消費税(しょうひぜい, Consumption tax、VAT (Value Added Tax) ) は、消費に対して課される租税[1]。1952年にフランス大蔵省の官僚モーリス・ローレが考案した間接税の一種であり[2]、財貨・サービスの取引により生ずる付加価値に着目して課税する仕組みである。

消費した本人が直接的に納税する直接消費税と、徴収納付義務者が代わって納税する間接消費税に分類できる。前者の「直接消費税」にはゴルフ場利用税などが該当し、後者の「間接消費税」には酒税などが該当する。間接消費税はさらに課税対象とする物品・サービスの消費を特定のものに限定するかどうかに応じ、個別消費税一般消費税に分類できる[3]

  • 消費税 [4]
    • 直接消費税
    • 間接消費税
      • 関税
      • 一般消費税 (General Tax)[3]
      • 個別消費税 (Taxes on Specific goods and service)[3]

現在では160カ国ほどで導入され[5]、OECD諸国の平均では税収のおおよそ31%を占めており、これはGDPの6.6%に相当する(2012年)[1]

日本においては、「消費税法に規定する消費税」と「地方税法に規定する地方消費税」の総称であり、付加価値税(VAT)に分類されることを言う

目次

種類編集

一般消費税編集

一般消費税は、さらに以下に分類される[4]

  • 単段階課税
    • 売上税 - たとえば小売売上税では、最終消費者への小売者のみが徴収納付義務者
  • 多段階課税
    • 付加価値税(Value-Added Tax, VAT)、もしくは物品サービス税(Goods and Services Tax, GST

かつての日本の経済学では一般売上税general sales tax, GST)とも呼ばれていた税方式がモデルとなっている。一般売上税の課税方法として製造・卸売・小売の各段階のいずれか1段階で課税される単一段階課税と2つ以上の段階で課税される多段階課税がある。

多段階課税を採用した場合、次の段階に税負担を転嫁させていく「ピラミッド効果」が発生し、それぞれ異なる商品に同じように課税をすることによって商品に対する税負担の格差が生じることになる。こうした問題点を解消するために、納税義務者はその売上げに係る消費税ではなく、差額に係る消費税を納税する方法が考え出された。これが今日の一般消費税(VAT)である。一般消費税は付加価値の算定方法により所得型付加価値税と消費型付加価値税に分けることが出来る。前者は仕入計算時において資本財の控除は減価償却分しか認められないが、後者では資本財全額が控除の対象となり、消費部分のみが課税対象となる。

消費税と一般消費税は外見的には類似しているが、一般消費税には所得に対して課税する所得税や法人税などの直接税に対する批判に由来する代替的な要素も含まれている。所得に課税する場合には、納税者が正確な納付をしているかを把握するのにコストがかかり、公平性・水平性の点でも問題が多い。直接税に批判的な人々は消費による支出を通じてより正確な所得が把握できるという考えから一般消費税による代替を求める。

一般消費税が初めて導入されたのは1954年のフランスであるが、その前身は1917年に導入された支払税である。その後、1920年に売上税、1936年に生産税と名称を変更しながら現在の形になっていった。その後、1967年EC閣僚理事会においてフランスと同様の消費型付加価値税に基づく一般消費税を中心とした加盟国間の税制統一運動の推進が確認され、この方針に基づいて1968年西ドイツが一般売上税を一般消費税に変更した。

これをきっかけに1969年オランダ1970年ルクセンブルク1971年ベルギー1973年イギリスイタリアと加盟国間において一般消費税への転換が進んだ。日本でも10年に及ぶ議論の末にVAT型の消費税が1989年に導入されることになった[4]

個別消費税編集

個別消費税の例[6]

個別消費税(Selected excise duties)は特定あるいは一群の財貨・サービスに対する課税である[6]。課税の対象になる財貨・サービスは特定的で税率も統一されていない。税率は、量、重さ、強度、オクタン価、アルコール度数などが基準として使われる[6]

この方式で課税される対象としては3つの分類が考えられ、酒や煙草のような社会的に望ましいとは言えない嗜好品に賦課する「嗜好品課税(抑止的税)」、ガソリンのように応益原則・受益者負担の原則に基づいて特定の公共サービスを行うために関連した商品・サービスにかける「目的税」、その他の物を対象とした「奢侈品・娯楽用品・サービス課税」と呼ばれる奢侈品や日常生活で用いられてはいるが生活必需品とはいえない商品に課される。かつて日本に存在した物品税の多くがこれに含まれている。

個別消費税は、元は内国消費税excise)として、16世紀末期にスペインからの独立戦争を継続していたオランダで軍費調達のために始められたと言われている。イングランドではこれを範として内国消費税を導入して財政難を克服しようとした。これに対する英国議会の反発が、清教徒革命へと発展するが、皮肉にも革命軍の軍事費を得るためにジョン・ピムオリバー・クロムウェルが採用したのが内国消費税であった。

その後、王政復古期に王権と議会の対立の原因となっていた徴発権などの国王大権を国王が返上する代わりに内国消費税の半分を国王の生活のための供与金として認めることで合意が成立した。その後も財政難を理由として何度か内国消費税の引き上げが行われた。1733年に当時(初代)の首相ロバート・ウォルポールが地租の削減・廃止と関税の引き下げの代償に更なる内国消費税の大幅引き上げを図った。

これに対して政敵のボリングブルック子爵が噛み付き、民衆も生活苦から暴動を起こす騒ぎとなったためにウォルポールは提案を撤回した。これを「消費税危機」(excise crisis)という。産業革命以後には産業育成のために内国消費税を削減して関税に転嫁する方針が採用された。フランスではジャン=バティスト・コルベールが導入した塩の専売制に付随してかけられたガベル(gabelle)と飲料品税に由来するエード(aides)が知られ、絶対王政期のフランス財政を支えた。ドイツでも17世紀後半以後盛んに導入されたが、余りの高率に国民生活の不安定と国家財政の極度の個別消費税依存を招きフェルディナント・ラッサールから厳しい批判を浴びた。

この他アメリカでも独立戦争時にイギリスを真似て個別消費税を導入したが、1794年にウィスキー税に反対するウィスキー反乱が発生してジョージ・ワシントン政権を揺るがした。

日本では、江戸時代以前の運上冥加が一種の個別消費税に相当するが、近代的な税制は明治維新以後に各種の間接税が導入されて以後である。特に酒税は一時は歳入中最大の割合を占めるほどになった。戦後になってシャウプ勧告と消費税法施行に伴って2度にわたって間接税の整理が行われる。

