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鳴き砂(なきすな、英語: Singing sand)または鳴り砂(なりすな)とは、砂の上を歩くとキュッと鳴るをいう。地域によっては「なりすな」とも呼ばれ、鳴り砂泣き砂と表記している。島根県の琴ヶ浜のある馬路では昔から「鳴り砂」と表記し看板などに使用されている。一時期「鳴き砂」とした時があったが、また昔の表記に変わった。鳴砂は、2007年に「全国鳴き砂(鳴り砂)ネットワーク」が決定した統一表記法である(#「なき砂」か「なり砂」か参照)。世界的には、砂漠の砂が風で鳴る「鳴沙山」の現象も含めてた広い意味で使われる言葉である。

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島根県大田市(旧邇摩郡)仁摩町馬路町 琴ヶ浜(近影)

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島根県大田市(旧邇摩郡)仁摩町馬路町にある琴ヶ浜(海に向かって右端/地元では、“砂外れ”と呼ばれている)を歩いた音(2004年10月12日収録)
(284KB、17秒)

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ほんのわずかな環境の変化で鳴かなくなることから、「環境のバロメーター」と称される[1][2]

目次

概要編集

鳴き砂,鳴り砂は、一般的には石英粒を多く含む砂が急激な砂層の動きにより表面摩擦を起こし音を出す現象である。

日本国内には、十八鳴浜(くぐなりはま、宮城県)、 琴ヶ浜(石川県)、琴引浜(京都府)、琴ヶ浜(島根県)をはじめとして多数の鳴き砂,鳴り砂の海岸が存在する。伝説、民話の題材となったものがある。

日本国外では、海岸はもとより内陸部にある沙漠砂丘の砂でも鳴るものがある。砂漠の鳴砂の場合、堆積した砂の山が強風によって崩壊したり人為的に砂山を崩壊させたりする(砂の雪崩現象が発生する)と砂が擦れて音を出す。英語では、鳴き砂、鳴り砂のことを"singing sand"、"whistling sand "または"musical sand"などと言う。

砂が鳴る仕組み編集

音の発生は砂粒の表面摩擦に起因する砂層の振動によるものと考えられているが、その詳細なメカニズムはまだ分かっていない。最もよく知られているのはBagnoldのすべり面説[3]である。砂の中にすべり面(砂の塊が動きやすくなる面)が生じて、stick-slip現象に伴いすべり面上の粉体層が弾性的に懸垂されているかのように鉛直方向に振動すると考える。1980年代に入り、同志社大学の日高重助教授らによって、強力なX線によるすべり面の連続撮影が行われ、stick-slip現象が詳しく調べられた。最近の流体力学による研究によって、すべり面は一つの平面ではなく、幅約5mm程度の無秩序で激しく運動する砂粒子層からなり、この境界層の振動によるとするslip channel説[4]が提案された。さらに、砂漠のBooming音についての大掛かりな実験から、地下2m付近に音速の不連続面が存在していて、砂が滑り落ちるときに上部の砂層が共鳴して大きな音になるとするwaveguide model[5]も提案されている。2000年代以降は砂層のバネ的性質に関心が集まり、詳細な鳴き砂の発音メカニズムの解明が進められようとしている。

鳴き砂、鳴り砂の成分は石英粒が主体で、砂全体に対してほぼ62パーセント以上含んでいるものが多い。イタンキ浜の石英含有率は67.7パーセント[6]九九鳴浜の石英含有率は96.1パーセント[6]十八鳴浜の石英含有率は85.8パーセント[6]琴引浜の石英含有率は77.5パーセント[6]琴ヶ浜の石英含有率は76.3パーセント[6]。鳴るためにはゴミ(浮遊性の植物起源のゴミは含まない)が少ない必要があり、また、自然界の鳴き砂は粒度範囲が限られ(地質学で砂と定義されている粒度範囲)1mm以上の砂、200μm以下の砂の鳴り砂、鳴き砂はないようである。海浜の工事(波消しブロックを設置したり、岬の工事等)などのために海流が変化し砂の成分構成(鉱物成分や粒度分布など)が変ってしまうと鳴らなくなる。また、鳴り砂、鳴き砂の浜の背後やその近辺には石英を多く含む花崗岩が分布する場合が多く、感度の良い鳴き砂の浜は砂の堆積層が海に接したところに多い(島根県琴ヶ浜など)

