1970年モナコグランプリ

座標: 北緯43度44分4.74秒 東経7度25分16.8秒 / 北緯43.7346500度 東経7.421333度 / 43.7346500; 7.421333

1970年モナコグランプリ (1970 Monaco Grand Prix) は、1970年のF1世界選手権第3戦として、1970年5月10日モンテカルロ市街地コースで開催された。

モナコ 1970年モナコグランプリ
レース詳細
1970年F1世界選手権全13戦の第3戦
モンテカルロ市街地コース (1929-1972)
日程 1970年5月10日
正式名称 XXVIII Grand Prix de Monaco
開催地 モンテカルロ市街地コース
モナコの旗 モナコ モンテカルロ
コース 市街地コース
コース長 3.145 km (1.954 mi)
レース距離 80周 251.600 km (156.337 mi)
決勝日天候 晴のち曇(ドライ)[1]
ポールポジション
ドライバー マーチ-フォード
タイム 1:24.0
ファステストラップ
ドライバー オーストリア ヨッヘン・リント ロータス-フォード
タイム 1:23.2 (80周目)
決勝順位
優勝 ロータス-フォード
2位 ブラバム-フォード
3位 マトラ

ヨッヘン・リントロータス・49による最後の勝利を記録した。ブルース・マクラーレンは次戦ベルギーGPの5日前にCan-Amスポーツカーのテスト走行で事故死したため、これがF1最後のレースとなった。また、ロニー・ピーターソンのF1デビュー戦でもある。

レース前編集

本レースの2週間前にシルバーストン・サーキットで行われた非選手権レースのインターナショナル・トロフィー英語版は、マーチクリス・エイモンが優勝した。ロータスは前戦スペインGPから投入した新車72を使用した[2]

エントリー編集

ドライバーラインナップに大きな変更はなく、新しいドライバーはアンティーク・オートモビルズ英語版からマーチ・701を走らせる新人ロニー・ピーターソンだけで[3]、ピーターソンはこれがF1デビュー戦となる。ロータスは、新車72ではなく古い49Cを使用することを本レースの2週間前に決めた[2]マリオ・アンドレッティはアメリカのレースを優先するため欠場した[4]

エントリーリスト編集

チーム No. ドライバー コンストラクター シャシー エンジン タイヤ
  ブルックボンド・オクソ・レーシング/ロブ・ウォーカー 1   グラハム・ヒル ロータス 49C フォードコスワース DFV 3.0L V8 F
  ゴールドリーフ・チーム・ロータス 2   ジョン・マイルス ロータス 49C フォードコスワース DFV 3.0L V8 F
3   ヨッヘン・リント
  ワールドワイド・レーシング 4   アレックス・ソラー=ロイグ 1
  モーターレーシング・ディベロップメンツ・リミテッド 5   ジャック・ブラバム ブラバム BT33 フォードコスワース DFV 3.0L V8 G
  アウト・モトール・ウント・シュポルト 6   ロルフ・シュトメレン
  トム・ホイートクロフト・レーシング 7   デレック・ベル 1 ブラバム BT26A フォードコスワース DFV 3.0L V8 G
  エキップ・マトラ・エルフ 8   ジャン=ピエール・ベルトワーズ マトラ MS120 マトラ MS12 3.0L V12 G
9   アンリ・ペスカロロ
  ブルース・マクラーレン・モーターレーシング 10   アンドレア・デ・アダミッチ マクラーレン M7D アルファロメオ T33 3.0L V8 G
11   デニス・ハルム M14A フォードコスワース DFV 3.0L V8
12   ブルース・マクラーレン
  チーム・サーティース 14   ジョン・サーティース マクラーレン M7C フォードコスワース DFV 3.0L V8 F
  ヤードレー・チーム・BRM 15   ジョージ・イートン BRM P153 BRM P142 3.0L V12 D
16   ジャッキー・オリバー
17   ペドロ・ロドリゲス
  マーチ・エンジニアリング 19   ジョー・シフェール マーチ 701 フォードコスワース DFV 3.0L V8 F
28   クリス・エイモン
  ティレル・レーシング・オーガニゼーション 20   ジョニー・セルボ=ギャバン マーチ 701 フォードコスワース DFV 3.0L V8 D
21   ジャッキー・スチュワート
  STPコーポレーション 22   マリオ・アンドレッティ 2 マーチ 701 フォードコスワース DFV 3.0L V8 F
  アンティーク・オートモビルズ・レーシングチーム 23   ロニー・ピーターソン マーチ 701 フォードコスワース DFV 3.0L V8 G
  フランク・ウィリアムズ・レーシングカーズ 24   ピアス・カレッジ デ・トマソ 505 フォードコスワース DFV 3.0L V8 D
  シルビオ・モーザー・レーシングチーム 25   シルビオ・モーザー 1 ベラシ F1 70 フォードコスワース DFV 3.0L V8 G
  スクーデリア・フェラーリ SpA SEFAC 26   ジャッキー・イクス フェラーリ 312B フェラーリ 001 3.0L F12 F
27   イグナツィオ・ギュンティ 2
ソース:[5]
追記
  • ^1 - マシンが準備できず欠場[6]
  • ^2 - エントリーのみ[6]

