Q

ラテン文字の17番目の文字

Qは、ラテン文字アルファベット)の 17 番目の文字。小文字は q 。古いギリシャ文字コッパϘϙ)に由来する。

Qq Qq
ラテン文字
Aa Bb Cc Dd    
Ee Ff Gg Hh    
Ii Jj Kk Ll Mm Nn
Oo Pp Qq Rr Ss Tt
Uu Vv Ww Xx Yy Zz
  • 太字で表した字は母音である。

字形 編集

 
筆記体
 
ジュッターリーン体

様々な字形が知られるが、いずれも円の下に短い縦棒(ヒゲ)が付属した形、すなわちコッパ (Ϙ) の変形である。ヒゲの関係で、大文字ではふつう円の部分は下から時計回りに書かれ、そのあとでヒゲを書く。また、ヒゲは、ベースラインを越えて下に突き出すことも多い。

  1. ヒゲを右に曲げる。
  2. ヒゲを円の真下でなく右に寄せる。フラクトゥールでは、 である。
    1. さらにヒゲを円の中から円弧を突き抜ける形にする。
    2. 円に続けてヒゲを書くために、円の下部から時計回りに小さい円を描き、そのまま右下に突き出す。
  3. ヒゲを水平に書く。このとき、円と少し離して書くことがある。また、水平線は波打たせることがある。
    1. 円と水平線を続けて書くために、円から斜め下に接続線を書く。縦線が復活する形になる。
    2. 筆記体では、円を真下から書き始めずに途中から書くことがある。この結果、数字の2のような形となる。
  4. 小文字は、縦棒が右に寄り、長くなって円の右に接する形となり、ベースラインを越えて下に突き出す。数字の9と似た形となる(「p」を反転させた字形とも言える)。フラクトゥールでは、 である。
    1. 数字の9と区別するため、縦棒の下部や、縦棒のベースライン付近(円よりは下)にセリフを付けたり、縦棒の下部を右に曲げることがある。筆記体では、右に曲げて折り返し、左に曲がって棒に当たってから右上に跳ね返って次の文字に続ける。

呼称 編集

  • :クウー /kwuː/
  • :クー /kuː/、クヴェー /kveː/[2]
  • 西:ク /ku/
  • :キュ /ky/
  • :キュー /kyː/
  • : cue(キュー)/kjuː/
  • : quê(ケー)/keː/
  • イネ:キー
  • エス:kuo (クーオ)

音価 編集

古いギリシャ文字のコッパ (Ϙ) は、[k] に似て、もっと喉の奥で発音する音だったようである。この理由により、[ku] における [k] の発音がコッパに近いとされ、[ku] の発音を表すために Q の字が残った。このため、現在でも qu の綴りで現れることが多い。英単語で qu にならないのは、カタールの綴り「Qatar」や、オーストラリアカンタス航空の「Qantas」など、固有名詞にごく少数見られるだけである[注釈 1]。また、グループの「Aqours」や、アパレル企業の「ユニクロ」(UNIQLO)は「qu」になっていない。現在Qが表す音価は、[k] ないしその類似音である。quの後に母音がついていることが多く、子音は少ない。

ラテン語と同様の [k](qu の形でしか現れないものを含む)
  • イタリア語、英語、オランダ語では qu の2字で kw の綴りと同じ [kw] の発音を表す。
  • ドイツ語では qu の2字で kw の綴りと同じ [kv] の発音を表す。
  • フランス語、スペイン語では qu の2字で [k] を表す。また、フランス語では cinq(5), coq(雄鶏)といった q の語尾の単語があり、これも同様に発音する。 
  • ポルトガル語では qu の綴りで a, o, u の前では [kw]、e, i の前で [k] または語によって [kw]。ただしブラジルでは2012年まで e, i の前で [kw] と発音するには qü と綴っていた。
  • エスペラントでは外来語のみに使う。読み方がわからない場合、単独の q は [k]、qu は [kv] と発音することが推奨されている。qu を含む西欧語の単語がエスペラントに取り入れられた時は kv になる。(quality → kvalito)
古ギリシア語 Ϙ に連なるアラビア語 ق やそれに由来する音
その他の軟口蓋音
硬口蓋音
その他の音声

Qの使用例 編集

海外諸語の単語の略 編集

疑問・質問
  • query - 不明である状況や疑念のニュアンスを含む。
  • question - 解決すべき課題や、提案のニュアンスを含む。
自然科学の概念
特定の数量・割合
  • Q - 四重奏団としてのカルテット(quartet)の略表記。
  • quarter - クォーター
    • Q - スポーツの試合時間等を4分割した単位「クォーター」の略表記。1Q-4Qのように略記。
    • Q - 会計年度会計期間の四半期(3ヶ月間)の略表記。1Q-4Qのように略記。
    • Q - 写真植字(写植)における文字の大きさの単位。一辺の長さ1歯 (4分の1ミリメートル) につき1Qである。同音の「」を当てることも多い。
  • Q - 五重奏団としてのクインテット(quintet)の略表記。
  • q - SI接頭語のひとつ、クエクト(quecto)。10−30
  • Q - SI接頭語のひとつ、クエタ(quetta)。1030
その他の単語
  • qualify - (資格などを)与える、選出、(予選などの)通過
    • Q・q - 競技スポーツなどにおける予選通過記録(クオリファイ)の略。スコア表記の場合、大文字「Q」で順位通過・または順位通過選手、小文字「q」で記録通過・または記録通過選手を表す。
  • queen - クイーン・女王
  • quelle - ラテン語で「源泉」、転じて「出典」の意。英語のquarryに相当。
  • Q - クルアーン(Quran:イスラーム聖典)の略。
  • Q - 古代ローマ人の個人名クィントゥス (Quintus) の略。
  • Q (食感) - 台湾において「粘り気のあるもちもちした食感」を現わす語。

日本語の「きゅう」の音 編集

 
富士急行のロゴマーク

団体・作品・商品等の名 編集

「Q」の文字は、「謎」や「疑問」、または「解決」のニュアンスを含む語として、グループ名や、フィクション作品のタイトル表記等に用いられる。

その他の使用例 編集

符号位置 編集

大文字 Unicode JIS X 0213 文字参照 小文字 Unicode JIS X 0213 文字参照 備考
Q U+0051 1-3-49 Q
Q
q U+0071 1-3-81 q
q
U+FF31 1-3-49 Q
Q
U+FF51 1-3-81 q
q
全角
U+24C6 Ⓠ
Ⓠ
U+24E0 1-12-42 ⓠ
ⓠ
丸囲み
🄠 U+1F120 🄠
🄠
U+24AC ⒬
⒬
括弧付き
𝐐 U+1D410 𝐐
𝐐
𝐪 U+1D42A 𝐪
𝐪
太字

他の表現法 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ カンタス航空の場合は、当初の正式名称であった「Queensland And Northern Territory Aerial Services」の略称であるため。実際の英語の発音は "qu" の2字の場合のように「クウォンタス」(Quantas, [ˈkwɒntəs])。

出典 編集

  1. ^ Nr.13 ドイツ語圏(7) オーストリア(5) | コラム、ドイツ語技能検定試験、2017年10月29日閲覧。
  2. ^ オーストリアドイツ語[1]

関連項目 編集