007 ダイ・アナザー・デイ

007 ダイ・アナザー・デイ』(ダブルオーセブン ダイ・アナザー・デイ、Die Another Day)は、リー・タマホリ監督のスパイアクション映画2002年公開。

007 ダイ・アナザー・デイ
Die Another Day
監督 リー・タマホリ
脚本 ニール・パーヴィス
ロバート・ウェイド
原作 イアン・フレミング
製作 マイケル・G・ウィルソン
バーバラ・ブロッコリ
製作総指揮 アンソニー・ウェイ
出演者 ピアース・ブロスナン
ハル・ベリー
トビー・スティーブンス
音楽 デヴィッド・アーノルド
主題歌ダイ・アナザー・デイマドンナ
撮影 デヴィッド・タッターサル
編集 クリスチャン・ワグナー
アンドリュー・マクリッチー
製作会社
配給 アメリカ合衆国の旗 メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
世界の旗 20世紀フォックス
公開 イギリスの旗 2002年11月20日
アメリカ合衆国の旗 2002年11月22日
日本の旗 2003年3月8日
上映時間 133分
製作国 イギリスの旗 イギリス
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $142,000,000[1]
興行収入

$431,971,116[1] 世界の旗

23.5億円日本の旗 [2]
前作 007 ワールド・イズ・ノット・イナフ
次作 007 カジノ・ロワイヤル
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『007』シリーズ第20作。シリーズ40周年通算20作を記念して作られたダブルアニバーサリー作品である。ピアース・ブロスナンジェームズ・ボンドを演じた最後の作品である。

ストーリー編集

ボンドは北朝鮮に侵入し、ダイヤモンド商人に成りすまして非武装地帯にある基地を訪れる。ボンドはアフリカから不正輸出されたダイヤモンドと引き換えに武器の密輸を行っていたムーン大佐を抹殺しようとするが、ムーン大佐の側近のザオがボンドの顔情報を某所へ照会したことで、彼の正体が暴かれる。ホバークラフトでの追撃戦の末にムーン大佐は滝へ落ち、ボンドは彼の父であるムーン将軍に捕らわれ、長きに渡る監禁拷問を受ける。

14カ月後、逃亡先で中華人民共和国の諜報員3名を殺害して捕まったザオとの捕虜交換が行われ、ようやくMのもとに戻れたボンドは思いがけない言葉を耳にする。それは00(ダブルオー)ナンバーの剥奪だった。1週間前に北朝鮮内部に潜り込んでいたアメリカの工作員が処刑され、ボンドがいた収容所から情報が発信されたことから、北朝鮮での拷問でボンドが機密事項を洩らしたのが原因だと疑うアメリカはこれ以上の情報漏れを恐れ、ザオとの交換でボンドを連れ戻したのだという。ボンドを疑うMは、ボンドの00ナンバー剥奪という決断に至ったのだ。

この結果に納得のいかないボンドは、香港に停泊するイギリス工作船に拘束されるが、裏切り者を突き止め、自らのプライドと00ナンバーを取り戻すべく脱出。同地を拠点に活動する中華人民共和国の諜報員ミスター・チャンの協力のもと、ザオがキューバに潜伏中との情報をつかみ、現地に飛ぶ。地元の情報屋ラウルの情報で、ザオがDNA変換療法を行っているロス・オルガノス島の病院にいると判明。

ボンドは島の対岸にあるビーチでジンクスと遭遇。島に潜入したボンドは、ドイツ人に化ける人種変換を受けていたザオを発見。実はアメリカNSAのエージェントであるジンクスと共にザオを追い詰めるが、彼はダイヤモンドを残して逃亡を果たす。

ザオの残したダイヤモンドは、ここ一年で勢力を伸ばしているが、それ以前の経歴が判然としないダイヤモンド王のグスタフ・グレーブスのものだと判明する。グレーブスが黒幕だと感じたボンドは、ロンドンの社交場「ブレーズ・クラブ」でグレーブスに接触。さらに彼に招かれてアイスランドを訪れ、グレーブスの隠された驚くべき正体とその恐るべき征服計画を知ることとなる。

