神島 (三重県)
神島(かみしま)は伊勢湾口に位置する、周囲3.9 km、面積0.76 km2の島。志摩諸島の一島で三重県鳥羽市に属する[1]。三島由紀夫の小説『潮騒』の舞台になったことで有名。
神島 | |
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所在地 | 日本(三重県) |
所在海域 | 伊勢湾 (伊良湖水道) |
座標 | 北緯34度32分54秒 東経136度59分5秒 / 北緯34.54833度 東経136.98472度 |
面積 | 0.76 km² |
海岸線長 | 約3.9 km |
最高標高 | 171 m |
プロジェクト 地形 |
本項では本島にかつて存在した神島村(かみしまむら)についても記す。
概要
編集志摩諸島で本土から最も遠い島で、鳥羽市の本土から約14 km、愛知県側から約5 kmに位置する[1]。平成12年国勢調査では人口534人、平成22年国勢調査では人口402人であった[1]。『2001離島統計年報』によれば人口密度は703人/km2であり、全国の離島中15位である。
古くは、歌島(かじま)、亀島、甕島などと呼ばれた。神島の名が示すように、神の支配する島と信じられていた。後に八大龍王を祭神として八代神社(やつしろじんじゃ)が設けられた。神社には、古墳時代から室町時代にわたる総数百余点の神宝が秘蔵されている。各種の鏡(唐式鏡、和鏡)や陶磁器などである。
生活
編集- 水道
- かつては水を島内の2か所の小さなため池と井戸のみに頼っており、水不足にたびたび悩まされた。1979年(昭和54年)に鳥羽市より送水されるようになったが、本土の鳥羽市内も頻繁に水不足に悩まされる地域であったことから、鳥羽市とともに神島を含む離島もまた1992年(平成4年)4月より『南勢志摩水道用水供給事業』の蓮ダムから給水を受けている。蓮ダムからの安定した給水により、水洗トイレ普及率が100%になるなど島民の生活の質が大幅に改善された。しかし、2007年10月には、船舶の投錨を原因とする海底送水管の破損により島全体が断水する事態に陥った。
- 電力
- 電力に関して当初、漁業協同組合が島内に設置した発電所によって賄われていたが、離島振興法に基づき1964年(昭和39年)9月に中部電力(現・中部電力パワーグリッド)に譲渡され、ディーゼル発電機4台を備える神島発電所となった。しかし突発的需要に対応するだけの発電能力の不足やばい煙、騒音などの問題を解消するため、2005年(平成17年)、鳥羽市西部の堅神変電所から答志島に至る既設ケーブルを8 km延長する形で海底ケーブルが敷設され、本土より送電されるようになった。神島発電所は災害時など非常用に残されていたが、設備の老朽化により同発電所は停止することになり、2024年(令和6年)に増強のため電力海底ケーブルが追加で敷設された[2]。
地理
編集神島は伊勢湾の入口、渥美半島の伊良湖岬から伊良湖水道を挟んで約3.5 km、志摩半島の鳥羽佐田浜港から約14 kmで渥美半島寄りにある。鳥羽市側の菅島よりも伊良湖岬の方が近い。標高171 mの灯明山を中心として島全体が山地である。平坦地は少なく、漁港周辺の斜面に民家が密集している。
自然
編集歴史
編集かみしまむら 神島村 | |
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廃止日 | 1954年11月1日 |
廃止理由 |
新設合併 鳥羽町、加茂村、長岡村、鏡浦村、桃取村、答志村、菅島村、神島村 → 鳥羽市 |
現在の自治体 | 鳥羽市 |
廃止時点のデータ | |
国 | 日本 |
地方 | 東海地方、近畿地方 |
都道府県 | 三重県 |
郡 | 志摩郡 |
市町村コード | なし(導入前に廃止) |
総人口 |
