小林 陵侑 (こばやし りょうゆう、1996年11月8日 - ) は、日本岩手県岩手郡松尾村 (現在の八幡平市) 出身のスキージャンプ選手である。盛岡中央高等学校を経て土屋ホーム所属。日本人男子初のスキージャンプ・ワールドカップ総合優勝者 (2018-19シーズン)。日本人男子最多のワールドカップ通算19勝。

小林 陵侑
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基本情報
誕生日 (1996-11-08) 1996年11月8日(24歳)
出身地 日本の旗 日本
岩手県岩手郡松尾村 (現八幡平市)
身長 173cm
選手情報
クラブ 土屋ホームスキー部
使用メーカー BWT
最高記録 252.0m
ワールドカップ
シーズン 2016年 -
優勝回数 19
他の表彰台 15
表彰台獲得数 34
 
獲得メダル
男子 スキージャンプ
ノルディックスキー世界選手権
2019 ゼーフェルト 団体ラージヒル
ノルディックスキージュニア世界選手権
2016 ルシュノヴ 個人ノーマルヒル
2016 ルシュノヴ 団体ノーマルヒル
スキージャンプ・ワールドカップ
2018-19 総合成績
2019-20 総合成績
スキージャンプ週間
2018-19 総合成績
Raw Air
2018-19 総合成績
2019-20 総合成績
スキーフライング・ワールドカップ
2018-19 総合成績
2020-21 総合成績
最終更新日:2021年3月28日
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兄の小林潤志郎、姉の小林諭果、弟の小林龍尚もスキージャンプ選手である。

経歴編集

2017-18シーズンまで編集

5歳の時にスキーを始め、小学1年生の時にジャンプを始める。高校まではノルディック複合にも取り組んでおり、全日本中学大会で史上2人目のジャンプとノルディック複合の2冠を達成している。高校卒業後の2015年4月に葛西紀明が選手兼任監督を務める土屋ホームに入社する。

ワールドカップデビューは2016年1月23日のザコパネ (  ポーランド) で行われた団体戦。日本勢のワールドカップ遠征組の一時帰国の代替メンバーとして出場した。原田侑武ポーランド語版伊藤謙司郎作山憲斗と臨んだ団体戦は8位に終わったが、団体戦の前日に行われた予選を10位で通過すると1月24日に行われた個人戦で7位に入った。翌週の札幌で行われたワールドカップで20位、36位に終わると残りシーズンのワールドカップ出場は2試合にとどまり、総合42位でシーズンを終えた。

2016-17シーズンは開幕からワールドカップ遠征組に選ばれ、シーズン通してワールドカップに出場し続けたが、33位が最高で一度もポイントを獲得できずに終わった。同シーズンに開催された世界選手権は男子ラージヒル団体のみの出場で7位に終わった。

2017-18シーズンも開幕からワールドカップ遠征組に選ばれた。同シーズンに開催された平昌オリンピックでは、個人ノーマルヒルで日本勢最高の7位入賞し、団体戦では日本の最終飛躍者を務めた。五輪後のラハティ (  フィンランド) で行われた個人第16戦で自己最高の6位に入り最終的に総合24位でシーズンを終えた。

2018-19シーズン編集

11月18日にヴィスワ (  ポーランド) で行われたワールドカップの個人戦開幕戦で3位となり自身初の表彰台にのぼり[1]、翌週の11月24日にルカ (  フィンランド) で行われた第2戦で138.5m飛び、ワールドカップ初優勝。日本勢男子としても兄・潤志郎が2017-18シーズンにヴィスワで行われた個人戦開幕戦以来の優勝となった。なおこの試合は強風で開始が遅れたため、競技は1回の飛躍で争われた[2]。翌日同地で行われた個人戦第3戦で1回目に140m飛び首位で折り返し、2回目はスタートゲートを2つ下げたにも関わらず、ヒルレコードタイの147.5mを飛び連勝した際には[3]、オーストリアの放送局のキャスターが実況で「一体どこの惑星から来たんだコバヤシ!君は宇宙人か」と絶叫。ドイツの新聞は"宇宙人"と見出しを付け、「大会中、選手やコーチの間では、この青年の話で持ちきりだった」と、その熱狂ぶりを伝えた[4]。12月16日にエンゲルベルク (  スイス) で行われた個人第7戦で4勝目を挙げた。