スタッフ編集

キャスト編集

ボンドガール編集

ボンドガールにはアフロアメリカンのハル・ベリーが抜擢された。メインのボンドガールにアフロアメリカンの女性が起用されたのは、もちろん初めてである。ベリーの映画デビューは、スパイク・リーのジャングル・フィーバー(1991)の小さな役であり、麻薬中毒者のビビアンを演じた。翌1992年に、ベリーはロマンチックなコメディー『ブーメラン』でエディ・マーフィーが演じた主人公と恋におちるキャリアウーマンの役柄を得た。93年、彼女はアレックスヘイリーの原作に基づく作品に出演し、世間の注目を集めた。ベリーは『フリント・ストーンズ』にも出演している。

ベリーは、より深刻な役割に取り組み、ジェシカ・ラングと共演しや『ロシイザイア』(1995)で息子の監護権を取り戻すのに苦労する元麻薬中毒者を演じた。彼女はオーストラリアで撮影された実話に基づいた『レース・ザ・サン(1996)でサンドラ・ビーチャー役も演じた。そして、ついに『007 ダイ・アナザー・デイ』でボンドガールの座を射止めたのである。その後は、激しいセックス描写を伴う映画にも出演している。

興行成績編集

2002年の映画の世界興行成績で第5位[5]。インフレ率を考慮しない場合、前作『ワールド・イズ・ノット・イナフ』を超え、シリーズで過去最高の興行成績だった[6]

過去の作品との関連編集

ダブルアニバーサリー作品らしく、過去の作品をオマージュしたシーンが多々見受けられる。

その他にも過去の秘密兵器がQの研究室に飾られている(例 - 『007 ロシアより愛をこめて』のアタッシュケース、毒が塗られたナイフ付きの靴(これは敵が使ったもの)、『007 サンダーボール作戦』のジェットパック、『007 オクトパシー』で使用されたアクロスター、鰐型潜水艇など)、ボンドがキューバに行った際に最初に読んでいた本(ジェームス・ボンドのネタとなった鳥類学者)も登場する。また、ボンドが旅客機に搭乗するシーンで3代目ボンドのロジャー・ムーアの実娘のデボラ・ムーアが乗務員として登場する、などがある。

主題歌編集

マドンナが起用され同タイトル曲を担当し、映画出演も果たした。イギリスの「ミュージック・ウィーク」誌では、最高位3位、アメリカの「ビルボード」誌でも、最高位8位、デュラン・デュランが担当した"A View To A Kill"以来の両国でトップ10ヒットとなった。また、同サウンドトラック・アルバムは、「ビルボード」誌アルバム・チャートでは、最高位156位だった。なお、オープニング曲とエンディング曲が一緒なのは『007 美しき獲物たち』以来である。第60回ゴールデングローブ賞では最優秀主題歌賞にノミネートされる。しかし、第23回ゴールデンラズベリー賞では脇役として出演したマドンナが最低助演女優賞を受賞、主題歌の『Die Another Day』は最低主題歌賞にノミネートされてしまった。

スタジオ&ロケ編集

  • シリーズ40周年通算20作ということで、オープニングで、ボンドを狙った銃口にボンドの撃った弾丸が入る演出が加えられた。
  • 前作で“Q”に紹介された後継者“R”を演じるジョン・クリーズが本作より後任の“Q”として出演することになった。しかし、次回作『007 カジノ・ロワイヤル』からシリーズの一新が図られたため、クリーズが演じる"Q"が登場するのは映像作品では今作が最初で最後となった。
  • 北朝鮮の軍人が悪役で、ボンドを拷問したり韓国を征服しようとする描写があり、また韓国の風景描写などが実際の韓国のものとは大きく異なったものだったことから、朝鮮半島から批判の声が上がった。北朝鮮の祖国平和統一委員会は「わが共和国を『悪の枢軸』として描写し、南北対決を扇動しているだけでなく、わが民族を途方もなく蔑視、侮辱している」とする公式の抗議声明を発表し、アメリカ合衆国を「悪の帝国で、変態と堕落、暴力と色情の末世的な退廃文化を広げる総本山」と口を極めて罵倒した[8]。また韓国では、仏教寺院における「ベッドシーン」が問題視されたことも加わって不観運動が起った[9]。監督のタマホリは、コメンタリーの中で作中の北朝鮮側の最高位であるムーン将軍を常識ある人物として描いたのは、彼らを貶めないために必要だったと述べている。
 
