福祉

全市民に最低限の幸福と社会的援助を提供するという理念
社会福祉から転送)

各国の社会福祉編集

イギリス編集

イギリスでは1601年のエリザベス救貧法により個別に実施されていた救貧行政は教区ごとに単位化された[1]。そして貧民に対し労働能力に応じた対応を行った[1]。また扶養義務者のいない児童に対しては徒弟奉公を行うことによって対策を講じた[1]

1782年、有能貧民の雇用あっせんや院外救済を内容とするギルバート法が制定された[2]

1834年には新救貧法が制定された[3]。この新救貧法はトマス・ロバート・マルサスの『人口の原理』(1798年)の影響を強く受けており、救済水準の全国一律化、救済方法の限定(ワークハウスへの収容)、劣等処遇の原則などを内容とした[3]。この新救民法による貧困層に対する公的救済の厳しい管理は1948年に国家扶助法が制定されるまで続いた[3]

アメリカ合衆国編集

アメリカでは1647年にロードアイランドで植民地救貧法が制定された[2]。また1683年にはニューヨークで救貧法が制定された[2]

1877年、バッファローに慈善組織協会が設立された[2]

1935年、ニューディール政策の一環として社会保障法が制定された[4]。社会保障法により連邦直営の老齢遺族年金、州営失業保険、公的扶助、福祉事業に対する州政府の補助金などが整備された[4]

日本編集

日本の社会福祉の歴史は、聖徳太子が建立し現在もその名が残る「悲田院」などの救済施設まで溯ることができる。また律令時代には天皇による賑恤(賑給)制度も存在した[5]

日本において英国の救貧法と同種の初めての統一的法令は、明治7年(1874年)の恤救規則であった。また昭和4年(1929年)には救護法、戦後には生活保護法が成立し、生存権の法整備が進められた[6]

八巻正治は自著『聖書とハンディキャップ』の中で「高度に発達した今日のわが国の社会福祉は、それゆえに、ややもすると物質主義に陥ってしまい、それがために内面に位置づく<福祉の心>を次第に軽視しはじめ、逆に、表面的な福祉制度や施策・保障といったものが、それを真に必要としている人々をコントロールしているかのごとき悲しむべき現状があります。」と指摘している。(八巻正治『『聖書とハンディキャップ』(一粒社、1991年)』(pp.134))

社会的支出編集

 
OECD各国のGDPにおける社会的支出割合(%、種類別)[7]

OECD Social Expenditure Databaseに於いては、社会的支出を以下の9分類にて集計している[7][8]

高齢者(Old-age)
老齢年金、早期退職年金、在宅および施設介護サービス
遺族(Survivors)
遺族年金および葬儀支出
障害者(Incapacity-related benefits)
ケア、障害者援助、労災傷病援助、傷病手当金
保健(Health)
外来および入院ケア、医療用品、疾病予防
家族(Family)
児童手当と融資、育児支援、育児休業支援、片親支援
積極的労働政策(Active labour market policies)
雇用サービス、職業訓練、障者害就業支援、直接雇用創出、起業支援
失業(Unemployment)
失業給付、早期退職支援
住宅(Housing)
住宅手当、賃貸住宅補助金
その他(Other social policy areas)
その他、低収入家庭への補助、食料補助金など
OECD各国の公的および義務的私的支出の推移(GDP比)