関税編集

総合消費税編集

総合消費税(general expenditure tax)は、イギリス経済学者ニコラス・カルドアが提唱した方法で、spendings tax支出税)とも呼ばれる。個々の消費者がその年度内に発生した財貨・サービス支出を税務署に自己申告をおこない、累進課税にもとづく税額の算定にもとづいて納付する。元は所得税を補完する税法として考案され、キャピタル・ゲインなどの所得からも支出に対する課税の形で税を徴収でき、かつ預貯金とその金利は支出に相当せずに課税されないために節約と貯蓄奨励にもなるとされ、インドなどで一時導入が検討された。

だが、全ての人が正確な納付をおこなうためには、各個人が自己の支出に関する正確な記録を作成して、収入・支出・貯蓄に関するバランス・シートを作成しなければならないことから、本格的に導入した国は存在しなかった。また、税務署が全居住者の収入・支出・貯蓄情報を把握する必要があるため、事務の煩雑さから実施が困難であると言える。

OECD加盟国で歳入に占める割合編集

OECD各国平均の
税収構造(2012年)[7]

  個人所得税 (25%)
  社会保険 (26%)
  給与税 (1%)
  資産税 (5%)
  一般消費税 (20%)
  個別消費税 (11%)
  その他の消費税 (3%)
  その他(0%)

一般消費税による税収の全税収における割合はOECD加盟国平均で20.2%である。一般消費税による税収の対GDP比はOECD加盟国平均で6.8%である(2012年)[1]

2012年度データ
VAT-GST(消費税)率[8] 一般消費税収入の
全税収入比[9]
一般消費税収入の
GDP比[10]
オーストラリア 10.0% 12.4% 3.4%
カナダ 5.0% 14.6% 4.5%
デンマーク 25.0% 20.6% 9.7%
フィンランド 23.0% 21.1% 9.0%
フランス 19.6% 16.1% 7.1%
ドイツ 19.0% 19.4% 7.1%
イタリア 21.0% 13.8% 5.9%
日本 5.0% 9.2% 2.7%
韓国 10.0% 17.2% 4.3%
オランダ 19.0% 17.9% 6.5%
ノルウェー 25.0% 18.2% 7.7%
スペイン 18.0% 16.6% 5.3%
スウェーデン 25.0% 21.4% 9.0%
英国 20.0% 20.8% 6.9%
米国 州ごとに異なる 8.0% 1.9%
OECD平均 N/A 20.2% 6.8%


各国の制度編集

  • 1954年 - フランスで最初に導入 [4]
  • 1971年 - ベルギーで導入
  • 1973年 - イギリスで導入
  • 1989年 - 日本で導入
  • 1993年 - 1992年のEC(欧州共同体)指令改正により、1993年以降はEU加盟国は付加価値税の標準税率を15%以上にすることが義務化された[11]

アメリカ合衆国編集

アメリカ合衆国では全国統一のVATにあたる税金はないが、州ごとに業者間取引には課されず最終的な消費者のみに課される売上税(Sales Tax)がある。50の州のうち、5つの州において、州ごとの売上税が課せられない。州ごとの売上税(State Sales Tax)がないのは、アラスカ州デラウェア州モンタナ州ニューハンプシャー州オレゴン州である[12]

アメリカでは議会で何十年にもわたって、VATの導入について議論が持たれてきたが、法人税所得税に代表される直接税に比べて、消費税・付加価値税など間接税が優れているとは見なせないという理由で、国全体での採用は見送りとなっている(アメリカの国税における直間比率は9対1)[13]

VATの場合は特に、輸出に還付金が渡され輸入には課税される点、法人税引き下げとセットにされやすい点など、議論の焦点となってきたことが、アメリカの公文書に多く残っている[13]

ニュージーランド編集

1986年に広い免税範囲・7種類の従価税率7と12種類の特別税率という複雑な税率構造・サービス業非課税・製造業者から直接購入できる大規模小売業者に有利などの従来の卸売売上税の歪みを是正・歳入における個人所得税への極端な依存を是正・社会保障給付の増加と保護主義的な経済政策で拡大した財政赤字の削減などのために10%で導入され、1989年に12.5%へ増税された。1994年からGDP比の財政収支がプラスに転じた。軽減税率を導入せずに[14]消費税の税率が全て一律なため、世界で最も課税ベースが広く、経済に対して最も中立的な付加価値税であるので世界最高の96.4%C効率性[15]を誇る。1999年にニュージーランド政府は最小のコストで安定した税収を得るためには、課税ベースの拡大と単一かつ定率の消費税だとの方針を確認している。1986年の軽減税率無しの10%の消費税導入に日本のような国民の反発はなかった。背景として、ニュージーランドでは社会保障費の制度を中負担中福祉にすることや低所得者への対応を消費税による税収から後で再分配する方が小売店も役所の負担が軽減されて効率的との政府の方針を国民が受け入れたためである。2006年に付加価値税収の総税収に占める割合は24.4%である[11][16]

デンマーク編集

1967年に福祉国家建設のための公的部門への需要増加に対応して、より広く安定した課税ベースを確立することを目的にデンマーク社会民主党によって10%で導入された。1970年代に20.25%台にまで引き上げられた後に、1992年から現行の25%になった。軽減税率は歳入減少の財政負担・徴収の効率化・軽減税率の適用対象品目の区別などが困難などとして、一律25%の消費税による税収を後で社会保障給付によって逆進性への対処として再分配を行う方が効率的として導入しなかった。デンマークは唯一例外的な軽減税率の対象は新聞のみである。2006年の対総税収比では個人所得税負担の割合が 51.3%と突出しており、付加価値税の割合は21.3%である。これは手厚い社会保障が基本的に国民の所得税と消費税で7割以上も賄われていることによる。同じ北欧で6%の軽減税率ありで、25%の消費税であるスウェーデンの47.3を上回る51.6のC効率性である。スウェーデンの付加価値税がデンマークよりもC効率性は低い理由には、 軽減税率と消費者を顧客とする小売・サービス業で発生しやすい脱税や電子商取引の発達や税率の低い隣国での国境を越えた租税回避がある[11][16]

イタリア編集

イタリアは1973年に12%で導入された。1997年には20%にまで増税された。欧州危機不況で社会保障費支出は増大して、財政赤字が増加していた。そのため。2011年9月にイタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ政権が付加価値税(VAT)の税率を20%から1%引き上げたが、同税の受取額は減少し、4月末までの1年間の徴収額は2006年以降で最低に落ち込んだ。「歳出を減らす方がはるかに良い」と提言された。2013年には22%に増税された。2016年予算安定化法案で2017年1月から24%への増税が定められていたが、2017年予算法で増税時期は先送りされ、2018年1月に引き上げ実施予定になった。軽減税率は4%と10%の二つがあることもあり、C効率性は38.2%である[16][17][11]

中国編集

中華人民共和国には1984年に17%で導入された。2017年1月時点でも同じ税率である[16]

