北海道新幹線

日本の青森県青森市から北海道札幌市までを結ぶ北海道旅客鉄道の高速鉄道路線

北海道新幹線(ほっかいどうしんかんせん)は、青森県青森市から北海道旭川市までを結ぶ計画の高速鉄道路線(新幹線)である。

JR logo (hokkaido).svg 北海道新幹線
■
北海道新幹線で使用されるH5系(左)とE5系(右)
北海道新幹線で使用されるH5系(左)とE5系(右)
基本情報
日本の旗 日本
所在地 青森県北海道
種類 高速鉄道新幹線
起点 新青森駅
終点 新函館北斗駅(2016年3月26日時点)
駅数 4駅(新青森 - 新函館北斗間)
開業 2016年3月26日(新青森 - 新函館北斗間)
所有者 鉄道建設・運輸施設整備支援機構
運営者 北海道旅客鉄道(JR北海道)
車両基地 函館新幹線総合車両所
使用車両 E5系、H5系
路線諸元
路線距離 148.8 km
軌間 1,435 mm標準軌
線路数 複線
電化方式 交流25,000 V・50Hz
架空電車線方式
最大勾配 20.8
最小曲線半径 2,500 m
閉塞方式 車内信号式
保安装置 DS-ATC
最高速度 260 km/h
路線図
Map of Hokkaido Shinkansen.png
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2016年(平成28年)3月26日現在、新青森駅 - 新函館北斗駅間が開業している。鉄道建設・運輸施設整備支援機構が鉄道施設を建設・保有し、北海道旅客鉄道(JR北海道)により運営されている。

概要編集

北海道新幹線のうち青森市 - 札幌市の区間は、1972年(昭和47年)に全国新幹線鉄道整備法第4条第1項の規定による『建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画』により公示され、1973年(昭和48年)11月13日に整備計画が決定された5路線(いわゆる整備新幹線)の路線の一つである[1]。国鉄の財政悪化により建設が一時凍結されたが、2005年(平成17年)に新青森 - 新函館間で着工され、2016年(平成28年)3月に新青森駅 - 新函館北斗駅間が開業した[2]青函トンネル(全長:53.85km、海底部:23.30km)を含む新中小国信号場 - 木古内駅間の約82kmの区間は三線軌条による在来線海峡線)との共用区間である[3][注釈 1](後述)。

未開業区間のうち新函館北斗駅 - 札幌駅間が2030年(令和12年)度末に開業する予定である[4]。札幌市 - 旭川市間は1973年(昭和48年)に基本計画が決定されている。

路線データ編集

 
北海道側での北海道新幹線、右上に新函館北斗駅が見える
(2014年7月、北斗市亀田郡七飯町付近)

駅一覧編集

開業区間編集

  • 接続路線はその駅で接続している路線(正式路線名)のみ記載する。
  • 新青森駅はJR東日本の管轄駅。
  • 新中小国信号場(大平分岐部) - 木古内駅(木古内分岐部)間は在来線(海峡線)との共用区間(三線軌条)。
  •   青函トンネル内(竜飛定点 - 吉岡定点間)
  • この他、青森県の東津軽郡蓬田村北津軽郡中泊町、北海道渡島管内亀田郡七飯町を通過するが、駅・信号場の設置はない[9]
  • 新青森駅と新函館北斗駅は全列車が停車。奥津軽いまべつ駅と木古内駅は通過列車あり。
駅名 新青森からの 東京からの 接続路線(乗換駅・備考) 所在地
営業
キロ

キロ
営業
キロ

キロ
新青森駅 0.0 0.0 713.7 674.9 東日本旅客鉄道  東北新幹線奥羽本線 青森県 青森市
新中小国信号場 - 28.9 - 703.8 北海道新幹線・海峡線[* 1](JR北海道)と津軽線(JR東日本)の施設上の分岐点[* 2] 東津軽郡 外ヶ浜町
大平分岐部 - 29.4 - 704.3 新中小国信号場構内扱い。海峡線との共用区間始点。
奥津軽いまべつ駅 38.5 38.5 752.2 713.4 東日本旅客鉄道:津軽線津軽二股駅:隣接) 今別町
竜飛定点 - 58.0 - 732.9 緊急時の避難施設および保線基地 外ヶ浜町
この間で津軽海峡を縦断する
吉岡定点 - 81.0 - 755.9 緊急時の避難施設および保線基地 北海道[* 3] 松前郡 福島町
湯の里知内信号場 - 101.5 - 776.5 貨物列車の待避施設 上磯郡 知内町
木古内分岐部 - 111.4 - 786.3 木古内駅構内扱い。海峡線との共用区間終点。 木古内町
木古内駅 113.3 113.3 827.0 788.2 北海道旅客鉄道:海峡線[* 1]
道南いさりび鉄道道南いさりび鉄道線 (sh01)
新函館北斗駅 148.8 148.8 862.5 823.7 北海道旅客鉄道:函館本線 (H70) 北斗市

未開業区間編集

  • 新函館北斗駅 - 札幌駅間は2030年度末開業予定[4]
  • 接続路線はその駅で接続している路線(正式路線名)のみ記載する。
  • ※:開業後、経営分離が予定されている並行在来線。事業者名・路線名は経営分離前時点のものである。
駅名 新青森からの 東京からの 接続路線(乗換駅・備考) 所在地
営業
キロ

