ビリー・コブハムBilly Cobham1944年5月16日-)は、パナマアメリカ人ドラマー。主にジャズおよびフュージョンの分野で活動しており、マイルス・デイヴィスマハヴィシュヌ・オーケストラとの仕事で知られる。名字は一般的に「コバム」のように発音される[1]

ビリー・コブハム
Billy Cobham
ビリー・コブハム(2005年)
基本情報
出生名 William E. Cobham Jr.
生誕 (1944-05-16) 1944年5月16日(79歳)
パナマの旗 パナマ
ジャンル ジャズフュージョンジャズ・ファンクプログレッシブ・ロック
担当楽器 ドラム
活動期間 1968年 -
レーベル アトランティック・レコード
コロムビア・レコード
CTIレコード
エレクトラ・レコード
GRPレコード
共同作業者 ホレス・シルヴァー
ランディ・ブレッカー
マイケル・ブレッカー
マイルス・デイヴィス
マハヴィシュヌ・オーケストラ
ジョージ・デューク
公式サイト BillyCobham.com

来歴 編集

パナマで生まれ、3歳の時に家族と共にアメリカ合衆国ニューヨーク州へと移住。幼少期からドラムに親しみ、7歳の頃に通常の奏法に疑問を感じて、オープンハンド奏法に切り替えたという[2]1965年から3年間、アメリカ陸軍内のバンドでプレイした後、1968年ホレス・シルヴァーのバック・バンドに加入。同年にはジョージ・ベンソンのアルバムにも参加した。

1970年にはブレッカー・ブラザーズや、ジョン・アバークロンビーらと共に、ドリームスというグループに参加、2枚のアルバムをリリースした。また、アフロ・アメリカンのリズムを要求していたマイルス・デイヴィスに誘われて、『ビッチェズ・ブリュー』・セッションの「Feio」(後にCDに収録)や、ジョン・マクラフリンと参加した1970年のアルバム『ジャック・ジョンソン』で演奏を残している。他にもセッションマンとして1970年から、クリード・テイラーCTIレコードの作品の数々のレコーディングに参加した。

1971年から1973年にかけて、ジョン・マクラフリンのマハヴィシュヌ・オーケストラのメンバーとして活動し、アルバム『火の鳥』などの録音に参加した。

1973年にはマクラフリンとカルロス・サンタナとのツアーに参加し、アルバム『魂の兄弟(Love, Surrender & Devotion)』の録音に加わる。同年に、ヤン・ハマートミー・ボーリンリーランド・スカラーを従えて、初のリーダー・アルバム『スペクトラム』を制作・発表した。このアルバムは評判を呼び、ギタリストのトミー・ボーリンがディープ・パープルに加入するきっかけにもなった。

1974年から1976年にかけて、アバークロンビーやブルガリア出身のピアニスト、ミルチョ・レヴィエヴらとアトランティック・レコードからリーダー作品をリリースした。熱狂的な人気を誇ったニューヨーク在住のプエルトリカンによるサルサ・ミュージックのスーパー・グループ、ファニア・オールスターズに参加して、1974年のザイール公演や翌1975年シェイ・スタジアムでのコンサートにもドラマーとして名前を連ねた。これらは映像作品として『ソウル・パワー』、「Live At Yankee Stadium」などの記録があり、また1976年には、ジョージ・デュークジョン・スコフィールドアルフォンソ・ジョンソンらとライブ・バンド「ビリー・コブハム=ジョージ・デューク・バンド」を結成、こちらもモントルー・ジャズ・フェスティヴァルの映像、録音作品を残している。

この時期、プロデューサーとして、アイアート・モレイラの『ヴァージン・ランド』、マーク=アーモンドの『心に… (To the Heart)』などのアルバム作品を手がけている。

1977年からはCBSと契約してリーダー作品をリリースし、1980年代には、バンド・メンバーとして、再びマハヴィシュヌ・オーケストラ、スタンリー・クラーク&ジョージ・デュークの「Clarke Duke Project」、元クリームジャック・ブルースとの「Jack Bruce & Friends」や、アルフォンソ・ジョンソンとともにグレイトフル・デッドボブ・ウェアとの「Bobby & the Midnights」などのグループに参加した。なお、1998年にはグレイトフル・デッドの曲を演奏するインスト・ジャム・バンド「Jazz is Dead」にも再びジョンソンとともにメンバーとして加わっている。