日本編集

日本では1989年平成元年)4月1日に3%で初めて導入された[16]

税の用途は、社会保障と少子化対策として規定されている(2012年法改正)。

消費税法 第一条2
消費税の収入については、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。

日本の消費税率はOECD 諸国中で3番目に低く、OECD平均である19%の半分にすぎない。C効率性は65.3である[16][18]

日本の消費税収入の推移 (単位:兆円)[19]
年度 税収 うち消費税収 備考
1985年(昭和60年)度 38.2 (1.6)
1986年(昭和61年)度 41.9 (1.7)
1987年(昭和62年)度 46.8 (2.0)
1988年(昭和63年)度 50.8 (2.2)
1989年(平成元年)度 54.9 3.3 税率3%導入
1990年(平成2年)度 60.1 4.6
1991年(平成3年)度 59.8 5.0
1992年(平成4年)度 54.4 5.2
1993年(平成5年)度 54.1 5.6
1994年(平成6年)度 51.0 5.6 1997年に消費税5%引き上げを閣議決定[20][21]
1995年(平成7年)度 51.9 5.8
1996年(平成8年)度 52.1 6.1
1997年(平成9年)度 53.9 9.3 同年4月1日より税率2パーセント引き上げ(5%に増税)
1998年(平成10年)度 49.4 10.1
1999年(平成11年)度 47.2 10.4
2000年(平成12年)度 50.7 9.8
2001年(平成13年)度 47.9 9.8
2002年(平成14年)度 43.8 9.8
2003年(平成15年)度 43.3 9.7
2004年(平成16年)度 45.6 10.0
2005年(平成17年)度 49.1 10.6
2006年(平成18年)度 49.1 10.5
2007年(平成19年)度 51.0 10.3
2008年(平成20年)度 44.3 10.0
2009年(平成21年)度 38.7 9.8
2010年(平成22年)度 41.5 10.0
2011年(平成23年)度 42.8 10.2
2012年(平成24年)度 43.9 10.4
2013年(平成25年)度 47.0 10.8
2014年(平成26年)度 54.0 16.0 同年4月1日より税率3パーセント引き上げ(8%に増税)
2015年(平成27年)度 56.4 17.1 ※補正予算
2016年(平成28年)度 57.6 17.2 ※予算
※1988年(昭和63年)度以前の消費税欄は物品税等の額。なお、1997年(平成9年)度以降の消費税欄は地方消費税を含まない。

非課税取引編集

課税対象にすることに馴染まないものや社会政策的な配慮から以下の取引については非課税とされている(消費税法6条・別表1)。

  1. 土地の譲渡・貸付
  2. 株式等の有価証券の譲渡(ゴルフ会員権の譲渡を除く)
  3. 利子を対価とする金銭等の貸付
  4. 切手・印紙・商品券・プリペイドカード等の譲渡
  5. 住民票、戸籍謄本等の行政手数料等
  6. 社会保険医療等の給付
  7. 一定の学校の授業料、入学金等
  8. 住宅の貸付