キロ
営業
キロ

キロ
新函館北斗駅 148.8 148.8 862.5 823.7 北海道旅客鉄道:※函館本線 北海道[* 3] 北斗市
新八雲駅(仮称) 202.9 877.8 (函館本線八雲駅とは別位置) 二海郡 八雲町
長万部駅 235.9 910.8 北海道旅客鉄道:室蘭本線・※函館本線 山越郡 長万部町
倶知安駅 290.3 965.2 北海道旅客鉄道:※函館本線 虻田郡 倶知安町
新小樽駅(仮称) 328.3 1003.2 (函館本線小樽駅南小樽駅などとは別位置) 小樽市
札幌駅   360.3 1035.2 北海道旅客鉄道:函館本線
札幌市営地下鉄  南北線  東豊線さっぽろ駅:N06・H07)
札幌市 北区[* 4]
  1. ^ a b 2016年3月26日以降在来線の定期旅客列車の運行なし。
  2. ^ 津軽線と海峡線の書類上・営業上の分岐点は中小国駅
  3. ^ a b 松前郡福島町・上磯郡知内町・同郡木古内町・北斗市・二海郡八雲町・山越郡長万部町は渡島管内、虻田郡倶知安町・小樽市は後志管内、札幌市は石狩管内に所在。
  4. ^ 駅ビルは札幌市中央区に所在。

各駅の構造編集

各駅のホームには可動式安全柵が設置されている。また、ホーム有効長は10両分(263m)となっている[10]

各駅の構内配線とホームの形式
配線分類 2面4線 2面2線+下り通過線 2面2線+上り通過線 2面2線
構内図        
該当駅 新青森駅 奥津軽いまべつ駅 木古内駅 新函館北斗駅


運行形態編集

新青森駅 - 新函館北斗駅間運行の「はやて」を除き東北新幹線と直通運転しており、おおむね1時間に1本の割合で運転されている。また、2016年(平成28年)3月26日に開業した新青森駅 - 新函館北斗駅間の距離が約148kmと短いことから、東北新幹線と一体的な列車名を使用している。

列車愛称編集

「はやぶさ」編集

はやぶさ」は、東京駅・仙台駅 - 新函館北斗駅間で運行される列車。使用車両はE5系・H5系全車指定席。東北新幹線内では大宮駅 - 仙台駅間ノンストップであり、宇都宮駅 - 盛岡駅間では最高速度320 km/hで走行する。

  • 東京駅 - 新函館北斗駅間直通列車:10往復
  • 仙台駅 - 新函館北斗駅間直通列車:1往復

「はやて」編集

はやて」は、盛岡駅・新青森駅 - 新函館北斗駅間で運行される列車。全車指定席。使用車両はE5系・H5系。東北新幹線盛岡駅 - 新青森駅間および北海道新幹線は整備新幹線であるため、最高速度は260 km/hである。

  • 盛岡駅 - 新函館北斗駅間直通列車:1往復
  • 新青森駅 - 新函館北斗駅間運転列車:1往復

車両編集

営業車両編集

  • E5系 - U編成、10両編成(JR東日本保有)。
  • H5系 - H編成、10両編成(JR北海道保有)[12]

事業用車両編集

  • E926形 (East i) - S51編成、6両編成(JR東日本所有)。

試験用車両編集

  • E956形(ALFA-X)- S13編成、10両編成(JR東日本所有)。

運賃と特急料金編集

運賃は営業キロに基づいて算出する。全線にわたって並行するJR北海道の路線が存在しないため[注釈 4]、実キロ(新幹線での実際の距離)が用いられている。津軽海峡線津軽線海峡線江差線)時代は五稜郭駅 - 函館駅間を除く全区間が地方交通線であったが、北海道新幹線では幹線相当の運賃が適用されるようになった。

特急料金は、「三角表」と称するものにより各駅間個別に定められている。一方、この各駅間の特急料金は当該区間の営業キロに基づいて算出されたものである。

なお、北海道新幹線と東北新幹線を通しで乗車する(新青森駅を挟む)場合の特急料金・グリーン料金の算出については、営業キロは通算せず新青森駅までのそれぞれの個別料金を合算する。ただし、指定席特急料金については座席指定料金を1席分とするため、合算した指定席特急料金から530円(通常期)を差し引いている。また、低減措置として奥津軽いまべつ駅と東北新幹線各駅相互間および七戸十和田駅(東北新幹線)と北海道新幹線各駅相互間を利用する場合には、指定席特急料金は合算した自由席特急料金に530円(通常期)を加えた料金となる。

(参考)北海道新幹線特急料金表
(2019年10月1日改定。普通車通常期・大人料金)[13]
営業キロ・区間
普通車
自由席
[注釈 5]
指定席
100キロ以下 隣接駅間[注釈 6] 新青森駅・新函館北斗駅発着 1,330 2,560
奥津軽いまべつ駅 - 木古内駅 1,520
上記以外[注釈 7] 2,030
101 - 200キロ 奥津軽いまべつ駅・木古内駅発着 2,850 3,380
上記以外 4,000 4,530
  • 指定席特急料金は、閑散期は一律200円引き・繁忙期は一律200円増し。立席・特定利用時(自由席特急料金[注釈 5])は通年で同額。
  • グリーン車を利用する場合には、自由席特急料金と同額(ただし特定特急券区間も2,030円)の特急料金に利用区間に応じたグリーン料金を加算した金額となる。「グリーン料金」を参照。
  • グランクラスを利用する場合には、自由席特急料金と同額(ただし特定特急券区間も2,030円)の特急料金に利用区間に応じたグランクラス料金を加算した金額となる。「グランクラス料金」を参照。