予選編集

当時のモナコGPは決勝に出走できるのは16台に制限されていた。この年は前戦スペインGPと同様、主要チームのエースドライバー10人は自動的に決勝への出走が保証され[4]、残る6台については当初、シード権から外れた11台(ジョン・マイルス英語版ロータス)、ロルフ・シュトメレンブラバム)、アンリ・ペスカロロマトラ)、ブルース・マクラーレンアンドレア・デ・アダミッチ(以上マクラーレン)、ジャッキー・オリバージョージ・イートン英語版(以上BRM)、ジョー・シフェールマーチ)、ロニー・ピーターソンアンティーク・オートモビルズ英語版/マーチ)、ピアス・カレッジウィリアムズ/デ・トマソ)、ジョニー・セルボ=ギャバンティレル/マーチ)[7])による23周のミニレースを行って決勝進出者を決めることを主催者が提案したが拒否され[4]、30分の追加セッションを行うことになった[7]

木曜の予選初日[注 1][7]ジャッキー・スチュワートクリス・エイモンデニス・ハルムジャン=ピエール・ベルトワーズを上回るトップタイムを記録した[4]。金曜は豪雨によりタイムを更新できなかったが、土曜は雨が止み、スチュワートがポールポジションを獲得し、ワークス・マーチのエイモンとマーチ・701フロントローに並べた。2列目はハルムとジャック・ブラバム、3列目はジャッキー・イクスとベルトワーズが占めた[2]。非シード者に限定された追加セッションでペスカロロ、カレッジ、マクラーレン、シフェール、ピーターソン、オリバーが決勝進出を果たした[4]。セルボ=ギャバンは土曜の通常セッションでシケインのガードレールに接触してマシンを壊し、急遽スチュワートのスペアカーで以後のセッションを走ったが決勝進出を果たせず[7]、開幕前の冬にオフロードカーのイベントで目を負傷したため視力が著しく低下していたこともあり、この一戦をもってF1からの引退を決めた[8]

12番手のグラハム・ヒルはスタート前にマシンを交換したため最後尾グリッドに降格し[1]、13番手のピーターソン以降のスターティンググリッドが1つずつ繰り上がった[9]

