第82回選抜高等学校野球大会

2010年に甲子園球場で行われた大会

第82回選抜高等学校野球大会(だい82かい せんばつこうとうがっこうやきゅうたいかい)は、2010年平成22年)3月21日から4月3日までの14日間にわたって阪神甲子園球場で行われた選抜高等学校野球大会である。

第82回選抜高等学校野球大会
開会式
試合日程 2010年3月21日 - 4月3日
出場校 32(一般枠・神宮枠:29、21世紀枠:3)校
優勝校 興南沖縄、初優勝)
試合数 31試合
選手宣誓 西田明央北照
始球式 川端達夫文部科学大臣
開会式司会 高ケ内芽衣(福井高志高校3年)
佐藤有華(長崎長崎西高校2年)
入場行進曲My Best Of My Life」(Superfly
国歌独唱 野々村彩乃広島広島音楽高校3年)
閉会式司会 佐藤有華(長崎・長崎西高校2年)
総入場者数 429,000人(1試合平均 13,839人)
大会本塁打 15本
 < 20092011 > 
選抜高等学校野球大会
テンプレートを表示

概要

編集

この回より高校野球全体を盛り上げるためとして、元から共催していた毎日新聞社日本高等学校野球連盟に加え、夏の全国高等学校野球選手権大会の主催者である朝日新聞社が後援社として加わった。これに伴い、同年夏の選手権大会から毎日新聞社が夏の選手権の後援社として加わることとなった。

この大会から、緑色のラバーで隠されていた外野フェンスの企業広告が表示されるようになった。スポンサーからの広告料が高校野球史の展示などを行う「甲子園歴史館」(2010年3月に開館)の運営費に充てられる。

開会式の仕掛け花火は強風と黄砂の影響で中止された。

大会は春の長雨シーズンとぶつかり、順延を繰り返す結果となった。このため準々決勝は7年ぶりに1日で4試合実施となったが、続く準決勝も雨となり決勝までの3日間、1日1試合という展開になった。優勝は沖縄県勢としては甲子園大会3度目・2校目となる興南高等学校。夏の選手権大会には沖縄代表として古くから出場していた学校ながら、選抜ではこの大会で初勝利を挙げ、その後決勝まで勝ち上がり、決勝戦では延長戦を制する結末であった。

この回は沖縄勢が参加するようになってからちょうど半世紀という節目にあたったほか、沖縄県から初めて2校が代表として出場したことでも話題となった。決勝戦には同校OBの具志堅用高と沖縄県知事の仲井真弘多も駆けつけ、声援を送った[1]

日程

編集

選出校

編集
地区 選出校 出場回数
北海道 北照 北海道 10年ぶり3回目
東北 盛岡大付 岩手 7年ぶり2回目
秋田商 秋田 4年ぶり6回目
関東 前橋工 群馬 15年ぶり4回目
花咲徳栄 埼玉 7年ぶり2回目
東海大望洋 千葉 初出場
東海大相模 神奈川 4年ぶり8回目
東京 帝京 東京 3年ぶり14回目
日大三 東京 8年ぶり17回目
北信越 高岡商 富山 4年ぶり4回目
敦賀気比 福井 2年ぶり3回目
東海 中京大中京 愛知 3年連続30回目
大垣日大 岐阜 3年ぶり2回目
三重 三重 15年ぶり10回目
近畿 立命館宇治 京都 6年ぶり2回目
天理 奈良 3年連続20回目
智弁和歌山 和歌山 2年ぶり9回目
大阪桐蔭 大阪 3年ぶり4回目
神戸国際大付 兵庫 5年ぶり3回目
神港学園 兵庫 4年ぶり5回目
地区 選出校 出場回数
中国 関西 岡山 3年ぶり10回目
広陵 広島 3年ぶり22回目
開星 島根 2年連続2回目
四国 今治西 愛媛 4年連続12回目
高知 高知 3年ぶり15回目
九州 自由ケ丘 福岡 初出場
宮崎工 宮崎 初出場
嘉手納 沖縄 初出場
興南 沖縄 2年連続4回目
21世紀枠
地区 選出校 出場回数
東北 山形中央 山形 初出場
近畿 向陽 和歌山 36年ぶり15回目
四国 川島 徳島 初出場