日本の消費税の歴史編集

  • 1969年(昭和44年) 12月21日 - 日本社会党日本共産党、左派団体の支援を受けて東京都知事に当選した美濃部亮吉が、高齢者の医療費負担の全額無償化を行う。これ以降、高齢者の医療費無償を求める運動が起きて、左派組織の支援を受けた候補が当選し、各地で躍進する[22][23][24][25][26][27]
  • 1973年(昭和48年) 1月1日 - 第33回衆議院議員総選挙での敗北と左派政党の増進への危機感から、財源と財政から継続不可と反対のあったが、内閣総理大臣田中角栄の主導で、70歳以上の老人医療費の無料化が実施された。高齢者の無償のための医療費負担は、国が3分の2で地方自治体が3分の1を負担することになった[23][24][25][26]
    • 7月 - 美濃部都知事は国の無償制度の対象外だった、都内の65歳以上70歳未満の医療費も無料化する「マル福」制度を開始する。さらに、高齢者の東京都交通局が運営する運賃無料化というバラマキ政策や、多額の税収を産んでいた公営ギャンブルである後楽園競輪場を1972年10月26日から廃止していた上に東京都は増税せずにバラマキをするポピュリズム政策の連発で東京都は財政赤字に陥る[23][24][25][26]
  • 1974年(昭和49年) - 前年10月の第1次石油危機で高度経済成長が終了して、日本は戦後初のマイナス成長と増税なしの高齢者医療費無償という過剰な高福祉の社会保障支出で大幅な歳入不足の財政赤字になって以降から赤字国債を発行することになる[23][24][25][26][28]
  • 1975年(昭和50年) 12月- 歳入不足のため、補正予算にて財政法で禁じている赤字国債を2兆3000億円分発行する。のちに内閣総理大臣となる当時の大平正芳大蔵大臣は「子孫に赤字国債のツケを回すようなことがあってはならない」と決意する。首相就任後は何度も消費税の導入を図るが、1980年に選挙運動中に死亡する。以降も消費税を訴える度に反対する野党に自民党は敗北したため、1989年まで導入されずに増大する高齢者への社会保障支出のためにその後の日本の国債依存財政が始まる[29][26][24][28]
  • 1979年(昭和54年) - 第35回総選挙において大平正芳首相が一般消費税(税率5%)の導入を打ち出すが、自民党が過半数割れに追い込まれる大敗を喫する[28]
  • 1984年(昭和59年)2月23日 - 中曽根康弘首相が、自身の内閣においては大型間接税の導入は避けたいと参議院予算委員会で答弁[30]
  • 1985年(昭和60年)1月31日 - 中曽根首相は国会答弁で網羅的な多段階課税の導入は否定したが、大型間接税の導入は否定せず[30]
  • 1986年(昭和61年)6月 - 第38回総選挙第14回参院選同日選に向け、中曽根首相は「大型間接税と称するものはやるつもりはない」と言明[30]
  • 1987年(昭和62年) - 中曽根首相は「大型間接税」ほどの包括性をもたない「新型間接税」であるとして売上税法案(税率5%)を国会提出。しかし、かねてより小売業界が強く反対しており、自民党内でも異論がくすぶっていた上、第11回統一地方選挙で自民党が敗北したため、廃案で与野党合意[30]
  • 1988年(昭和63年) -導入論議から約20年後の竹下内閣時に消費税法が成立。12月30日公布[16]
  • 1989年(平成元年)
  • 1994年(平成6年)
    • 2月 - 細川内閣にて細川護煕首相が、消費税を廃止し税率7%の目的税「国民福祉税」を導入する構想を発表するが、担当となる閣僚を含めた政権要人からも反対論が上がり、即日白紙撤回。
    • 11月25日- 村山内閣で3年後の1997年、に消費税等の増税(3%から5%に増税、うち地方消費税1%導入)のための税制改革関連法案[31]を成立[21]
  • 1997年(平成9年)4月1日 -1994年(平成6年)11月25日に村山富市首相が成立させた法案に基づき、橋本内閣が実施[21]
  • 1998年-1999年(平成10年-11年) - 増税前である1996年の国税収入52.1兆円と比較し、国税収入が2.7兆円減少する(所得税収は2.2兆円、法人税収2.1兆円の減少、GDP成長率は-1.8%)。
    • 翌年には更に2.2兆円(所得税1.6兆円、法人税は1.4兆円、GDP成長率は-0.2%)の税収が減少。総合的に、わずか2年時で4兆円の税収増の見込みが4.4兆円の税収減となりGDP成長率は2%低下した。その後は財政出動と重なり、赤字国債が15兆円から30兆円へと倍増した。
  • 2004年(平成16年) - 消費税の導入から15年が経ったところで、複数口にわけて会計を行う不適正会計防止および消費者の利便を考慮する(税込価格の計算の手間を省く)ため、価格表示の「税込価格」の総額表示が義務づけられる。
    • 書籍電子書籍を除く)については、食品や耐久消費財と違い、長期間出版取次書店と流通販路に出回り、いつ消費税を増税するか分からないとの理由で、例外として「本体+税」表記が認められ、総額表示が免除された。
    • 当初は、広告や値札における価格表示の様式は、法令および業界内でのルールが統一されず、「1,000円(税込1,050円)」のように「税別価格を強調」し、なおかつ「税込価格が目立たない」よう、意図的に小さくする併記も横行したが、消費者からのクレーム国税庁の指導により、税込表示に統一された。
  • 2011年(平成23年) - 民主党の野田政権の税制調査会にて2014年(平成26年)4月1日8%、2015年(平成27年)10月1日10%に増税する案が提出。2014年8%の案は後に実行に移された[32]
  • 2012年(平成24年)8月10日 - 野田第2次改造内閣にて消費税増税を柱とする社会保障・税一体改革関連法案「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律(平成24年法律第68号)」が成立、施行日は一部の規定を除き2014年(平成26年)4月1日とされる。軽減税率も導入することが民自公で合意された[33]
  • 2013年(平成25年)10月1日 - 2011年の野田政権の決定を受けて第2次安倍内閣にて消費税率(国・地方)を5%から8%に増税すると閣議決定[34]、併せて施行日等も確認された。
    • 「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(平成25年法律第41号)」が施行され、総額表示の義務化から9年半になり、2004年度以降から導入されていた「総額表示の義務化」を廃止する(2段階の引上げに伴う「価格表示を書き換える手間とコストがかかる」という、店側だけの一方的な都合により「特例」という名目で一旦廃止され、総額表示は「任意」の扱いとなる)。
    • これにより、2004年以前の「税別価格のみ」(税込価格の併記なし)へ逆戻りする形の表示も合法化され、大半の店舗が「税別価格」のみの表示に戻すか、または「税込価格」を小さく併記する表示にされるようになったが、(「価格表示が紛らわしい」(客=消費者の支払う本来の価格と異なる)旨のクレームが懸念されること[35]や、複数口に分けて会計を行う不適正会計などがありうるため)自主的に従来通りの「税込価格」による表示[36]を優先(または税込価格での表示を明言)している企業も少数存在する(スーパーマーケットディスカウントストアなど[37])。また、「1商品ごと税込価格に1円未満の端数を出さない商品」しかない場合も多く存在し(スターバックスコーヒーなど)、またNTTコミュニケーションズは1回線ごと会計に課税のため複数口に分けて行う不適正会計防止のためだと思われる。この特別措置法によると「税別価格」のみの表示を認める期限は2021年3月31日(当初2017年3月31日までの予定で、再増税先送りに伴い2018年9月30日までの予定に変更されたものの、後述の2度目の再増税先送りに伴う法改正により再変更)となっており、それまで総額表示は「任意」とされているため、2021年4月1日以降は再度総額表示の義務化がなされる見通し。
  • 2014年(平成26年)
    • 4月1日 - 消費税率(国・地方)は、5%から8%(うち地方消費税1.7%)となる[38]
    • 11月18日 - 安倍晋三首相は記者会見で、2015年(平成27年)10月1日実施予定の消費税再増税の1年半先送りを正式に表明した[39]。その結果、附則の景気弾力条項が削除され、消費税は2017年(平成29年)4月1日に、8%から10%(うち地方消費税2.2%)へ引き上げられる予定となった[38]
