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インターネット専業銀行(インターネットせんぎょうぎんこう)とは、インターネット銀行ネット銀行とも略され、営業上最小限必要な店舗のみを有し、インターネット電話などの通信端末を介した取り引きを中心とする銀行新たな形態の銀行のうち「インターネット上でのみサービスの提供を行う銀行」[1]に該当する銀行。

概要編集

従来型の銀行にくらべ、店舗や自前のATMが少なく、預金通帳も発行しないため、人件費や店舗運営コストがかからない分、預金金利が高く、手数料は安いところが多い。

従来の銀行と同じように、商品に定期預金があり金利は従来の銀行より高めである。他に外貨預金投資信託ローンなどを取り扱うところや、金融商品仲介(証券保険)まで行うところがある。また振込においては従来の銀行とは異なるサービスを提供しているところもある。

日本におけるネット銀行編集

金融庁の分類では「新たな形態の銀行」のうち「インターネット上でのみサービスの提供を行う銀行」に入る。新たな形態と言っても、それまでの分類に当てはまらない新たな形態ということで、預金口座までが新たな形態になっているわけではない。

銀行の一覧編集

営業している銀行は以下のとおりである。多くのネット銀行はグループ内に証券会社を持っており、銀行口座と証券口座の連携ができる。国庫金の振込(例えば国税の還付金)の受け取り[2]Pay-easy[3]は、一部のネット銀行でのみ可能である。

ネット銀行の一覧
統一金融機関コード 名称 グループ内の証券会社 国庫金の
受け取り
Pay-easy
0033 ジャパンネット銀行 (JNB) (銀行内で投資信託やFXの売買ができる) ×
0035 ソニー銀行 (ソニーバンク) ソニーバンク証券を吸収したマネックス証券 ×
0036 楽天銀行 (旧:イーバンク銀行(e-Bank)) 楽天証券
0038 住信SBIネット銀行 SBI証券 ×
0039 じぶん銀行 カブドットコム証券など × ×
0041 大和ネクスト銀行 大和証券 × ×
0310 GMOあおぞらネット銀行 (旧:あおぞら信託銀行)[4] GMOクリック証券 × ×

その他「新たな形態の銀行」のうち「コンビニ等の店舗網にATMを設置し主に決済サービスの提供を行う銀行」は新たな形態の銀行を参照。

無通帳取引編集

取り引きにおいては、振込や振替などはネットバンキングやテレフォンサービスを利用し、現金の取り扱いにはキャッシュカードと提携のATMを使う。また、設立当初から預金通帳を発行せず、インターネット(ウェブサイト)での「ウェブ上の入出金明細」や紙による取引明細書(ステートメント)に代えている。取引明細書の送付は有料とするネット銀行が多い。

ウェブサイトでの取引照会では、取り引きの流れがサイト画面に表示されるだけのところもあれば、Microsoft Moneyにデータをダウンロードできるところ、またCSVファイルやPDFファイルのような電子媒体で提供するところがある。ごく一部の銀行ではネット通帳やWeb通帳と呼んでいるが、利用者にも理解出来るようサービス名として固有名詞的に呼んでいるだけで、実物の冊子式ではないので一般的に通帳とは呼ばない。取引明細書いわばステートメントも通帳とは呼ばない。

インターネットが普及する前から、旧郵政省時代の郵便振替口座シティバンクN.A.では通帳を発行しておらず、都市銀行や地方銀行の法人取引においても、企業側はファームバンキングと呼ばれるシステムでの取り引きでは通帳が発行されず入出金明細を出力することがあったので、無通帳取引自体が新たな形態の取り引きというわけではない。

入出金とATM編集

店舗がないか、あっても極わずかで自前のATMが少ないため、他の銀行やコンビニATMでの入出金となる。基本的に出金(引き出し)だけでなく入金(預け入れ)にも手数料がかかるが、一定の条件を満たせば回数限定で無料になることがある。提携ATM機器の不具合により、ATM内にキャッシュカードが閉じこめられてしまった場合は、使用者の過失がない場合でも「提携先ATMで拾得された場合」とされ、再発行手数料が必要なネット銀行もある[5]

提携ATM
銀行 セブン銀行 イーネット ローソン銀行 ゆうちょ銀行 イオン銀行 三菱UFJ銀行 三井住友銀行 みずほ銀行 ビューアルッテ PatSat
ジャパンネット銀行[6] × × [7][8] × × ×
ソニー銀行[9][10] [11] × × ×
楽天銀行[12] ×
住信SBIネット銀行[13] × × × ×
じぶん銀行[14] × [15] × × × ×
大和ネクスト銀行 キャッシュカードを発行しないが大和証券口座経由でATMを利用可能[16]
GMOあおぞらネット銀行[17] × × × × × × × ×

振込編集

従来の銀行にはない振込サービスを提供している銀行があるが、提供していないネット銀行もある。

ユニークなサービス例として、銀行名や口座番号を入力せず、携帯電話番号やメールアドレスURLと相手の口座名義だけで同じ銀行の受取人に送金できるサービスがある(一部他行宛振込可)。なお受取人は一定のPC・ケータイ操作が必要。