乗務員と車内販売編集

乗務員運転士車掌)は、東京 - 新青森間がJR東日本、新青森 - 新函館北斗間がJR北海道の管轄で函館新幹線運輸所が担当しており[14]、管理境界駅の新青森で交代となる。

また、グランクラスアテンダントは全区間通しで日本レストランエンタプライズ (NRE) の担当となる。接客サービスは東京 - 新函館北斗間の列車のみとなる。2019年3月15日まで実施されていた車内販売もNREが担当していた。

主要技術編集

 
上:在来線との共用走行のため三線軌条となっている海峡線新中小国信号場 - 木古内駅間の路線。EH800が牽引するコンテナ貨物とすれ違うため、この区間では最高速度が160 km/hに制限される
下:海峡線の木古内駅方面を見る。在来線は共用走行区間の三線軌条から手前のスノーシェルターで分岐した後に駅に向かうが、新幹線はそのまま直進して駅に向かう

青函共用走行区間編集

北海道新幹線は青函トンネル(全長:53.85 km、海底部:23.30 km)を含む新中小国信号場 - 木古内駅間の82.1 km区間が三線軌条となっており、在来線海峡線)との共用走行を行う[3]。そのため、三線軌条特有の装置である限界支障報知装置やレール破断検知装置、車軸検知式き電区分制御装置を開発し共用区間全線に設置されている。この区間には新幹線専用分岐器7箇所に加え、三線分岐器12箇所、在来線専用分岐器10箇所が設けられている。この区間では、共用走行する貨物列車への影響を考慮して、2016年3月開業時点では共用走行区間の最高速度は140 km/hに制限されていたため、この区間の速度向上が求められていた。

2016年3月の新青森駅 - 新函館北斗駅間の開業時点では、開業区間約149 kmのうち半数以上の約82 kmが青函共用走行区間であり、貨物列車とのすれ違いの影響などから最高速度が140 km/hに制限されていた[15]。そのため、国土交通省の青函共用走行区間等高速化検討WGにおいて、平成30(2018)年度末を目標に青函トンネル内の約54 kmで最高速度を160 km/hに引き上げ、遅くとも平成32(2020)年度までにGWやお盆、年末年始などの貨物列車の本数が少ない時期に、時間帯を限定したうえで下り線で200 km/hを目標とする方針が定められた。160 km/h化によって3分、200 km/h化によってさらに3分の所要時間の短縮が見込まれている[15]

この方針を踏まえて、鉄道・運輸機構は2018年9月に160 km/hから210 km/hでの速度向上試験(200 km/h以上は下り線のみ)および160 km/hでの新幹線と在来線のすれ違い試験を行うことを発表した[報道 1]。しかし台風21号および北海道胆振東部地震の影響により、200km/h以上での走行試験は見送られた[報道 2]。この結果を踏まえ、2019年(平成31年)3月16日のダイヤ改正より、青函トンネル内の最高速度が140 km/hから160 km/hに引き上げられた。これにより、東京駅 - 新函館北斗駅間の所要時間は4分短縮され、最短で3時間58分となった[報道 3]

冬期対策設備編集

北海道新幹線の経由する青森県と北海道は日本でも有数の豪雪地帯であり、冬季においても安定輸送を維持するための対策が施されている。

 
「エアジェット」発生音の注意喚起標識(新函館北斗駅付近にて2019年5月撮影)

最も雪の多い新青森駅付近では、東北新幹線の青森県区間と同じスプリンクラーによる散水消雪方式が採用されている[16]

新青森以北の地域では冬季の平均気温が-1℃を下回るため、散水した水が凍結する恐れがあることから散水消雪方式ではなく、高架橋の軌道下の路盤コンクリートを高くし、線路の両脇に雪を貯める貯雪式高架橋を採用している。比較的降雪量の多い青森県側では、高架橋内の降雪を減らすための雪覆いを設けた半雪覆式貯雪型高架橋が採用されている。新幹線列車の共用走行を想定して建設された海峡線との共用区間[17]や一部の新設区間など人家が少なく騒音の問題のない個所では、軌道面以外に開口部を設けて雪を高架橋の下に落とす開床式高架橋が採用されている。北海道側では通常の貯雪式高架橋が採用されている[18]

氷塊や雪の介在による分岐器不転換を防止する対策として、電気融雪器を設置することを基本としており、加えてJR北海道の在来線で実績のある分岐器融雪ピット[注釈 8]と圧縮空気の噴射で氷雪を除去するエアジェットを設置する。海峡線との共用走行区間の三線分岐器の箇所については、電気融雪器とエアジェットに加え、スノーシェルターを整備した[16]。 軌道上の除雪を行う除雪用機械(モーターカー)については、9両の導入を予定しており、これまでの新幹線用と基本的には変わらないが、共用走行区間の三線軌道を除雪する際には、三線軌道に合わせた形状の鉄板(フランジャー)を下ろして除雪を行う[6]

エアジェットについては、開業時となる2016年3月には作動に伴う騒音の問題が表面化し、防音対策を担当する鉄道建設・運輸施設整備支援機構北斗市との間で協議が進められているが、平行線をたどる状態となっている[道新 1][道新 2]。また、騒音問題に伴って、エアジェット設置箇所周辺には発生音に関する注意喚起標識が設置されている。

