エリック・ソガード

アメリカ合衆国の野球選手 (1986-)

エリック・シドニー・ソガードEric Sidney Sogard, 1986年5月22日 - )は、アメリカ合衆国アリゾナ州フェニックス出身のプロ野球選手内野手外野手)。右投左打。愛称はナード・パワーNerd Power)(後述)。

エリック・ソガード
Eric Sogard
タンパベイ・レイズ時代
(2019年9月3日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
 チェコ
二重国籍[1]
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
アリゾナ州フェニックス
生年月日 (1986-05-22) 1986年5月22日(37歳)
身長
体重
5' 10" =約177.8 cm
185 lb =約83.9 kg
選手情報
投球・打席 右投左打
ポジション 二塁手三塁手遊撃手外野手[注 1]
プロ入り 2007年 MLBドラフト2巡目
初出場 2010年9月14日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム チェコの旗 チェコ
WBC 2023年

弟のアレックスもプロ野球選手。

経歴 編集

プロ入り前 編集

デポー大学で三塁手としてプレーし、チームの本塁打記録も作った父ルディの影響もあり、野球を始める。フェニックスサンダーバード高等学校英語版時代には野球ではチームの打率、出塁率、長打率の記録を更新した。それに加えてサッカーでもミッドフィルダーとして活躍し、チームを州大会準優勝まで導いた。

アリゾナ州立大学から学業とスポーツの両方で奨学金を受け進学。2006年2007年パシフィック・テン・カンファレンスで最高出塁率を獲得しベストナインに選ばれる。特に2007年シーズンは100安打以上放ちかつ打率4割超を記録し、カンファレンスの最優秀守備選手にも選出。大学通算の打率は.371で大学の2000-2009のディケイドチームにも選ばれた。2006年までは複数ポジションを守っていたが、2007年は二塁手に固定された。

プロ入りとパドレス傘下時代 編集

2007年MLBドラフト2巡目(全体81位)でサンディエゴ・パドレスから指名され、プロ入り。

2008年は、A+級レイクエルシノア・ストーム英語版でプレーし、二塁手としてオールスターゲームに選出されている。

2009年は、AA級サンアントニオ・ミッションズでプレーし、二塁手としてオールスターゲームに選出されている。

アスレチックス時代 編集

2010年1月16日にスコット・ヘアストンアーロン・カニンガムとのトレードで、ケビン・クーズマノフと共にオークランド・アスレチックスへ移籍した。9月のロースター枠拡大に伴ってメジャー初昇格を果たした。9月14日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦でメジャーデビューを果たした。

2011年はマイナーのAAA級サクラメント・リバーキャッツではリーグトップの守備率をマークし、遊撃手としてオールスターゲームに選出される。メジャーでは8月23日のニューヨーク・ヤンキース戦でバートロ・コロンからメジャー初本塁打を放つ。この年は内野のユーティリティーとして27試合に出場し、打撃面では打率.200・2本塁打・4打点という成績を残した。守備では遊撃手を14試合、三塁手を10試合、二塁手を3試合で守って無難にこなした。

2012年は出場機会を増やし、37試合に出場して前年と同数の2本塁打を放ったが、打率は.167と低迷した。スピード面では、メジャー初三塁打と初盗塁を記録した。守備面では前年と同じく、一塁手を除く内野の3ポジションを複数試合で守った。

2013年二塁手のレギュラー格に定着した。8月3日のテキサス・レンジャーズ戦では、地区優勝を争う大事な試合で、スクイズを含む2つのバントを成功させ、相手投手のマット・ガーザを怒らせるほどの活躍を見せた[2]。130試合の出場で打率.266、2本塁打、35打点、10盗塁だった。。

2014年も二塁手で117試合に出場したが、打率.227に留まった。

 
オークランド・アスレチックス時代
(2015年8月14日)

2015年1月23日に球団と年俸調停を回避し1年契約107万5000ドルで契約を結んだ[3]。この年は120試合に出場し、打率.247、1本塁打、37打点、6盗塁だった。