予選結果編集

順位 No. ドライバー コンストラクター タイム グリッド
1 21   ジャッキー・スチュワート マーチ-フォード 1:24.0 - 1 1
2 28   クリス・エイモン マーチ-フォード 1:24.6 +0.6 2 1
3 11   デニス・ハルム マクラーレン-フォード 1:25.1 +1.1 3 1
4 5   ジャック・ブラバム ブラバム-フォード 1:25.4 +1.4 4 1
5 26   ジャッキー・イクス フェラーリ 1:25.5 +1.5 5 1
6 8   ジャン=ピエール・ベルトワーズ マトラ 1:25.6 +1.6 6 1
7 9   アンリ・ペスカロロ マトラ 1:25.7 +1.7 7 2
8 3   ヨッヘン・リント ロータス-フォード 1:25.9 +1.9 8 1
9 24   ピアス・カレッジ デ・トマソ-フォード 1:26.1 +2.1 9 2
10 12   ブルース・マクラーレン マクラーレン-フォード 1:26.1 +2.1 10 2
11 19   ジョー・シフェール マーチ-フォード 1:26.2 +2.2 11 2
12 6   ロルフ・シュトメレン ブラバム-フォード 1:26.3 +2.3 DNQ
13 10   アンドレア・デ・アダミッチ マクラーレン-アルファロメオ 1:26.3 +2.3 DNQ
14 1   グラハム・ヒル ロータス-フォード 1:26.8 +2.8 16 1 3
15 23   ロニー・ピーターソン マーチ-フォード 1:26.8 +2.8 12 2
16 20   ジョニー・セルボ=ギャバン マーチ-フォード 1:26.9 +2.9 DNQ
17 15   ジョージ・イートン BRM 1:27.0 +3.0 DNQ
18 14   ジョン・サーティース マクラーレン-フォード 1:27.4 +3.4 13 1
19 2   ジョン・マイルス ロータス-フォード 1:27.4 +3.4 DNQ
20 16   ジャッキー・オリバー BRM 1:27.5 +3.5 14 2
21 17   ペドロ・ロドリゲス BRM 1:27.8 +3.8 15 1
ソース:[10][9]
追記
  • ^1 - あらかじめ決勝進出のシード権が与えられていた[4][7]
  • ^2 - 非シード者による追加セッションの結果により決勝進出[4][7]
  • ^3 - ヒルはスタート前にマシンを交換したため最後尾グリッドに降格[1]

決勝編集

レース当日は天気が良く、スタートでジャッキー・スチュワートがリードを奪い、クリス・エイモンジャック・ブラバムジャン=ピエール・ベルトワーズが続いた[2]デニス・ハルムはスタートで出遅れ、最初のコーナーを曲がった後に順位を下げた。2周目にベルトワーズがイクスを抜いたが、12周目にイクスのドライブシャフトが壊れてリタイアするまで上位6台の順位は変わらなかった。ベルトワーズは22周目にトランスミッションが故障してリタイアした。同じ周にブラバムがエイモンを抜いて2位に浮上した。5周後にスチュワートのDFVエンジンが失火し始めたためピットインしなければならず、ブラバムがエイモンとハルムを従えて首位に立った。ハルムはギアリングの問題を抱え、ヨッヘン・リントジョー・シフェールに抜かれていった。61周目にエイモンがサスペンションの故障によってリタイアすると、リントが首位ブラバムに9秒の差で2位に浮上した。リントはペースを上げて首位のブラバムに迫り[2]、最終ラップにブラバムは焦ってコースアウトしてしまう。リントは最終ラップで自身の予選タイムより2.7秒速く、さらにスチュワートがポールポジションを獲得したタイムより0.8秒速いという途方もないファステストラップでブラバムを抜き、逆転優勝を果たした[11]。ブラバムはコースに復帰して2位でフィニッシュし[2]アンリ・ペスカロロは3位に入り初の(そして最後となる)表彰台を獲得した。ハルムは2速と3速のみで走りきり4位、最後尾グリッドからスタートしたグラハム・ヒルは5位まで追い上げた。ペドロ・ロドリゲスは6位に入賞した。F1デビュー戦のロニー・ピーターソンは7位で完走した[4]

