ショウナンパントル

日本の競走馬・繁殖牝馬

ショウナンパントル(欧字名:Shonan Peintre2002年2月20日 - 2011年3月22日)は、日本競走馬繁殖牝馬[1]

ショウナンパントル
2005年エリザベス女王杯パドック
欧字表記 Shonan Peintre
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 鹿毛[1]
生誕 2002年2月20日[1]
死没 2011年3月22日(9歳没)[2]
抹消日 2007年9月15日[3]
サンデーサイレンス[1]
バブルウイングス[1]
母の父 In the Wings[1]
生国 日本の旗 日本北海道白老町[1]
生産者 白老ファーム[1]
生産牧場 白老ファーム[2]
馬主 国本哲秀[1]
調教師 大久保洋吉美浦[1]
調教助手 鈴木正雄[4]
厩務員 江原昇[4]
競走成績
タイトル JRA賞最優秀2歳牝馬(2004年)[4]
生涯成績 17戦2勝[1]
獲得賞金 9288万8000円[1]
勝ち鞍
GI 阪神ジュベナイルフィリーズ 2004年
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2004年のJRA賞最優秀2歳牝馬である。同年の阪神ジュベナイルフィリーズGI)を優勝した。

生涯 編集

デビューまで 編集

バブルウイングスは、1992年にフランスで生産された父In the Wingsの牝馬である[5]イギリスで競走馬として19戦4勝を挙げて引退[5]。1998年に日本に輸入されて、白老ファームにて繁殖牝馬となった[5]。初年度は、ブライアンズタイムと交配し、初仔の牝馬を生産。それから2年目は父サンデーサイレンスの牝馬、3年目は父スペシャルウィークの牡馬を生産する[5]。4年目となる2001年は、再びサンデーサイレンスを交配[5]。2002年2月20日、北海道白老町の白老ファームにて、4番仔(後のショウナンパントル)が誕生する[1]。4番仔は牧場の厩舎長によれば「ひときわ目立つようなサンデー(サイレンス)の仔ではありませんでした[6]」と回顧している。胃腸が弱く下痢を催すことが多々あり、冬毛もなかなか抜け替わらなかったという[6]

4番仔は「ショウナン」の冠名を用いる馬主国本哲秀が購入する[7]。2002年の高松宮記念ショウナンカンプで勝利していた国本は、そのショウナンカンプの管理調教師大久保洋吉に対して、優勝のお祝いに何かプレゼントしたいと申し出ていた[7]。すると大久保は馬と答えたため、二人で白老ファームを視察[7]。5頭いたサンデーサイレンス産駒から、大久保がこの4番仔を選り抜いていた[7]。国本は、この4番仔に冠名「ショウナン」とフランス語で画家を意味する「パントル」を組み合わせた「ショウナンパントル」という競走馬名を与えている[2]。ショウナンパントルは、大久保厩舎に入厩する[1]

競走馬時代 編集

2004年7月24日、新潟競馬場新馬戦(芝1600メートル)に3番人気でデビュー、吉田豊が騎乗し半馬身差をつけ初勝利を挙げる。それから9月5日の新潟2歳ステークスGIII)に3番人気で重賞初出走[8]。3番手から早めに抜け出すことに成功したが、大外から追い込んだ1番人気マイネルレコルトに差し切られて2着[8]。続いて大久保は、関西への輸送を経験させるために、敢えて牡馬相手のデイリー杯2歳ステークスGII)を選択、2番人気に推された[9][10]。中団を追走して直線では内を突いたが、大外から追い込んだペールギュントなどの末脚には劣り5着となる[10][11]

12月5日、阪神ジュベナイルフィリーズGI)でGI初出走。ファンタジーステークスを勝利した2戦2勝ラインクラフトが1.5倍の1番人気、デイリー杯2歳ステークスでペールギュントに1馬身差の2着だったライラプスが8.5倍の2番人気、函館2歳ステークスを勝利した2戦2勝アンブロワーズが11.9倍の3番人気に推される一方、ショウナンパントルは22.3倍の8番人気だった[12]

映像外部リンク
  2004年 阪神ジュベナイルフィリーズ(GI
レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画

