内閣総理大臣夫人

日本の内閣総理大臣の配偶者

(ないかくそうりだいじんふじん)は、日本内閣総理大臣配偶者のことである。2023年現在、日本の内閣総理大臣に就任したのはすべて男性であるため、その配偶者を示す用語として使われている。

日本の旗 日本
内閣総理大臣夫人
Spouse of the Prime Minister of Japan
現職者
岸田裕子(第64代)

就任日 2021年令和3年)11月10日
創設1885年明治18年)12月22日
初代伊藤梅子
略称総理夫人
通称首相夫人、ファーストレディー

概説 編集

内閣総理大臣夫人は内閣総理大臣の配偶者である。その人物が私人である場合でも、首相の外遊への随行や、災害被災地の慰問、文化事業の視察、運動競技の参観、来賓の歓迎行事や晩餐会などへの随伴、また首相の名代として参加することがある。しかし内閣総理大臣夫人は公職ではなく、その公的活動の根拠となる法律も存在しないため、日本を代表して公的行事に参加することに対しては議論がある。

日本では首相夫人の活動をサポートする予算や法律は特に存在しないが、公的な活動にかかる費用については「国家公務員等の旅費に関する法律」等の法律に基いて財務省が定めた運用方針に従い拠出される。

第1次安倍内閣では、首相官邸を拠点に活動する安倍晋三首相と首相公邸を拠点に「ファーストレディ」として積極的な活動を見せた昭恵夫人との連絡調整を主な任務とする「首相公邸連絡調整官」が設けられ、首相夫人をサポートする体制が整えられた。次の福田内閣福田康夫首相・貴代子夫人)にて廃止されたが、第2次安倍内閣が発足すると内閣総理大臣夫人付として復活した。

日本では総理夫人の活動が大きく報道されることは少ないが、公的な活動に積極的に参加する首相夫人も少なくはなく、「ジャパンズ・ファーストレディ(Japan's first lady)」の呼称とともにメディアに露出する機会も増えつつある。

第3次安倍内閣では、2017年3月に「『内閣総理大臣夫人』は、公人ではなく私人であると認識している」とする答弁書を閣議決定した[1][2]