組み合わせ・試合結果

編集

1回戦 - 準決勝

編集
 
1回戦2回戦準々決勝準決勝
 
              
 
3月21日(1)
 
 
天理4
 
3月28日(2)
 
敦賀気比7
 
敦賀気比7
 
3月21日(2)
 
花咲徳栄5
 
花咲徳栄4
 
3月31日(1)
 
嘉手納0
 
敦賀気比0
 
3月21日(3)
 
日大三10
 
山形中央4
 
3月28日(3)
 
日大三14
 
日大三3
 
3月22日(1)
 
向陽1
 
開星1
 
4月1日
 
向陽2
 
日大三14
 
3月22日(2)
 
広陵9
 
前橋工0
 
3月29日(1)
 
宮崎工4
 
宮崎工0
 
3月22日(3)
 
広陵1x
 
立命館宇治6
 
3月31日(2)
 
広陵7
 
広陵5
 
3月23日(1)
 
中京大中京1
 
高知5
 
3月29日(2)
 
神港学園6x
 
神港学園1
 
3月23日(2)
 
中京大中京2
 
盛岡大付4
 
 
中京大中京5
 
 
1回戦2回戦準々決勝準決勝
 
              
 
3月23日(3)
 
 
高岡商1
 
3月29日(3)
 
智弁和歌山6
 
智弁和歌山2
 
3月26日(1)
 
興南7
 
興南4
 
3月31日(3)
 
関西1
 
興南5
 
3月26日(2)
 
帝京0
 
帝京3
 
3月30日(1):延長10回
 
神戸国際大付2
 
帝京3x
 
3月26日(3):延長10回
 
三重2
 
今治西5
 
4月2日
 
三重6x
 
興南10
 
3月27日(1)
 
大垣日大0
 
東海大望洋2
 
3月30日(2)
 
大阪桐蔭9
 
大阪桐蔭2
 
3月27日(2):延長10回
 
大垣日大6
 
大垣日大3x
 
3月31日(4)
 
川島2
 
大垣日大10
 
3月27日(3)
 
北照1
 
自由ケ丘4
 
3月30日(3)
 
東海大相模2
 
自由ケ丘4
 
3月28日(1)
 
北照5
 
北照2
 
 
秋田商0
 

決勝

編集
4月3日(試合開始:12時31分)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 R H E
興南 0 0 0 0 1 4 0 0 0 0 0 5 10 13 5
日大三 0 2 1 0 0 2 0 0 0 0 0 0 5 8 2
  1. (興):島袋 - 山川
  2. (日):山﨑、吉澤 - 鈴木
  3. 本塁打
    (日):平岩、大塚
  4. 審判
    [球審]若林
    [塁審]三宅・古川・堅田
  5. 試合時間:2時間55分
興南
打順守備選手
1[二]国吉大陸(3年)
山城啓輔(3年)
2[中]慶田城開(3年)
3[三]我如古盛次(3年)
大湾圭人(3年)
4[一]眞榮平大輝(3年)
幸良倫(3年)
大城怜(3年)
5[右]一銘苅圭介(3年)
6[捕]山川大輔(3年)
7[左]伊禮伸也(3年)
打左安慶名舜(3年)
8[投]島袋洋奨(3年)
9[遊]大城滉二(2年)
日大三
打順守備選手
1[中]小林亮治(3年)
根岸昂平(3年)
2[二]遊荻原辰朗(3年)
3[右]左中平岩拓路(3年)
4[三]横尾俊建(2年)
5[投]一山﨑福也(3年)
6[遊]投吉澤翔吾(3年)
7[左]畔上翔(2年)
清水弘毅(2年)
右左髙山俊(2年)
8[一]佐野友彦(3年)
打一右大塚和貴(3年)
野村悠(3年)
9[捕]鈴木貴弘(2年)