12月30日から行われた伝統の「スキージャンプ週間」の開幕戦を兼ねた個人第8戦オーベルストドルフ (  ドイツ) で5勝目を挙げた。ジャンプ週間での日本勢の優勝は2000-01シーズン第2戦優勝の葛西紀明以来18シーズンぶり、開幕戦の優勝は1997-98シーズンの船木和喜以来21シーズンぶりである。更に年の明けた2019年1月1日、ガルミッシュ=パルテンキルヒェン (  ドイツ)でのジャンプ週間第2戦を兼ねた個人第9戦で6勝目をマーク。W杯3連勝を飾るとともにシーズン6勝目は1998-99シーズンの葛西に並ぶ日本男子歴代最多タイ記録に並ぶ。1月4日のインスブルック (  オーストリア) でのジャンプ週間第3戦を兼ねた個人第10戦で日本男子シーズン最多優勝記録を更新する7勝目を挙げるともに日本男子としては初のワールドカップ4連勝を記録した。ジャンプ週間開幕3連勝は笠谷幸生、船木和喜以来日本勢では3人目である。1月6日のビショフスホーフェン (  オーストリア) では1回目は4点差の4位で折り返したが、2本目に137.5mを飛び逆転でスヴェン・ハンナバルト (ドイツ)、カミル・ストッフ (ポーランド) に次ぐジャンプ週間史上3人目の4連勝 (グランドスラム) 達成。また日本人としては1997-98シーズンの船木和喜以来の21年ぶり史上2人目のジャンプ週間総合優勝を達成した。

ワールドカップでの連勝は1月13日のヴァル・ディ・フィエンメ大会 (  イタリア) まで続き、ヤンネ・アホネンマッティ・ハウタマキトーマス・モルゲンシュテルングレゴア・シュリーレンツァウアーに並ぶ最多タイの6連勝を記録した。2月2日のオーベルストドルフ大会で10勝目を挙げ、スキーフライング初優勝を果たした。2月17日のヴィリンゲン大会 (  ドイツ) で今シーズン11勝目で16度目の表彰台に登り98-99シーズンの船木和喜の15度を抜き日本男子のシーズン表彰台の最多記録を更新した。またヴィリンゲン・ファイブ (ヴィリンゲンでの予選と本戦5回のジャンプの合計得点を競う大会) で優勝を果たした。

世界選手権では、個人ラージヒルでは4位。団体ラージヒルでは佐藤幸椰伊東大貴、兄・潤志郎とともに銅メダルを獲得。個人ノーマルヒルは1本目で1位につけるも、2本目は強い雪の影響で飛距離を伸ばせず14位。混合団体では2本目で開催地のゼーフェルトのヒルレコードとなる113mの大ジャンプを飛ぶも5位。

ここまでワールドカップ個人総合1位につけて臨んだ3月10日のホルメンコーレンスキー大会で5位、ワールドカップ個人総合2位につけていたカミル・ストッフが13位と沈んだため、両者のポイント差が5試合残して500点となり、仮に小林陵侑が残り試合すべて0ポイントで、ストッフが全勝してもポイントが同点となるが、勝利数で小林陵侑が上回るため規定により、2018-19シーズンのワールドカップ総合優勝が確定した。日本男子としては史上初の快挙であるとともに、欧州勢以外のスキージャンプワールドカップ総合優勝も史上初となる。その後、リレハンメル大会で3位、トロンハイム大会 (共に  ノルウェー) で12勝目、ヴィケルスン大会で2位となり、Raw Airでも総合優勝を果たした。

プラニツァ (  スロベニア) でのワールドカップ最終戦では、1本目で日本新記録となる252mの大ジャンプ(同プラニツァのヒルレコード)を決め、シーズン13勝目をあげた[5]。この結果、プラニツァ7 (プラニツァでの予選・団体戦・個人戦7本のジャンプの合計得点を競う大会) 優勝、スキーフライング・ワールドカップ英語版総合優勝を決め、ワールドカップのタイトルを独占した。また1シーズン13勝は2015-16シーズンのペテル・プレヴツの15勝に次ぐ歴代2位タイ。シーズン表彰台21回、ワールドカップポイント2085ポイントも歴代最多ペテル・プレヴツの表彰台22回、2303ポイントに次ぐ歴代単独2位という成績で2018-19シーズンを終えた。

