カメオ出演
カメオ出演(カメオしゅつえん、cameo appearance / cameo role)は、俳優や歌手、監督、漫画や小説などの原作者、時には政治家やスポーツ選手などがゲストとしてとても短い時間、映画やドラマ、アニメ、舞台に出演すること。遠目からでもはっきりと分かる装飾品のカメオからそう呼ばれるようになった(英語のcameoには「名場面」「山場」という意味もある)。
日本国外では単に「cameo」と呼ばれることもある。スーパーエキストラという扱いの場合もある。
事例編集
実写作品編集
監督や主演俳優(女優)の友人や、原作者、作品のモデルとなった人物や作品に由縁の深い人物などが出演する。端役以下がほとんど。
- 1924年には、エリック・サティとその友人たちが無声映画『幕間』(バレエ『本日休演』の幕間に上演された)に出演した。1956年の『八十日間世界一周』以来、カメオ出演はハリウッドなどでもお遊びとして取り入れられ、監督の人脈が映画の中で活かされている。
- アルフレッド・ヒッチコックは自身の監督した作品に頻繁に出演している(アルフレッド・ヒッチコックのカメオ出演一覧参照)。
- スタン・リーもマーベル・コミックの作品の映像化作品においてたびたび端役で出演することで知られており、コミックの中でも例えば『アベンジャーズ・アニュアル』においてルーク・ケイジの結婚式の場面で神父役を務めている。なお、スタン・リーはカメオ出演した映画の興行収入が世界一の俳優として、ギネス世界記録に認定されている[1][2]。
- 『日本沈没』では原作者の小松左京が研究員として出演している[注 1]。
- テレビドラマ『あかつき』第235話に原作者の武者小路実篤が出演している。TBSの2時間ドラマ『翔んでる警視』『翔んでる警視II』には原作者の胡桃沢耕史がカメオ出演している。
- 『白昼の死角』の映画版で、原作者の高木彬光がエキストラでカメオ出演している。
- 映画『地獄のデビル・トラック』『ペット・セメタリー』などでは原作者のスティーヴン・キングが出演している。キングはオムニバス映画『クリープショー』第2話の「ジョディ・ベリルの孤独な死」では主役を演じている
- パブロ・ピカソはジャン・コクトー監督の映画『オルフェの遺言』(1960年)に、自身の役でカメオ出演している。
- マイルス・デイヴィスは『3人のゴースト』(1988年)にストリート・ミュージシャン役でカメオ出演している。
- 『私が棄てた女』(1969年、日活)には原作者の遠藤周作が医者役でカメオ出演している。
- リチャード・マシスンは『ある日どこかで』『ゴッドファーザー PART II』にカメオ出演している。
- スティーヴン・スピルバーグは『ブルース・ブラザース』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『グレムリン』『バニラ・スカイ』『オースティン・パワーズ ゴールドメンバー』にカメオ出演している。
- 細川護煕は勅使河原宏監督の映画『利休』に織田有楽斎役で1カットのみカメオ出演している。
- 『野獣死すべし』が1959年に映画化された際、原作者の大藪春彦が学生役でカメオ出演している。
- 特撮映画『デビルマン』では、原作者の永井豪が神父役でカメオ出演している。
- 『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』には『特攻野郎Aチーム』の、『S.W.A.T.』には『特別狙撃隊S.W.A.T.』の、出演者達が複数カメオ出演している。
- 『西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ』第3・4話には原作者・西村京太郎と瑞枝夫人がカメオ出演した。
- ドラマ『アオイホノオ』最終話では、原作者の島本和彦がバイク屋の店主役でカメオ出演している。
- 特撮映画『シン・ゴジラ』では、総監督の庵野秀明が声のみだが消防隊員役でカメオ出演している。