2016年は首の張りで開幕から15日間の故障者リスト入りした。4月11日にはリハビリ登録されたものの、左肘の手術を受けることとなり、5月11日に60日間の故障者リスト入りとなった。そのままシーズン終了となり、10月6日に40人枠から外れる形でマイナー契約となってAAA級ナッシュビル・サウンズ[4]へ配属された後、翌7日にFAとなった[5]

ブルワーズ時代 編集

2016年12月15日にミルウォーキー・ブルワーズとマイナー契約を結び、2017年スプリングトレーニングに招待選手として参加することになった[5]

2017年の開幕は傘下のAAA級コロラドスプリングス・スカイソックスで迎え、5月12日にメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした。同日のニューヨーク・メッツ戦にて「8番・遊撃手」で先発出場すると、3打席のうち2度四球で出塁、さらに6回裏にはマット・ハービーから決勝点となるソロ本塁打を放つなど鮮烈な新天地デビューを飾った(ちなみにこの日の勝利投手はかつて因縁のあった前述のガーザだった)[6]。この年は92試合に出場して打率.273・3本塁打・18打点・3盗塁の成績を残した。

2018年7月5日にDFAとなり[7]、10日にFAとなった[5]

ブルージェイズ時代 編集

 
トロント・ブルージェイズ時代
(2019年4月20日)

2018年12月21日にトロント・ブルージェイズとマイナー契約を結び、2019年のスプリングトレーニングに招待選手として参加することになった[8]

2019年は開幕を傘下のAAA級バッファロー・バイソンズで迎え、4月15日にメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした[9]

レイズ時代 編集

2019年7月28日に後日発表選手2名とのトレードで、タンパベイ・レイズへ移籍した[10]。このシーズンはブルージェイズとレイズの2チーム合計で110試合に出場し、打率.290・13本塁打・OPS.810を記録した。チームはワイルドカードから地区シリーズまで勝ち進み、ソガードはポストシーズン2試合に出場した。オフの10月31日にFAとなった[11]

ブルワーズ復帰 編集

2019年12月20日に1年450万ドル[12]でブルワーズと契約した[13]

2020年オフの10月30日にFAとなった[14]

カブス時代 編集

2021年3月にシカゴ・カブスとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加することになった[15]。シーズン開幕直前の3月28日にメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした[16]。7月23日にDFAとなり[17]、28日にFAとなった[5]

カブス退団後 編集

2021年のカブス退団後はFAとなる[1]2022年2月に自身のルーツであるチェコに帰化し、チェコ代表への参加が可能となった[1]。12月3日、チェコ代表としてWBCに参加することを表明した。

2023年2月9日に第5回WBC本戦のチェコ代表に初選出された。

人物 編集

アスレチックス時代にはカルト的人気を誇り[18]2014年にMLBネットワークが行った「MLBの顔(Face of MLB)」と題したコンテストでは並みいる有名スター選手を退け準優勝まで勝ち進んだ(優勝はニューヨーク・メッツデビッド・ライト[19]。ファンからはナード・パワーNerd Power)と称され、本人も気に入っていた[18]。ブルワーズ移籍後の2017年のプレイヤーズ・ウィークエンド英語版では背ネームに使用した[18]2019年のレイズ移籍後のプレイヤーズ・ウィークエンドではナード顔の絵文字を背ネームに使用した[20]

母親はプラハ近郊で生まれたが、1968年に起きたプラハの春に対するワルシャワ条約機構軍の侵攻を逃れ、12歳の時に家族でアメリカ合衆国へ移住している。この経緯から、母親は移住後もチェコ国籍を維持し続けていた。[1][21]