  • 2015年(平成27年)12月12日 - 自民党の谷垣幹事長はこの日の夜、公明党の井上幹事長らと改めて協議した結果、2017年度の標準税率10%への消費増税にともなう軽減税率の導入時の対象品目は「外食」「酒類」を除いた、「生鮮食品」と「加工食品」、「週2回以上刊行される新聞」とし、税率は現在の8%のまま据え置くことで合意した。その結果、2017年度からの消費税は、標準税率10%、外食・酒類を除く飲食料品全般に対する軽減税率8%が課されることが決まった。消費税は1989年(平成元年)4月の創設以来、初めて税率が複数になる。そして、必要と見込まれる1兆円の財源を巡っては、両党が安定的な恒久財源の確保に責任を持って対応すること、さらに事業者の納税額を正確に把握するため、付加価値税を導入しているOECD諸国の中では日本のみが採用していなかった税率や税額を記載する請求書「インボイス(税額票)[16]」を、2017年度の軽減税率の適用から4年後となる2021年度から導入することでも合意した[33]。軽減税率は財務省が特定の品目を軽減対象として認める代わりに、その関連業界の団体・企業に天下りをさせ、族議員ら企業や団体からの政治献金・選挙協力という見返りを得るために国会議員が導入させようとしていると批判されている制度であるとの批判がある。しかし、財務省は軽減税率自体は2012年の民自公で検討が合意されていたが、国の借金が1000兆円を超えなことから軽減税率には反対であり、小売業界などが10%と8%の2種類税率の請求書作成への反発から軽減税率は不可能だとして想定していなかった。ところが、公明党の軽減税率導入主張が優先されて、財源年3400億円の「生鮮食品」に「加工食品」まで加わり、軽減税率に必要な財源は毎年1兆円規模に上ることが決まった。軽減税率導入で年収200万円未満の世帯では支払う消費税額が毎年約9000円減る。450万〜650万円世帯の負担軽減額は年間約1万3000円、800万〜1000万円世帯では年間約1万5000円であり、高所得世帯ほど高い食品を購入して多く食費に出費するため、軽減される金額自体は大きい[40]
  • 2016年(平成28年)
    • 5月13日 - 安倍晋三首相は、消費増税を再び先送りすることを決めた。首相周辺によれば、安倍首相の増税見送りの決断は去年(2015年)11月といい、チャイナリスクの顕在化による、日本の実体経済への波及リスクが背景にあるという。一方で、自民党の谷垣幹事長は、およそ一ヶ月後の6月5日の街頭演説において、個人消費の低迷を理由に挙げた。
    • 5月28日 - 安倍晋三首相は、この日の夜、2017年(平成29年)4月1日に予定する、8%から10%への消費増税を2年半先送りする意向を自民・公明両党幹部に伝達した。この結果、10%への消費増税は2019年(平成31年)10月1日まで延期されることになった。軽減税率8%は、従来の決定にもとづき、消費税率引き上げ時に施行する。
    • 6月1日 - 安倍総理大臣は、総理大臣官邸で記者会見し、来年2017年4月1日に予定する、消費税率8%から10%への引き上げを2019年10月1日まで2年半再延期し、それにともない軽減税率を導入する考えを正式に表明した。この中で、安倍首相は、消費増税の再延期の理由を、中国をはじめとする新興国の経済に陰りが見えるとした。また、首相は「リーマン・ショック級や大震災級の事態」は発生していないと言明し、「リーマン・ショック級や大震災級の事態が発生しない限り、2017年4月から消費税を8%から10%に引き上げる」という自らの公約を破棄した「新しい判断」であることを認めた。しかし、1991年のバブル崩壊後、日本の外需依存度は、9 - 18%で推移しており、増税再延期の口実に新興国経済のリスクを利用したのではないかという批判もある。
    • 6月5日 - 自民党の谷垣幹事長は、都内の街頭演説で、安倍総理は個人消費の低迷に悩んでいると訴え、消費増税の再延期の理由は、個人消費の低迷であることを示唆した。消費増税再延期を正式表明した、6月1日における総理の記者会見においては、冒頭においても、質疑応答においても、安倍首相から「個人消費の低迷」ついて言及はなかった。
    • 6月10日 - 自民党の麻生財務大臣は、アジア欧州首脳会議(ASEM)において、消費増税を2年半再延期したことについて、企業利益の改善にくらべて個人消費が低迷したと増税再延期の経緯を説明した。
  • 2017年(平成29年)
    • 6月9日 - 石原伸晃経済財政・再生相は、この日の夕方、「(社会保障費の財源が)全然足りず、消費税を増税することは避けて通れない」「(消費税率を8%から10%へ)2019年10月に間違いなく上げていく」と述べた。
    • 8月5日 - 安倍晋三首相は、民放のテレビ番組で、2019年10月1日に導入予定の消費税率の8%から10%への引き上げについて「予定通り行っていく考えだ」と述べた。しかし、首相は個人消費について「消費は緩(ゆる)やかに上がっているが力強さに欠ける」と弱気な発言をし、賃上げについて「私も直接、経済界に強く働きかけていきたい。(企業には)内部留保がたいへん積み上がっているのは事実」と従業員に対する賃上げが不十分であるとの認識を示した。
    • 9月5日 - 次期自民党総裁の有力候補のひとりである岸田文雄政調会長は、2019年10月1日に予定する消費税率10%への引き上げについて「(消費増税は)確実に行うべきだ」と述べた。しかし、増税に耐えられる経済環境を「今からつくらなければならない」と現在の景気は不十分との認識も示した。一方で、岸田氏は「社会保障の持続可能性の確保は待ったなしだ」と話し、年々ふくらんでいく社会保障費(2016年度は118.3兆円で過去最高)のために消費増税は延期できないとの認識も示した。
    • 9月12日 - 安倍晋三首相は、2019年10月1日の消費税率の8%から10%への引き上げに関して「社会保障制度を次世代に引き渡すこと」「市場や国際社会から日本の信認を確保すること」という二つの理由で「(消費増税は)必要だ」と述べた。さらに「(消費増税の)予定通りの実施を考えている」と明言し、「社会保障の充実によって生活に安心を持ってもらうとともに、財政健全化(財政再建・社会保障の安定化)を通じて将来にも安心を持てるようにしたい。子育てや幼児教育、高等教育に対する不安を解消すると同時に、財政の持続可能性についてもしっかりと政府は考えている。バランスが大事だ」と2012年6月の3党合意を引き継ぐ意向を示した。日本経済新聞のインタビューに答えた。2012年6月の3党(自民党・民主党・公明党)合意において、2019年10月の消費税率8%から10%への引き上げでは、増税分(5兆円)の使途の8割を財政健全化(国債償還と基礎年金の財源)に、2割を社会保障の充実に充てることが決まっている。
    • 9月20日 - 安倍晋三首相は2019年10月1日の8%から10%への消費増税の増収分(5兆円)のうち、1兆円超を教育分野(幼児教育や高等教育の無償化等)などの社会保障の充実に振り向ける検討に入った。財政健全化(社会保障の安定化)分と社会保障の充実分を同じ割合(従来は4対1の割合)にする案が浮上。財政健全化に充てる税収(4兆円分)が1兆円超減り、PB(プライマリーバランス=基礎的財政収支=税収等-政策的経費)のさらなる悪化は不可避となる。2020年度を目標としていたPB黒字化について、内閣府ですら実質2%程度の経済成長が続いても2020年度に8.2兆円のPBの赤字が残ると予想していた。
    • 9月25日 - 安倍晋三首相は、経済財政諮問会議で、3~5歳のすべての子どもの幼稚園・保育所の費用(幼児教育)や、低所得世帯の高等教育を無償化する方針を示した。0~2歳の子どもについては、所得の低い家庭にかぎって幼児教育を無償化する。こうした教育無償化の施策について「2兆円規模の大規模な政策を実行する」と述べた。財源として2019年10月1日に予定する消費税率の8%から10%への引き上げによる税収増(5兆円)を充てる考えを示した。8%から10%への消費税の引き上げによる増収分(5兆円)のうち赤字の削減(社会保障の安定化)に充てることになっていた4兆円のうち、半分(2兆円)を幼児教育無償化や高等教育の負担軽減の財源に回す。こうして、増税分(5兆円)の使途について、「財政健全化」に2兆円、「教育の無償化」に2兆円、「社会保障(医療・年金・介護・子育て支援)の充実」に1兆円を割り当てることが決まった。安倍首相は、午後6時から行われた記者会見において、消費増税の使途変更により、2020年度を目標としていたPB黒字化については「困難」であると明言した。
    • 9月26日 - 安倍晋三首相はテレビ東京の番組で、2019年10月1日に導入が決まっている消費税率8%から10%への引き上げをめぐり「(2008年9月の)リーマン・ショック級の事態など経済的な緊縮状況が起こらない限り(消費税を)引き上げていきたい」「(消費税を)引き上げなければ政策を実現する予算は確保できない」とのべた。
    • 10月13~14日 - 日本は、米ワシントンで行われたG20(日米欧と新興国からなる20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議で、財政健全化目標(2020年度を目標とするPB黒字化)を達成できないと表明した。2020年度までに税収だけで政策経費をまかなえるようにする国際公約(PB黒字化)を取り下げた。こうして、基礎的財政収支(税収-政策経費)を2020年度までに黒字化するという日本の目標は、国際的にも先送りとなった。日本の説明に対し、各国からは特に強い異論はなかった。日本からは日銀の黒田東彦総裁と、麻生太郎財務相の代理として財務省の浅川雅嗣財務官が出席した。麻生氏は、総選挙(10日公示、22日投開票)のため欠席した。日本は、2010年、カナダで行われたG20トロント・サミットで2020年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を黒字にすると約束していた。

