真夏の果実

サザンオールスターズの28枚目シングル

真夏の果実」(まなつのかじつ)は、サザンオールスターズの楽曲。自身の28作目のシングルとして、タイシタレーベルから8cmCDカセットテープ1990年7月25日に発売された。

真夏の果実
サザンオールスターズシングル
初出アルバム『稲村ジェーン
B面 ナチカサヌ恋歌 (Live at BUDOKAN)
リリース
規格 8cmCD
カセットテープ
12cmCD
デジタル・ダウンロード
ストリーミング
録音 1990年春 - 6月
VICTOR STUDIO
MUSIC INN STUDIO
ジャンル ロック
時間
レーベル タイシタレーベル
作詞・作曲 桑田佳祐
プロデュース サザンオールスターズ
ゴールドディスク
  • ゴールド(ストリーミング、日本レコード協会)[3]
チャート最高順位
サザンオールスターズ シングル 年表
フリフリ'65
1989年
真夏の果実
(1990年)
ネオ・ブラボー!!
1991年
稲村ジェーン 収録曲
Love Potion No. 9
(5)
真夏の果実
(6)
マンボ
(7)
ライブ映像
「真夏の果実」 [Live at 茅ヶ崎公園野球場, 2023] - YouTube
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1998年2月11日にも8cmCDとして、2005年6月25日には12cmCDで再発売されている。また、2014年12月17日からはダウンロード配信、2019年12月20日からはストリーミング配信が開始されている[5][6]

背景 編集

前作の「フリフリ'65」から、約8か月ぶりとなるシングル[7]

受賞歴 編集

「真夏の果実」の受賞とノミネート
音楽賞 結果 出典
1990年 第32回日本レコード大賞
(ポップス・ロック部門)
ロック・ゴールド・ディスク賞 [8]
最優秀ロック・ボーカル賞
作曲賞

チャート成績 編集

ビクターエンタテインメントによる出荷枚数では累計85万枚を記録している[9]

オリコンのシングルTOP10獲得週間数では、本作は12週であり、自身の中では「いとしのエリー」「TSUNAMI」「勝手にシンドバッド」に次いで4番目に高く、「涙のキッス」と同記録となる[10]

日本音楽著作権協会(JASRAC)の著作権使用料分配額ランキングでは、「真夏の果実」が 平成(1989年〜2019年)の中で歴代68位にランクインした[11]

収録曲 編集

  • 収録時間:9:32
  1. 真夏の果実 (4:39)
    (作詞・作曲:桑田佳祐 / 編曲:サザンオールスターズ & 小林武史
    桑田の監督映画『稲村ジェーン』主題歌。桑田出演のリクルート「B-ing」CMソングフジテレビ水曜劇場悪魔のKISS』挿入歌[注釈 2]KDDI沖縄セルラー電話au LISMO』キャンペーンソング[注釈 3]
    ゆったりとしたアコースティックサウンドで、夏の切ない情景とともに儚く美しい夏の恋を描いたバラード曲[7][12]
    映画『稲村ジェーン』の撮影時に桑田は主題歌を「忘れられた Big Wave」にすることを決めていたが、映画のクランクアップ後に本楽曲が制作されて、主題歌を本楽曲に変更することで追加撮影を行っている[13]
    アマチュア時代から桑田と交流がある音楽評論家の萩原健太は、『稲村ジェーン』のサウンド・トラック盤に対して桑田の成長を思い知らされた作品と評価し、本楽曲はサザンが今後の活動を継続する上でとても重要な曲の一つと公言している[14]
    音楽評論家のスージー鈴木は「桑田が1980年代の青山学院大学のアマチュアバンドのようなのりで活動できるところまで行い、活動休止後に小林武史という桑田の音楽を具現化するパートナーを得て、ひと皮むけた転機の曲」と評価し、サウンドに関しては「デジタルなのにセンチメンタルなイントロは、桑田&小林の所業という感じ」と公言している[14]
    音楽プロデューサー亀田誠治は本楽曲及び小林の手腕に影響を受けたことを公言しており、「僕にとってJ-POPの中で5本の指に入るほど愛してる曲で、今でも大好きです」「プロデューサーによってこんなにも音楽は生き生きと表情を変えるんだ、新しい息吹が吹きこまれるんだっていうのを『真夏の果実』で知ったんです」と述べている[15]
    俳人エッセイスト夏井いつきは本楽曲が好きと述べており、特に「マイナス100度の太陽みたいに」という比喩表現に鳥肌が立ったことを述べている[16]
    弁護士北村晴男は本楽曲が好きであり、カラオケでよく歌うことを公言している[17]。テレビ番組などで本楽曲を歌唱する機会もあり、『キャラオケ18番』(日本テレビ)2015年7月19日放送分では小野正利による歌唱法の指導を受けつつ歌った[18]。2023年3月に「NHK×日テレコラボウィーク」の一環で『NHKのど自慢』(NHK総合NHKラジオ第1)の予選会に本楽曲で参加した際は緊張のあまり歌詞を間違え、予選落ちしている[19]。また、好きであるがゆえに自身の葬儀ではサザンの楽曲をメドレー形式でかけることを希望しており、「真夏の果実」以外にも「」「涙のキッス」「TSUNAMI」も必ずかけるよう要望し、他の曲の選曲については「家族や友人に任せます」と語っている[20]
    ビートたけしは本楽曲をカラオケのレパートリーにしていることを公言している[21]
    2008年に行われた「真夏の大感謝祭」では、ファンによる"ライブでの選挙リクエスト投票"が行われ、数ある楽曲の中から投票数第1位を獲得した[22]。2018年にオリコンが調査した平成に発売した好きな夏ソングをアンケートした結果、2位にランクインした[22]。2022年5月6日にテレビ朝日系列の番組『関ジャム 完全燃SHOW』内で「令和に活躍する若手アーティストが選ぶ最強平成ソング BEST30」が発表され[注釈 4]、本楽曲は3位にランクインを果たしている[24]
    ミュージック・ビデオのほか、2003年のDVDInside Outside U・M・I』にイメージ・ビデオが収録された。
  2. ナチカサヌ恋歌 (Live at BUDOKAN) (4:53)
    (作詞・作曲:桑田佳祐 / 編曲:サザンオールスターズ)
    1990年発売のアルバム『Southern All Stars』収録曲。コンサートツアー『夢で逢いまSHOW』の日本武道館公演の音源である。原由子ボーカル曲。