スタートから後方内を追走、直線では、進路を外に求めた[13]。先に抜け出たアンブロワーズと、後方から追い上げるラインクラフトの間から進出した。その3頭が並び立って競り合いながら入線[13]。アンブロワーズにアタマ差、ラインクラフトにアタマ+ハナ差先着した[13]GIならびに重賞初勝利、1993年ヒシアマゾン以来2例目となる1勝馬の優勝[14]、1996年メジロドーベル以来2例目となる新潟デビュー馬による優勝であった[14]。また、大久保や吉田は1996年メジロドーベル以来の阪神ジュベナイルフィリーズ優勝[15]。白老ファームは、前週のゴールデンジュビリーデーに行われたGI2つを独占しており、GI3連勝となった[15]。大久保は「桜花賞はメジロドーベルが取ることの出来なかったレースで、まずはそれを目指したいです[14]。」と述べている。この年のJRA賞では、285票中271票を集めてJRA賞最優秀2歳牝馬を受賞している[16]

3歳となった2005年は、東京競馬場で行われる優駿牝馬(オークス)に向けて、一度東京を使いたいとクイーンカップGIII)で始動したが12着敗退[9]。その後、牝馬クラシック桜花賞、優駿牝馬(オークス)と連戦したが、13着、7着と敗退する[17]。秋は、秋華賞トライアル競走である紫苑ステークス(OP)で始動し2着。優先出走権を得て秋華賞に臨み8着となった[17]。その後、エリザベス女王杯、2006年2戦、2007年5戦はすべて二桁着順[17]。連敗を13まで伸ばした京成杯オータムハンデキャップGIII)を最後に競走馬を引退した。2007年9月15日付でJRAの競走馬登録を抹消する[3]

繁殖牝馬時代 編集

翌2008年から、北海道平取町のスガタ牧場で繁殖牝馬となっていたが[18]、やがて生まれ故郷の白老町、社台コーポレーション白老ファームで供用される[19]。初年度はファルブラヴが留まらず、ブライアンズタイムを受胎[2]。産まれた初仔の牝馬は、出生登録されたのみだった[20]。2年目は、チチカステナンゴと交配したが、流産[2]。3年目には、国本がかつて所有したショウナンカンプと交配し、2番仔となる牡馬を生産した。両親と同じく国本が所有して、ショウナンアチーヴという名で産駒として初めて競走馬デビュー[21]。デビュー2戦目で産駒初勝利を挙げ、GI初挑戦となった2013年朝日杯フューチュリティステークスでは、優勝したアジアエクスプレスに1馬身4分の1差及ばず2着となった[22]。翌2014年のニュージーランドトロフィーGII)では、同じく国本所有のショウナンワダチにハナ差先着して優勝、産駒初の重賞タイトルを挙げた[23]。ショウナンパントルは、ショウナンアチーヴを産み落とした後の2011年春に事故に遭遇[19]、その年の3月22日に9歳で死亡する[2]

競走成績 編集

以下の内容は、netkeiba.com[24]およびJBISサーチ[17]の情報に基づく。

競走日 競馬場 競走名 距離(馬場)