地震対策設備編集

最新の観測技術や高速ネットワークに対応し、早期探知アルゴリズムを改良した「早期地震防災システム」が開発され[19]、北海道新幹線にも導入されている[6]。また、2004年に発生した新潟県中越地震による上越新幹線脱線事故をうけて、新幹線車両が地震などにより脱線した場合でも、車両がレールから大きく逸脱することを防止する「車両逸脱防止L型ガイド」が開発され[20]、使用車両であるH5系・E5系の全編成にを設置されている[6]。さらにレールの転倒や大幅な移動を防ぎ、L型車両ガイドが有効に機能するよう、「レール転倒防止装置」の敷設工事が進められている[6]

利用状況編集

開業から1年が経過した2017年3月27日にJR北海道は最初の1年間(2017年3月25日まで)の利用状況を発表した[報道 4][21]。それによると、年間の利用者数は229.2万人、一日平均で約6300人となり、在来線時代の前年に対して164%となった[報道 4]。平均乗車率は32%である[報道 4][21]。この数値は事前想定の1日5000人を上回った[21]。羽田・函館線の航空利用者は2016年上期に前年比97%で、時間的制約で航空機が優位になるという想定は外れたと評されている[21]。一方、函館大学等による調査では、ビジネス客は利用者の2割以下という結果が出ており、青函間に限った場合には運賃・料金面で差が拡大したフェリーの利用客が増加した[21]

2017年度の営業係数は202となっており、新幹線で唯一、100を超えている[報道 5]。2018年度の収支は、営業収益93億円、営業費用189億円、営業損失96億円。札幌延伸により改善が見込まれる。

北海道新幹線の輸送密度 [22]
年度 平均通過人員(人/日)
新青森 - 新函館北斗
2016年度 5,638
2017年度 4,510
2018年度 4,890

沿革編集

構想から整備計画の決定編集

1969年(昭和44年)5月30日に「新全国総合開発計画」が閣議決定された。この中で主要開発事業の構想として「鉄道については、青函トンネルの調査を早急に終了し、建設を推進する。また、青函トンネルを経て札幌に至る新幹線鉄道を建設するとともに、(中略)新幹線鉄道を札幌から道北まで延長して、北海道縦貫新幹線鉄道として整備するとともに、道央から道東に至る北海道横断新幹線鉄道の建設を図る。」[23]と現在の北海道新幹線に相当する新幹線鉄道を含むいくつかの新幹線路線の建設構想が盛り込まれた。

1970年(昭和45年)に全国新幹線鉄道整備法(以下全幹法)が公布された。この法律により、逼迫する幹線の輸送力増強を目的とした東海道・山陽新幹線とは異なり、経済発展や地域の振興を目的とした新幹線の建設が行われるようになった。

1971年(昭和46年)4月1日の運輸大臣通達により青函トンネルは将来新幹線を通しうる配慮をすることとなり、青函トンネルの規格は当時新幹線基準であった最大勾配12‰、最小曲線半径6,500 mに変更され、9月27日に工事実施計画が認可された[24][25]

1972年(昭和47年)6月29日に基本計画が決定[26]、7月3日に全幹法第5条第1項の規定による「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」(昭和47年運輸省告示第243号)により北海道新幹線(青森市 - 札幌市)、北陸新幹線(東京都 - 大阪市)、九州新幹線(福岡市 - 鹿児島市)の3路線の基本計画が告示された。この基本計画において北海道新幹線(青森市 - 札幌市)は青森市を起点に函館市附近を主要な経過地として札幌市を終点とすることが示された[27]

翌年の1973年(昭和48年)11月13日には前述の3路線に加え、東北新幹線(盛岡市 - 青森市)、九州新幹線(福岡市 - 長崎市)を含む5路線(いわゆる整備新幹線)の整備計画が決定された[27]。北海道新幹線(青森市 - 札幌市)は最高設計速度260 km/h、主要な経過地として「函館市附近、小樽市附近」が示され、その他「北海道新幹線、津軽海峡部において、青函ずい道を津軽海峡線とを共用する。」とされ、建設主体は日本鉄道建設公団とされた[27]。同年11月15日には運輸省告示第466号により北海道新幹線(札幌市 - 旭川市)を含む12路線の基本計画が決定された[27]

国鉄の経営悪化などを背景に1982年(昭和57年)9月の臨時行政調査会の基本答申に沿って、北海道新幹線を含む整備新幹線計画を当面見合わせる閣議決定がなされた[1]

国鉄改革や行財政改革の進展、沿線地域の建設促進への強い要望などを背景に、1987年(昭和62年)1月に整備新幹線見合わせの閣議決定が変更され、新幹線の建設に道が開かれた[1]

青函トンネル開業後編集

1988年(昭和63年)3月13日に、青函トンネルを含む海峡線 中小国 - 木古内間が開業し、青函連絡船は廃止された。

青函トンネル開業時点における需要予測は、盛岡 - 札幌間の新幹線が全線開業した場合は函館 - 札幌間で11,000人/日、盛岡 - 函館間が開通した場合は青森 - 函館間で8000人/日程度であり、全額無償資金で建設を行った場合でも、並行在来線を含めた総合収支では大幅な赤字になることが予想された。そのため、JR北海道の会社意見としては、建設費の全額公的負担、施設の無償貸与、青函トンネルと同等以上の固定資産税の減免措置、施設の更新、災害時復旧の公的負担を前提に青森 - 函館間の建設を行い、札幌まではその実績等を踏まえて判断したいと表明した[28]

1996年(平成8年)12月25日の「整備新幹線の取扱いについて 政府与党合意」では北海道新幹線の新規着工区間として新青森 - 札幌間のルートが公表された[国交省 1]。平成8年の合意に基づいて、1998年(平成10年)1月に「政府・与党整備新幹線検討委員会における検討結果」が公表され、従来の整備新幹線計画が維持されていることを確認したうえで新規着工区間が示された。[国交省 2]