このシーズンの飛躍の裏には脳波トレーニングを受けて、過度な緊張を克服したことが大きな要因と言われている。

2019-20シーズン編集

2019-20シーズンは、サマーグランプリ白馬大会2連勝や全日本選手権ラージヒル優勝の成績を収め、ワールドカップへ向かった。ワールドカップ前半のクリンゲンタール英語版大会 (  ドイツ)、エンゲルベルク大会、オーベルストドルフ大会の優勝や、2位2回、3位3回などの成績を収めたが、雪不足によりノーマルヒルで行われたヴァル・ディ・フィエンメ大会の2戦が20位台に終わり、また全日本スキー連盟の派遣選考基準[6]によりルシュノフ英語版大会を欠場したことなどから、総合3位でシーズンを終えた。

2020-21シーズン編集

コロナ禍のため10月以降の開催となったサマージャンプ国内戦は7戦中、優勝2回、3位1回でワールドカップへ向かった。ワールドカップ前半は2桁順位が多かったが徐々に調子を上げ、2月13日のザコパネ大会で優勝し、日本人としては葛西紀明に並ぶ通算17勝目を果たした。2月19日のルシュノヴ大会 (  ルーマニア) ではシーズン2勝目を挙げ、ノーマルヒル初優勝と共に日本人最多となる18勝目を挙げた。

世界選手権では、ノーマルヒルでは1本目で3位につけるも2本目で距離を伸ばせず12位に終わった。混合団体は5位だった。ラージヒルでは1本目で距離を伸ばせなかったうえ、転倒してしまい34位となり2本目に進めなかった。男子団体は4位だった。

世界選手権後にフライングで行われたワールドカッププラニツァ大会では、個人1戦目で2本とも最長不倒を飛びシーズン3勝目を挙げた。個人2戦目、3戦目は続けて2位となり、またフライングの団体戦では20年ぶり[7]の表彰台となる団体2位のメンバー[8]となった。最終的にはワールドカップ総合4位、スキーフライングは総合2位でシーズンを終えた。

記録編集

  • ワールドカップ通算19勝

日本人男子では最多 (2021年3月26日時点)

他の達成者はスヴェン・ハンナバルトカミル・ストッフの史上3人のみ

  • ワールドカップ6連勝

ヤンネ・アホネンマッティ・ハウタマキトーマス・モルゲンシュテルングレゴア・シュリーレンツァウアーとタイ記録

  • シーズン13勝 (2018-19シーズン)

日本人では最多。ペテル・プレヴツ (15勝)に次いで、グレゴア・シュリーレンツァウアー (13勝)と並ぶ歴代2位タイ記録

  • シーズン表彰台21回 (2018-19シーズン)

日本人では最多。ペテル・プレヴツ (22回)につぐ歴代2位

  • ワールドカップポイント2085ポイント

2015-16シーズンのペテル・プレヴツ (2303ポイント)に次ぐ歴代2位

  • 最長飛躍距離252m

日本記録。不倒飛躍距離としては2021年2月現在シュテファン・クラフトの253.5mに次ぐ歴代2位タイ記録。2019年3月24日にレタウニツァ・ブラトウ・ゴリシェク (  スロベニアプラニツァ) でのワールドカップ個人最終戦の1本目で記録。同ジャンプ台のヒルレコード。なおグレゴア・シュリーレンツァウアーが同ジャンプ台で253.5mを飛んだ事があるが転倒したため公式記録としては認められていない。5人の飛形審判員のうち3人が転倒と判定した場合転倒扱いになる。

主な競技成績編集

オリンピック編集

世界選手権編集

フライング世界選手権編集

ジュニア世界選手権編集

ワールドカップ編集

個人総合成績 (総合:W杯シーズン個人総合、4H:スキージャンプ週間総合、SF:スキーフライングW杯英語版)
シーズン 総合 4H SF 優勝 準優勝 3位 備考
2015/16 42位 --- 38位 0回 0回 0回 最高順位 7位
2016/17 --- 43位 --- 0回 0回 0回 最高順位 33位
2017/18 24位 22位 17位 0回 0回 0回 最高順位 6位
2018/19 1位 1位 1位 13回 3回 5回
2019/20 3位 4位 4位 3回 2回 3回
2020/21 4位 6位 2位 3回 2回 0回
合計 --- --- --- 19回 7回 8回

