太平洋岸自転車道

太平洋沿岸に整備中の自転車道群

太平洋岸自転車道(たいへいようがんじてんしゃどう)は、太平洋沿岸に整備中の自転車道群である。千葉県銚子市から和歌山県加太海岸和歌山市)まで、全長1200キロメートルにもおよぶ太平洋岸沿いの大規模なサイクリングロードである[1]

自転車道(県道)
太平洋岸自転車道
陸上区間 約1200 km(うち供用区間384 km)
制定年 1973年
起点 千葉県銚子市(発言通り茨城県鹿嶋市が起点とも言われる)
主な
経由都市
終点 和歌山県和歌山市
接続する
主な道路
記法
テンプレート(ノート 使い方) PJ道路
太平洋岸自転車道の標識
静岡市駿河区。2012年12月)

二つのルートが設定されている区間を含めた総延長は約1400キロメートル。国と沿道6県などによる太平洋岸自転車道推進協議会が設立され、標識・表示などの統一と、2020年東京オリンピックまでの整備を目指し[2]、2021年に所期の整備を終えた。

構想 編集

急激なモータリゼーションによる交通事故の多発や、第二次サイクリングブームを背景に、昭和41年のちに財団法人自転車道路協会に改組される自転車道路建設促進協議会が設立され自転車道法案の成立を目指した。昭和43年に、財団法人自転車道路協会が全国一周自転車道路網構想をかかげ、その第一弾として昭和44年に「太平洋岸自転車道建設に関する陳情書」を提出した[3][4]。その後自転車道の整備等に関する法律が制定され、それに基づく大規模自転車道整備事業の目玉の一つとして太平洋岸自転車道が構想された。1973年2月23日の衆議院交通安全対策特別委員会[5]で政府委員・菊池三男建設省道路局長は、「単独の、自転車だけしか通らない県道」として「鹿島から房総半島を一周して、伊豆半島を通り、そのまま和歌山のほう紀伊半島までいくというような」太平洋岸自転車道の整備を可能にする措置を講じたいと発言している。また同局長の1974年2月20日の衆議院交通安全対策特別委員会[6]での発言では「レクリエーション的なもの」が大きいとされている。

東京オリンピックに合わせた整備では、ナショナルサイクルルートの要件を満たすべく、既存の公共施設や民間施設と連携することによりゲートウェイ施設や休憩施設宿泊施設を整備する一方、専用道路に限らず、既存の車道に自転車ナビライン等を標示する車道混在整備を併用することで実現を目指しており[7]、所期の整備を2021年1月までに終え[8]、第二次ナショナルサイクルルートで指定された[9]


個別路線 編集

以下の道は、大規模自転車道事業の一環で自転車歩行者専用道路として整備された、もしくはその計画であったものである。

2020年のナショナルサイクルルートに向けての整備では、西湘バイパス沿いの一般国道1号太平洋岸自転車道大磯区間(神奈川県大磯町)などのように専用道路として整備された区間もあるが、専用道路は196 kmにとどまっている[10]。他は、既存の道路に矢羽根を標示する車道混在整備を施した区間が大半である[11]

東京湾口(浦賀水道)と伊勢湾口(伊良湖水道)は船(東京湾フェリー伊勢湾フェリー)の利用を想定している(海上国道を参照)[2][12]

サイクルトレイン 編集

いくつかの区間ではサイクルトレインが運行されている。 JR東日本では房総半島の各地に向けてB.B.BASEが運行されている。 伊豆急行線南伊東駅から伊豆急下田駅間では8000系普通列車に乗せることができる。 近畿日本鉄道松阪駅(土休日)もしくは五十鈴川駅(平日)から賢島駅間の昼間時間帯の普通列車 紀勢本線の一部御坊駅新宮駅間では普通列車にそのまま、白浜駅と新宮駅間では特急くろしおで自転車乗車の指定席を予約し貸与されたカバーを装着して乗車することができる。和歌山駅と御坊駅の間でも普通列車に予約制の試験サービスが始まる。

ゲートウェイ施設 編集

ナショナルサイクルルート指定要件であるゲートウエイ施設には以下の施設が指定されている[13]

千葉県 編集

神奈川県 編集

静岡県 編集

愛知県 編集

三重県 編集

和歌山県 編集

脚注 編集

  1. ^ 浅井建爾『道と路がわかる辞典』(初版)日本実業出版社、2001年11月10日、176-177頁。ISBN 4-534-03315-X 
  2. ^ a b 「自転車道 太平洋結べ/銚子-和歌山間 東京五輪までに整備/国と各県などが合意」東京新聞』朝刊2018年12月28日(7面)2019年1月18日閲覧。
  3. ^ 金籠史彦自転車活用推進本部次長・国土交通省道路局参事官インタビュー - TABI RIN
  4. ^ 平成21年度自転車乗用に関する調査研究事業報告書 競輪、オートレースの補助事業
  5. ^ 第71回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第2号 昭和48年2月23日 | テキスト表示 | 国会会議録検索システム
  6. ^ 第72回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第6号 昭和49年2月20日 | テキスト表示 | 国会会議録検索システム
  7. ^ 太平洋岸自転車道のアクションプランについて(令和2年3月27日更新) 国土交通省近畿地方整備局
  8. ^ 自転車道1400キロ整備完了 和歌山~千葉に道しるべ 紀伊民報
  9. ^ 第2次ナショナルサイクルルートを指定しました - 国土交通省
  10. ^ 太平洋自転車道のアクションプランについて 令和2年12月18日行進
  11. ^ 国道127号線(「内房なぎさライン」)の明鐘岬付近のトンネル群は自転車通行は極めて危険である。
  12. ^ 2020 年東京オリンピック・パラリンピック までに太平洋岸自転車道をつなぐ取り組み ~第1回太平洋岸自転車道推進協議会の開催について~”. 国土交通省関東地方整備局道路部(2018年11月26日作成). 2019年4月18日閲覧。
  13. ^ ルートマップ

関連項目 編集

外部リンク 編集