ノースレインボーエクスプレス

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ノースレインボーエクスプレス (North Rainbow Express) は、北海道旅客鉄道(JR北海道)が1992年(平成4年)から運用している鉄道車両気動車)で、ジョイフルトレインと呼ばれる車両の一種である。性能面からキハ183系に属し、5200番台を称する。

キハ183系「ノースレインボーエクスプレス」(2022年9月 石倉駅 - 森駅間)
(函館本線函館 - 大沼公園間、1992年9月5日)

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概要編集

JR北海道が従前より団体列車などに使用してきた、キハ56系気動車アルファコンチネンタルエクスプレス」の置換え用、及び札幌駅 - 函館駅間を結ぶリゾート列車として計画された編成で、同社6番目のリゾート編成として、自社苗穂工場で新製された。愛称は公募により決定されたものである。

編成は札幌側から函館側にかけて、キハ183-5202 (Mc2) - キハ182-5251 (M) - キサハ182-5201 (TD) - キハ182-5201 (mg) - キハ183-5201 (Mc1) の5両編成である。1992年7月に Mc2-mg-Mc1 の3両編成で運転を開始したが、同年12月に M-TD を加え5両編成となった。

構造編集

各車両とも、出入口ドアはプラグドアを採用。

客室は展望性を重視して高床式とし、中間には2階建て車両も連結した。側窓は屋根肩にまでかかる曲面ガラスで、天窓を設ける。高床式かつ天窓を設けている関係で空調装置は天井にはなく、冷房使用時の冷風は側面の座席間にある吹き出し口からでている。また、天井部の荷物棚は簡易なものとなっており[1]収容力が小さいため、デッキから客室に入ってすぐのところに大型の荷物置き場を設置しているほか、窓側席のみ壁際の足元に小さな荷物置きが備わっている。

座席リクライニングシートで、シートピッチは960mmである。なお、座席テーブルは肘掛け部収納型である。また、肘掛けにはオーディオパネル(イヤホンジャック、チャンネルボタン、音量ボタン)を設けており、かつては備え付けのチューブ式のイヤホン(のち廃止)または持参のイヤホンをイヤホンジャックに差し込むと、オーディオパネルを介して定期特急列車のグリーン車で提供していたミュージックサービスが楽しめた。このほか、先に登場したジョイフルトレインには設けられていた座席ごとの液晶モニターは当初から装備しなかった代わりに、客室車端部と天井部には等間隔で17インチ液晶カラーモニター(市販のシャープ液晶テレビ。進行方向に合わせて回転可能)[1]を備えており、運転台備え付けのカメラからの走行風景を放映していたこともあった。

内外装の配色は同一系統の色調で揃えられ、基調色は各車両ごとに異なる。上記の編成順に ラベンダー・ブルー・ライトグリーン・オレンジ・ピンクである。

1994年3月の函館本線室蘭本線特急高速化に先行して、一般のキハ183系550番台(NN183系)より先に最高速度130km/hに対応している。走行用機関はキハ183形200番台と同じ DMF13HZC (420PS/2,000rpm) を、2階建てかつ付随車であるキサハ182-5201を除く各車に搭載することで、編成重量増に対応している。液体式変速機は変速1段直結2段のN-DW14C。台車は動台車が1軸駆動のDT53B、付随台車はTR239Aである。電源用機関は中間のキハ182-5201に搭載する。

青函トンネル通過対策が実施されており、北海道新幹線開業前は電気機関車牽引により本州への乗り入れを行っていたこともあった。

車種別詳説編集

キハ183形編集

   
キハ183-5201
キハ183-5202

編成の両端に連結される運転台付きの普通車で、駆動機関は2台を搭載する。定員はいずれも47名。車体帯色は 5201 (Mc1) がピンク、5202 (Mc2) がラベンダーである。先頭車形状は「アルファコンチネンタルエクスプレス」のイメージを引き継いだ[2]。なお、5201では3D席が、5202では3A席が、それぞれ床下エンジンからの排気口に抵触するため席は設けられておらず欠番であり、この部分のみ一人掛けとなっている。