詳細情報 編集

年度別打撃成績 編集

















































O
P
S
2010 OAK 4 9 7 0 3 0 0 0 3 0 0 1 0 0 2 0 0 1 0 .429 .556 .429 .985
2011 27 74 70 7 14 3 0 2 23 4 0 0 0 0 4 0 0 13 2 .200 .243 .329 .572
2012 37 108 102 8 17 3 1 2 28 7 2 0 1 0 5 0 0 17 1 .167 .206 .275 .481
2013 130 410 368 45 98 24 3 2 134 35 10 5 6 4 27 2 5 51 4 .266 .322 .364 .686
2014 117 329 291 38 65 10 0 1 78 22 11 4 4 2 31 0 1 37 6 .223 .298 .268 .567
2015 120 401 372 40 92 12 3 1 113 37 6 1 3 1 23 1 2 50 9 .247 .294 .304 .598
2017 MIL 94 299 249 37 68 15 1 3 94 18 3 3 1 0 45 2 4 37 7 .273 .393 .378 .770
2018 55 113 97 7 13 3 0 0 16 2 3 0 1 1 12 1 2 23 3 .134 .241 .165 .406
2019 TOR 73 323 287 45 86 17 2 10 137 30 6 0 3 3 29 0 1 47 2 .300 .363 .477 .840
TB 37 119 109 14 29 6 0 3 44 10 2 0 0 0 9 2 1 16 2 .266 .328 .404 .731
'19計 110 442 396 59 115 23 2 13 181 40 8 0 3 3 38 2 2 63 4 .290 .353 .457 .810
2020 MIL 43 128 115 10 24 5 0 1 32 10 0 0 0 1 11 0 1 20 1 .209 .281 .278 .560
2021 CHC 78 180 169 16 42 6 1 1 53 12 3 1 0 2 9 1 0 30 5 .249 .283 .314 .597
MLB:11年 815 2493 2236 267 551 104 11 26 755 187 46 15 19 14 207 9 17 342 42 .246 .313 .338 .651
  • 2022年度シーズン終了時

WBCでの打撃成績 編集















































2023[22] チェコ 4 16 16 3 7 0 0 0 7 1 1 0 0 0 0 0 3 0 .438 .438 .438

年度別投球成績 編集





















































W
H
I
P
2021 CHC 5 0 0 0 0 0 0 0 0 21 4.1 7 2 0 0 1 1 0 0 3 3 6.23 1.62
MLB:1年 5 0 0 0 0 0 0 0 0 21 4.1 7 2 0 0 1 1 0 0 3 3 6.23 1.62

年度別守備成績 編集

投手守備


投手(P)












2021 CHC 5 1 0 0 0 1.000
MLB 5 1 0 0 0 1.000
内野守備


一塁(1B) 二塁(2B) 三塁(3B) 遊撃(SS)
















































2010 OAK - 3 4 5 0 4 1.000 - -
2011 - 3 5 9 1 2 .933 10 5 13 0 0 1.000 14 15 22 1 2 .974
2012 - 6 10 17 0 4 1.000 14 11 24 2 2 .946 15 14 34 0 6 1.000
2013 - 113 207 258 7 68 .985 - 15 27 28 2 2 .965
2014 - 102 154 247 5 49 .988 - 14 10 33 5 5 .896
2015 - 96 168 268 5 56 .989 1 0 2 0 0 1.000 17 22 37 1 9 .983
2017 MIL - 60 66 97 2 28 .988 7 2 4 1 0 .857 26 29 54 0 9 1.000
2018 - 22 18 16 1 4 .971 - 24 13 39 1 8 .981
2019 TOR - 43 61 105 2 21 .988 6 5 10 0 3 1.000 4 6 4 1 0 .909
TB - 31 50 48 4 7 .964 - -
'19計 - 74 111 163 6 28 .979 6 5 10 0 3 1.000 4 6 4 1 0 .909
2020 MIL - 9 7 10 0 6 1.000 30 23 52 3 9 .962 7 7 9 1 2 .941
2021 CHC 1 0 0 0 0 43 51 75 1 17 .992 10 1 10 1 0 .917 4 2 9 0 2 1.000
MLB 1 0 0 0 0 531 801 1165 28 266 .986 78 47 115 7 14 .959 140 145 269 12 45 .972
外野守備


左翼(LF) 右翼(RF)
























2017 MIL 1 1 0 0 0 1.000 -
2018 1 0 0 1 0 .000 -
2019 TOR 1 0 0 0 0 ---- 6 15 0 0 0 1.000
2020 MIL 2 0 0 0 0 ---- -
MLB 5 1 0 1 0 .500 6 15 0 0 0 1.000
  • 2022年度シーズン終了時