鳴り砂、鳴き砂は、川から流れた細かい砂や海岸線の崖などの砂が水中に攪拌され、それが一定の波の穏やかな場所に漂着、均一化し堆積して長年のうちに表面研摩される。鳴り砂、鳴き砂になるための海浜に最も重要な条件は砂の出入りがないことである。馬路町の琴ヶ浜はその代表な砂の堆積である。今もなお川からの流れ込む砂の海浜では、常に新しい砂が混じってしまうため鳴り砂、鳴き砂になることはほとんどない。その地域の海が汚れることで砂が鳴らなくなってしまうこともあるため、海洋汚染や自然破壊と関連づけて取り上げられることが多い。汚染によって鳴らなくなった砂を再度鳴かせるNHKのドキュメンタリー番組の企画では、長時間にわたる洗浄によって砂の汚れを完全に落とす必要があったという。鳴り砂、鳴き砂が鳴らなくなる原因としては、粒度や構成成分が変わってしまう場合がある。この場合には、長時間洗浄しても回復の望みはない。

鳴り砂、鳴き砂に音を出させるためには、砂の間で表面摩擦を起こさせる必要がある。鳴り砂、鳴き砂の砂浜の乾いた表面を手のひらで強く擦ると良く鳴り、また下駄を履いて摺り足で歩くと良く鳴ることが知られている。仁摩町馬路町の琴ヶ浜は、水中でもグーッと音を発するほど感度の良い鳴り砂、鳴き砂の浜である。乾燥していなくても感度の良い鳴き砂は音を発する。人工的に珪砂を洗浄し続けると沸騰するように水は熱くなり容器内でグーグーと鳴り始める。

鳴砂の分布編集

日本に存在する鳴り砂、鳴き砂を持つ海岸は約200ヶ所を超え、そのうち現在でも音を発する地域は、程度の差はあるものの150ヶ所以上存在する[要出典]。その数は次第に増えてきているが、これは各地で地元の鳴り砂、鳴き砂研究家が増え、発見につながっていると考えられる[要出典]。一般に知られる鳴き砂の海岸は日本でも数十にとどまり、代表的な地域に京都府京丹後市網野町琴引浜岩手県気仙沼市十八鳴浜島根県仁摩町琴ヶ浜がある[2]

2006年6月の「全国鳴き砂(鳴り砂)サミット」(開催地・山形県飯豊町)では、地元の鳴り砂、鳴き砂研究家、および仙台市の愛好家と高校の科学部の生徒により、ほぼ同時期に阿武隈川河口の宮城県亘理町汽水湖鳥の海」付近に3kmにわたる国内最大級の鳴り砂、鳴き砂が発見されたという事例が発表されている。

日本国外では、カナダプリンスエドワードアイランド州のBasin Head Beachが鳴き砂の浜として有名である[7]。同州内には、他にも2ヶ所の鳴き砂の浜があることが、カナダのウェブサイトから明らかになっている。また、アメリカ合衆国をはじめ、世界各国の35の砂漠に鳴き砂があることが知られている。

「なき砂」か「なり砂」か編集

2007年9月27日に八戸市で開催された「2007年全国鳴砂サミットINはちのへ[8]」では、全国鳴き砂(鳴り砂)ネットワーク(代表幹事団体・京都府京丹後市)が総会において表記を「鳴砂」に統一することを決定(提案)した。ただし、読みは「なきすな」、「なりすな」の二種類を、地域での呼び方に応じて使うとしている[9]