車端部に男女共用洋式トイレと男性用トイレ(小便器)を設置。運転台後ろの客室との間の仕切りは座席部にアクリルパーテーションがあるだけで中央の通路部にはなく、吹き抜けとなっている。

なお、キハ183-5201は1997年2月の踏切事故で破損した際、修理復旧の間の代用車両としてキハ183-1が5201に似せたカラーリングで使用された。

キハ182形編集

   
キハ182-5201
キハ182-5251
 
普通車内(キハ182-5251)

編成の中間に連結される普通車で、定員はいずれも60名。

5201 (mg) は発電機関としてDMF13HZ-G (300PS) /DM93 (210kVA) を1組、駆動機関を1台搭載する。車体帯色はオレンジ。

5251 (M) は1992年12月に追加組成された車両で、駆動機関を2台搭載する。車体帯色はブルー。

キサハ182形編集

   
キサハ182-5201
1階部分のラウンジ内

1992年12月に追加組成された車両。付随車 (TD) であるため、駆動機関は搭載されていない。車体帯色はライトグリーン。

編成の中間に連結される2階建車両で、1階部分にラウンジビュッフェ(売店スペース)を設け、2階部分を客室とする。定員は36名。3両での暫定運行時にはなかったAVシステムの制御装置が設けられた[2]。M(キハ182-5251)寄りの車端部に男女共用洋式トイレと男性用トイレ(小便器)を設置。M寄り階段横には公衆電話ボックスがあったが、公衆電話が撤去されたのちは業務用室となっている。ミニビュッフェはmg(キハ182-5201)寄りの階段横に設けられている。またmg寄りデッキ部に車掌室がある。

主要諸元編集

ノースレインボーエクスプレス 主要諸元[3][2][4]
形式 キハ183形 キハ182形 キサハ182形
車両番号 5201、5202 5201 5251 5201
車種 動力制御車(Mc2、Mc1) 動力車(mg) 動力車(M) 付随車(TD)
定員 47人 60人 60人 36人
空車重量 49.6t 46.1t 46.5t 42.2t
車体長 21,550mm 21,300mm 21,300mm 21,300mm
車体幅 2,959mm 2,926mm
車体高 4,090mm 4,080mm
台車中心距離 14,400mm
最高速度 130km/h
駆動機関 N-DMF13HZ-C
420PS、2,000rpm
-
発電機関 - DMF13HZ-G (300PS) /DM93 (210kVA) - -
車両出力 617.8kw(840PS) 309.0kw(420PS) 617.8kw(840PS) -
台車 N-DT53B(動力台車)
N-TR239A(付随台車)
制動方式 電磁自動空気ブレーキ(CLE)
機関ブレーキ
留置ブレーキ

運用の変遷編集

 
3両編成で運用されていた「はこだてエクスプレス」(1992年9月 函館駅

車両新製当時、函館空港が道内第2の空港として輸送力を増加させていること、札幌 - 函館間には道内有数の観光地を有しており、旅行需要の大きな伸びが期待できることから、札幌 - 函館駅間のリゾート列車の運行を計画していた[2]

先行した3両による暫定編成で、臨時特急「はこだてエクスプレス」(札幌 - 函館間)として1992年7月18日に運行を開始した[5][注 1]。また、同年10月からはJR東日本路線への乗り入れを開始した[2]

同年12月に5両編成となり、愛称が公募により「ノースレインボーエクスプレス」に決定された。

1997年に踏切事故でキハ183-5201が損傷した際、修復期間中の時に限り、ノースレインボーエクスプレス色に塗装を変更したスラントノーズ顔のキハ183-1が組み込まれた。

その後、景気の後退や経済情勢の悪化に伴い、リゾート列車の勢いは失せ、用途を転換した[6]1999年時点では、一般団体用に使いやすい特徴を生かし、修学旅行などの大口団体列車に使用されることが多かった。

2000年代からは、季節を通じ種々の臨時列車に使用された。臨時特急として、夏季には「フラノラベンダーエクスプレス」(札幌 - 富良野間)「ニセコ」(札幌 - ニセコ - 函館間)[7]などへ、冬季には「流氷特急オホーツクの風」(札幌 - 網走間) 「ニセコスキーエクスプレス」(札幌 - ニセコ間)などへ、それぞれ充当された。

