塗仏の宴 宴の支度

塗仏の宴 宴の支度』(ぬりぼとけのうたげ うたげのしたく)は京極夏彦の長編推理小説妖怪小説。百鬼夜行シリーズ第六弾である。『塗仏の宴』は本作『宴の支度』と『宴の始末』との二部作となっている。

塗仏の宴 宴の支度
著者 京極夏彦
発行日 1998年3月30日
発行元 講談社
ジャンル 推理小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 講談社ノベルス新書判
ページ数 616
前作 絡新婦の理
次作 塗仏の宴 宴の始末
コード #書誌情報参照
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目次

書誌情報編集

各話概要編集

ぬっぺっぽう編集

関口巽は妹尾友典の紹介で元警察官の光保公平と出会い、韮山にかつて存在したという「戸人村」の調査を依頼される。光保によればかつてそこで駐在を務めていたが、戦後戻って来てみるとその村は存在そのものが抹消されていた。関口は地元の警官・淵脇と、道中で出会った流浪の物書き・堂島静軒と共に、韮山を訪れる。そこで彼らが目撃した真実、この世にはありえるはずの無い存在のものとは…。

うわん編集

一柳朱美は神奈川を離れ、静岡に身を移して暮らしていた。ある日、村上兵吉と名乗る男の自殺未遂現場に出くわし、彼を救って介抱する。彼はある過去の事情から「薬売り」に対して恐怖を抱いていた。同じ頃、隣人の松嶋ナツの下には「成仙道」という新興宗教の勧誘が毎日のように来ていた。騒ぎを聞きつけた朱美が少し外へ出てナツと話している最中、村上が再び自殺を図る…。

ひょうすべ編集

関口巽は京極堂の同業で先輩でもある宮村香奈男と知り合う。彼は知り合いの加藤麻美子という女性が祖父のことである悩みを抱えていることを京極堂に相談に来ていた。麻美子の祖父は最近怪しげな新興宗教のような団体に気触れ、財産を注ぎ込んでおり、彼女は祖父をその団体から脱退させたいのだという。しかし、彼女もまた華仙姑処女という謎の占い師に心酔し、多額の寄付をしていた。

わいら編集

中禅寺敦子は韓流気道会という道場取材を行い、それに関する記事を掲載した。本人は好意的に書いたつもりの記事だったが、韓流気道会から大反発を買い、門下生らに付け狙われることになってしまう。そんな中、敦子は華仙姑処女と名乗る女と知り合う。彼女もまた韓流気道会に狙われているのだという。二人で必死に逃げるが、人気のない路地に追い込まれ絶体絶命に。そこに榎木津礼二郎が現れる。

しょうけら編集

木場修太郎は行き付けの酒場「猫目洞」の女主人である竹宮潤子から三木春子という女性を紹介される。彼女は工藤信夫という男からストーカーの被害を受けており、困っているという。相談に乗ることにした木場が詳細を尋ねると、毎週、工藤から春子宛てに手紙が送られてきており、そこには春子の一週間の行動が綿密に書き記されているという。春子の部屋を調査するも、覗き見が不可能であることが分かっただけだった。

おとろし編集

織作茜は織作家の遠縁と名乗る羽田隆三という男と織作家の家や土地に関する商談を行っていた。羽田は言い値で家や土地を買い取る代わりに自分の部下になるようにと迫ってきていた。そんな中羽田は部下に静岡県韮山の辺鄙な土地を買うように迫られ疑念を抱き、榎木津礼二郎に調査を依頼しようとしたがすっぽかされ、代わりに茜と秘書の津村信吾を韮山に行かせる。

登場人物編集

主要登場人物は百鬼夜行シリーズを参照。

中禅寺 秋彦(ちゅうぜんじあきひこ)
安倍晴明の流れを汲む陰陽師にして拝み屋であり、古本屋を営む。屋号である「京極堂(きょうごくどう)」があだ名となっている。非常に博学な人物である。
関口巽(せきぐち たつみ)
小説家で鬱病を患っている。京極堂の友人(京極堂は知人と称す)。
榎木津 礼二郎(えのきづ れいじろう)
「薔薇十字探偵社」の破天荒な私立探偵。中禅寺と関口の旧制高等学校の一期先輩。特殊な能力を持っている。
中禅寺敦子(ちゅうぜんじ あつこ)
京極堂の妹で新聞記者。
木場修太郎(きば しゅうたろう)
京極堂・関口・榎木津の友人で刑事。
益田龍一(ますだ りゅういち)
刑事を辞め、榎木津の下で探偵助手を務める。