オッズ
(人気)
着順 タイム
(上り3F)
着差 騎手 斤量
[kg]
1着馬(2着馬) 馬体重
[kg]
2004.07.24 新潟 2歳新馬 芝1600m(良) 11 4 4 009.20(3人) 01着 R1:37.0(33.0) -0.3 0吉田豊 54 (ミステリーゲスト) 436
0000.09.05 新潟 新潟2歳S GIII 芝1600m(良) 12 3 3 006.00(3人) 02着 R1:35.0(33.5) -0.2 0吉田豊 54 マイネルレコルト 446
0000.10.16 京都 デイリー杯2歳S GII 芝1600m(良) 13 3 4 005.70(2人) 05着 R1:34.5(35.2) -0.2 0吉田豊 54 ペールギュント 440
0000.12.05 阪神 阪神JF GI 芝1600m(良) 18 3 5 022.30(8人) 01着 R1:35.2(34.4) -0.0 0吉田豊 54 (アンブロワーズ) 446
2005.02.16 東京 クイーンC GII 芝1600m(重) 16 7 14 003.60(2人) 12着 R1:39.5(37.8) -1.4 0吉田豊 56 ライラプス 458
0000.04.10 阪神 桜花賞 GI 芝1600m(良) 18 8 18 016.40(7人) 13着 R1:35.0(35.1) -1.5 0吉田豊 55 ラインクラフト 446
0000.05.22 東京 優駿牝馬 GI 芝2400m(良) 18 8 17 029.60(9人) 07着 R2:29.4(34.1) -0.6 0吉田豊 55 シーザリオ 452
0000.09.10 中山 紫苑S OP 芝1800m(良) 9 6 6 002.90(1人) 02着 R1:49.2(33.6) -0.1 0吉田豊 54 コスモマーベラス 450
0000.10.16 京都 秋華賞 GI 芝2000m(良) 18 6 12 024.00(4人) 08着 R2:00.5(35.1) -1.3 0吉田豊 55 エアメサイア 452
0000.11.13 京都 エリザベス女王杯 GI 芝2200m(良) 18 2 4 089.5(14人) 15着 R2:13.9(35.1) -1.4 0吉田豊 54 スイープトウショウ 448
2006.04.08 阪神 阪神牝馬S GII 芝1400m(良) 12 5 6 044.10(9人) 11着 R1:23.0(36.3) -1.8 0吉田豊 55 ラインクラフト 456
0000.05.14 東京 ヴィクトリアM GI 芝1600m(稍) 18 6 12 234.1(18人) 17着 R1:35.7(34.5) -1.7 0吉田豊 55 ダンスインザムード 452
2007.05.06 京都 都大路S OP 芝1600m(重) 15 4 7 091.7(14人) 15着 R1:39.7(39.8) -3.3 0小林徹弥 52 スーパーホーネット 474
0000.06.17 阪神 マーメイドS GIII 芝2000m(良) 12 6 8 039.5(11人) 12着 R2:01.4(37.2) -3.0 0川田将雅 52 ディアチャンス 446
0000.07.15 新潟 アイビスサマーD GIII 芝1000m(重) 18 8 17 234.1(16人) 12着 RR-55.9(32.9) -0.8 0田中勝春 54 サンアディユ 460
0000.08.26 札幌 キーンランドC GIII 芝1200m(良) 15 6 12 117.1(16人) 12着 R1:09.4(34.5) -0.8 0川島信二 54 クーヴェルチュール 458
0000.09.09 新潟 京成杯オータムH GIII 芝1600m(良) 16 7 14 076.8(14人) 16着 R1:34.2(34.6) -1.6 0吉田豊 50 キングストレイル 458

繁殖成績 編集

生年 馬名 毛色 厩舎 馬主 戦績 勝ち鞍 供用 出典
初仔 2009年 (出生のみ) 鹿毛 ブライアンズタイム [20]
2010年 (流産) チチカステナンゴ [25]
2番仔 2011年 ショウナンアチーヴ 黒鹿毛 ショウナンカンプ 国枝栄美浦 国本哲秀 32戦3勝 2014年NZTGII 誘導馬 [26]
2012年 (不明) ハービンジャー [25]

血統表 編集

ショウナンパントル血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 サンデーサイレンス系

* サンデーサイレンス
Sunday Silence
1986 青鹿毛
父の父
Halo
1969 黒鹿毛
Hail to Reason Turn-to
Nothirdchance
Cosmah Cosmic Bomb
Almahmoud
父の母
Wishing Well
1975 鹿毛
Understanding Promised Land
Pretty Ways
Mountain Flower Montparnasse
Edelweiss

* バブルウイングス
Bubble Wings
1992 鹿毛
In the Wings
1986 鹿毛
Sadler's Wells Northern Dancer
Fairy Bridge
High Hawk Shirley Heights
Sunbittern
母の母
* バブルプロスペクター
Bubble Prospector
1984 栗毛
Miswaki Mr. Prospector
Hopespringseternal
* バブルカンパニー
Bubble Company
Lyphard
Prodice
母系(F-No.) バブルウイングス(FR)系(FN:1-b) [§ 2]
5代内の近親交配 Northern Dancer 4・5(母内) [§ 3]
出典
  1. ^ [27]
  2. ^ [27]
  3. ^ [27]