オメガ・シーマスタープロフェッショナル007モデル
  • 劇中で使用されたスイスの高級時計メーカーの腕時計は「シーマスター ダイバー 300M」[10]で、前作・前々作と同機種。遠隔起爆装置などの機能は、過去のブロスナンのシリーズでも登場しているが、部品の形状や使用方法などが微妙に異なっている[11]
  • ハル・ベリーは今作撮影中に『チョコレート』の演技によりアカデミー主演女優賞を取り、授賞式の翌日、撮影に戻ってきた。
  • 2006年1月15日テレビ朝日日曜洋画劇場で地上波初放送された際は、テレビ放送用にセリフ中に"北朝鮮"というセリフは一切出ず、番組終了時に『この作品はフィクションであり、実在のものとは関係ありません』というお馴染みのテロップが流れた。ただし北朝鮮の国旗がワンカットだけ出ている。
  • 本作でマドンナは、主題歌を作詞作曲し、オープニングタイトルでこれを歌い、本編にもフェンシングのインストラクター役でカメオ出演という、一人三役をこなしている。しかし、2002年度のゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)では、『スウェプト・アウェイ』での最低主演女優賞・最低スクリーンカップル賞に加え、本作の出演で最低助演女優賞に選ばれ、3部門で受賞している[12]。また主題歌は最低主題歌賞にノミネートされた。
  • 映画のクライマックスシーンでは、世界最大級の航空貨物機An-124ウクライナ製)が登場しているが、北朝鮮は一度も運用したことはない。さらにAn-124の内部になぜか「鎧甲や日本刀」が飾られている。
  • 本作では『007 消されたライセンス』以来13年ぶりにボンドが喫煙するシーンが登場したが、これに対して喫煙シーンの規制を進めるイギリスでは、試写会の後に抗議が殺到した[13]
  • 本作撮影中にブロスナンは膝に負傷し[14]、靭帯を手術して復帰した[15]。ハル・ベリーも、ヘリを撃ち落すシーンで破片が目に入り、取り除く手術を受けた[16]。その後もベリーがブロスナンとのラブシーンでフルーツを喉に詰まらせ、ブロスナンにハイムリック法で救われる一幕があった[17]。「ハイムリック法はやったことがなかった」とブロスナンは語っているが、『ミセス・ダウト』ではされる側を演じていた。
  • 監督は、当初は『007 ゴールデンアイ』のマーティン・キャンベルが担当する予定だった。マーティンは次作『007 カジノ・ロワイヤル』で11年ぶりに007シリーズの監督を務めている。
  • 冒頭のホバークラフトは、操縦が大変難しくコントロールが効かなかったという。またムーン大佐がホバークラフトごと突き破り落下する寺院と滝はミニチュアである。
  • 冒頭でムーン大佐が携帯対戦車兵器で破壊するヘリは実物が使用されている。
  • ソフト用吹替版では声優が朝鮮語を話している(テレビ版では日本語)。

日本語吹替編集

役名 俳優 日本語吹替
ソフト版 テレビ朝日
ボンド ピアース・ブロスナン 横島亘 田中秀幸
ジンクス ハル・ベリー 本田貴子 安藤麻吹
グレーヴス トビー・スティーブンス 今井朋彦 木下浩之
ミランダ ロザムンド・パイク 野々村のん 石塚理恵
ザオ リック・ユーン 楠大典 池田秀一
M ジュディ・デンチ 此島愛子 沢田敏子
Q ジョン・クリーズ 島香裕 塚田正昭
マニーペニー サマンサ・ボンド 加藤ゆう子 佐藤しのぶ
ロビンソン コリン・サーモン 水野龍司 楠大典
ファルコ マイケル・マドセン 立木文彦 諸角憲一
ムーン大佐 ウィル・ユン・リー 佐藤晴男 平田広明
ムーン将軍 ケネス・ツァン 小山武宏 松井範雄
ヴラッド マイケル・ゴアボイ 茶風林 谷昌樹
キル ローレンス・マコール 水野龍司 西凛太朗
ベリティ マドンナ 津田匠子 松熊つる松
ピースフル レイチェル・グラント 林智恵
ラウル エミリオ・エチェヴェリア 佐々木敏 小島敏彦
アルバレス博士 シモン・アンドルー 永田博丈
降下長 トレバー・ホワイト 蓮池龍三
兵士 クリストファー・ショニング 奥田啓人
  • ソフト版
演出 - 岩見純一、翻訳 - 徐賀世子、調整 - 朝倉務、製作 - ACクリエイト
  • テレビ朝日版:初回放送2006年1月15日 『日曜洋画劇場』21:00-23:24(正味約120分)※キングレコードから発売の特別版DVDに収録
演出:佐藤敏夫、翻訳:平田勝茂、効果:リレーション、調整:長井利親、制作:ブロードメディア・スタジオ