2000年(平成12年)12月18日の「整備新幹線の取扱いについて」政府・与党申合せにおいて、北海道新幹線の新青森 - 札幌間については「環境影響評価終了後工事実施計画の認可申請を行う」、新青森 - 新函館間については「青函トンネルについて、貨物鉄道走行に関する調査を行う」とされた。今回着工しない区間ついてはについては、東北新幹線(盛岡駅 - 八戸駅間)、九州新幹線(新八代駅 - 鹿児島中央駅間)の開業後に見直しを行うとされた[国交省 3]

2002年(平成14年)1月に北海道新幹線 新青森 - 札幌間の工事実施計画認可申請が行われた。同年12月に東北新幹線 盛岡 - 八戸間が開業した[29]

2003年(平成15年)10月1日に鉄道建設・運輸施設整備支援機構が設立され、日本鉄道建設公団は解散した。これにより北海道新幹線の建設・貸付け業務は機構に引き継がれた。

着工後編集

2004年(平成16年)12月16日の「整備新幹線の取扱いについて」政府・与党申合せにおいて、北海道新幹線の新青森 - 新函館間については「平成17年度当初に着工し、平成27年度末の完成を目指す」とされた。この申し合わせに基づき新青森 - 新函館間は2005年(平成17年)4月に工事実施計画の追加認可申請を行い、認可された[30]。5月には新青森 - 新函館間の起工式が行われた[31]海峡線との共用区間についてはJR北海道に工事の一部が委託された[32]。2008年3月ダイヤ改正より海峡線の深夜帯の間合いを4時間に拡大し、津軽今別駅および知内駅構内に設けられた軌道基地からのチラ50000形貨車によるロングレールの現地までの輸送、現地での三線軌道敷設、架線の張力を調整するトンネルテンションバランサ(TTB)の取り付けが開始された[33]

2010年(平成22年)12月に八戸 - 新青森間が開業したことで東北新幹線は全線開通となった[34]

2011年(平成23年)12月26日の「整備新幹線の取扱いについて」政府・与党確認事項において、北海道新幹線は新青森 - 新函館間の「平成27年度末の開業」および新たな着工区間として、新函館 - 札幌間について営業主体であるJR北海道の同意と並行在来線の経営分離に関する沿線自治体の同意を条件に「新青森 - 新函館間の開業から概ね20年後」を想定完成・開業時期とする方針を示した[報道 6]。翌2012年(平成24年)6月に北海道新幹線 新函館(仮称)- 札幌間が認可、着工された[35]

2012年(平成24年)4月に公表された整備新幹線未着工区間の「収支採算性及び投資効果の確認」に関するとりまとめにおいて、「貨物列車と併用する北海道新幹線の青函トンネル等の共用走行区間では新幹線列車は、当面、時速140 kmでの運行が予定されているが、今後、積極的に技術面の検討を行い、できる限り早い時期に速度向上の見通しをつけることが極めて重要。」とされた。これを踏まえて、青函共用走行区間技術検討WGにおいて以下の案について検討が開始された。

  • 1. 高速新幹線と在来線の運行時間帯を区分
  • 2. すれ違い時に高速新幹線が減速
  • 3. 貨物専用新幹線(トレイン・オン・トレインなど)を導入する
  • 4. 第2の青函トンネルを建設する
  • 5. 上下線の間に隔壁を設置する
  • 6. その他

2013年(平成25年)3月29日に「青函共用走行問題に関する当面の方針」が示された。当面の方針として、(1) 「時間帯区分案」により、開業1年後の2017年(平成29年)春(防音壁等の完工時期)から1年後のダイヤ改正時である2018年(平成30年)春に、安全性の確保に必要な技術の検証が円滑に進むことを前提として、1日1往復の高速走行の実現を目指す。(2) (1)と並行して、「すれ違い時減速システム等による共用走行案」及び「新幹線貨物専用列車導入案」の技術的実現可能性の検討を深度化し、開発の方向性の見通しを得るとされた。

2015年(平成27年)1月14日の「整備新幹線の取扱いについて」政府・与党申合わせにおいて、整備新幹線の開業前倒しを図る方針が示された。北海道新幹線においては新函館(仮称)- 札幌間の完成・開業時期を平成47年度から5年前倒しし、平成42年度末の完成・開業を目指すとされた[報道 7]

新青森駅 - 新函館北斗駅間の開業後編集

2016年(平成27年)3月26日に新青森駅 - 新函館北斗駅間が開業した[2]。これにより、東京 - 新函館北斗駅間の所要時間は最短で4時間2分となった。

新函館北斗 - 札幌間では現地の状況や沿線自治体などからの要望を踏まえて工事計画の変更が行われた。2016年(平成28年)7月には、村山トンネル(5,265 m)と渡島トンネル(26,470 m)の間の区間は治山の必要性が高いことから、勾配を変更したうえで2つのトンネルを一体化させた。また、羊蹄トンネルの勾配を変更や、認可時には地平駅であった倶知安駅の高架駅への変更も行われた[36][報道 8]2017年(平成29年)9月には、認可時には高架橋構造であった札幌市街地区間をトンネル構造に変更し、トンネル名を手稲トンネル(18,750 m)から札樽トンネル(26,230 m)に変更した。また、認可時には地平駅であった長万部駅の高架駅への変更も行われた[37][報道 9]