最高速度130km/h運転が可能であることから、定期特急列車の輸送障害時に代替で運用される事例もあった。2013年3月24日に東室蘭駅で函館発札幌行き特急「北斗」5号の4号車から出火する事故が発生し、その後の他の編成でも出火事故が立て続けに発生したためキハ183系の一部車両が使用中止となったのに伴い、臨時特急「北斗」として、ニセコエクスプレス車両とともに代替で2014年7月末まで函館 - 札幌間に投入された。その際の車内販売は、通常のワゴンサービスとは異なり、3号車1階ラウンジの売店で対面販売を行った。

対本州運用として、「ねぶたエクスプレス」(函館 - 青森間)、「さくらエクスプレス」(函館 - 弘前間)、秋田地区の観光利用促進として、特急「ハーバーレインボー」(札幌 - 秋田間)などへ充当された[6]青函トンネル内には多数の熱・煙探知器が設置されており、救援列車を除き、気動車やディーゼル機関車の自走が認められていないため、函館 - 青森間では走行用エンジンをアイドリングのままとしてED79の牽引で運転された。

2020年からは後継車両であるキハ261系5000番台が投入された事により、「フラノラベンダーエクスプレス」などの運用から退いた。

その後も稀に定期特急列車の代替として運用される事がある他、2021年9月からは特急「ニセコ号」に充当されているが[1]、車両の老朽化に伴い2023年春をもって運行を終了することになっている[8]2022年11月3日からは「ニセコ号」のほかにメモリアル運転として「まんぷくサロベツ号」(札幌 - 稚内間)、「はこだてエクスプレス」、「流氷特急オホーツクの風」へそれぞれ充当された[9]

なお、一般販売を行う観光列車として運行するのはメモリアル運転が最後となり、2023年4月27日から4月30日にかけて旅行会社による団体臨時列車としてラストラン運転を行う予定である[10]

脚注編集

[脚注の使い方]

注釈編集

  1. ^ この時点では愛称はなく公募されていた。

出典編集

  1. ^ a b c 特急ニセコ号運転における取り組みを紹介します! (PDF)”. 北海道旅客鉄道 (2019年7月16日). 2021年7月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月24日閲覧。
  2. ^ a b c d e 佐藤巌「JR北海道 キハ183系5200番台 "ノースレインボーエクスプレス"」『鉄道ファン』第33巻第2号、交友社、1993年2月1日、 60-65頁。
  3. ^ 佐藤巌「JR北海道 キハ183系5200番台」『鉄道ファン』第32巻第9号、交友社、1992年9月1日、 60-64頁。
  4. ^ JR全車輌ハンドブック 2008. ネコ・パブリッシング. (2008-8-1). pp. 643. ISBN 978-4777006663 
  5. ^ “「はこだてEXP」デビュー”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 2. (1992年7月25日) 
  6. ^ a b 『鉄道ジャーナル』第395号、1999年9月1日、 42-43頁。
  7. ^ 特急ニセコ号”. 北海道旅客鉄道 (2021年7月). 2021年8月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月21日閲覧。
  8. ^ ~キハ183系車両の運行終了~ キハ183系車両で運転される特急列車に乗ろう! (PDF)”. 北海道旅客鉄道. 2022年7月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月13日閲覧。
  9. ^ ~「いまこそ輝け! 北のキハ183系」キャンペーン第3弾~ ノースレインボーエクスプレスのメモリアル運転を紹介します! (PDF)”. 北海道旅客鉄道. 2023年1月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月22日閲覧。
  10. ^ ~「いまこそ輝け! 北のキハ183系」キャンペーン第5弾<FINAL>~ 36年間ありがとう キハ183系ラストラン運転 (PDF)”. 北海道旅客鉄道. 2023年1月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月22日閲覧。

参考文献編集

  • 電気車研究会 『鉄道ピクトリアル』
    • 佐藤 肇 「キハ183系5200番代」 - 1993年10月号臨時増刊『新車年鑑』 No.582 p.31 - 33

関連項目編集

外部リンク編集