脚注 編集

注釈 編集

出典 編集

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p ショウナンパントル|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2022年2月25日閲覧。
  2. ^ a b c d e f ショウナンパントル(JPN)”. 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル. 2022年2月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022‐2-26閲覧。
  3. ^ a b ショウナンパントル引退、繁殖へ(15日)”. 競馬ブック. 2022年2月25日閲覧。
  4. ^ a b c 『優駿』2005年2月号 29頁
  5. ^ a b c d e 『優駿』2005年2月号 134頁
  6. ^ a b 2004年12月05日 阪神ジュベナイルフィリーズ G1 | 重賞ウイナーレポート”. 競走馬のふるさと案内所. 2022年2月26日閲覧。
  7. ^ a b c d 『優駿』2005年2月号 67頁
  8. ^ a b 『優駿』2004年10月号 73頁
  9. ^ a b 『優駿』2005年2月号 68頁
  10. ^ a b 『優駿』2004年12月号 136頁
  11. ^ 『優駿』2004年12月号 72頁
  12. ^ 阪神ジュベナイルF|2004年12月5日 | 競馬データベース”. netkeiba.com. 2022年2月26日閲覧。
  13. ^ a b c 『優駿』2005年2月号 50-51頁
  14. ^ a b c 『優駿』2005年2月号 135頁
  15. ^ a b 『優駿』2005年2月号 49頁
  16. ^ 『優駿』2005年2月号 31頁
  17. ^ a b c d 競走成績:全競走成績|ショウナンパントル”. JBISサーチ. 2022年2月25日閲覧。
  18. ^ ショウナンパントルを訪ねて”. 競走馬のふるさと案内所. 2022年2月25日閲覧。
  19. ^ a b 2014年04月12日 NZトロフィー G2”. 競走馬のふるさと案内所. 2022年2月25日閲覧。
  20. ^ a b _________”. JBISサーチ. 2022年2月25日閲覧。
  21. ^ “アチーヴ“夢の配合”開花だ/NZT”. 日刊スポーツ. https://www.nikkansports.com/race/news/p-rc-tp0-20140412-1284150.html 2022年2月25日閲覧。 
  22. ^ “【朝日杯FS】ショウナンアチーヴ 豪脚に屈して2着”. スポーツニッポン. https://keiba.sponichi.co.jp/news/K20131215007207660 2022年2月25日閲覧。 
  23. ^ “ショウナンアチーヴが優勝 競馬のニュージーランドトロフィー”. 日本経済新聞. (2014年4月12日). https://www.nikkei.com/article/DGXNSSXKG0311_S4A410C1000000/ 2022年2月25日閲覧。 
  24. ^ ショウナンパントル”. netkeiba.com. 株式会社ネットドリーマーズ. 2021年1月17日閲覧。
  25. ^ a b 繁殖牝馬情報:牝系情報|ショウナンパントル”. JBISサーチ. 2022年2月25日閲覧。
  26. ^ ショウナンアチーヴ”. JBISサーチ. 2022年2月25日閲覧。
  27. ^ a b c 血統情報:5代血統表|ショウナンパントル”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2017年7月12日閲覧。

参考文献 編集

  • 優駿』(日本中央競馬会
    • 2004年10月号
      • 「【Play-back the Grade-Races 2004】第24回新潟2歳ステークス(GIII) マイネルレコルト」
    • 2004年12月号
      • 「【Play-back the Grade-Races 2004】第39回デイリー杯2歳ステークス(GII) ペールギュント」
      • 「【重賞データファイル】第39回デイリー杯2歳ステークス(GII) ペールギュント」
    • 2005年2月号
      • 「【2004年度JRA賞決定!】年度代表馬にゼンノロブロイ」
      • 優駿編集部「【Play-back the Grade-I Races 2004】阪神ジュベナイルフィリーズ ショウナンパントル」
      • 優駿編集部「【杉本清の競馬談義 237】ゲスト国本哲秀さん」
      • 「【重賞データファイル】第56回阪神ジュベナイルフィリーズ(GI) ショウナンパントル」

外部リンク 編集