熱海殺人事件
『熱海殺人事件』(あたみさつじんじけん)は、つかこうへいの初期の代表的戯曲。文学座に書き下ろされ1973年11月26日に文学座アトリエにて初演[1]、1974年の第18回岸田國士戯曲賞を最年少にて受賞した。1975年に新潮社から刊行の戯曲集『熱海殺人事件』に収録された。
熱海殺人事件 | |
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作者 | つかこうへい |
国 |
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言語 | 日本語 |
ジャンル | 戯曲 |
初出情報 | |
初出 | 舞台公演 |
刊本情報 | |
収録 | 『熱海殺人事件』 |
出版元 | 1975年、新潮社 |
総ページ数 | 234 |
初演情報 | |
場所 | 文学座アトリエ |
初演公開日 | 1973年11月26日 |
演出 | 藤原新平 |
受賞 | |
第18回岸田国士戯曲賞 | |
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紀伊國屋ホールを拠点に再演を続け、『熱海殺人事件モンテカルロイリュージョン』『売春捜査官』などつか自身の作・演出によるさまざまなバージョンが上演された。また、1976年につか自身により小説化され、角川文庫で出版された。1986年にはつか自身が脚本を手がけ同タイトルで映画化された。
概要 編集
初演は1973年、文学座アトリエにて。そのときは藤原新平が演出を務め、刑事役は角野卓造が演じた。1975年にA班・B班・C班のトリプルキャストで上演され、1978年の紀伊国屋公演からはC班のキャスティングが採用された。それにより、初代木村伝兵衛は三浦洋一、初代刑事は平田満、初代犯人は加藤健一、初代ハナ子は井上加奈子という認識が一般的となっている。
主な登場人物は、タキシードを着た部長刑事・木村伝兵衛と、地方からやってきた新任の刑事、木村の愛人の婦人警官、恋人殺しの犯人の4人。物語の構図は、三流の犯人である大山金太郎を、木村伝兵衛が一流の犯人に育て上げる中で、新任の刑事、婦人警官、さらには木村自身も成長をしていくというもの。
1982年まではキャストも、木村伝兵衛が風間杜夫にバトンタッチされ、ハナ子も1981以降、角替和枝や岡本麗に変わった以外は変更が無く、内容もほとんど変化することはなかったが、1990年代から『熱海殺人事件』は様々なバージョンが作られ、変化している。基本となる設定や構図を残しつつ、役者を替えたり、台詞を変えたり、関係性や結末を変えたりしたもの、さらにバージョンによっては基本の物語すら異なるものもある。主役の木村伝兵衛の設定も、バージョンによって同性愛者だったり精神異常者だったり女性だったりする。1990年以降の婦人警官は水野朋子となる。
しかしながら、大音量の「白鳥の湖」をBGMに木村が電話でがなりたてるオープニングや、新任の刑事に渡す書類を地面にわざと落とし、木村が「拾ってください」というやり取り、木村が成長した犯人を花束で何度も打ち据えるシーンなど、この作品の名物となっている部分は、形は変わりつつも、どのバージョンにも数多く残っている。
異版 編集
主なものとして『熱海殺人事件』、『ソウル版熱海殺人事件』、『熱海殺人事件ザ・ロンゲストスプリング』、『熱海殺人事件モンテカルロ・イリュージョン』、『熱海殺人事件妹よ』、『熱海殺人事件サイコパス』、『売春捜査官』、『平壌から来た女刑事』がある。いずれもつかこうへい脚・演出による。また、さまざまな形・場所で上演されている作品であるが紀伊國屋ホールでの作品はつかこうへいの手で上演され続けていた。
つかこうへい死去後も、つかこうへい事務所制作により紀伊國屋ホールで『熱海殺人事件NEXT』を上演している。「紀伊國屋つかこうへい復活祭」と銘打ち、つかこうへい死去の翌年2011年に上演[2] 。今後もつかこうへいの遺志として紀伊國屋ホールで上演し続ける予定としている。
あらすじ 編集
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主な登場人物 編集
書誌情報 編集
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- 熱海殺人事件(1975年、新潮社)
小説 編集
小説 熱海殺人事件 | ||
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著者 | つかこうへい | |
発行日 | 1976年3月5日 | |
発行元 | 角川文庫 | |
ジャンル | 長編小説 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | 文庫判 | |
ページ数 | 224 | |
公式サイト | www.kadokawa.co.jp | |
コード | ISBN 978-4-04-142201-4 | |
ウィキポータル 文学 | ||
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『小説 熱海殺人事件』と題して1976年につかこうへい自身により小説化され、角川文庫で出版された。
書誌情報(小説) 編集
- 小説 熱海殺人事件(1976年3月5日、角川文庫、ISBN 978-4-04-142201-4)
映画版 編集
熱海殺人事件 | |
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監督 | 高橋和男 |
脚本 | つかこうへい |
原作 | つかこうへい |
製作総指揮 | 日枝久 |
出演者 |
仲代達矢 風間杜夫 志穂美悦子 竹田高利 |
音楽 | 久石譲 |
主題歌 | サンディー&ザ・サンセッツ「バッテリー」 |
撮影 | 田村正毅 |
編集 | 諏訪三千男 |
製作会社 |
フジテレビ 仕事 ジョイパックフィルム |
配給 | ジョイパックフィルム |
公開 | 1986年6月7日 |
上映時間 | 117分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
配給収入 | 4.1億円 |
1986年、フジテレビジョンなどの製作、ジョイパックフィルムの配給により公開。監督は高橋和男で、原作者のつかが脚本も担当している。つかは脚本執筆にあたり、木村伝兵衛の名では仲代達矢の重みを支えられないとして役名を二階堂伝兵衛に変更した。配給収入は4.1億円[3]。併映作は『四月の魚』。
この映画版『熱海殺人事件』は、同様につか戯曲を映画化した『蒲田行進曲』(1982年)が多くの称賛を浴びて成功したのとは一転して、舞台の『熱海殺人事件』を愛するファンや演劇人から酷評された[要出典]。
キャスト 編集
- 二階堂伝兵衛:仲代達矢
- 熊田留吉:風間杜夫
- 水野朋子:志穂美悦子
- 大山次郎:竹田高利
- 熊田うめ:中村たつ
- 二階堂洋子:高橋かおり
- 藤枝:岡本富士太
- 看守:平泉成
- 高倉裁判長:三谷昇
- 猿渡:石丸謙二郎
- 囚人:酒井敏也
- 吉岡:益岡徹
- 留吉の母:野村昭子
- 洋子の乳母:川上夏代
- 吉岡の妻:小柳みゆき
- 鬼島の息子:隆大介
- 朋子の婚約者:江藤潤
- 美由紀:大西多摩恵
- 飯山長官:高橋悦史
- 鬼島作二:大滝秀治
スタッフ 編集
受賞歴 編集
- 第10回日本アカデミー賞 優秀主演男優賞(仲代達矢)