同じ銀行間の振り込みにおいては、店舗での営業時間外に振込んでも、その日のうちに同じ銀行の振込相手の口座に入金(着金)できる銀行がある。これは、日にち・時間限定稼動の全銀システムを通さず、自行システム内だけで処理するためである。

振込手数料は全体的に安めである。中には自行間のみならず、他行宛てでも一定の条件下かつ回数限定で手数料を無料としているところがある。

口座振替編集

※すべてのネット銀行で扱っているわけではない。

設立当初は口座振替(自動引落)はできなかったが、近年は公共料金以外はできるようになって来ている。ネット銀行の中には印鑑届出不要の銀行口座があるが、その場合は口座振替依頼書にはサインまたは任意の印鑑を捺印し、銀行と預金者の間でメールやURL、パスワードなどで本人確認を行い、引落設定手続きを行う。また、口座振替依頼書を使わずオンラインだけの手続きで完結するものもある。

上記の他に口座振替のシステムを利用した即時決済サービスがある。ネット通販の支払いや証券口座などへの資金移動に使うことができる。24時間対応しており、利用には銀行口座のパスワードが必要になるので、勝手に引き落とされることはない。

金融商品・サービス編集

※すべてのネット銀行で扱っているわけではない。

  • 外貨預金を取り扱っている銀行があり、都市銀行や地方銀行に比べ、為替手数料は割安で金利は高めである。しかしFX(外国為替証拠金取引)よりも手数料は高く金利も低い。なお、FXを扱っているネット銀行もある。
  • 仕組預金を扱っている銀行があるが、リスクのある商品であり、商品説明をしっかり理解しリスク大きさを承知して納得したうえで預けなければならない。
  • 投資信託については、ネット銀行が直接販売する場合と、金融商品仲介として証券会社に取り次ぐ場合がある。
  • 保険については、保険代理店となって生命保険損害保険を販売しているネット銀行がある。なお、保険の見積もりにとどめている銀行もある。
  • ローンについては、法人融資が弱いため個人向けローンに力を入れているネット銀行がある。カードローンのみならず、目的ローン、おまとめローン住宅ローンまで取り扱っている銀行もある。
  • スポーツ振興くじ(サッカーくじ、toto)の販売や、競馬競輪など公営競技への投票、振込・入金処理を取り扱っているネット銀行がある。
  • 数字選択式宝くじ(ナンバーズ、ロト6、ロト7)を取り扱っているネット銀行がある。

かつて参入が検討された銀行編集

ヤフー
2006年2月23日、ヤフーはあおぞら信託銀行との提携により、同行の業態転換を含めたネット専業銀行を共同で立ち上げる方向で業務提携を発表した[18][19]。しかし提携は後に解消された。その後ジャパンネット銀行の新株発行の過半をヤフーが引き受けることになり[20]、同行を子会社とする金融持株会社を設立し、ヤフーが筆頭株主となる方向で話が進んだものの[21]、しばらく進展がなかった。しかし2014年4月、ようやくヤフーが所有する優先株を普通株に転換することになり、ヤフーが三井住友銀行と共にジャパンネット銀行の筆頭株主となった。
フルキャストホールディングス
2005年7月25日付で、フルキャストホールディングス(当時は、持株会社化する前のフルキャスト旧法人)の完全子会社として、銀行設立準備会社「株式会社フルキャストパートナーズ」の設立を発表。若年層向けの個人向けサービスや中小企業・ベンチャー企業向け融資を主力とした銀行設立の構想を発表し、翌年度中の開業を目指していた。業態としてはインターネット専業銀行とする銀行と日本振興銀行新銀行東京のような中小企業融資主体銀行の中間に位置するものを構想していた。開業に当たり、銀行法上の主要株主は持たず、フルキャストグループとのパートナー企業によるコンソシアム型で株主を集める方針としてきたが、2006年1月23日付で、既存の銀行の収益回復などの要因もあり、予定した銀行の収益基盤の確立に不確実性が増したことと、個人向け事業については当時のフルキャストファイナンス(後のフォーメイト)の事業によってある程度カバー可能であったことを理由に、結果的には頓挫。すでに貸金業を営んでおり個人向けの事業についてはその予定の一部に重複する事業を手がける、フルキャストファイナンスへ金融関連の業務を一本化した。このため、2006年6月1日付で、フルキャストパートナーズは、実体ある事業のないまま設立から1年もたたない段階でフルキャストファイナンスへ吸収合併された。その後2010年6月、フルキャストホールディングス傘下から離れ債権もフルキャストグループ外に売却されたフォーメイトは、破産宣告を受け経営破綻をしている。
西京ライブドア銀行
2005年に、西京銀行と当時のライブドア(後のLDH)による、西京ライブドア銀行(仮称)の設立構想が明らかにされたが、いわゆるライブドアショックに加え、双方に不祥事や赤字決算などの要因が生じたため、2006年に、準備会社設立の解消が発表された[22]

