国際連合総会決議3236(こくさいれんごうそうかいけつぎ3236)は、1974年11月22日に採択された第29回国際連合総会での決議。この決議において、パレスチナ人民族自決の権利が認められ、パレスチナ解放機構国連の関係が公式化し、「パレスチナ問題」が国連の議題に加えられた[1]。英語の決議名はUnited Nations General Assembly Resolution 3236 (XXIX)(略称はUNGA Res. 3236)。

国際連合総会
決議3236 (XXIX)
日付: 1974年11月22日
形式: 総会決議
会合: 2282回
コード: A/RES/3236 (XXIX)
文書: 英語

投票: 賛成: 89 反対: 8 棄権: 37
主な内容: パレスチナ問題
投票結果: 承認

翌年の第30回国際連合総会では、これらパレスチナ人民の不可譲の権利の行使を履行するための計画を作成する226国からなる「パレスチナ人民の不可譲の権利に関する委員会」が設置された(総会決議3376(XXX))[1]

決議の内容

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総会は、

パレスチナ問題を審議し、

パレスチナ人民の代表であるパレスチナ解放機構の発言を聴取し、

また、本件討議中に行なわれた他の発言をも聴取し、

パレスチナ問題の公正な解決がまだ達成されていないことを深く憂慮し、

かつパレスチナ問題が依然として国際の平和と安全を危うくしていることを認め、

パレスチナ人民が国連憲章にもとづき自決の権利があることを認識し、

パレスチナ人がその不可譲の権利,とくにその自決権の享受を妨げられていることに重大な憂慮を表明し、

憲章の目的と原則に従い、

パレスチナ人民の自決権を確認する関係総会決議を想起し、

  1. 以下の事項を含む、パレスチナにおけるパレスチナ人民の不可譲の権利を再確認する。
    1. 外部からの干渉のない自決の権利
    2. 民族独立と主権の権利
  2. 追放され奪われた郷里と財産に復帰するパレスチナ人の不可譲の権利を再確認し、かつ彼等の復帰を要請する。
  3. パレスチナ人民.のこれら不可譲の権利の十分な尊重と実現は、パレスチナの間題の解決のため不可欠であることを強調する。
  4. パレスチナ人民が中東の公正かつ永続的平和達成のため、主要当事者であることを承認する。
  5. 更に国違憲章の目的と原則にもとづくあらゆる手段により、その諸権利を回復するパレスチナ人民の権利を承認する。
  6. 全ての国家と国際機関に対して、国連憲章にもとづき、諸権利を回復するパレスチナ人民の闘争に支持を与えるよう訴える。
  7. 事務総長に対し、パレスチナ間題に関する全ての事項についてパレスチナ解放機構と接触を確立するよう要請する。
  8. 事務総長に対し、本決議の履行について第30回総会に報告するよう要請する。
  9. 「パレスチナ問題」を第30回会期の仮議題に含めることを決定する。
— 国際連合総会、第29会総会、総会決議3236(XXIX)[1]

投票内約

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国連加盟国の内、賛成が89票、反対が8票、棄権が37票となった。 各国の投票は以下の通りである[2]

投票

国名 全投票数内の割合
賛成 89   アフガニスタン,   アルバニア,   アルジェリア,   アルゼンチン,   バーレーン,   バングラデシュ,   ブータン,   ボツワナ,   ブルガリア,   ビルマ連邦社会主義共和国,   ブルンジ,   白ロシア・ソビエト社会主義共和国,  カメルーン,   中央アフリカ共和国,   チャド,   中華人民共和国,   コンゴ共和国,   キューバ,   キプロス,   チェコ,   ダホメ,   南イエメン,   エジプト,   赤道ギニア,   エチオピア,   ガボン,   ガンビア,   東ドイツ,   ガーナ,   ギニア,   ギニアビサウ,   ガイアナ,   ハンガリー,   インド,   インドネシア,   イラン,   イラク,   コートジボワール,   ジャマイカ,   ヨルダン,   ケニア,  クメール共和国,   クウェート,    レバノン,   レソト,   リベリア,   リビア,   マダガスカル,   マレーシア,   マリ共和国,   マルタ,   モーリタニア,   モーリシャス,   モンゴル,   モロッコ,   ニジェール,   ナイジェリア,   オマーン,   パキスタン,   ペルー,   フィリピン,   ポーランド,   ポルトガル,   カタール,   ルーマニア,   ルワンダ,   サウジアラビア,   セネガル,   シエラレオネ,   ソマリア,   スペイン,   スリランカ,   スーダン,   シリア,   タイ,   トーゴ,   トリニダード・トバゴ,   チュニジア,   トルコ,   ウガンダ,   ウクライナ・ソビエト社会主義共和国,   ソビエト連邦,   アラブ首長国連邦,   タンザニア,   オートボルタ,   イエメン・アラブ共和国,   ユーゴスラビア,   ザイール,   ザンビア 66.4%
反対 8   ボリビア,   チリ,   コスタリカ,   アイスランド,   イスラエル,   ニカラグア,   ノルウェー,   アメリカ合衆国 6.0%
棄権 37   オーストラリア,   オーストリア,   バハマ,   バルバドス,   ベルギー,   カナダ,   コロンビア,   デンマーク,   エクアドル,   エルサルバドル,   フィジー,   フィンランド,   フランス,   西ドイツ,   ギリシャ,   グレナダ,   グアテマラ,   ハイチ,   ホンジュラス,   アイルランド,   イタリア,   日本,   ラオス,   ルクセンブルク,   マラウイ,   メキシコ,   ネパール,   オランダ,   ニュージーランド,   パナマ,   パラグアイ,   シンガポール,   エスワティニ,   スウェーデン,   イギリス,   ウルグアイ,   ベネズエラ 27.6%

出典

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  1. ^ a b c 家正治「パレスチナ人民の自決権とオスロ合意(上)」『神戸外大論叢』第49巻第5号、神戸市外国語大学研究会、1998年10月、3-16頁、CRID 1050282814073108992ISSN 02897954 
  2. ^ قرار رقم 3236 (29)، 22 تشرين الثاني 1974”. Palestinian return centre. 2016年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年10月5日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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