レース結果編集

順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 3   ヨッヘン・リント ロータス-フォード 80 1:54:37.4 8 9
2 5   ジャック・ブラバム ブラバム-フォード 80 +23.1 4 6
3 9   アンリ・ペスカロロ マトラ 80 +51.4 7 4
4 11   デニス・ハルム マクラーレン-フォード 80 +1:28.3 3 3
5 1   グラハム・ヒル ロータス-フォード 79 +1 Lap 16 2
6 17   ペドロ・ロドリゲス BRM 78 +2 Laps 15 1
7 23   ロニー・ピーターソン マーチ-フォード 78 +2 Laps 12
8 19   ジョー・シフェール マーチ-フォード 76 燃料切れ 11
Ret 28   クリス・エイモン マーチ-フォード 60 サスペンション 2
NC 24   ピアス・カレッジ デ・トマソ-フォード 58 規定周回数不足 9
Ret 21   ジャッキー・スチュワート マーチ-フォード 57 エンジン 1
Ret 16   ジャッキー・オリバー BRM 42 エンジン 14
Ret 8   ジャン=ピエール・ベルトワーズ マトラ 21 ディファレンシャル 6
Ret 12   ブルース・マクラーレン マクラーレン-フォード 19 サスペンション 10
Ret 14   ジョン・サーティース マクラーレン-フォード 14 油圧 13
Ret 26   ジャッキー・イクス フェラーリ 11 ハーフシャフト 5
DNQ 10   アンドレア・デ・アダミッチ マクラーレン-アルファロメオ 予選不通過
DNQ 6   ロルフ・シュトメレン ブラバム-フォード 予選不通過
DNQ 15   ジョージ・イートン BRM 予選不通過
DNQ 2   ジョン・マイルス ロータス-フォード 予選不通過
DNQ 20   ジョニー・セルボ=ギャバン マーチ-フォード 予選不通過
ソース:[12]
優勝者ヨッヘン・リントの平均速度[6]
131.716 km/h (81.845 mph)
ファステストラップ[13]
ラップリーダー[14]
太字は最多ラップリーダー

第3戦終了時点のランキング編集

  • : トップ5のみ表示。前半7戦のうちベスト6戦及び後半6戦のうちベスト5戦がカウントされる。

脚注編集

[脚注の使い方]

注釈編集

  1. ^ 予選は木曜午後、金曜午前、土曜午後に行われた。

出典編集

  1. ^ a b c (林信次 1995, p. 130)
  2. ^ a b c d e f Monaco GP, 1970”. grandprix.com. 2019年12月19日閲覧。
  3. ^ (林信次 1995, p. 112)
  4. ^ a b c d e f g h Monaco 1970”. STATS F1. 2019年12月19日閲覧。
  5. ^ Monaco 1970 - Race entrants”. STATS F1. 2019年12月20日閲覧。
  6. ^ a b c Monaco 1970 - Result”. STATS F1. 2019年12月20日閲覧。
  7. ^ a b c d e f THE 28th MONACO GRAND PRIX”. Motor Sport Magazine. 2017年5月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年12月21日閲覧。
  8. ^ Johnny Servoz-Gavin”. grandprix.com (2006年5月31日). 2019年12月21日閲覧。
  9. ^ a b Monaco 1970 - Starting grid”. STATS F1. 2019年12月21日閲覧。
  10. ^ Monaco 1970 - Qualifications”. STATS F1. 2019年12月21日閲覧。
  11. ^ (林信次 1995, p. 99)
  12. ^ 1970 Monaco Grand Prix”. formula1.com. 2013年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年12月22日閲覧。
  13. ^ Monaco 1970 - Best laps”. STATS F1. 2019年12月21日閲覧。
  14. ^ Monaco 1970 - Laps led”. STATS F1. 2019年12月21日閲覧。
  15. ^ a b Monaco 1970 - Championship”. STATS F1. 2019年3月19日閲覧。

参照文献編集

  • Wikipedia英語版 - en:1970 Monaco Grand Prix (2019年4月10日 14:08:36)
  • Lang, Mike (1982). Grand Prix! Vol 2. Haynes Publishing Group. pp. 119–121. ISBN 0-85429-321-3 
  • 林信次 『F1全史 1966-1970 [3リッターF1の開幕/ホンダ挑戦期の終わり]』ニューズ出版、1995年。ISBN 4-938495-06-6 

外部リンク編集

前戦
1970年スペイングランプリ
FIA F1世界選手権
1970年シーズン
次戦
1970年ベルギーグランプリ
前回開催
1969年モナコグランプリ
  モナコグランプリ 次回開催
1971年モナコグランプリ