ジョン・マクラフリン

ジョン・マクラフリンJohn McLaughlin1942年1月4日 - )は、イングランドヨークシャードンカスター出身のジャズ・ロックギタリスト[1]

ジョン・マクラフリン
John McLaughlin
John McLaughlin Blue Note 2016.JPG
ジョン・マクラフリン(2016年)
基本情報
別名 マハヴィシュヌ・ジョン・マクラフリン
生誕 (1942-01-04) 1942年1月4日(79歳) イングランドの旗 イングランド ヨークシャードンカスター[1]
出身地 イングランドの旗 イングランド
ジャンル フュージョン
ジャズ
インド音楽
フラメンコ
クラシック
職業 ギタリスト
作曲家
担当楽器 アコースティック・ギター
エレクトリック・ギター
ギターシンセサイザー
共同作業者 マイルス・デイヴィス
マハヴィシュヌ・オーケストラ
カルロス・サンタナ
シャクティ英語版
アル・ディ・メオラ
パコ・デ・ルシア
ジョン・マクラフリン(1986年)

テクニシャンとして知られ、ジャズをはじめ、インド音楽フラメンコクラシックなどの要素も広く取り込んでいる。

「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」において2003年は第49位、2011年の改訂版では第68位。

来歴編集

デビュー前から非凡な才能で知られ、その頃から少数の生徒にギターを教えていた。ジミー・ペイジやジョン・ポール・ジョーンズはその生徒の一人である。自身の音楽以外の活動をするつもりは無かったが、生活に困窮したため、「音楽の仕事ならなんでもやる覚悟ができて」ロンドンでスタジオミュージシャンとしてキャリアを開始する。グレアム・ボンド・オルガニゼーション、ローリング・ストーンズジャック・ブルースなどのアルバムに参加。 ジョン・サーマントニー・オクスレイらと組んで1969年に初リーダー作『エクストラポレーション』をリリース。ジャズ要素の濃い作品で、当時からジャズを主流にした非凡なセンス・テクニック・フィーリングの持ち主だった。

1969年にアメリカに渡り、トニー・ウィリアムスのライフタイムに参加[1]。また、ウィリアムスの紹介で知り合ったマイルス・デイヴィスのセッションにも度々参加し[1]、『イン・ア・サイレント・ウェイ』、マクラフリンの名がタイトルに入った曲を収録した『ビッチェズ・ブリュー』、『オン・ザ・コーナー』、『ビッグ・ファン』、『ジャック・ジョンソン』等にクレジットされている。マイルスは『ジャック・ジョンソン』のライナーノート中でマクラフリンのプレイを「far in(奥深い)」と表現したように、彼を高く評価していた。

セッション・プレイヤーとしての評価も獲得し、ミロスラフ・ヴィトウスカーラ・ブレイウェイン・ショーターラリー・コリエルジョー・ファレルなどのアルバムに参加している。

1970年初頭にダグラス・レコード社から2作目のアルバム『ディボーション』を発表。3作目『マイ・ゴールズ・ビヨンド』でインド音楽に傾倒した初期のスタイルを確立する。これには、彼が当時、ヒンドゥー教に改宗して、その高名な指導者であるシュリ・チンモイ師の弟子となったことが大きく影響している。このアルバムはチンモイに捧げられ、ライナーノートには彼の作った詩が掲載されている。ちなみにマクラフリンが初めて自分の名前に「マハヴィシュヌ」を付け加えたアルバムでもある。なお、マクラフリンは5年ほどで「自分を欺いてまで弟子でいることはできない」と感じ、チンモイのもとを離れたが、チンモイの没後のインタビューでは「彼が生涯のグルであることに変わりなく、その後もときどきは訪ね、良好な関係を続けていた」「僕は今もチンモイ師と強い結び付きを感じている」と語っている[2]

マイルスの勧めもあり、1971年マクラフリンは自己バンドのマハヴィシュヌ・オーケストラを結成。初期メンバーはマクラフリンと、ジェリー・グッドマンヴァイオリン)、ヤン・ハマーキーボード)、リック・レアードベース)、ビリー・コブハムドラム)。アルバム『内に秘めた炎』『火の鳥』などの中で、彼らはジャズインド音楽ロック等を独特の高度なアンサンブルで融合させることにより大きな成功を収めた。また、1972年には、同じくシュリ・チンモイに弟子入りしたラテン・ミュージシャンのカルロス・サンタナと2人でコラボレーション・アルバム『魂の兄弟たち』を録音し、ジョン・コルトレーンカバー曲などを収録した[3]。マハヴィシュヌ・オーケストラは、一度の一時的解散(1973年)と幾度かのメンバーチェンジを経て、最終的には1975年に解散するが、彼らの成功はフュージョンというジャンルの発展に大きく貢献し、1970年代ジャズ・ロックシーンにおいて重要なグループとなった。