その他編集

  • ネット銀行の中には実店舗(窓口)を有する銀行もあるが、東京都区部などの都市部に限られる。このため、必ずしも電話やネットのみと言うわけではない。従来型の銀行の多くも、インターネットを介した銀行取引サービスを行っているが、既存店舗の取引の延長線上にあるものが多い。それに対しネット銀行はネットが取引の主体である。
  • 手数料に関しては、登場時は無料または低額なものだったが、近年はほとんどの銀行で有料化している。また、都市銀行や地方銀行の手数料値下げ(あるいは一部無料化)やネットバンキング機能が追加された結果、都市銀行の方が手数料が安いという逆転現象も起きている。さらに、提携ATMが地域によって著しく偏りが生じていることも含め、結果的に手数料が掛かり増しになるケースもある。
  • 営業面では、インターネットを通じた少人数による営業活動のため、融資などの場面では弱く、またシステムの脆弱性やインターネットそのものの信頼性に由来するリスクは事業運営に大きな影響を及ぼす。ジャパンネット銀行のシステムにおいて、複数回にわたり長時間の停止が発生し、2003年6月12日に金融庁から業務改善命令が出されたことがあり、その後10月にもシステムの停止が発生している。

海外のネット銀行編集

中国におけるネット銀行編集

中国では2015年11月に中信銀行(CITIC)と百度(Baidu)が共同出資して百信中信銀行株式会社(資本金20億元)を設立し、2017年8月21日に中国銀行業監督管理委員会(銀監会)からネット銀行の開業許可を得た[23]。持株比率は中信銀行70%、百度30%である[23]

韓国におけるネット銀行編集

韓国では、2017年にカカオトークを展開するカカオが設立したカカオバンク(Kakao Bank)と、通信大手KTなどが中心になり設立したケイバンク(K Bank)が営業を開始した。

台湾におけるネット銀行編集

台湾では、日本の楽天銀行楽天カードと台湾IBF Financial Holdingsが合弁で設立した樂天國際商業銀行(Rakuten Bank)、インターネット関連企業LINEが設立した連線商業銀行(Line Bank)、通信大手中華電信などが中心になり設立した將來商業銀行(Next Bank)が、銀行業免許を取得し、開業準備中である。

脚注編集

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  1. ^ 主要行等向けの総合的な監督指針 : 金融庁
  2. ^ 国庫金の振込先金融機関・送金先金融機関 日本銀行HP
  3. ^ ネット銀行などでもペイジーは使えますか?|よくあるご質問|いつでも、どこでも、ペイジー。
  4. ^ “新しいインターネット銀行事業の開始について” (プレスリリース), (2018年7月17日), https://gmo-aozora.com/news/2018/20180717-01.html 
  5. ^ [1]
  6. ^ 提携ATM利用手数料|手数料|ジャパンネット銀行
  7. ^ 主要出資者
  8. ^ SMBC日興証券プロミスのそれぞれの一部拠点などにも設置されている。かつては、旧am/pmから転換した関東・関西地区のファミリーマートの一部店舗に三井住友銀行が管理するアットバンクが設置されていた。従来からファミリーマートであった店舗は、イーネットのままとなっている。
  9. ^ ATM利用手数料|ATM情報|MONEYKit - ソニー銀行
  10. ^ 三菱UFJ銀行及び三井住友銀行では、店舗内であれば硬貨入金などにも対応。
  11. ^ システム統合前は、旧東京三菱銀行についてはエイティエム統括支店管轄のATMの利用と全ATMでの振込不可、旧UFJ銀行の一部店舗外ATMの利用と全ATMでの振込不可、旧UFJ銀行については、2005年10月3日以降は対応しているATMに識別ステッカーが貼られていた。
  12. ^ ATM・コンビニATMのご案内|楽天銀行
  13. ^ ATMのご案内 | 住信SBIネット銀行
  14. ^ サービス・機能詳細 | ATM | じぶん銀行
  15. ^ 約過半数を出資
  16. ^ ATMの利用方法や手数料を教えてください - よくあるご質問 | 大和ネクスト銀行
  17. ^ ATM情報 | GMOあおぞらネット銀行
  18. ^ あおぞら銀行とヤフーのインターネットバンキング業務について - 株式会社あおぞら銀行 ヤフー株式会社 2006年2月23日
  19. ^ 47NEWS ネット銀行業に来年参入へ ヤフー、顧客拡大目指す 『共同通信』 2005年1月20日
  20. ^ 47NEWS ヤフーが最大300億円出資 三井住友、ネット金融提携 『共同通信』 2006年3月30日
  21. ^ ヤフーと三井住友銀行グループの資本提携を伴う業務提携について - ヤフー株式会社 株式会社ジャパンネット銀行 株式会社三井住友銀行 2006年6月29日
  22. ^ 47NEWS 西京銀とのネット銀行断念 ライブドア、事件の影響で 『共同通信』 2006年3月29日
  23. ^ a b “中信銀行と百度によるネット銀行が開業へ 中国初の独立法人”. AFP. (2017年8月29日). http://www.afpbb.com/articles/-/3140278 2017年11月22日閲覧。 

関連項目編集