1989年の宇野内閣以降は内閣総理大臣夫人も資産公開制度の対象となっている。

内閣総理大臣夫人の一覧 編集

画像 総理夫人名 夫の在任期間
(総理)
1
伊藤梅子  1885年12月22日 - 1888年4月30日
1892年8月8日 - 1896年8月31日
1898年1月12日 - 1898年6月30日
1900年10月19日 - 1901年5月10日
伊藤博文 
2
黒田滝子 1888年4月30日 - 1889年10月25日 黑田清隆
3
山縣友子 1889年12月24日 - 1891年5月6日 山縣有朋
4
松方満佐子 1891年5月6日 - 1892年8月8日
1896年9月18日 - 1898年1月12日
松方正義
5
大隈綾子 1898年6月30日 - 1898年11月8日
1914年4月16日 - 1916年10月9日
大隈重信
- (不在[注釈 1] 1898年11月8日 - 1900年10月19日 山縣有朋
6
桂可那子 1901年6月2日 - 1906年1月7日
1908年7月14日 - 1911年8月30日
1912年12月21日 - 1913年2月20日
桂太郎
- (不在) 1906年1月7日 - 1908年7月14日
1911年8月30日 - 1912年12月21日
西園寺公望
7
山本登喜子 1913年2月20日 - 1914年4月16日
1923年9月2日 - 1924年1月7日
山本權兵衛
8
寺内タキ 1916年10月9日 - 1918年9月29日 寺内正毅
9
原浅 1918年9月29日 - 1921年11月4日 原敬
10
高橋品子 1921年11月13日 - 1922年6月12日 高橋是清
11
加藤キヨ子 1922年6月12日 - 1923年8月24日 加藤友三郎
12
清浦錬子 1924年1月7日 - 1924年6月11日 清浦奎吾
13
加藤春路 1924年6月11日 - 1926年1月28日 加藤高明
14
若槻徳子 1926年1月30日 - 1927年4月20日
1931年4月14日 - 1931年12月13日
若槻禮次郎
15
田中壽天 1927年4月20日 - 1929年7月2日 田中義一
16
濱口夏 1929年7月2日 - 1931年4月14日 濱口雄幸
17
犬養千代子 1931年12月13日 - 1932年5月16日 犬養毅
18
斎藤春子 1932年5月26日 - 1934年7月8日 齋藤實
- (不在) 1934年7月8日 - 1936年3月9日 岡田啓介
19
廣田静子 1936年3月9日 - 1937年2月2日 廣田弘毅
20
林初治 1937年2月2日 - 1937年6月4日 林銑十郎
21
近衞千代子 1937年6月4日 - 1939年1月5日
1940年7月22日 - 1941年10月18日
近衞文麿
- (不在) 1939年1月5日 - 1939年8月30日 平沼騏一郎
22
阿部ミツ 1939年8月30日 - 1940年1月16日 阿部信行
23
米内こま 1940年1月16日 - 1940年7月22日 米内光政
24
東條かつ子 1941年10月18日 - 1944年7月22日 東條英機
25
小磯馨子 1944年7月22日 - 1945年4月7日 小磯國昭
26
鈴木たか 1945年4月7日 - 1945年8月17日 鈴木貫太郎
27
稔彦王妃聰子内親王 1945年8月17日 - 1945年10月9日 東久邇宮稔彦王
28
幣原雅子 1945年10月9日 - 1946年5月22日 幣原喜重郎
29
吉田喜代 1946年5月22日 - 1947年5月24日
1948年10月15日 - 1954年12月10日
吉田茂
30
片山菊江 1947年5月24日 - 1948年3月10日 片山哲
31
芦田寿美 1948年3月10日 - 1948年10月15日 芦田均
32
鳩山薫 1954年12月10日 - 1956年12月23日 鳩山一郎
33
石橋うめ  1956年12月23日 - 1957年2月25日 石橋湛山
34
岸良子 1957年2月25日 - 1960年7月19日 岸信介
35
池田満枝 1960年7月19日 - 1964年11月9日 池田勇人
36
佐藤寛子 1964年11月9日 - 1972年7月7日 佐藤榮作
37
田中はな 1972年7月7日 - 1974年12月9日 田中角榮
38
三木睦子 1974年12月9日 - 1976年12月24日 三木武夫
39
福田三枝 1976年12月24日 - 1978年12月7日 福田赳夫
40
大平志げ子 1978年12月7日 - 1980年6月12日 大平正芳
41
鈴木さち 1980年7月17日 - 1982年11月27日 鈴木善幸
42
中曽根蔦子 1982年11月27日 - 1987年11月6日 中曾根康弘
43
竹下直子 1987年11月6日 - 1989年6月3日 竹下登
44
宇野千代 1989年6月3日 - 1989年8月10日 宇野宗佑
45
海部幸世 1989年8月10日 - 1991年11月5日 海部俊樹
46
宮澤庸子 1991年11月5日 - 1993年8月9日 宮澤喜一
47
細川佳代子 1993年8月9日 - 1994年4月28日 細川護熙
48
羽田綏子 1994年4月28日 - 1994年6月30日 羽田孜
49
村山ヨシヱ 1994年6月30日 - 1996年1月11日 村山富市
50
橋本久美子 1996年1月11日 - 1998年7月30日 橋本龍太郎
51
小渕千鶴子 1998年7月30日 - 2000年4月5日 小渕恵三
52
森智恵子 2000年4月5日 - 2001年4月26日 森喜朗
- (不在[注釈 2] 2001年4月26日 - 2006年9月26日 小泉純一郎
53
安倍昭恵 2006年9月26日 - 2007年9月26日
2012年12月26日 - 2020年9月16日
安倍晋三
54
福田貴代子 2007年9月26日 - 2008年9月24日 福田康夫
55
麻生ちか子 2008年9月24日 - 2009年9月16日 麻生太郎
56
鳩山幸 2009年9月16日 - 2010年6月8日 鳩山由紀夫
57
菅伸子 2010年6月8日 - 2011年9月2日 菅直人
58
野田仁実 2011年9月2日 - 2012年12月26日 野田佳彦
59
菅真理子 2020年9月16日 - 2021年10月4日 菅義偉
60
岸田裕子 2021年10月4日 - 現職 岸田文雄

ギャラリー 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 1893年に友子は死去。妾だった元日本橋芸妓・吉田貞子[3]が事実上の夫人になったが、入籍は行っていない[4][5]
  2. ^ 小泉は1982年に宮本佳代子と離婚[6]。再婚はしていない。ブッシュ大統領来日時には、福田貴代子(当時内閣官房長官であった康夫の妻)がファーストレディーの代役を務めた[7]

出典 編集

  1. ^ 衆議院議員逢坂誠二君提出内閣総理大臣夫人の法的地位に関する質問に対する答弁書” (2017年3月14日). 2017年3月28日閲覧。
  2. ^ “首相夫人「公人でない」=政府”. 時事ドットコム. (2017年3月17日). http://www.jiji.com/jc/article?k=2017031400542&g=pol 2017年3月28日閲覧。 
  3. ^ 椿山荘の女王・吉田貞子『現代之人物観無遠慮に申上候』河瀬蘇北、二松堂書店、1917年
  4. ^ 『明治美人伝』 長谷川時雨
  5. ^ 伊藤之雄『山県有朋-愚直な権力者の生涯』文藝春秋文春新書〉、2009年。ISBN 978-4-16-660684-9  p288-290
  6. ^ 小泉純一郎氏の元妻、33年の沈黙破る 「生き別れ」進次郎氏らへの思い、女性誌に明かす”. J-CAST ニュース (2016年3月5日). 2022年11月6日閲覧。
  7. ^ 好物はステーキ、福田首相の貴代子夫人 - Sponichi Annex”. web.archive.org (2008年2月20日). 2022年11月6日閲覧。

参考文献 編集

  • 『閨閥 特権階級の盛衰の系譜』改訂新版(神一行 著、角川書店、2002年)
  • 『永田町おんな太閤記 総理夫人とっておきの話』(小林吉弥 著、現代書林、1983年)
  • 『昭和の宰相』全6巻(戸川猪佐武 著、講談社、1982年)

関連項目 編集

外部リンク 編集