マハヴィシュヌ・オーケストラの解散と前後して、マクラフリンはインド人音楽家たちと一緒にシャクティ英語版というバンドを結成した。シャクティでの彼はシンプルなアコースティックギターを用い、ワールドミュージックのはしりとでもいうべきインド音楽をジャズでアレンジした演奏を行なう。欧米だけではなくインド国内などでも演奏活動を繰り広げて高い音楽的評価を受けたが、商業的には成功しなかった。

1979年、パコ・デ・ルシアラリー・コリエルと組んでトリオを結成する。1980年にはコリエルが去り、その代わりとしてアル・ディ・メオラが加入する(この二人はこのあともその時々の都合で入れ替わる。1981年の日本公演にやってきたのはコリエル)。それまで先進的な音楽性を評価されることが多かったマクラフリンは、このグループでの演奏によって自身のヴァーチュオーゾ的技術を広く認知させ、以降その完成された技術を前面に押し出す音楽性を打ち出していく。この3人のトリオは商業的にも大成功を収め、1996年にも再結成され、レコーディングと世界ツアーを行い、世界三大テノールとの共演も果たす。

1980年代には、メンバーを新たにしたマハヴィシュヌ・オーケストラを再結成し、ライブ活動を行っている。この時の映像はDVDとして発売されており、彼はシンクラヴィアというシンセサイザーのギター型コントローラーを多用している様子を見ることができる。

1980年代終わりから1990年代の初め、彼はガットギターシンセサイザーを同調させた楽器を使い、パーカッション奏者のトリロク・グルトゥベース奏者のカイ・エクハルトドミニク・ディ・ピアッツァと組んでツアーを行い、アルバム『ジョン・マクラフリン・トリオ・ライブ』『ケ・アレグリア』を発表。またロンドン交響楽団をバックにしたアルバム『ギター・コンチェルト:地中海』を発表するなど精力的に活動。そして1995年にはこれまでの活動を集大成した金字塔となるアルバム『ザ・プロミス』をリリースし、一時期影響を受けたと言われるロック・ギタリストのジェフ・ベックとの共演が話題となった。

その後、エレクトリック・サウンドのハート・オブ・シングス・バンドの活動や、シャクティの元メンバーに新規加入メンバーを加えてリメンバー・シャクティとして活動した。2004年と2007年にエリック・クラプトン主催の、クロスロード・ギター・フェスティバルに参加。2007年には、ゲイリー・ハズバンドアドリアン・フェローマーク・モンデシールと共に、ジョン・マクラフリン & 4thディメンションとしてワールドツアーを行った。2008年10月にはチック・コリア & ジョン・マクラフリン ファイヴ・ピース・バンドとしてワールドツアーを行い、2009年2月にはブルーノート東京でも公演を行った。2010年開催「第52回グラミー賞」において、チック・コリアと共同名義のアルバム『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』で「最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム」を受賞した[4]

2017年7月、バークリー音楽院から名誉音楽博士号を授与された[5]。2018年開催「第60回グラミー賞」において、アルバム『ライヴ・アット・ロニー・スコッツ』(2017年)収録の「Miles Beyond」で「最優秀インプロヴァイズド・ジャズ・ソロ」を受賞した[6]

1980年半ばから現在までモナコ公国に在住し、2016年にはモナコの文化勲章にあたる「chevalier de la culture de(騎士文化勲章)」を授与されている。