消費税がない国と地域編集

国名(地域名) 備考
  バチカン
  バハマ
  サンマリノ
  サウジアラビア 湾岸協力会議(GCC)
  カタール 湾岸協力会議(GCC)
  アラブ首長国連邦 湾岸協力会議(GCC)
  クウェート 湾岸協力会議(GCC)
  バーレーン 湾岸協力会議(GCC)
  オマーン 湾岸協力会議(GCC)
  リビア
  ブルネイ
  香港 中国の特別行政区
  マカオ 中国の特別行政区
  イギリス領ヴァージン諸島 イギリスの海外領
  バミューダ諸島 イギリスの海外領
  ケイマン諸島 イギリスの海外領
  アンギラ イギリスの海外領
  ジブラルタル イギリスの海外領
  タークス・カイコス諸島 イギリスの海外領
  ガーンジー イギリス王室属領

国民負担率と福祉編集

消費は所得の存在を前提として発生することから、消費に課税することによって所得税などで十分に把握できない所得に対して間接的に課税することになる。ただし、所得の中には貯蓄に回される部分があるために、所得の大小と消費の大小は必ずしも一致せず、消費者の消費性向が実際の消費税の負担に対して影響を与える。

消費税増税の悪影響は、

  • 駆け込み需要による一時的な反動減(駆け込み需要とその反動減は、消費時期が異なるために起こる現象であり、通じてみるとプラスマイナスゼロになるとされている[41])。
  • 増税による可処分所得の低下による所得効果(実質所得の低下効果[42]、増税によって可処分所得が減少し、消費が減少することを「ケインズ効果」という[43]

の2つに大別できる[44]

 
OECD諸国における付加価値税(VAT)標準税率(2014年)[6]

消費税率8%への引き上げで経済に影響をうける日本に対して、欧州が20%台で平気でいるのは1970年代から日本より元々消費税率高かったからだと指摘されている。日本の低い消費税率では引き上げ幅分3%が引き上げ前の5%の6割に相当するのに対して、イギリスでは2011年11月4日に実施した17.5%から20%への2.5%の引き上げは、従来の税率の14%相当の上げ幅に過ぎないため、景気後退も招かなかった。スペインは消費税率16%を2010年以降、2段階にわたり3年間で21%に引き上げた。イタリアも2段階の措置を経て、2011年に20%を22%に増税した。 イギリスでも1979年に消費税率(付加価値税、VAT)を7.5%から15%に2倍引き上げた時には景気後退を招いている。財政赤字のイギリスが20%に増税した2011年直後にイギリス人記者のコリン・ジョイスは日本の消費税が過去に3%から5%への引き上げられただけで、あんなに怒っていた当時の日本人が理解できないと述べている。財政赤字には消費税を増税して税収を増やすことと、公共支出を減らすことの両方が必要だと指摘している[45][46][47]

戦後の低負担高福祉編集

 
 1982年4月以降の日本の国債残高。日本銀行保有分を除く。 凡例     赤 - 内国債     黄 - 短期証券     青 - 借入金     紫- 過去12ヶ月の平均
 