公的支出編集

OECD各国の公的社会的支出のGDP比率%(2011年)[7]
メキシコ 韓国 チリ カナダ 豪州 米国 スイス OECD平均 ノルウェー 英国 日本 オランダ ドイツ スペイン スウェーデン イタリア フィンランド デンマーク フランス
高齢者 1.6 2.1 2.6 4.0 5.0 6.0 6.5 7.4 7.1 6.1 10.4 6.2 8.6 8.9 9.4 13.4 10.6 8.4 12.5
遺族 0.3 0.3 0.7 0.3 0.2 0.7 0.3 1.0 0.3 0.1 1.4 0.2 2.0 2.3 0.4 2.6 0.9 0.0 1.7
障害者 0.1 0.5 0.8 0.8 2.6 1.4 2.6 2.2 3.9 2.5 1.0 3.3 2.0 2.6 4.3 1.8 4.0 4.7 1.7
保健 2.8 4.0 3.2 7.2 5.8 8.0 6.5 6.2 5.6 7.7 7.7 7.9 8.0 6.8 6.7 7.0 5.7 6.7 8.6
家族 1.1 0.9 1.3 1.2 2.8 0.7 1.4 2.2 3.1 4.0 1.4 1.6 2.2 1.4 3.6 1.5 3.2 4.0 2.9
積極的労働政策 0.0 0.3 0.3 0.2 0.3 0.1 0.6 0.5 0.6 0.4 0.2 1.1 0.8 0.9 1.2 0.4 1.0 2.2 0.9
失業 N/A 0.3 0.0 0.7 0.5 0.8 0.6 1.0 0.4 0.4 0.3 1.5 1.2 3.5 0.4 0.8 1.7 2.2 1.6
住宅 1.1 N/A 1.0 0.3 0.3 0.3 0.1 0.4 0.2 1.5 0.1 0.4 0.6 0.2 0.4 0.0 0.5 0.7 0.8
その他 0.8 0.6 0.3 2.6 0.3 0.9 0.7 0.5 0.7 0.2 0.5 1.3 0.2 0.2 0.7 0.0 0.8 1.0 0.6
7.7 9.0 10.1 17.4 17.8 19.0 19.3 21.4 21.8 22.7 23.1 23.5 25.5 26.8 27.2 27.5 28.3 30.1 31.4

私的支出編集

OECD各国の私的社会的支出のGDP比率%(2011年)[7]
メキシコ スペイン イタリア ノルウェー スウェーデン フィンランド 韓国 ドイツ イスラエル OECD
平均
スウェーデン 豪州 日本 フランス カナダ デンマーク 英国 オランダ 米国
高齢者 N/A 0 0.3 0.7 0 0.2 0.1 0.8 N/A 1.6 2.6 2.1 2.7 0.1 3.3 4.7 4.5 4.3 4.5
障害者 N/A N/A 0 0.2 0 0.7 0 0.1 N/A 0.3 0.2 N/A N/A 0.8 N/A 0 0.4 0.4 0.3
保健 0.2 0.5 0.1 N/A 0.9 0.2 0.1 1.1 0.8 0.7 0 0.8 0.2 1.5 1.3 0.2 0.3 0.6 5.8
その他 N/A N/A 0.4 N/A 0.1 0.1 1.4 0 N/A 1 0 0 0 0.9 0 0 0 1.4 0
0.2 0.5 0.8 0.9 1.0 1.2 1.5 2 2.1 2.2 2.8 2.9 3 3.3 4.6 4.9 5.3 6.8 10.5

人以外の他の動物の福祉編集

年表編集

脚註編集

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c 『標準社会福祉用語事典』2006年、p.47
  2. ^ a b c d 『標準社会福祉用語事典』2006年、p.452
  3. ^ a b c 『標準社会福祉用語事典』2006年、p.221
  4. ^ a b 『標準社会福祉用語事典』2006年、p.188
  5. ^ 日本の社会福祉史・時代区分による特徴。2012年8月8日閲覧、http://www.kbc.gr.jp/ai/study/rekishi.htm
  6. ^ 世界大百科事典』(1988年版)(平凡社)「公的扶助」の項目
  7. ^ a b c d OECD Social Expenditure Statistics (Report). OECD. (2011). doi:10.1787/socx-data-en. http://www.oecd.org/els/soc/expenditure.htm. 
  8. ^ 社会保障給付費(平成21年度) (Report). 国立社会保障・人口問題研究所. (2011-10). 付録、OECD基準の社会支出の国際比較. https://www.ipss.go.jp/ss-cost/j/kyuhuhi-h21/kyuuhu_h21.asp. 
  9. ^ a b 日本の社会保障制度の形成加茂直樹、京都女子大学大学院現代社会研究科博士後期課程研究紀要 2 1-27, 2008-03-31
  10. ^ 社会福祉の先駆者 赤帽子三楽木村高久、横浜歴史研究会、2018/12
  11. ^ http://www.yofuen.com/profile/history.html 陽風園のご案内 / 沿革
  12. ^ http://www.hiruda.or.jp/outline100.htm 社会福祉法人 聖ヒルダ会
  13. ^ 高齢者介護研究階報告書「2015年の高齢者介護」厚生労働省老健局総務課企画法令係

関連項目編集