ディスコグラフィ編集

ソロ・アルバム編集

  • 『エクストラポレーション』 - Extrapolation (1969年、Polydor) ※1969年1月録音
  • 『ディボーション』 - Devotion (1970年、Douglas) ※1970年9月録音
  • 『マイ・ゴールズ・ビヨンド』 - My Goal's Beyond (1971年、Douglas) ※1971年3月録音
  • エレクトリック・ギタリスト』 - Electric Guitarist (1978年、Columbia)
  • 『エレクトリック・ドリームス』 - Electric Dreams (1979年、Columbia) ※1978年11月、12月録音
  • 『ベロリゾンティ:美しき水平線』 - Belo Horizonte (1981年、Warner Music Group) ※1981年6月、7月録音
  • 『ミュージック・スポークン・ヒア:吟遊詩人』 - Music Spoken Here (1982年、Warner Music Group) ※1982年6月、7月録音
  • 『ギター・コンチェルト:地中海』 - "Mediterranean" Concerto (1990年、CBS) ※1988年録音
  • 『ジョン・マクラフリン・トリオ・ライブ』 - Live at the Royal Festival Hall (1990年、JMT) ※1989年11月録音
  • 『ケ・アレグリア』 - Que Alegria (1992年、Verve) ※1991年11月、12月録音
  • 『タイム・リメンバード:プレイズ・ビル・エヴァンス』 - Time Remembered: John McLaughlin Plays Bill Evans (1993年、Verve)
  • 『トーキョー・ライブ』 - Tokyo Live (1994年、Verve) ※1993年12月、ブルーノート東京でのライブ
  • 『アフター・ザ・レイン』 - After the Rain (1994年、Verve)
  • 『ザ・プロミス』 - The Promise (1995年、Verve)
  • 『ハート・オブ・シングス』 - The Heart of Things (1997年、Verve)
  • 『ハート・オブ・シングス・ライヴ』 - The Heart of Things: Live in Paris (2000年、PolyGram) ※1998年11月、パリ「ラ・シガール」でのライブ
  • 『シーヴス・アンド・ポエッツ』 - Thieves and Poets (2003年、Verve) ※2002年6月録音
  • 『インダストリアル・ゼン』 - Industrial Zen (2006年、Verve)
  • フローティング・ポイント』 - Floating Point (2008年、Abstract Logix) ※2007年4月録音
  • 『トゥ・ザ・ワン』 - To the One (2010年、Abstract Logix) ※2009年12月録音
  • 『ナウ・ヒアー・ディス』 - Now Here This (2012年、Abstract Logix)
  • 『ザ・ボストン・レコード』 - The Boston Record (2014年、Abstract Logix) ※2013年6月録音
  • 『ブラック・ライト』 - Black Light (2015年、Abstract Logix) ※2015年3月録音
  • 『ライヴ・アット・ロニー・スコッツ』 - Live at Ronnie Scott's (2017年、Abstract Logix) ※2017年3月、ロンドン「ロニー・スコッツ・ジャズ・クラブ」でのライブ
  • 『イズ・ザット・ソー?』 - Is That So? (2020年、Abstract Logix) ※with シャンカル・マハーデーヴァン、ザキール・フセイン

ライフタイム編集

トニー・ウィリアムスジョン・マクラフリンラリー・ヤング

  • 『エマージェンシー!』 - Emergency! (1969年、Polydor) ※1969年5月録音
  • 『ターン・イット・オーヴァー』 - Turn It Over (1970年、Polydor) ※1969年5月録音

マハヴィシュヌ・オーケストラ編集

シャクティ編集

  • 『ライブ・シャクティ』 - Shakti (1976年、Columbia) ※1975年7月録音。旧邦題『シャクティ・ウィズ・ジョン・マクラフリン』
  • 『ハンドフル・オブ・ビューティー』 - A Handful of Beauty (1976年、Columbia) ※旧邦題『美しき創造』
  • 『ナチュラル・エレメンツ』 - Natural Elements (1977年、Columbia) ※旧邦題『大地の躍動』

リメンバー・シャクティ編集

  • 『リメンバー・シャクティ』 - Remember Shakti (1999年、Verve) ※1997年録音
  • 『ザ・ビリーヴァー』 - The Believer (2000年、Verve)
  • 『サタデー・ナイト・イン・ボンベイ』 - Saturday Night in Bombay (2001年、Verve)
  • Live at 38th Montreux Jazz Festival (2004年)
  • Live at Miles Davis Hall (2004年) ※1999年録音

トリオ・オブ・ドゥーム編集

ジョン・マクラフリンジャコ・パストリアストニー・ウィリアムス

連名アルバム編集

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d Huey, Steve. “John McLaughlin - Biography & History”. AllMusic. 2020年6月19日閲覧。
  2. ^ 『ジャズギター・ブックVol.20』シンコーミュージック・エンタテイメント、2009年2月8日、8頁。ISBN 978-4-401-63278-7
  3. ^ Jurek, Thom. “Love Devotion Surrender - John McLaughlin, Santana, Carlos Santana”. AllMusic. 2019年6月19日閲覧。
  4. ^ John McLaughlin Five Peace Band - Artist”. GRAMMY.com. Recording Academy. 2020年6月19日閲覧。
  5. ^ ジョン・マクラフリンに名誉音楽博士号授与”. ARBAN (2017年8月10日). 2018年12月3日閲覧。
  6. ^ 2018年グラミー全受賞者を発表。ジャズ部門ではジョン・マクラフリンらが受賞”. ARBAN (2018年1月30日). 2018年12月3日閲覧。

参考文献編集

外部リンク編集