ノベライズ編集

  • レイモンド・ベンソン『ダイ・アナザー・デイ』富永和子訳、竹書房、2003年2月。ISBN 9784812411339
  • Benson, Raymond (2002-11-7). Die Another Day. Coronet Books. ISBN 9780340826027 

その他編集

 
ボンドカーと同型のV12ヴァンキッシュ

この映画はフォード・モーターが協賛しており、傘下の「アストンマーティン」が15年ぶりに本格的な装備をもったボンドカーとして復活。ザオのジャガーXKRと、真冬の氷上で激しいカーチェイスを繰り広げた。

アストンマーティン・V12ヴァンキッシュ(ヴァニッシュ)
  • 自動追尾散弾砲
  • マシンガン
  • ミサイルほか
 
ボンドの敵となるジャガーXKR
ジャガーXKR(ザオ搭乗車)[18]
  • ガトリング・ガン
  • ミサイル(フロントグリル)
  • ロケットランチャー(左右ドア)ほか

参照編集

  1. ^ a b Die Another Day (2002)”. Box Office Mojo. 2010年8月30日閲覧。
  2. ^ 2003年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟
  3. ^ アーノルドはこの映画でBMIが選出するBMIフィルム&テレビ賞の音楽賞を受賞している。
  4. ^ パイクはこの映画で英国『エンパイア』紙の選出するエンパイア賞の最優秀新人賞を受賞している。
  5. ^ List movies by worldwide gross” (英語). WorldwideBoxoffice.com. 2009年8月24日閲覧。
  6. ^ Box Office History for James Bond Movies” (英語). 2009年8月24日閲覧。
  7. ^ a b c d ダイアナザーデイ、オーディオコメンタリーより
  8. ^ 北朝鮮が「007」に激怒最新作「ダイ・アナザー・デイ」スポーツ報知2002年12月16日
  9. ^ North Korea takes aim at Bond” (英語). BBC NEWS (2002年12月14日). 2009年6月26日閲覧。
  10. ^ ジェームズ・ボンド・ウォッチとはどのシーマスター・ウォッチなのでしょうか?”. オメガ. 2009年8月16日閲覧。
  11. ^ 杉崎順一. “ボンドウォッチプロジェクト”. 2009年6月26日閲覧。
  12. ^ “マドンナ、『スウェプト・アウェイ』がラズベリー賞を総ナメ”. シネマトゥデイ. (2003年3月24日). http://www.cinematoday.jp/page/N0003132 2009年8月17日閲覧。 
  13. ^ “『007』の喫煙シーンに抗議殺到”. シネマトゥデイ. (2002年11月21日). http://www.cinematoday.jp/page/N0002654 2009年8月17日閲覧。 
  14. ^ “P・ブロスナン、007最新作撮影で膝にケガ”. シネマトゥデイ. (2002年2月2日). http://www.cinematoday.jp/page/N0001520 
  15. ^ “P・ブロスナン、2週間ぶりに撮影に復帰”. シネマトゥデイ. (2002年3月7日). http://www.cinematoday.jp/page/N0001573 
  16. ^ “H・ベリー、『007』撮影中に目を負傷”. シネマトゥデイ. (2002年4月16日). http://www.cinematoday.jp/page/N0001721 2009年8月17日閲覧。 
  17. ^ “P・ブロスナン、ラブシーンでH・ベリーの命を救う”. 2002-10-9. http://www.cinematoday.jp/page/N0002481 2009年8月17日閲覧。 
  18. ^ 【ボンドカー2002】ジャガー『XKR』---四輪駆動でF1カラー - response 2002年7月25日

外部リンク編集