鳴き砂に関するトピックス編集

ピラミッドで発見された鳴き砂

1987年12月にクフ王ピラミッドの秘密の部屋より鳴き砂が発見される。古代エジプト学の権威である早稲田大学吉村作治教授のグループが超音波探査で謎の部屋の存在を発見、フランスの調査隊がその位置に向けてボーリングしたところ一つまみの砂が出てきた。砂は大きな部屋一杯に詰まっていると考えられる。現在、京丹後市網野町にある琴引浜鳴き砂文化館にてその一部を見る事が可能。[10]

ブーミングサンド

アメリカネバダ州ファローンでは原住民が恐れる唸る砂(ブーミングサンド)がある[11]。また、鳴かなくなった砂を英語でキルドサンド(殺された砂)と言う。

鳴き砂が関連する著書

  • 『舞鶴丹後 鳴き砂殺人ライン』石川真介 著 実業之日本社[12]
  • 『丹後鳴き砂殺人事件』草野唯雄 緒 徳間書店
  • 『鳴き砂:隅田川御用帳』藤原緋沙子 著 光文社[13]
  • 『消えゆく白砂の唄-鳴き砂幻想』三輪茂雄 著 近代文藝社
  • 『世界一大きい砂時計―「鳴き砂」の町・仁摩に刻む』志波靖麿 著  中国新聞社
  • 『鳴き砂幻想―ミュージカル・サンドの謎を追う』三輪茂雄 著 ダイヤモンド社

鳴り砂、鳴き砂の場所編集

日本編集

 
石川県輪島市 琴ヶ浜海岸
 
島根県大田市仁摩町馬路 琴ヶ浜(全景)
 
京都府京丹後市 琴引浜

上記の「わたり吉田浜海岸」では、平成23年3月11日の東日本大震災での高さ7.7mの大津波・地盤沈下により全長4.5㎞にわたる砂浜の分断、幅が減少した。それに加えて大津波による泥水・漂流物により砂が汚れ鳴りが悪くなった。現在では海水洗浄・ボランティアの海岸清掃により回復しつつある。[15]

日本国外編集

海岸編集

砂漠編集

河川・湖編集

脚注編集

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  1. ^ 大滝裕一 (2008年6月27日). “環境保全へ 活動多彩”. 京都新聞 
  2. ^ a b 『海辺に親しむ』編集委員会『海辺に親しむ』山海堂、2003年、46頁。
  3. ^ R.A.Bagnold:Proc.R.Soc.London A295A(1966)219-232.
  4. ^ A.J.Patitsas:Journal of Fluids and Structures 17(2003)287-315.
  5. ^ N.M.Vriend et al,:Geophys.Res.Lett.34(2007)L16306.
  6. ^ a b c d e 「~鳴り砂が奏でるロマンと魅力~鳴り砂ノート」川村國夫 北國新聞社(2004)59p
  7. ^ Basin Head Beach Information
  8. ^ 2007年全国鳴砂サミットINはちのへ(日本ナショナル・トラスト
  9. ^ 表記「鳴砂」に統一 八戸で全国サミット開幕 - デーリー東北、2007年9月30日
  10. ^ ピラミッドと鳴き砂の秘密
  11. ^ 消えゆく白砂の唄 三輪茂雄著 近代文藝社
  12. ^ 実業之日本社
  13. ^ 光文社
  14. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 『2014年 (第19回) 全国鳴砂サミットINたざわ湖』全国鳴砂ネットワーク事務局、2014、4~5。
  15. ^ 「2010年全国鳴き砂サミットINあぶ資料」 発行者全国鳴砂ネットワーク P20
  16. ^ a b c d e ロシアの声、日本語版、2009年11月6日
  17. ^ ru:Кировская область#Природные ресурсы

関連項目編集

外部リンク編集