japanese journal of zoo and wildlife medicine = 日本野生動物医学会誌』第3巻第1号、日本野生動物医学会、1998年、 17-24頁、 ISSN 1342-6133NAID 110002683116/
  2. ^ 福田夏子、下村彰男「土地利用に見るツキノワグマ出没地特性ー岐阜県高山市周辺の事例ー」、『日本森林学会大会発表データベース』第126巻、日本森林学会、2015年、 150頁、 doi:10.11519/jfsc.126.0_150NAID 130005490582/
  3. ^ 高田靖司「長野県中央山地におけるニホンツキノワグマの食性」、『哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan』第8巻第1号、The Mammal Society of Japan、1979年、 40-53頁、 doi:10.11238/jmammsocjapan1952.8.40ISSN 0546-0670NAID 130001818041/
  4. ^ 堀内みどり「糞分析からみたニホンツキノワグマ (Ursus thibetanus japonicus) の食性―岐阜県本巣郡根尾村における事例―」、『中部森林研究』第48巻、2000年、 149-152頁、 NAID 80011537411/
  5. ^ 阪本芳弘、青井俊樹「奥羽山地北部におけるニホンツキノワグマの食性」、『岩手大学農学部演習林報告』第37巻、岩手大学、2006年、 17-27頁、 ISSN 0286-4339NAID 110004600256/
  6. ^ 小池伸介、小坂井千夏、根本唯、正木隆、阿部真、中島亜美、梅村佳寛、山崎晃司「ブナ科堅果類の結実豊凶がツキノワグマの食性と行動の性差に与える影響 [Effect of hard mast production on foraging and sex-specific behavior of the Asiatic black bear]」2013年doi:10.11519/jfsc.124.0.752.0
  7. ^ Hazumi, Toshihiro (1994). (英語)Bears: Their Biology and Management. Part 1: A Selection of Papers from the Ninth International Conference on Bear Research and Management, Missoula, Montana, February 23-28, 1992 9: 145-148. 

参考文献編集

  • 小松武志、坪田敏男、岸本真弓、濱崎伸一郎、千葉敏郎「雄ニホンツキノワグマ(Selenarctos thibetanus japonicus)における性成熟と精子形成にかかわる幹細胞」、『Journal of Reproduction and Development』第40巻第6号、The Society for Reproduction and Development、1994年、 j65-j71、 doi:10.1262/jrd.40.6_j65ISSN 0916-8818NAID 130000846216/
  • 坪田敏男、溝口紀泰、喜多功「ニホンツキノワグマ Ursus thibetanus japonicus の生態と生理に関する野生動物医学的研究」、『Japanese journal of zoo and wildlife medicine = 日本野生動物医学会誌』第3巻第1号、日本野生動物医学会、1998年、 17-24頁、 ISSN 1342-6133NAID 110002683116/
  • 林進、森浩昭、吉田洋、堀内みどり、羽澄俊裕「<研究成果報告>ニホンツキノワグマの食物現存量の季節変化」、『岐阜大学地域共同研究センター研究成果報告書』第10巻、岐阜大学、2000年、 76-81頁、 ISSN 0917-558XNAID 110000562858/
  • 堀内みどり「糞分析からみたニホンツキノワグマ (Ursus thibetanus japonicus) の食性―岐阜県本巣郡根尾村における事例―」、『中部森林研究』第48巻、2000年、 149-152頁、 NAID 80011537411/
  • 吉田洋、林進、堀内みどり、坪田敏男、村瀬哲磨、岡野司、佐藤美穂、山本かおり「ニホンツキノワグマ(Ursus thibetanus japonicus)によるクマハギの発生原因の検討」、『哺乳類科学』第42巻第1号、日本哺乳類学会、2002年、 35-43頁、 doi:10.11238/mammalianscience.42.35ISSN 0385-437XNAID 10010814713/
  • 斉藤正一、岡輝樹「山形県におけるニホンツキノワグマの有害駆除数変動に関連する要因」、『東北森林科学会誌』第8巻第2号、東北森林科学会、2003年、 94-98頁、 doi:10.18982/tjfs.8.2_94NAID 110009607225/
  • 小池伸介、羽澄俊裕、古林賢恒「ニホンツキノワグマ (Ursus thibetanus japonicus) の種子散布者の可能性」、『野生生物保護』第8巻第1号、「野生生物と社会」学会、2003年、 19-30頁、 doi:10.20798/wildlifeconsjp.8.1_19ISSN 1341-8777NAID 110001817115/
  • 阪本芳弘、青井俊樹「奥羽山地北部におけるニホンツキノワグマの食性」、『岩手大学農学部演習林報告』第37巻、岩手大学、2006年、 17-27頁、 ISSN 0286-4339NAID 110004600256/
  • 小池伸介、小坂井千夏、根本唯、正木隆、阿部真、中島亜美、梅村佳寛、山崎晃司「ブナ科堅果類の結実豊凶がツキノワグマの食性と行動の性差に与える影響 [Effect of hard mast production on foraging and sex-specific behavior of the Asiatic black bear]」2013年doi:10.11519/jfsc.124.0.752.0
  • 福田夏子、下村彰男「土地利用に見るツキノワグマ出没地特性ー岐阜県高山市周辺の事例ー」、『日本森林学会大会発表データベース』第126巻、日本森林学会、2015年、 150頁、 doi:10.11519/jfsc.126.0_150NAID 130005490582/