表彰台編集

個人表彰台
シーズン 開催日 開催地 HS 成績 備考
2018/19 11月18日   ヴィスワ 134 3位
11月24日   ルカ 142 優勝(1)
2月7日 優勝(2)
12月1日   ニジニ・タギル 134 3位
12月2日 優勝(3)
12月16日   エンゲンベルクドイツ語版 140 優勝(4)
12月30日   オーベルストドルフ 137 優勝(5) スキージャンプ週間
史上3人目の全勝優勝
1月1日   ガルミッシュ・パルテンキルヒェン 142 優勝(6)
1月4日   インスブルック 130 優勝(7)
1月6日   ビショフスホーフェン 142 優勝(8)
1月12日   ヴァル・ディ・フィエンメ 134 優勝(9) 史上最多タイの6連勝
1月27日   札幌 137 3位
2月2日   オーベルストドルフ 235 優勝(10) スキーフライング初優勝
2月10日   ラハティ 130 準優勝
2月16日   ヴィリンゲン 145 3位
2月17日 優勝(11)
3月12日   リレハンメル 140 3位
3月14日   トロンハイム 138 優勝(12)
3月17日   ヴィケルスン 240 準優勝
3月22日   プラニツァ 240 準優勝
3月24日 優勝(13) 飛距離の日本記録樹立
2019/20 12月8日   ニジニ・タギル 134 3位
12月15日   クリンゲンタールドイツ語版 140 優勝(14)
12月22日   エンゲンベルク 140 優勝(15)
12月30日   オーベルストドルフ 137 優勝(16) スキージャンプ週間
1月18日   ティティゼー=ノイシュタットドイツ語版 142 3位
1月19日 準優勝
2月2日   札幌 137 3位
1月17日   バート・ミッテルンドルフドイツ語版 235 準優勝
2020/21 2月13日   ザコパネ 140 優勝(17)
2月19日   ルシュノヴ英語版 97 優勝(18) ノーマルヒル初優勝
日本人男子歴代最多優勝
3月25日   プラニツァ 240 優勝(19)
3月26日 準優勝
3月28日 準優勝
男子団体
シーズン 開催日 開催地 HS 成績 メンバー
2017/18 11月25日   ルカ 140 3位 竹内択 小林陵侑 葛西紀明 小林潤志郎
2018/19 2月9日   ラハティ 130 3位 佐藤幸椰 伊東大貴 小林潤志郎 小林陵侑
3月9日   オスロ 134 準優勝 佐藤幸椰 葛西紀明 小林潤志郎 小林陵侑
2019/20 12月14日   クリンゲンタール 140 3位 佐藤幸椰 伊東大貴 小林潤志郎 小林陵侑
2020/21 3月28日   プラニツァ 240 準優勝 中村直幹 小林潤志郎 佐藤幸椰 小林陵侑


サマーグランプリ編集

  • 優勝4回、2位1回 (2019シーズンまで)
シーズン 順位 ポイント
2016 14. 165
2017 15. 149
2018 7. 294
2019 4. 261

国内大会編集

2012年
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
2019年
2020年
  • 第33回UHB杯ジャンプ大会男子組 優勝
  • 第21回札幌市長杯大倉山サマージャンプ大会成年組 優勝

脚注編集

  1. ^ FIS. “Viessmann FIS Ski Jumping World Cup Wisla (POL)” (英語). www.fis-ski.com. 2018年11月26日閲覧。
  2. ^ FIS. “Viessmann FIS Ski Jumping World Cup Ruka (FIN)” (英語). www.fis-ski.com. 2018年11月26日閲覧。
  3. ^ FIS. “Viessmann FIS Ski Jumping World Cup Ruka (FIN)” (英語). www.fis-ski.com. 2018年11月26日閲覧。
  4. ^ “小林陵侑[スキージャンプ選手 ]時空を超えた飛距離を叩き出す若きジャンパー ニックネームは“宇宙人””. 情熱大陸 (毎日放送). (2020年2月9日). https://www.mbs.jp/jounetsu/2020/02_09.shtml 2020年2月11日閲覧。 
  5. ^ W杯ジャンプ、小林陵侑13勝目 日本最長記録の252メートル”. 毎日新聞. 2019年3月25日閲覧。
  6. ^ 2019/2020 FIS ワールドカップ派遣選考基準”. 2020年3月13日閲覧。
  7. ^ FIS STATISTICS”. 2021年3月29日閲覧。
  8. ^ メンバーは中村直幹、小林潤志郎、佐藤幸椰、小林陵侑

FISスキージャンプワールドカップ2018-19シーズンカップスタンディング(英語) https://www.fis-ski.com/DB/ski-jumping/cup-standings.html

小林陵、日本男子初の総合優勝=5戦残して決定-W杯ジャンプ 時事通信2019年3月11日 https://www.jiji.com/jc/article?k=2019031000409&g=spo 

陵侑、世界に衝撃 W杯ジャンプ独走V 岩手日報2019年3月12日 https://www.iwate-np.co.jp/article/2019/3/12/49195

外部リンク編集