日本銀行保有分を含めた1982年4月以降の日本の国債残高。凡例 赤 - 内国債 黄 - 短期証券 青 - 借入金 紫- 過去12ヶ月の平均

日本の国民負担率[48]は高負担高福祉の欧州、特に北欧の70%越えに比べて40%に満たないなど負担率は政府の社会保障費用に対して極めて低い。日本は「中給付・中負担」(中負担中福祉)を目指してきたが、後述の大きな政府を目指しているはずの野党による消費税の導入反対による遅延で公債費は平成25年度で歳入の40.9%の約43兆5000億円が政府の借金である公債金が占めているのに、歳出の内で公債金返済の国債費が約21兆円なのに29.1%の約29兆円を社会保障の政府支出が占めるという「高給付・低負担」(低負担高福祉)になっている。何故なら日本では国債で回している現行の国家財政を健全化させるために消費税増税を提言しようする与党に、増税無しで維持できるとの無責任な主張をする野党に選挙で負けて断念して先延ばしになってきたからである。北欧の社民主義の左派政党の政権は企業や裕福な人の移動が簡単な時代に国内の雇用創出・維持してもらうために法人税や所得税を低い税率にしている代わりに、国内で生活していると必ず金持ちほど金額的には多く支払う消費税を高福祉国家を実現する社会保障費の最適な財源と社会民主主義者として理解していた。スウェーデンのような大きな政府を思考する高福祉国家では企業が進化し続け、国際競争に勝ち抜き、経済成長しないと、社会保障が支えられないという危機意識を企業・国民・政府が強く認識しているため、企業の国際競争力を高めるため、リーマン・ショック以降に法人税を50%台から26%に下げたが、28~34%の地方所得税(日本でいう住民税)、最高25%の付加価値税(消費税)の“高負担”はそのままであることに抵抗がない。しかし、旧日本社会党社会民主党日本共産党朝日新聞進歩的文化人のように大きな政府を主張している日本の左派は歳出を占める割合が圧倒的に少ない公共事業地方交付税[49]削減で福祉を充実すべきと80年代から2010年代に至るまで政策支持ではなくて単に地方への分配を拒絶する都市部の野党投票者を中心に支持されていた新自由主義の入口のような主張していた。そのため、自民党の地方分配政策の否定と脱却を唱えた小泉純一郎政権はそれまでの自民党投票者にだけでなく、野党の政策では無くて単に地方への分配を拒絶するために投票していた都市部の有権者の支持まで獲得したため、かなり長い間も高い支持率を誇った理由でもあった。日本の左派政党のように企業や富裕層への極端に見返りの無い高負担は国内雇用、投資を辞めてシンガポールなどビジネスしやすい国に移転するためにおこる産業の空洞化の阻止で北欧含めた世界の法人税の引き下げしていることなど財政と経済の仕組みを分かっていない大衆への人気取りで左派政党が消費税反対の立場をとるのは世界に例のないことである。そのせいで高福祉からの転換と消費税導入や消費税増税で中負担中福祉を主張する政権が選挙では負けさせられてきたから低負担と特に高齢者に偏った高福祉が維持されてきたと指摘されている。所得税を納めない年金世代にも税金を納めて財政に貢献してもらうには消費税しかないと世界では認識されているため、高福祉国家では高い消費税や住民税の税収をによる大きな政府が北欧では実行されている。しかし、日本では消費税増税による再分配を拒絶する人が多く1974年からの財政赤字の再建と高齢者の無償医療など社会保障改革が進展せずに政府の借金が雪だるま式に増えてきた。社会保障財源の確保のために導入や増税を訴える政権は反対する野党に必ず地方か国政選挙で負ける度に先延ばしにされてきたため、多少の増税では国債返済への財政再建分に多くを回すしかなくなり余計に反対を生みやすい財政になった。世界の選挙では高負担高福祉を左派政党が、低負担低福祉を右派が主張して競っていたが日本の場合は右派である自民党が福祉では中負担中福祉として社民主義に近い路線を採用していた。しかし、1967年に共産党、社会党など左派団体は更に財政無視の医療費無料対象の拡大などの低負担高福祉の主張で美濃部亮吉を都知事に当選させ、1969年12月21日から高齢者の医療費無償を行うなどして得票と支持をポピュリズム政策で増やしていた。東京都に続いて他のいくつか地方自治体も左派候補が当選して老人医療費の無料化が導入された。都内では老人医療費無料化で病院が高齢者のサロン化し、病院が溢れるようになった。高齢者の医療無料化を行った地方自治体の財政を圧迫していたため、国の負担への要求もあったが実施した自治体の責任だとして当初は相手にしなかった。自民党や官公は無償医療はのちに必ず財政赤字を招くと反対していたが、地方選挙で敗北が続くという世論に押される形で1973年1月1日から厚生省などに高齢者医療費無償化など社会保障支出増加には国民負担の増加によって賄われないと継続不可だと反対されていたが田中角栄政権の主導で70歳以上の老人医療費の無料化が実施された。高齢者の無償のための医療費負担は国が3分の2で地方自治体が3分の1を負担することになった。当時は高齢者は現役世代より圧倒的に少なく高度経済成長の只中だったが、1973年10月の第1次石油危機で高度経済成長が終わった翌1974年には戦後初のマイナス成長と増税なしの高福祉の社会保障支出で大幅な歳入不足の財政赤字になって戦後初の赤字国債を発行した。1973年7月から美濃部都知事は国の無償制度の対象外だった都内の65歳以上70歳未満の医療費も無料化する「マル福」制度や高齢者の都営交通無料化というバラマキ政策や多額の税収を産んでいた公営ギャンブルに廃止を行ったため、�東京都の財政は膨大な赤字を抱えるようになっていた。美濃部は他にも「ひとりでも反対者がいたら工事しない」として東京外郭環状道路の建設が凍結されたため、それ以前からの東名高速道路や中央高速道路、東北自動車道などと結ばれる各高速道路網の中心となって慢性的に渋滞するため都心部のバイパスとしての機能が失われてた首都高速道路とは別の道路を建設して都心部の渋滞緩和を行うことができなくなった。都心部の主要道路はさらに渋滞し、地元民以外の利用が想定されていなかった首都高を抜け道として利用する車が生活道路他を高速道路と同じ運転で突っ切る事態が常態化し、子供と高齢者が犠牲となる交通事故を多数引き起こされた。1979年に「美濃部都政のバラマキ福祉」を批判し鈴木俊一が当選し、後に漸く建設再開された東京外郭環状道路が中央道と東名道と繋がるのが2014年にまで遅れている。1972年度に3兆3,900億円だった歳出の内の医療費が、高齢者の無償化制度が始まった翌1973年度は、5兆3,700億円に激増した。1974年の初の赤字財政当時大蔵大臣1978年に総理大臣になった大平正芳は、戦後のシャウプ勧告以来直接税中心だった日本の税体系を関接税主体に変更するために1960年代にヨーロッパで導入されていた「付加価値税」などを参考に「一般的消費税」導入で中負担にして財政赤字解消のために「一般消費税導入」を掲げて翌年の第35回衆議院議員総選挙を戦ったが、左派政党が大きな政府の政策である消費税導入に反対するという世界で類がない事態の発生と現在の福祉の維持のための財政赤字解消の必要性を有権者とマスコミに理解されずに批判的にされたことで敗北した。

 
2017年の日本の歳出内訳

社会保障関係費が歳出に占める割合1960年には11.5%で1970年には14.4%であったのが、無償化以降である1975年には18.5%へと急増し、1980年には19.3%に達していた。高齢者の医療費負担がなくなったことで医学的治療の必要がないのに病院に殺到するようになり、1974年には高齢者医療費のための社会保障支出は前年度比155.1%、1975年に前年度比130.3%になった。 高齢者の加入者の多かった国民健康保険では、加入者全体の7.7%である高齢者の為に集めた掛け金から27%を支出していた。高齢者の社会的入院や不必要な病院来診が増加して、高齢者医療費無償の矛盾は国民健康保険と財政赤字のという形で露呈した。さらに高齢者医療無料化制度後、戦後の医療技術の上昇も相まって高齢者の寿命の伸長や価値観の変化による出生率の減少が高齢化が急速に進行した。高齢化率と少子化率のシミュレーションから、歳出の医療費総額が80兆円にも達することがわかった厚生省は1982年に高齢者の医療費負担の完全無償から何度診察を受けても一カ月400円に当初した後、数年ごとに段階的に引き上げていくことになった。1987年の中曽根康弘首相も失敗したが、1988年12月に竹下内閣で消費税法成立して1989年4月に施行し消費税制度が導入された。財政赤字と増え続ける社会保障のための財源だった消費税が野党とマスコミの争点化と中負担による再分配をその度に反対してきた有権者のために約15年も遅れた上にバブル経済終了の直前に漸く導入された。1970年代から消費税導入や増税に反対してきた有権者らのための社会保障の増加を以後の現役世代が負担して、子供への社会保障には回されないという歪な構造を造り出した。それに対してスウェーデンでは高齢者向けの社会保障費である年金・医療・介護の割合は50%程度で残りは、保育・教育・子どもの医療・職業訓練・失業保険・育児休暇中の手当など「現役世代向け」に充てられている。“高負担高福祉”の前提条件は、国民が総出で働いて税金を納めることでだとして、北欧の税制は世帯単位ではなく、国民番号制度で自営業者を含めた個人単位での所得補足を徹底している。スウェーデンでは企業の国外移転を防ぐために法定実効税率[50]22.00%で日本の29.97%より企業への課税率は低い。更に2006年に一定所得層まで、所得に比例して税金還付額が高くなる勤労税額控除が導入されていて、働くほど恩恵を享受できる「勤労インセンティブ」を高める制度がある。自営業者などで所得・就業形態が千差万別であり把握するのに必要な国民番号制度が日本では2016年まで導入できずに公平な所得把握がなかったため、国民年金加入者約2200万人に対して、税務所が把握できていた被保険者は約350万人ほどだった。国民年金保険料が定額制であるのはそのためであった。日本では国民健康保険への国保への税金注入は最大45%、サラリーマンが加入する被用者保険から高齢者の医療費用に出す拠出金などを含めると現役世代が高齢者医療費の6割以上を負担していたような税制で[51]ある。佐藤優は1994年に村山内閣で政権で財政の実態と経済の仕組みを把握したことで、5%に増税を閣議決定するなど歳入と歳出の歪み再建には消費税増税だと理解したのに、その後も「社会民主」党なのに再び連立前の社会党時代のように人気取りで反対に回ってきたことから党名の社会民主主義ではなくの只の護憲政党と批判している[28][52][27][24][26][22][25][23][53][54][55][56][29][57]川上和久教授は社会民主主義を掲げる欧州の左派政党は福祉を重視する大きな政府を志向しているため、国民に税の高負担を求めてきたと述べている。それに対して、日本の左派勢力は福祉重視を訴えてもそのために必要な税金負担増をこれまで国民にきちんと求めてこなかったと指摘している。更に、「外交安保分野で政権批判を繰り広げてきたが、高負担を前提とする現実的な社会像を描き、保守勢力との対立軸として国民に示せるかどうかが、今後の試金石となる」と語っている。[58]