年表編集

着工前 国鉄時代編集

  • 1946年昭和21年)2月26日:青函トンネル地質調査開始[25]
  • 1954年(昭和29年)9月26日:青函航路青函連絡船洞爺丸事故が発生し、青函トンネル建設計画が本格的に浮上[25]
  • 1963年(昭和30年)2月18日:国鉄内に「津軽海峡連絡ずい道技術調査委員会」発足[25]
  • 1964年(昭和39年)
  • 1969年(昭和44年)
  • 1970年(昭和45年)
  • 1971年(昭和46年)
    • 4月1日:鉄道敷設法工事線への変更および新幹線を通しうるよう設計上配慮する旨の指示[25]
    • 9月28日:青函トンネル本工事着手[25]
  • 1972年(昭和47年)
    • 6月29日:北海道新幹線(青森市 - 札幌市)を含む4路線の基本計画決定および調査の指示[40]
    • 7月3日:昭和47年運輸省告示第243号により、前述の4路線の基本計画公示[40]
  • 1973年(昭和48年)
    • 11月13日:北海道新幹線(青森市 - 札幌市)を含む5路線の整備計画決定および建設の指示[40]
    • 11月15日:昭和48年告示第465号により、北海道新幹線(青森市 - 旭川市)に基本計画変更。
  • 1981年(昭和56年)10月8日:取付部の工事線への追加および新幹線を通しうるよう設計上配慮する旨の指示[40]
  • 1982年(昭和57年)
    • 6月23日:東北新幹線 大宮駅 - 盛岡駅間開業[41]
    • 9月24日:臨時行政調査会第三次答申にて、財政赤字の拡大、国鉄の経営悪化を理由に整備新幹線の建設計画の当面見合わせを閣議決定[1][40]
  • 1983年(昭和58年)1月27日:青函トンネル先進導坑貫通[25]
  • 1985年(昭和60年)
    • 3月14日:東北新幹線 上野駅 - 大宮駅間開業[41]
    • 8月22日:整備新幹線財源問題等検討委員会の設置、新幹線駅周辺周辺環境整備事業の実施[40]
  • 1987年(昭和62年)
    • 1月30日:整備新幹線計画見合わせの閣議決定を変更[40]

着工前 JR北海道発足後編集

  • 1987年(昭和62年)
    • 4月1日:国鉄分割民営化に伴い、JR各社が発足。新幹線鉄道保有機構が発足し、東北新幹線(東京駅 - 盛岡駅)、上越新幹線、東海道新幹線、山陽新幹線の鉄道施設を保有し、JR各社に有償で貸し付け。
    • 11月:青函トンネル完成[25]
  • 1988年(昭和63年)
    • 3月13日:海峡線開業に伴い、青函トンネル供用開始[25]。青函連絡船廃止。
    • 8月31日:「整備新幹線の取扱について」政府・与党申合せにおいて整備新幹線着工優先順位決定[42]
  • 1989年平成元年)
    • 1月17日:「平成元年度予算編成にあたっての整備新幹線の取扱について」により整備新幹線の旧財源スキーム策定[43]
  • 1990年(平成2年)
    • 12月24日:「整備新幹線着工等について政府与党申合せ」により、並行在来線をJRから経営分離することを明記。
  • 1991年(平成3年)
    • 6月20日:東北新幹線 東京駅 - 上野駅間開業[44]
    • 10月1日:新幹線鉄道保有機構が解散し、鉄道整備基金設立。
  • 1996年(平成8年)
    • 12月25日:「新幹線の取扱いについて 政府与党合意」により新幹線の新財源スキーム、新規着工区間など決定。上下分離方式により、JRは受益の範囲を限度とした貸付料を支払うこととされる。北海道新幹線は新青森(石江) - 札幌間の駅・ルート公表および環境影響評価、新青森(石江) - 新函館(仮称)間の工事実施計画認可申請、町境トンネル難工事推進事業、新函館駅(仮称)部調査の実施を決定[国交省 1]
  • 1997年(平成9年)
  • 1998年(平成10年)
    • 1月21日:政府・与党整備新幹線検討委員会検討結果公表。従来の整備計画として、北海道新幹線 青森 - 札幌間の維持を確認。新青森(石江) - 札幌間の駅・ルートを公表し、引き続き環境影響評価に着手するとともに、新函館駅(仮称)の駅部調査を開始することを決定[国交省 2]
    • 2月3日:新青森 - 札幌間のルート公表[JRTT 1]
  • 2000年(平成12年)
    • 12月18日:整備新幹線検討委員会による政府・与党申し合わせ。北海道新幹線の新青森 - 札幌間は環境影響評価終了後、工事実施計画の認可申請を行うこと、新青森 - 新函館間の青函トンネルについて、貨物鉄道走行に関する調査を実施することを決定。今回着工しない区間は東北新幹線 盛岡 - 八戸間および九州新幹線 (鹿児島ルート) 新八代 - 西鹿児島間の完成後に見直すこととされた[国交省 3]
  • 2002年(平成14年)
    • 1月8日:新青森 - 札幌間の環境影響評価および工事実施計画認可申請[JRTT 1]
    • 12月1日:東北新幹線 盛岡駅 - 八戸駅間開業[29]
  • 2003年(平成15年)
    • 10月1日:運輸施設整備事業団と日本鉄道建設公団が統合し、鉄道建設・運輸施設整備支援機構設立。
    • 12月17日:同日付の与党整備新幹線建設促進プロジェクトチーム取りまとめを踏まえ、整備新幹線の取扱いについて、政府・与党合意[報道 10]
  • 2004年(平成16年)
    • 4月1日:青函トンネルにおける新幹線・貨物列車共用走行事業化調査などの実施計画を国土交通省が認可[報道 11]
    • 12月16日:政府・与党検討委員会の検討結果(政府・与党申し合わせ)により、新たな財源スキーム(既設新幹線譲渡収入の前倒し活用など)および着工区間が決定。北海道新幹線の新青森 - 新函館(仮称)間は平成17(2005)年度初に着工し、平成27(2015)年度末の完成を目指す方向で合意[報道 12]