大会本塁打

編集
1回戦
  • 第1号:橋本祐樹(花咲徳栄)
  • 第2号:平岩拓路(日大三)
  • 第3号:吉澤翔吾(日大三)[注 7]
  • 第4号:伊藤諒介(神港学園)
  • 第5号:鈴木昇太(帝京)
  • 第6号:又野知弥(北照)
2回戦
  • 第7号:眞榮平大輝(興南)
  • 第8号:時本亮(大垣日大)
  • 第9号:安藤嘉朗(大垣日大)
  • 第10号:山中司(大阪桐蔭)
準決勝
  • 第11号:荻原辰朗(日大三)
  • 第12号:丸子達也(広陵)
  • 第13号:山川大輔(興南)
決勝
  • 第14号:平岩拓路(日大三)
  • 第15号:大塚和貴(日大三)


記録

編集

チーム記録

編集
記録 記録校 対戦校 補足
チーム大会通算最多塁打 105 日大三 大会新記録
最多連続打数安打 9 日大三 準決勝・広陵(8回裏) 大会タイ記録(2校目)
1イニング最多連続得点 9 日大三 準決勝・広陵(8回裏) 大会タイ記録(3校目)

個人記録

編集
記録 選手名 所属校 補足
最多連続打数安打 8 我如古盛次 興南 大会タイ記録(4人目)
1大会最多安打 13 山﨑福也 日大三 大会タイ記録(2、3人目)
我如古盛次 興南

応援団表彰

編集

応援団表彰は選抜独自の賞で、各校の初戦における応援が審査対象となる。

  • 最優秀賞:川島(徳島、21世紀枠)
  • 優秀賞:東海大相模(神奈川、関東)、自由ケ丘(福岡、九州)、嘉手納(沖縄、九州)、山形中央(山形、21世紀枠)、向陽(和歌山、21世紀枠)

その他の主な出場選手

編集


脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ 1985年・第57回は当初3月26日に開会予定だったが2日間順延、3月28日にようやく開会された。
  2. ^ 2003年・第75回の準々決勝は、第4試合の花咲徳栄対東洋大姫路戦が延長15回引分で決着がつかず、翌日この対戦の再試合が開催された。
  3. ^ 選抜大会の準々決勝戦は、2004年第76回以降2日間2試合ずつ開催の方式となった。しかし、同第82回大会は雨天順延がこの日まで2日間続いたため、大会規定により現行方式になってから初の、準々決勝4試合を1日で消化することになった。この段階において、準々決勝第2試合までは2日延期だが、準々決勝第3試合から後の日程は1日のみ延期となった。
  4. ^ なお、夏の選手権大会では2003年第85回(本来はこの大会から現方式の予定だった)で、3日間の雨天順延が続いたため、このケースが発生した。
  5. ^ 本来は4月1日に準決勝2試合を開催予定だったが、第2試合が降雨のため中止。翌4月2日に延期されたが、この日も天候具合を考慮し14時から試合開始となった。
  6. ^ GAORAのテレビ中継に関しては、全国生放送がプロ野球日本ハム西武の生中継を優先するため実施できず、4月5日深夜に録画放送となる。また、通常決勝戦開催日は総合テレビのみで完全中継するNHK地上波テレビは、大河ドラマ龍馬伝』の再放送の時間枠が移動できなかった編成の都合上、午後1時から50分間、教育テレビにリレー放送した。
  7. ^ 甲子園での父子本塁打の第1号(父・俊幸第43回大会で記録)[5]

出典

編集
  1. ^ 「具志堅さん県知事も声援 スタンド熱く」2010年4月4日付『西日本新聞』朝刊
  2. ^ “来春の選抜高校野球、32校出場 3月21日開幕”. 47NEWS. (2009年9月11日). オリジナルの2009年10月7日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20091007163211/http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009091101000621.html 2009年9月11日閲覧。 
  3. ^ “選抜高校野球の入場行進曲決定 女性歌手Superflyに”. 47NEWS. (2010年1月15日). オリジナルの2014年7月26日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140726052348/http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010011501000557.html 2010年1月15日閲覧。 
  4. ^ “センバツ:出場32校決まる 大会は3月21日に開幕”. 毎日jp. (2010年1月29日). オリジナルの2010年2月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100201154112/http://mainichi.jp/senbatsu/news/20100130k0000m050027000c.html 2010年1月29日閲覧。 
  5. ^ 「野球の国から」高校野球編 シリーズⅤ 47都道府県物語・山形② - 日刊スポーツ大阪本社版、2018年5月16日付5面

関連項目

編集

外部リンク

編集