カルト映画
カルト映画(カルトえいが)またはカルトフィルム、カルトムービーは、熱心な映画ファンや映画評論家に支持されているあまり有名ではない映画のことである。なお、一部有名な映画が含まれることもある。
概要編集
ジャンルやテーマによる分類方法ではなく、その作品が“特定の観客にどのように受け入れられているか”、という現象面によって分類されるべき映画である。厳密な分類は期待できず、時代や社会の変化によって、カルトムービーの定義も変化する。ある映画がカルト映画として成立していく条件は、特定の観客や映画評論家がその映画をどう受け止めるかにかかっている(商業的な成績は関係ないが、一般に「狭く深い熱烈なファンをもつ作品」であることから、あまり成功してはいないことが多い)。映画評論家のハリー・ポタムキンは、チャーリー・チャップリンの喜劇映画もカルト・ムービーの中に含んでいる".[1]
例えば、1975年製作のイギリス映画『ロッキー・ホラー・ショー』(原題:The Rocky Horror Picture Show)は、公開当時は商業的大失敗に終わったが、翌年のニューヨークでの深夜上映会を皮切りに、パーティのような気分で劇場に通い詰める観客が急増していき、アメリカではある種の社会現象のようになっていった。この映画を最初のカルト映画(として認識されたもの)として推す声は、アメリカでは多い。しかし日本では同作をカルト映画とする声は、多くはない。それ以前の作品で現在カルト映画と認められているものは、後世の評価としてカルト映画と認識された作品、ということになる。
また、1970年代以降「ミッドナイトムービー」と呼ばれて深夜上映されたアート系映画と、「グラインドハウス映画」と呼ばれる老朽した映画館で二本立て・三本立てで上映されたエクスプロテーション系のB級映画の二つが、アメリカにおける「カルト映画」の大きな潮流となっている[2]。
参考書籍編集
- 『カルト映画館 ホラー』永田よしのり(1995年9月、社会思想社、ISBN 978-4390115797)
- 『カルト映画館 SF』永田よしのり(1996年11月、社会思想社、ISBN 978-4390115988)
- 『カルト映画館 ミステリー&サスペンス』永田よしのり(1998年12月、社会思想社、ISBN 978-4390116282)
- 『カルト映画館 アクション』永田よしのり(2000年5月、社会思想社、ISBN 978-4390116350)
- 『映画秘宝が選ぶ日本のカルト映画50!』(2000年4月、洋泉社、ISBN 978-4896914566)
- 『映画秘宝EX 映画の必修科目10 仰天カルトムービー100』(2011年9月、洋泉社、ISBN 978-4862488084)
- 『映画秘宝EX 映画の必修科目10 仰天カルトムービー100 PART2』(2014年9月、洋泉社、ISBN 978-4800304919)
- 『カルトムービー 本当に面白い日本映画 1945→1980』桂千穂(2013年12月、メディアックス、ISBN 978-4862014597)
- 『別冊カルトムービー Jホラー、怖さの秘密』(2014年3月、メディアックス、ISBN 978-4862014696)
- 『カルトムービー 本当に面白い日本映画 1981→2013』桂千穂(2014年4月、メディアックス、ISBN 978-4862014726)
- 『カルトムービー 本当に恐ろしいホラー映画』桂千穂(2014年7月、メディアックス、ISBN 978-4862014856)
- 『日本カルト映画全集』(ワイズ社)
- 1作品1冊で紹介している。
- 「恐怖奇形人間 : 江戸川乱歩全集」(1995年、ISBN 4948735299)
- 「十七人の忍者」円尾敏郎編(1995年、ISBN 4948735337)
- 「夢野久作の少女地獄」小野善太郎編(1995年、ISBN 4948735361)
- 「天使の欲望」小張アキコ編(1995年、ISBN 4948735388)
- 「沓掛時次郎 遊侠一匹」鈴村たけし編(1995年、ISBN 4948735396)
- 「女地獄・森は濡れた」筒井武文編(1995年、ISBN 494873540X)
- 「盲獣」日本カルト映画倶楽部編(1996年、ISBN 4948735442)
- 「女獄門帖 引き裂かれた尼僧」筒井武文、多田功編(1996年、ISBN 4948735450)
- 「狐の呉れた赤ん坊」円尾敏郎編(1996年、ISBN 4948735469)
- 「暴行切り裂きジャック」北里宇一郎編(1996年、ISBN 4948735507)
カルト映画の例編集
カルトの帝王編集
ときには、カルトの帝王と呼ばれる場合もある映画監督を以下に例示する。
- アレハンドロ・ホドロフスキー[3]
- 石井輝男 - 亡くなった際に「追悼 カルトの帝王 石井輝男まつり」が開催される[4]。
- デヴィッド・リンチ
- フィリップ・リドリー - ポスト“デヴィッド・リンチ”と評される[5]。
脚注編集
- ^ cite book|title=The Cult Film Reader|last=Potamkin|first=Harry Allen|editor1-last=Mathijs|editor1-first=Ernest|editor2-last=Mendik|editor2-first=Xavier|publisher=McGraw-Hill International|isbn=978-0-335-21923-0|page=26 |06 April 2020 閲覧
- ^ 別冊映画秘宝『グラインドハウス映画入門』、洋泉社、2007年8月、ISBN 978-4862481900
- ^ “東京都・渋谷で"カルトの帝王"ホドロフスキー監督と妻によるドローイング展” (2014年8月7日). 2015年4月7日閲覧。
- ^ “追悼石井輝男まつり”. 2015年4月7日閲覧。
- ^ ““カルトの帝王”フィリップ・リドリーの14年ぶり監督作、5月公開” (2013年4月12日). 2015年4月7日閲覧。
関連項目編集
外部リンク編集
- ミッドナイトムービー 映画情報サイト cinemacafe.net - ウェイバックマシン(2012年3月9日アーカイブ分)