- 特撮ドラマ『快傑ズバット』第10話「野球の敵を場外へ飛ばせ」では、原作者の石森章太郎が架空のトーク番組に出演した元プロ野球選手の同姓人物(石森選手)役[注 2]でカメオ出演している。メインゲストのため、中盤以降から本編終了まで一貫して出演した。脇役としての扱いだったため、端役以下が多いこの事例としては珍しいパターン。
- 『浅草キッド』のNetflixオリジナル映画版では、ツービートを主人公とした作品ということもあり、原作者でもあるビートたけし本人も一人きりの観客役で出演している。
アニメ作品編集
- 『ロジャー・ラビット』は、ウォルト・ディズニー・カンパニーの大人向け映画ブランドのタッチストーン・ピクチャーズの作品で、アニメキャラクターが合成の形で出演する実写映画のひとつである。脇役までの登場アニメキャラクターはオリジナルがメインで、一応ディズニーキャラクターではあるが、版権保有元のディズニーやルーニー・テューンズ[注 3]を主とした1930年代から1940年代までのテクニカラーを中心とした往年のアニメキャラが著作権の垣根を越えてカメオ出演している。それ以外では、唯一モノクロで描かれたベティ・ブープや、キャラクター自体の出演の許可を獲られず、台詞のみに留まったトムとジェリー[注 4]の代替キャラクターとして起用されたドルーピーに、ウッディー・ウッドペッカーも出演の許可を受けている。
- 『名探偵コナン』の劇場版シリーズでは、版元である小学館の児童・少年向け雑誌が合同で出演声優を読者から募集しており、モブキャラとして登場した主要読者と同世代の人物を担当している。
- 『シナモン the MOVIE』は、サンリオキャラクターがメインの映画で、著作権を保有するサンリオがクロスオーバーに積極的であるため、エンディングのクレジットタイトルに外部のサンリオキャラクターがカメオ出演しており、キティ、ばつ丸、クリリン、マイメロディ、プリンの順である。ヤフーが製作委員会に参加している関係で、Yahoo! きっずマスコットキャラクターでサンリオキャラクターも兼ねる「ちょボット」も他のサンリオキャラクターと同じクレジットタイトルにカメオ出演している。
- 新海誠監督の映画作品において、前作の主要登場人物を積極的にカメオ出演させており、出演する作品の設定年での年齢で登場する。大抵は前作と同じ声優が担当し、通常は物語の進行に一切関わらない程度だが、場合によっては、物語の進行に関わる重要人物となる場合がある(『天気の子』でアクセサリーショップの店員となった『君の名は。』の宮水三葉など)。
- 『この世界の片隅に』などのアニメ映画数作品では、A応Pのメンバー全員が声優としてカメオ出演を行っている。
- 『カードファイト!! ヴァンガード』のアニメ版では、ミルキィホームズシリーズは同じブシロードの自社版権同士であり、主題歌も複数担当していたことから、ミルキィホームズのメンバーが背景のみではあるが、複数話に渡って積極的にカメオ出演している(同じく、『バンドリ!シリーズ』のRAISE A SUILENのメンバーも背景のみではあるがカメオ出演している)。
- 『映画ドラえもん のび太の新恐竜』では、ドラえもん達が間違えて行ったジュラ紀の日本における場面で、『ドラえもん のび太の恐竜』のピー助がカメオ出演している。『映画ドラえもん のび太の恐竜2006』でピー助を演じた神木隆之介が引き続き声を充てている。
脚注編集
注釈編集
- ^ 計算書を「部長、これ出来ています」と差し出し、小野寺らに気づいて「よぉ!」と挨拶するシーン。
- ^ 厳密には本人役ではない
- ^ 本作と同じアンブリン・エンターテインメント制作のため、スピンオフ作品としての性格を兼ねた『スペース・ジャム』(ワーナー・ブラザース)にも本作と同じ手法で合成されたルーニー・テューンズのキャラクター単体が出演した実写映画もある。
- ^ その後、2021年の映画版に作品自体の実写化を果たしている。
出典編集
- ^ クレイグ・グレンディ 編 『ギネス世界記録2015(日本語版)』角川アスキー総合研究所、2014年、165頁。ISBN 978-4-04-899601-3。
- ^ クレイグ・グレンディ 編 『ギネス世界記録2018(日本語版)』角川アスキー総合研究所、2017年、172頁。ISBN 978-4-04-899609-9。