参加ミュージシャン 編集

収録アルバム 編集

曲名 作品名 備考
真夏の果実 稲村ジェーン
HAPPY! 数量限定商品のため、現在は廃盤。
海のYeah!!
バラッド3 〜the album of LOVE〜
ナチカサヌ恋歌 (Live at BUDOKAN アルバム未収録

ミュージック・ビデオ収録作品 編集

曲名 作品名 備考
真夏の果実 SPACE MOSA 〜SPACE MUSEUM OF SOUTHERN ART〜 一部のみ収録。現在は廃盤。
ナチカサヌ恋歌 (Live at BUDOKAN) 未収録

ライブ映像作品 編集

曲名 作品名 備考
真夏の果実 歌う日本シリーズ 1992〜1993 LIVE at YOKOHAMA ARENA 29th Dec.1992
ホタル・カリフォルニア
平和の琉歌 〜Stadium Tour 1996 "ザ・ガールズ万座ビーチ" in 沖縄〜 DVD版のエクストラメニュー「Stadium Tour 1996 "ザ・ガールズ万座ビーチ"」に一部のみ収録
1998 スーパーライブ in 渚園
SUMMER LIVE 2003「流石だスペシャルボックス」胸いっぱいの “LIVE in 沖縄” & 愛と情熱の “真夏ツアー完全版”
真夏の大感謝祭 LIVE
桑田佳祐の音楽寅さん 〜MUSIC TIGER〜 あいなめBOX 桑田佳祐ソロ名義の作品。DISC 3「♯14 海の日 LIVE 延長線! 〜あの日の寅さん ユースケ目線〜」に収録。桑田がウクレレを演奏している。
また、特典DISCには第一期の企画『STAGE 15・16 沢口靖子と鎌倉デート』で沢口靖子の前で本楽曲を歌ったシーンが収録されている。
SUPER SUMMER LIVE 2013 「灼熱のマンピー!! G★スポット解禁!!」 胸熱完全版
おいしい葡萄の旅ライブ –at DOME & 日本武道館-
茅ヶ崎ライブ2023
ナチカサヌ恋歌 (Live at BUDOKAN) 未収録

カバー 編集

「真夏の果実」には日本とその他のアジア圏を中心に多数のカバーが存在し、主に以下のようなものがある。全アジアでのカバー版の売上は1995年時点で700万枚に達する[25]