ぬっぺっぽう編集

光保公平(みつやすこうへい)
静岡県警に所属していた元警察官。自称、怖がり。のっぺらぼうに似ているとよく周囲から言われるらしく、彼自身も執拗に拘っている。現在は室内装飾業を営む。
津村辰藏(つむらたつぞう)
巡回研師。戸人村の住人が消えていることに気付き通報するが、その後憲兵に連行され行方不明となり一年後、廃人同然となって戻ってきて、その一月後に自殺した。
佐伯癸之介(さえききのすけ)
光保が戸人村に駐在していた頃の佐伯家当主。
佐伯初音(さえきはつね)
癸之介の妻。
佐伯甲兵衛(さえきこうべえ)
癸之介の父。
佐伯亥之介(さえきいのすけ)
癸之介の息子。
佐伯布由(さえきふゆ)
癸之介の娘。
佐伯乙松(さえきおとまつ)
癸之介の弟。
佐伯玄蔵(さえきげんぞう)
佐伯家の分家筋。戸人村唯一の医者漢方医)。
佐伯甚八(さえきじんぱち)
玄蔵の息子。本家で暮らしているが使用人のように扱われている。
岩田壬兵衛(いわたじんべえ)
玄蔵の父。佐伯家を勘当されたが度々村に戻ってきてはトラブルを起こしていた。
淵脇(ふちわき)
静岡県警の駐在所に勤務する警官。階級は巡査熊本県出身。
堂島静軒(どうじませいけん)
郷土史家を自称する謎の男。京極堂とは対照的な「この世には不思議でないものなどない」という言葉をよく口にする。
熊田有吉(くまだゆうきち)
かつて戸人村があったとされる場所に住んでいる老人。

うわん編集

村上兵吉(むらかみへいきち)
首吊り自殺を図ろうとしたところを朱美に助けられる。螺子工場を経営していたが倒産したという。「みちの教え修身会」に入会している。
松嶋ナツ(まつしまなつ)
朱美の隣人。童女のような顔立ちをしているが子持ちで非常に気が強い。「成仙道」を毛嫌いしている。
尾国誠一(おぐにせいいち)
ベテランの置き薬商人。朱美達夫婦に何かと手を貸していた。
刑部昭二(おさかべしょうじ)
成仙道の人間でナツをしつこく勧誘する。

ひょうすべ編集

宮村香奈男(みやむらかなお)
川崎で古書店「薫紫亭」営む京極堂の同業者で、その道では京極堂でも太刀打ち出来ない達人らしい。

周囲からは「先生」と呼ばれている。

加藤麻美子(かとうまみこ)
宮村の知人で、去年まで「小説創造」の編集者をしていた。祖父の様子がおかしいことを宮村を介して京極堂に相談した。
加藤只二郎(かとうただじろう)
麻美子の祖父。「みちの教え修身会」に入会して以来、様子が変わった。磐田純陽とは旧知の間柄。
磐田純陽(いわたじゅんよう)
「みちの教え修身会」会長。

わいら編集

華仙姑処女(かせんこおとめ)
必ず当たるという世間で評判の謎の女占い師。本人は占いを生業にしているつもりは無い。
宮田耀一(みやたよういち)
三軒茶屋にある条山房という漢方薬局で働く、丸眼鏡の小男。暴行を受けた敦子を介抱する。
岩井崇(いわいたかし)
韓流気道会の師範代。敦子の取材にも対応した。記事の腹いせに敦子を襲おうとする。その実力は一対一なら警官でも圧倒する。

しょうけら編集

張果老(ちょうかろう)
条山房の漢方薬調剤師。老齢だが武道の達人であり、韓流気道会の門下生を複数同時に相手にしても軽くあしらい、師範代の岩井すら軽く捻じ伏せるほどである。通称、通玄(つうげん)。
藍童子(らんどうじ)
照魔の術を使うという謎の少年。その力を使い警察に捜査協力をしている。
三木春子(みつきはるこ)
お潤の知り合い。ストーカーの被害に遭っていることを木場に相談する。人一倍記憶力がいい。
工藤信夫(くどうのぶお)
春子をストーカーしている男。木場が訪ねていった日に窃盗罪で逮捕された。
岩川真司(いわかわしんじ)
警視庁目黒署刑事部捜査二課に所属する刑事。階級は警部補。木場の所轄時代の同僚。

おとろし編集

羽田隆三(はたりゅうぞう)
羽田製鐵取締役顧問。茜の祖父の実弟にあたる。徐福が(秦氏の子孫とされる)羽田家のルーツと考えており、「徐福研究会」の発起人でもある。
羽田桝太郎(はたますたろう)
隆三の父。羽田製鐵創始者。
津村信吾(つむらしんご)
隆三の第一秘書。実直な性格で隆三の信頼度も高いが、実はある目的のために隆三に取り入った。
多々良勝五郎(たたらかつごろう)
京極堂の友人で自称妖怪研究家。妖怪の話で京極堂と互角に渡り合えるほど妖怪に詳しい。かつて殺人事件に巻き込まれた際に京極堂に助けてもらったらしい。多田克己モデルとなっている人物。
南雲正陽(なぐもせいよう)
羽田製鐵経営コンサルタント。「太斗風水塾」というところで風水をしており、経営方針などを風水で決めている。
東野鉄男(ひがしのてつお)
「徐福研究会」の世話役。実際には研究所の運営も任されている。

関連項目編集