着工後編集

  • 2005年(平成17年)
    • 4月20日:新青森 - 新函館(仮称)間の工事実施計画追加認可申請[30]
    • 4月27日:新青森 - 新函館(仮称)間の工事実施計画追加認可[30][報道 13]
    • 5月22日:新青森 - 新函館(仮称)間起工式[31]
  • 2010年(平成22年)
    • 5月19日:新青森 - 新函館(仮称)間の工事実施計画(その2)認可[報道 14]
    • 12月4日:東北新幹線 八戸駅 - 新青森駅間開業[34]
  • 2011年(平成23年)
    • 12月26日:「整備新幹線の取扱いについて」政府・与党申し合わせにおいて新函館(仮称) - 札幌間の新規着工を決定[報道 6]
  • 2012年(平成24年)
    • 6月12日:新函館(仮称)- 札幌間の工事実施計画追加認可申請[JRTT 1]
    • 6月29日:新函館(仮称)- 札幌間の工事実施計画追加認可[報道 15]、着手[JRTT 1]
  • 2013年(平成25年)
    • 1月18日:新青森 - 新函館(仮称)間の工事実施計画変更認可[報道 16]
  • 2015年(平成27年)
    • 1月14日:「整備新幹線の取り扱いについて」政府・与党申し合わせ。「新函館(仮称)- 札幌間の開業時期を当初計画の平成47(2035)年度より3年前倒しし、平成42(2030)年度末とする」ことで合意[報道 7]
    • 12月24日:新青森 - 新函館北斗間の鉄道施設工事の完成検査が合格[報道 17]。また、新青森 - 新函館北斗間の特別急行料金の上限設定を国土交通省が認可[報道 18]
  • 2016年(平成28年)
    • 3月25日:新青森 - 新函館北斗間の年間貸付料について、年額1.14億円として認可。なお、北海道新幹線 新青森 - 新函館北斗間の営業開始により生じる受益について、JR東日本は年額22億円を支払う[報道 19]

新函館北斗開業後編集

  • 2016年(平成28年)
    • 3月26日:北海道新幹線 新青森駅 - 新函館北斗駅間 (148.9 km) が開業[2]
    • 4月26日:新青森 - 新函館(仮称)間の工事実施計画変更認可[報道 20]
  • 2019年(平成31年)3月16日:共用走行区間のうち、青函トンネル内の最高速度が160 km/hに引き上げ[報道 3]

今後の予定編集

  • 2030年(令和12年)度末:新函館北斗駅 - 札幌駅間開業予定[4]

今後の見通し編集

新函館北斗 - 札幌間の整備効果編集

新函館北斗 - 札幌間は2012年に着工し、2030年度末に開業予定である[8]。これにより、東京 - 札幌間の所要時間は開業前(以下2018年3月時点)の7時間44分から約2時間45分短縮されて5時間00分、青森 - 札幌間では5時間7分から約2時間短縮されて3時間9分、函館 - 札幌間では3時間27分から約2時間短縮されて1時間27分となる。航空との所要時間を比較すると青森 - 札幌間でほぼ同じ、函館 - 札幌間では新幹線のほうが早くなると試算されている[45]。また、新函館北斗 - 札幌間の整備により北海道内の交流人口が16,000人/日から1.3倍の21,000人/日に、北海道(道南を除く)と東北地方の交流人口が3,100人/日から2.0倍の6,200人/日に増加すると予測されている[46]。環境面では航空機、バスから新幹線に旅客が転移することで、北海道の運輸部門(自動車除く)の二酸化炭素排出量の約9.5%に相当する167,000 tの二酸化炭素の排出量削減が期待される[47]

青函共用走行区間の高速化編集

青函共用走行区間のうち、青函トンネル内の最高速度については2019年3月ダイヤ改正より160 km/hに引き上げられたが、2019年(令和元年)9月からの試験では最高で260 km/hでの試験を行うと発表した[報道 21]。2020年1月には一部メディアにおいて、JR北海道が年内に青函トンネル内の最高速度を現在より50 km/h引き上げて210 km/hで走行する方針を固めたと報じられた。これにより、所要時間はさらに3分短縮される見込みである。システムの改修が夏ごろまでかかるため、貨物列車の少ない年末年始に時間を限定して運行する方針で、2021年以降、期間や時間帯を拡大するとしている[新聞 1]

整備新幹線区間の速度向上編集

東北新幹線盛岡以北および北海道新幹線は、整備計画によって最高速度が260 km/hとされている。新函館北斗 - 札幌間の着工に向けた試算では、東北新幹線盛岡以北および北海道新幹線を速度向上させた場合の試算も行われた。基本ケースの盛岡 - 札幌間260 km/h、青函共用走行区間140 km/hの場合、東京 - 札幌間の所要時間は5時間1分であるが、青函共用走行区間の速度を260 km/hに速度向上した場合、基本ケースに比べて18分短縮されて4時間43分、青函共用走行区間を含む盛岡 - 札幌の全区間で320 km/hに速度向上した場合、基本ケースに比べて28分短縮されて4時間33分になるとしている[国交省 4]