日本語によるカバー
中国語(北京語・広東語)によるカバー
  • 1991年
  • 1992年
    • 台湾のシンガー・ソングライター剛澤斌が「妳在他鄉」というタイトルでアルバム『妳在他鄉』に収録。北京語歌詞。
  • 1993年
    • 張學友が同一タイトルでアルバム『吻別』に収録。北京語歌詞。
  • 2000年
    • 台湾の卜學亮が「恭喜發財歌」というタイトルでアルバム『我愛阿亮』に収録。北京語歌詞。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 2003年6月度までの旧基準。最低累計正味出荷枚数40万枚以上の作品に適用。
  2. ^ 1993年に使用。
  3. ^ 2008年に使用。
  4. ^ アイナ・ジ・エンドBiSH)、井上苑子AimerAwesome City Club神はサイコロを振らないsyudouちゃんみなVaundyハラミちゃんyama緑黄色社会ら放送当時平均年齢25.8歳の若手アーティスト計48人が、平成30年間に発売されたJ-POP楽曲の中から「最強平成ソング」をそれぞれ選出している[23]

出典 編集

  1. ^ 日本レコード協会 認定作品 1990年10月度認定作品の閲覧。 2017年12月11日閲覧
  2. ^ The Record vol.626 p10 日本レコード協会 2021年1月12日閲覧。
  3. ^ 2022年8月度ストリーミング認定、Official髭男dism、King Gnu、GReeeeN、SEKAI NO OWARI、Vaundy、ヨルシカがプラチナ MUSICMAN 2022年9月28日配信, 2022年9月28日閲覧。
  4. ^ Billboard Japan Hot 100 2013年7月3日公開 Billboard JAPAN 2022年8月15日閲覧。
  5. ^ サザン、全266曲を世界111ヶ国で配信 オリコン 2014年12月17日配信, 2020年6月4日閲覧
  6. ^ サザン関連全972曲 サブスク一斉解禁 メンバーソロ曲も対象に オリコン 2019年12月20日配信, 2019年12月20日閲覧
  7. ^ a b 『サザンオールスターズ 公式データブック 1978-2019』(2019年)リットーミュージック出版 p148
  8. ^ 日本作曲家協会 第32回 日本レコード大賞 2020年2月14日閲覧
  9. ^ 桑田泣いた…「永遠の0」でサザン23年ぶり映画主題歌スポニチアネックス、2013年7月12日 06:00。
  10. ^ サザン、百恵超え! シングルのTOP10獲得週数記録を更新! オリコンスタイル 2015年10月20日閲覧
  11. ^ 平成で一番“使われた”曲1位は「世界に一つだけの花」 カラオケ通じ歌い継がれる演歌・歌謡の名曲も多数上位に オリコン 2019年4月16日配信、2019年4月20日閲覧
  12. ^ 『稲村ジェーン』の世界観と強く結びついている「真夏の果実」「希望の轍」 Real Sound 2021年5月12日配信, 2021年6月29日閲覧。
  13. ^ サザン桑田監督映画『稲村ジェーン』が初のBlu-ray & DVD化、撮影裏話を映画プロデューサーが語る Billboard JAPAN 2021年6月29日配信, 2021年6月30日閲覧
  14. ^ a b 桑田佳祐、井上陽水… 大物アーティストの転換期になった1990年 NEWSポストセブン 2021年7月26日配信, 2021年7月27日閲覧。
  15. ^ 桑田佳祐 (8/11) - 音楽ナタリー Power Push”. 音楽ナタリー. 2022年5月19日閲覧。
  16. ^ 「サワコの朝」 2016年11月26日(土)放送内容
  17. ^ かたらふ~ぼくたちのスタア~TVでた蔵 2016年7月23日配信 2023年2月18日閲覧。
  18. ^ キャラオケ18番TVでた蔵 2015年7月19日配信 2023年3月13日閲覧。
  19. ^ 北村晴男弁護士 「のど自慢」予選初挑戦は“悲しいけつまつ”「歌詞を間違えたのが致命的だった」スポニチアネックス 2023年3月12日配信 2023年3月13日閲覧。
  20. ^ 「消えない母の面影」弁護士 北村晴男さん【インタビュー後編】~日々摘花 第36回~家族葬のファミーユ 2023年6月30日配信・閲覧
  21. ^ Free & Easy 2000年9月号 P102
  22. ^ a b “平成 夏ソング”ランキング オリコン 2018年8月1日閲覧
  23. ^ 関ジャニ∞が驚き、キンプリ全員で聴く曲も…Aimer、ちゃんみなら若手48人が選ぶ「最強平成ソングBEST30」発表 オリコン 2022年5月6日配信, 2022年5月9日閲覧。
  24. ^ 令和アーティスト選出の最強平成ソング決定「関ジャム」1位は98年の名曲【ネタバレ】 デイリースポーツ 2022年5月6日配信, 2022年5月9日閲覧。
  25. ^ 産経新聞』1995年4月6日付、東京夕刊。

関連項目 編集

外部リンク 編集