1980年代半ばにGRPレコードからソロ作品を発表した後に、1990年代以降、英国・ヨーロッパの若いミュージシャンとの作品を制作、また、ケニー・バロンロン・カーターからなるピアノ・トリオ、アート・オブ・スリーを披露した。

2000年代には「Drums & Voice」というプロジェクトを開始。

この40年で、スタンリー・タレンタインフレディー・ハバードガボール・ザボジェームス・ブラウンポール・ウィンター・コンソート、ピーター・ガブリエルらといった多様なミュージシャンの作品に参加してきた。現在はスイスに居を構え、リーダー作品制作を中心に活動している。

ディスコグラフィ 編集

リーダー・アルバム 編集

1970年代

  • 『スペクトラム』 - Spectrum (1973年、Atlantic)
  • 『クロスウインズ』 - Crosswinds (1974年、Atlantic)
  • 『皆既食』 - Total Eclipse (1974年、Atlantic)
  • 『シャバズ - ライヴ・イン・ヨーロッパ』 - Shabazz (1974年、Atlantic) ※ライブ・アルバム
  • 『ファンキー・サイド・オブ・シングス』 - A Funky Thide of Sings (1975年、Atlantic)
  • 『ライフ&タイムズ』 - Life & Times (1976年、Atlantic)
  • ジョージ・デューク・バンドと共同名義, 『ライヴ』 - "Live" on Tour in Europe (1976年、Atlantic) ※ライブ・アルバム
  • 『マジック』 - Magic (1977年、Sony)
  • 『スーパースター・スーパーライヴ』 - Alivemutherforya (1978年) ※ライブ・アルバム。Steve Khanアルフォンソ・ジョンソントム・スコットと共同名義
  • 『インナー・コンフリクツ』 - Inner Conflicts (1978年)
  • 『シンプリシティ・オブ・エキスプレッション』 - Simplicity of Expression: Depth of Thought (1978年)
  • 『B.C.』 - B.C. (1979年)

1980年代

  • Live: Flight Time (1980年) ※ライブ・アルバム
  • Stratus (1981年) ※ビリー・コブハムズ・グラス・メナジェリー名義
  • 『オブザーヴェーションズ&』 - Observations & (1982年) ※ビリー・コブハムズ・グラス・メナジェリー名義
  • Smokin’ (1982年、Electra) ※ライブ・アルバム。ビリー・コブハムズ・グラス・メナジェリー名義
  • 『ウォーニング』 - Warning (1985年)
  • Johannes Faber's Consortium (1985年) ※Johannes Faber's Consortium名義
  • 『パワー・プレイ』 - Power Play (1986年)
  • 『ピクチャー・ディス』 - Picture This (1987年)
  • Incoming (1989年)

1990年代

  • 『バイ・デザイン』 - By Design (1992年)
  • 『ザ・トラヴェラー』 - The Traveler (1994年)
  • 『ライヴ・アット・ザ・グリーク』 - Live at the Greek(1994年) ※ライブ・アルバム。スタンリー・クラークラリー・カールトンと共同名義
  • 『ノルディック』 - Nordic (1996年)
  • Paradox (1996年) ※Paradox名義
  • The First Second (1998年) ※ライブ・アルバム。Paradox名義
  • 『フォーカスド』 - Focused (1998年、Cleopatra)
  • Hope Street (1999年) ※Billy Cobham presents Ensemble New名義
  • Off Color (1999年) ※Billy Cobham presents Nordic名義

2000年代

  • North By NorthWest (2000年) ※Billy Cobham Presents North By Northwest名義
  • Culture Mix (2002年)
  • 『ドラムン・ヴォイス - オール・ザット・グルーヴ』 - Drum'n'voice (2002年)
  • The Art of Three (2003年) ※Billy Cobham featuring Ron Carter / Kenny Barron名義
  • Drum & Voice - Vol.2 (2006年)
  • 『フルーツ・フロム・ザ・ルーム』 - Fruit from the Loom (2007年)
  • 『キューバから、そしてパナマーから』 - De Cuba y Panama (2008年) ※ビリー・コブハム&アセーレ名義
  • Drum & Voice - Vol.3 (2009年)

2010年代以降

  • Palindrome (2010年)
  • Tales From The Skeleton Coast (2014年)
  • Spectrum 40 Live (2015年)
  • Drum & Voice - Vol.4 (2016年)
  • Red Baron (2017年)

マハヴィシュヌ・オーケストラ 編集

脚注 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集