1,318人 (国勢調査、1950年) |
隣接自治体 | 鳥羽町(航路を介して) |
神島村役場 | |
所在地 | 三重県志摩郡神島村 |
座標 | 北緯34度33分0.0秒 東経136度58分50.0秒 / 北緯34.550000度 東経136.980556度 |
ウィキプロジェクト |
教育
編集島内には1876年(明治9年)2月開校の鳥羽市立神島小学校と、1947年(昭和22年)5月5日開校の鳥羽市立神島中学校がある。島内に学習塾やカルチャーセンターのようなものはない[3]。
志摩諸島の離島には高等学校はなく、定期船で通学している生徒が多いが、神島は本土から最も遠く欠航頻度も高いことから本土に下宿している生徒もいる[1]。
産業
編集漁業
編集神島の主な産業は漁業で、コノシロ・カタクチイワシのほかにイセエビ・タコ・アワビ・マダイ・ワカメなどがとれる。蓮ダムからの給水が始まってからは、鮮魚の輸送・水産品の加工に大量の氷と水を使えるようになった。神島は鳥羽磯部漁業協同組合の管内である[4]。
観光
編集三島由紀夫の『潮騒』の舞台となった八代神社・神島灯台・監的哨跡を訪れる観光客や、新鮮な魚介類を求める観光客のほかに、アサギマダラや渡り鳥などの観察、釣りに訪れる人が多い。旅館・民宿はかつて合わせて10軒ほどあったが、現在は4軒にまで減り60人程度の宿泊客に対応している。長らく定期船は鳥羽市側からの市営航路しか存在しなかったが、1990年代に入ってから伊良湖港からの民営航路も開設され、浜松や豊橋方面からの訪問が容易になった。島を一周する遊歩道が整備されている。
2006年(平成18年)神島は愛を誓いプロポーズをするのに相応しい観光スポットとして、長崎県のハウステンボスや岡山県の倉敷チボリ公園などと共に恋人の聖地の30か所の1つに選ばれた。神島灯台そばの広場にプレートが設置されている。
文化
編集神島は様々な祭りが伝承されていることから「民俗学の宝庫」と呼ばれる[5]。
毎年1月1日未明に行われる八代神社のゲーター祭りは、南北朝時代の太陽信仰とも言われ、1977年(昭和52年)に三重県の無形民俗文化財に指定されている。
交通
編集登場する作品
編集- 『潮騒』(三島由紀夫) - 若い男女の恋心を青々しくも清澄な鼓動で描く。
- 『わしらは怪しい探険隊』(椎名誠) - 東ケト会の行動録を、神島におけるキャンプを中心に描いた作品。
- 『昨日は彼女も恋してた』『明日も彼女は恋をする』(入間人間) - タイムトラベルとパラレルワールドを題材にした作品。上下2巻で構成。
出身者
編集脚注
編集- ^ a b c d “三重県 離島振興計画(平成25年度~24年度)”. 国土交通省. 2021年10月10日閲覧。
- ^ “海底ケーブル布設工事を公開 中部電力パワーグリッド、鳥羽・神島町で”. 伊勢新聞 (2024年6月7日). 2024年6月9日閲覧。
- ^ 三重大学"「かみしま潮騒太鼓を育てる会」について"2001年2月3日(2011年9月22日閲覧。)
- ^ “機構図”. 鳥羽磯部漁業協同組合. 2020年1月2日閲覧。
- ^ 土屋久「島の精神文化誌(第3話)ゲーター祭」『しま』第55巻4号、2010年、92-111頁。
- ^ “小久保 純一(こくぼ じゅんいち)”. 名古屋芸術大学. 2021年7月15日閲覧。
- ^ “鳥羽市長選 小久保氏が出馬表明 元市議、再生へ経験生かす”. 伊勢新聞 (2020年11月17日). 2021年7月15日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 鳥羽市営定期船
- 神島観光船 - 伊良湖 - 神島の旅客船
- アーカイブ 2007年9月27日 - ウェイバックマシン - 2002年に神島小学校5年生・6年生が作ったガイド
- 恋人の聖地プロジェクト 神島のページ