背番号 編集

  • 36(2010年 - 2011年)
  • 28(2012年 - 2015年)
  • 18(2017年 - 2018年)
  • 5(2019年 - 同年7月27日)
  • 9(2019年7月30日 - 同年終了)
  • 7(2020年)
  • 4(2021年)

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 2019年シーズンに就いた守備位置に基づく。

出典 編集

  1. ^ a b c d MLB veteran Eric Sogard now eligible to represent Czech National Team.” (英語). WBSC (2022年2月25日). 2022年9月22日閲覧。
  2. ^ 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2014』廣済堂出版、2014年、195頁。ISBN 978-4-331-51809-0 
  3. ^ Jane Lee (2015年1月23日). “A's, Sogard avoid arbitration with one-year deal” (英語). MLB.com. 2015年1月24日閲覧。
  4. ^ 2015年よりアスレチックス傘下
  5. ^ a b c d MLB公式プロフィール参照。2021年12月26日閲覧。
  6. ^ Adam McCalvy (2017年5月13日). “Sogard bringing 'nerd power' to Miller Park”. http://m.mlb.com/news/article/229866118/eric-sogard-introduces-nerd-power-to-milwaukee/ 2017年5月13日閲覧。 
  7. ^ Stephen Cohn (2018年7月5日). “Brewers activate Saladino, designate Sogard” (英語). MLB.com. 2018年7月6日閲覧。
  8. ^ Report: Jays agree to deal with UTIL Sogard”. TSN.ca (2018年12月21日). 2019年1月17日閲覧。
  9. ^ Gregor Chisholm (2019年4月15日). “Gurriel sent to Triple-A Buffalo for glove work” (英語). MLB.com. 2019年4月17日閲覧。
  10. ^ Keegan Matheson (2019年7月28日). “Blue Jays deal Sogard to Rays for 2 PTBNs” (英語). MLB.com. 2019年7月29日閲覧。
  11. ^ Thomas Harrigan, Manny Randhawa and Paul Casella (2019年11月8日). “Here are every team's free agents this winter” (英語). MLB.com. 2019年12月2日閲覧。
  12. ^ Source: Eric Sogard, Brewers agree to 1-year deal” (英語). ESPN.com (2019年12月18日). 2019年12月19日閲覧。
  13. ^ Adam McCalvy (2019年12月20日). “Brewers ink Smoak, Sogard to one-year deals” (英語). MLB.com. 2019年12月21日閲覧。
  14. ^ Manny Randhawa and Paul Casella (2020年11月16日). “2020-21 free agents, position by position” (英語). MLB.com. 2020年11月20日閲覧。
  15. ^ Steve Adams (2021年3月3日). “Cubs, Eric Sogard Agree To Minor League Deal” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年6月8日閲覧。
  16. ^ Mark Polishuk (2021年3月28日). “Cubs Select Three Contracts, Designate Ildemaro Vargas” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年6月8日閲覧。
  17. ^ Steve Adams (2021年7月23日). “Cubs Designate Eric Sogard For Assignment” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年7月25日閲覧。
  18. ^ a b c Explaining Crew Players Weekend nicknames MLB.com (英語) (2017年8月25日) 2017年9月17日閲覧
  19. ^ 「[MLBの顔] 次代の"MLBの顔"は誰だ!?」『月刊スラッガー』2014年7月号 日本スポーツ企画出版社 8頁
  20. ^ Juan Toribio (2019年8月19日). “Here are Rays' Players' Weekend nicknames” (英語). MLB.com. 2021年12月14日閲覧。
  21. ^ 「僕らは不思議の国のアリスだった」WBCチェコ代表の“夢のような日本での体験”を現地メディアはこう伝えた”. 文春オンライン. 2023年3月26日閲覧。
  22. ^ 2023 WBC Player Hitting StatsMLB.com 2023年3月27日閲覧

関連項目 編集

外部リンク 編集