2019年5月13日にJR北海道は、北海道新幹線 新函館北斗 - 札幌間を320 km/hで走行可能とするための工事を、現計画(最高速度260 km/h)との工事費の差額を自社負担により実施することを国土交通省に対して要請した。新函館北斗 - 札幌間のうち80%(約170 km)にあたるトンネル区間では、トンネル微気圧波対策として約30か所のトンネル坑口に設置される緩衝工の延長、それ以外の20%(約42 km)のうち約30kmの区間では、防音壁のかさ上げやそれに伴う高架橋の強度を高める必要がある。現段階では工事費は120億円程度、これにより5分程度の時間短縮効果が見込まれるとしている[報道 22]

並行在来線の扱い編集

新幹線が開業および事業化された区間の並行在来線については、それぞれ以下のような措置が執られている。津軽線も北海道新幹線と並行するが、JR東日本の路線であり経営主体が異なるため並行在来線とはみなされていない。

江差線編集

江差線は五稜郭駅 - 木古内駅間が並行在来線とされた。この区間は、第三セクター鉄道会社の道南いさりび鉄道に移管され、道南いさりび鉄道線として運行している[48]。 一方、木古内駅 - 江差駅間については並行在来線ではないが、こちらは非電化区間である上に利用者が五稜郭駅 - 木古内駅間よりも少なく、北海道新幹線開業後、木古内以東が第三セクター化されると孤立するため、北海道新幹線の開業を待たずして、2014年(平成26年)5月12日に廃止された。

函館本線編集

函館本線函館駅 - 札幌駅間が並行在来線とされた。このうち、函館駅 - 小樽駅間は新函館北斗駅 - 札幌駅間の開業時に経営分離される予定である[15]。一方、小樽駅 - 札幌駅間は札幌都市圏輸送の使命を担っているため普通列車(快速含む)の本数・利用客共に多く、また、岩見沢方面や新千歳空港、さらには室蘭本線に乗り入れて苫小牧方面と一体的な運用を行っているなどの理由から、経営分離せずJR北海道が運営を継続する予定である。なお、新函館北斗 - 札幌間の着工に向けた試算では、函館 - 小樽間で在来線優等列車を運転せず、特急「スーパー北斗」は長万部 - 札幌間に運行区間が短縮されると想定して行われている[49]

また、JR北海道は、新幹線新函館北斗開業に合わせて五稜郭駅 - 新函館北斗駅間を交流電化し[注釈 9][新聞 2]733系電車(1000番台、3両編成)を使用した函館 - 新函館北斗間のアクセス列車「はこだてライナー」を16往復(その内、下り6本・上り7本は快速列車)運行している[報道 23]

乗車券の特例制度編集

青春18きっぷ」や「北海道&東日本パス」といった普通列車専用の特別企画乗車券において、北海道新幹線開業までは特急「白鳥」・「スーパー白鳥」の普通車自由席に限り、蟹田 - 木古内間を追加料金無しで乗車できる特例が設けられていたほか、「北海道&東日本パス」では急行「はまなす」を急行券別途購入で、「白鳥」・「スーパー白鳥」の新青森 - 函館間を普通車自由席に限り、自由席特急券別途購入で利用可能であったが、新幹線開業後はこれらの列車が廃止されたため、新たな特例制度が設けられた。「青春18きっぷ」では「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」の購入により[報道 24][報道 25]、また類似の「秋の乗り放題パス」では「秋の乗り放題パス北海道新幹線オプション券」の購入により [報道 26]、北海道新幹線 奥津軽いまべつ駅 - 木古内駅間で普通車の空席、および道南いさりび鉄道線木古内駅 - 五稜郭駅間の普通列車がオプション券1枚につき片道1回利用可能になった。また「北海道&東日本パス」では、特定特急券を購入すれば北海道新幹線新青森駅 - 新函館北斗駅間で普通車の空席が利用可能になった。

路線形態詳細編集


地理編集

通過する自治体編集


脚注編集

注釈編集

  1. ^ 三線軌条は、新幹線が関わる路線ではミニ新幹線である秋田新幹線奥羽本線)の神宮寺 - 峰吉川間(営業キロ:12.4km)などで採用例があるものの、完全な新幹線規格の路線で採用されるのは北海道新幹線が初めてとなる。
  2. ^ 正確には大平分岐部(新中小国信号場構内扱い)から木古内分岐部(木古内駅構内扱い)間82.041 km。
  3. ^ 保守用車両を側線に収容することも可能である。
  4. ^ 新青森 - 奥津軽いまべつ間で並行する津軽線はJR東日本が運営している。
  5. ^ a b 北海道新幹線では全車指定席となるため、特定特急券立席特急券に適用される。
  6. ^ 特定特急券区間を参照。
  7. ^ 新函館北斗駅開業時点で、北海道新幹線で100キロ以下かつ隣接駅間ではない区間は存在しないため、この料金が適用される区間は存在しない。
  8. ^ 分岐器下部にコンクリートによる箱型の空間を設けて、そこに雪を落とし込みヒーターで溶かす構造
  9. ^ 函館本線の函館駅 - 五稜郭駅間は1988年(昭和63年)3月13日の海峡線(津軽海峡線)開業時に交流電化された。

出典編集

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  9. ^ a b 「北海道新幹線について」 - 北海道新幹線開業NAVI
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国土交通省編集

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参考文献編集

工事誌編集

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報告書編集

関連項目編集

外部リンク編集