消費税と将来世代への分配編集

前原誠司は保育の無償化の場合、更に1.2兆円、54万円ほどの大学授業料を無償化するには1.6兆円という計2.8兆円という消費税1%分の負担でも全世代を分担すれば将来の世代を育てるお金に回せるという消費税の増税によって北欧のような社会保障や福祉の充実、保育士への補助金を訴えている。民主党政権時代に党政調会長として教育・医療・年金などの社会保障財源などに充てる消費税を8%、10%と二段階で引き上げる「税と社会保障の一体改革」を決めたが、増税額が少なかったために5%からの追加5%増税のうち、財政再建に4%、社会保障の機能強化には1%だったことから受益感が国民にあまりに国民に与えられなかったと述べている。民主党が野党時代に主張していた行政の無駄を削るべきとの「身を切る改革」は社会保障を賄える兆円単位の財源には全くならないとの民主党政権での実体験から現役世代の福祉のための負担を全世代の国民に頼む「オール・フォー・オール」・「お互い様に支え合う社会」を理念として消費税増税から逃げないで主張すると述べている[59][60][61][62][63][64][65][66]

脚注編集

  1. ^ a b c OECD 2014, p. 9.
  2. ^ 菊池 威「モーリス・ローレ著『付加価値税論』」、『亜細亜大学経濟學紀要』第1巻第12号、1975年、 179-189頁、 NAID 110004849880
  3. ^ a b c OECD 2014, p. 15.
  4. ^ a b c d e 鎌倉治子 2008.
  5. ^ OECD 2014, p. 14.
  6. ^ a b c d OECD 2014, Chapt.4.
  7. ^ OECD 2014, p. 41.
  8. ^ OECD 2014, p. 60.
  9. ^ OECD 2014, p. 36.
  10. ^ OECD 2014, p. 35.
  11. ^ a b c d 諸外国における付加価値税の標準税率の推移 (2017年1月現在)
  12. ^ Taxes by State Retirement Living Information Center, Inc.
  13. ^ a b NEWS FILE 米国が今も消費税を導入しない「もっともな理由」 PRESIDENT Online - プレジデント 2013年9月16日
  14. ^ 一定の事業者向けの金融のみ0税率
  15. ^ すべての国内消費に標準税率で課税された場合に得られる仮定での税収に対する実際の税収の比率
  16. ^ a b c d e f g h 諸外国の付加価値税 : 2008年版,鎌倉治子,2008年
  17. ^ イタリアの増税が裏目に、付加価値税収減少-緊縮策強化で Bloomberg 2012年6月13日
  18. ^ OECD 2009, Overview.
  19. ^ “一般会計税収の推移” (プレスリリース), 財務省, (2012年11月2日), http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/010.htm 2012年11月16日閲覧。 
  20. ^ 日本社会党の場合は6年前の第15回参議院議員通常選挙では、消費税反対でもって勝利したていたが、社会党の村山富市総理大臣は景気対策のための中間層への定率減税を1兆5,000億を3年間するために約5兆円の減税に見合う形で、それまで3%だった消費税を1997年に5%にするという法律を成立させた。 増税分2%のうち1%は地方消費税とした。
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  22. ^ a b 小児科 医師不足を加速させている小児医療費無料化政策に強く抗議し 条例の撤廃を求める・・・:医療経営財務協会ホームページ
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  34. ^ 消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応について 財務省
  35. ^ 「税別価格」が数万円〜数十万円になれば、消費税分の差額は数千円〜数万円単位にもなり、消費者にとって無視できない金額となるため、税込価格が判別できないとクレームの要因になるおそれがある。
  36. ^ 表示例としては「税込価格のみ」か「税込価格(税別価格)」(税込価格が目立つよう表示)などがある。
  37. ^ 大手のチェーン店では、しまむらヨドバシカメラなどが(2014年度以降も)「税込価格で表示する」旨を明言している。
  38. ^ a b 地方税法改正(地方消費税関係)のお知らせ(平成27年4月改訂) 総務省[リンク切れ]
  39. ^ 【衆院選】首相会見詳報 消費税再増税の先送りを正式表明 衆院解散は21日(1/6ページ) 産経ニュース 2014年11月19日
  40. ^ 軽減税率/上(その2止) 財務省、重ねた誤算
  41. ^ 政治・社会 【日本の解き方】消費支出最悪水準の理由は天候不順では説明できない 増税で減少した可処分所得(1/2ページ) ZAKZAK 2014年9月4日
  42. ^ 読んでナットク経済学「キホンのき」 消費増税、影響が「想定内」でなかったワケ 東洋経済オンライン 2014年10月11日
  43. ^ 高橋洋一の俗論を撃つ! 日銀総裁の講演の疑問点を読み解く 景気後退への最善策は5%への消費減税 ダイヤモンド・オンライン 2014年9月18日
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  48. ^ 税金や社会保険料を国民所得で割った割合
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参考文献編集

関連項目編集

外部リンク編集